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サンドブラスト作品2

 サンドブラストって知っていますか?ガラスにステンシル(型紙)を張って細かい砂を吹き付けることによって彫刻する技法です。ちょうどステンシルの空いた部分に砂が当りスリガラスのような曇りガラスが現れていくのです。一見、難しいそうな感じがするのですが、意外と方法さえ知ってしまえば簡単に誰でも楽しめ、オリジナルな一品を制作することができます。この冬、初めてこのサンドブラストを体験しました。

 ハジメテの体験でしたがはまりにはまってしまい、2日間連続でサンドブラストしてしまいました。
体験する場所を探そう!

 実際にサンドブラストを体験するにはどうすればいいのでしょうか?インターネットで「サンドブラスト」と検索すると色々出てきました。ここあたりが詳しく載っているので参考にしてみると良いでしょう。

 私はたまたま、以前陶芸をするために行ったことがある神奈川県藤野町の「藤野芸術の家」に行って体験してきました。かなり山の中ですけどね・・・。ここはさながら小中校の大きな図工室版といった感じで何でも道具が揃い、色々なものを作らせてくれる穴場的な場所です。都心からでも中央高速に乗って藤野ICで降りればすぐです。電車でも行けますね。近くに体験場がない方でも色々なところでガラス工芸を体験する場所があるようなので探してみてください。

 ここのお勧めですが体験価格としては価格が非常に安いということ。作業時間がかなりある。素材となるガラスを自分で持ち込んでもOK、初心者への対応がしっかりしていて、安心、お手ごろ、お手軽です。
藤野芸術の家
 さて神奈川県藤野町にあります芸術の家をまず紹介しましょう。神奈川県の最北に位置します藤野町。丁度相模湖の付近と言えばわかりますでしょうか。詳しくはこのページをご確認ください。

  藤野芸術の家

  電話 : 0426-89-3030 Email : fart@din.or.jp

 藤野芸術の家です。ここでは工房で体験コーナーがある他、音楽室のレンタル、宿泊もできるようです。周りは山に囲まれて自然の中に位置しとっても雰囲気の良いところです。駐車場も完備され不便はありません。この日は成人式で地元の方たちがたくさん集まっていました。
 工房までに向かう途中の長い通路です。芸術の家といっているだけあって、きれいでどことなくデザインされた装飾が見受けられます。廊下は全て木のタイルです。
工房に入りました。ここでメニューに記載された体験ができます。てびねり、ろくろ、木工、サンドブラスト。この他にも年間を通して多くイベントを行い、メニューにない体験や、高度な体験もできるようです。たぶん予約は必要だと思います。
 体験できる素材をこのショーケースから選びます。ざっと見ても40種類ぐらい。すごい数です。これだけ揃っているのはそうはないのではなかと思います。初心者のお勧め大皿や小鉢、ぐいのみなんかではないでしょうか。コップ類もいいのですが、曲面が大変そうです。
 私はこの真ん中の小鉢を選びました。なんかサラダなどを入れたらいいなと思いまして。値段がすごいですね。大体500〜1000円とお手ごろ価格。唯一ランプシェードを作るキットがあってこれは1800円。小鉢は900円でした。 持ち込みも可能で、その場合は作業料として500円だそうです。100円ショップなんかで気に入った素材を用意してもいいですね。
 作業量といってもあらゆる工具、道具やステンシル(型紙)、型紙を起こすための資料、素材などが自由に使えるので割があっているのかは、こちらが心配してしまいます。
 作業場に入った雰囲気です。画像で見るよりも広い感じです。陶芸、ガラスと分かれていて、手前のにアドバイザーの方が自由にアドバイスを受けることができます。初心者の方は、まず最初にアドバイザーの方から一通りの工程を丁寧に説明してくれますので安心です。
いよいよ制作開始!

 サンドブラストとは?

 サンドブラストとは、砂を吹きつけガラスを削る彫刻の一種です。砂を吹き付ける道具はエアブラシに使うエアガンを用います。エアガンの先から砂が噴射してガラスに当てることで少しずつガラスを削ります。たとえば、何かコップがあるとします。コップにこの砂が噴出されるエアガンを当てると見事にガラスを削り曇りガラスのようになります。しかし、これでは、単なる曇りガラスのコップができてしまうわけで・・・。

 そこで、砂がかかる場所とかからない場所を作り、エアガンで砂を吹き付けてみます。どうでしょう。砂がかからない場所は、ガラスを削りませんから透明です。砂がかかった場所は曇りガラスになっています。つまりこれを利用してガラスに砂がかかる場所とかからない場所を作りデザインしていけばよいのです。

 制作手順

 それでは、ガラスにステンシル(型紙)を張りサンドブラスタで作品を制作する基本的な手順を紹介しましょう。

 簡単編

 誰でも簡単に作品が作れる方法を紹介します。シールを使ってデザインしますのでお手軽です。意外にこれだけでもいい作品は作れますよ!小さな子供だったらこの方法で制作可能です。

@ 制作したいガラス素材を選ぶ。
 コップ、お皿、ぐい呑みなんでもありです。なるべく柄の入っていないものを選んでください。これからオリジナルの作品をつくるのですからね。

A 柄になるシールを選びます。
 このシールは、ステンシルなわけです。砂がかかる場所かからない場所と区別する意味にもなります。芸術の家では様々なシールが用意されています。たとえば、花、星、ハート、木、雪の結晶、かえで、くま、いるかなどなどです。シールは、砂がかかるタイプとかからないタイプと2種類あります。

B シールを貼り付けます。
 砂がかかる場所かからない場所をよく考えてデザインしながらガラスにシールを貼っていきます。

C ビニールテープを貼る(但し、デザインによってはやらない作業)
 砂がかかりたくない場所が多くあった場合は、ビニールテープがありますからテープで埋めてください。

D サンドブラストする!
 さあいよいよ砂をガラスにかけるのですが、その前にもう一度砂がかかる場所とかからない場所で区別したシールやテープを確認してください。隙間があったりすると削れてしまうので注意深くチェックしてください。チェックを終えたらサンドブラストします。サンドブラスターという機械があります。まず、機械の蓋を開けて作品を機械の中に入れて蓋を閉め、電源スイッチをONにします。このとき、砂はまだ噴射されません。次にこの機械に両手両腕を入れる箇所がありますので入れます。ビニール手袋のようになっているので、作品がつかめるかと思います。また、機械の中にはエアガンが入っていますので利き手で握ります。機械下にエアガンから砂を噴射させるためのペダルがあります。準備が整ったらペダルを押します。このとき、エアガンと作品の距離は10cmぐらい離してください。色ガラスなどは、5cmぐらい離すそうです。しっかりテープで砂のかかる場所を区別してあるので、気にしなくてもよいのですが、注意しながらまんべんなく砂を吹き付けてください。たまに貼り付けたテープやシールが砂の勢いではがれてしまうことがあるからです。

E 完成
 ブラストする時間は好みです。意外と早く削れるものです。大体3分から7分くらいでしょうか。特に深く削る場合は時間を要します。深さは見るのは一度機械を止めて作品を表に出し、手で触って見るとよいでしょう。完成したら、作品を取り出し、砂を払い軽くタオルなどでふき取ってください。芸術の家では作品を持ち帰るための、古新聞とビニール袋が完備されています。

 ちょっと応用編

 シールじゃ飽き足らない。なんかいい柄選んで彫刻したいなという方向きです。当然ながらいい柄というのは、自作してしまえば完全オリジナルです。既存のシールとの併用もありです。色々と工夫してみてください。

@ 制作したいガラス素材を選ぶ。
 コップ、お皿、ぐい呑みなんでもありです。なるべく柄の入っていないものを選んでください。これからオリジナルの作品をつくるのですからね。

A 柄を選ぶ
 芸術の家では、ステンシルの原本になる図案がたくさんあります。フォントまでありますね。気に入った絵柄を探してみてください。この時、選んだガラスとの比率を見てくださいね。ここにコピー機があったら拡大縮小するだけどなー。

B ステンシル(原本)を紙に写す。
 作業台には、和紙のような紙が置いてあります。ステンシル(原本)をまず作業台に置き、次に紙を覆いかぶせます。紙がずれないように2箇所セロテープで貼っておくと良いでしょう。下の絵柄が紙を透して浮かび上がりますので、鉛筆でなぞっていきます。

C 描きたい場所にテープを貼る
 ガラスの描きたい場所に太めのビニールテープを貼り付けます。かなり太目のテープもありますから一枚で貼り付けるようにしてください。テープとテープをつなぎ合わせるようなことをすると隙間が必ずできますので注意してください。

D ステンシル(紙)をテープ側に写す
 まず、鉛筆でなぞった側をビニールテープ側に合わせて、ずれないように軽くセロテープで固定してください。固定し終わったら鉛筆などで柄をこすっていきます。つまり写し取った側の鉛筆の粉がビニールテープに付着し転写できるのです。この時、柄が逆になっていることに注意してください。もっとはっきり転写したい方は鉛筆でなぞるとよいでしょう。転写し終わったら、ステンシル(紙)を剥がします。

E 簡単編、BCDEの手順ですすめてください。シール作業を入れていますがなくても当然いいわけです。

 制作風景

 作業場の雰囲気です。机の上にはカッティングマットが敷き詰められて、道具が置かれています。内容は、はさみ、カッター、ピンセット、ステンシル用の写し紙(半紙のようなもの)、ステンシル用のビニールテープ(つや消し)、セロテープ、鉛筆などなど。周りには、ステンシルとして切り取られたシール(豊富)や、様々な切り口になるはさみ、星型やハート型、円形などのシールを作れるパンチ、ステンシルの見本などがたくさんあります。
 まずは、気に入った柄(素材)を見つけ、厚手の半紙のような紙(和紙?)に元となる柄を下敷きに、鉛筆で写し取ります。当然、オリジナルの絵でも良いです。
 次に、小鉢の底面に広い白のビニールテープをきれい張り詰めます。このと空気が入らないように気をつけましょう。
 今度は、写し取った紙の書き込んだ側をビニールテープ側に貼り付け、鉛筆でこすっていきます。もし不安だったら、再度なぞってみてもよいでしょう。あと、紙がずれないようにセロテープで固定しておくとベストです。
 ステンシルを写し終えて、カッティングしていきます。カッターでもよいのですが、ペン型のカッターのほうが切れ味が良いので選んでおくとよいでしょう。切り取るとガラス面が見えてきます。最終的にここに砂がかかり削りますので、よく考えて作業してください。←ステンシル作るところで考えるべきですが・・・。
 定規使ってテープを貼る長さを測っています。道具は色々あるので工夫して使ってみてください。
 すでに用意されているシールを使ってみました。かえでと雪になる円を貼り付けています。上の小さな波は特殊なはさみで切りました。工夫次第で色々とデザインできます。
 全てが張り終えた状態。余計な隙間があったりするとサンドブラスターをかけたときに砂が入り削ってしまいますのでよくチェックしてください。また、ビニールテープがよく張られていないとブラスターをかけたときに吹き飛ぶことがありますのでよく注意してください。
 いよいよサンドブラスターの登場です。なんか見た目無菌室みたいですごいんですけど。
 ブラスターの中をのぞいてみましょう。蓋を開けたところです。当然砂は噴射してませんよ。手袋に手をいれ中で器を持ち、右手に持ったブラスターで吹き付けるわけです。下に砂がたまり一箇所に落ちていくようです。その砂がまたブラシに戻って吹き付けるようです。エアブラシと変わらない要領で吹き付けます。
 現在、ブラスターによる作業中です。大体器から10cmぐらい離した上体で吹き付けるとよいようです。透明なガラスは10cm。色ガラスなどは5cmぐらいで吹き付けるとよいとアドバイスがありました。
 ブラスターをかけ終えたところ。ステンシルの空いたところを見ると曇りガラスのように削れているのがわかります。あとはこの白いビニールテープを剥がすのみです。これが結構手間なんですよね。
 器に張ったビニールテープを剥がしタオルなどで軽くふき取れば完成です。いやーここまでたどり着くまで5時間。本当はこの体験は2時間〜と設定されているみたいなのですが、何も言われませんでした。閉館まじかになるとブラスターは終電間際のかけこみみたいでしたけど、なんとかできて良かった。

 今回は、2作品目で紹介させていただきましたが、作り終えて失敗に気づきました。窓にかえではが見える雰囲気を作ったつもりでしたが、できあがりを見てごちゃごちゃしてしまったことがわかりました。また、窓のステンシルが逆に貼り付けてしまい、透明になる窓のつもりが、曇りガラスの窓になってしまった。とほほ。まっいっか!また作ろう。

作品を作り上げて・・・のお楽しみ
 あまりに集中しすぎて肩は凝るは、腕は疲れるは・・・で。藤野芸術の家に限ったことなのですが、そんな時に車で5分くらいのところで夜8時までやっている温泉があります。そこで一休みしてから帰宅してはどうでしょうか。温泉場は「町営やまなみ温泉」。ここは、3時間650円と最近の温泉場にしては安い。しかも湯船も広く、露天、サウナがついて建物も清潔感があります。駐車場もしっかりあります。そうそう、風呂上りの食事、休憩をとる大広間もありますよ。かなりのお勧めですね。
町営やまなみ温泉

この風格で町営なんです。いいですね。泉温度41.8°だから沸かし湯ないよ。食事のお勧めは遊魚園のざるそば。大体500円前後がうれしい。
藤野町牧野4225−1
TEL0426−86−8073
FAX0426−86−8023
交通
中央自動車道:相模湖藤野IC→国道20号→県道76号南下(ICから15分)
JR中央本線藤野駅下車→津久井神奈交バス(やまなみ温泉行き・終点下車)15分

 おっと、本題から少しずれたかな。サンドブラストに戻します。一風呂浴びて帰宅の途に着き、まずは一度中性洗剤で洗いますね。作品も洗ってあげないとね。お湯にぬれると一度模様が消えます。そして乾いた柔らかい布でふき取ると白い模様が現れてきます。この時がたまない充実感がありました。一度お試しあれ。

完成品 作品1