| 12th |
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| 【 life 】 |
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| いつの間にか小屋の中の段ボール箱に野良猫が入り込み、そこで4匹の赤ちゃんを産んでいた。 |
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| 毛も歯も生え揃っているので、2週間は経っているのか。今まで全然気付かなかったのが笑える。 |
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| 目ヤニがこびり付き、目を開けられなかった様子があまりにも痛々しくて、湿らせた柔らかい布と |
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| 綿棒で優しく取ってやる・・・が、猫失禁。おいおい (^^; オボエテロヨ、コイツゥ。 |
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| しかし。―― それにしても可愛い。なんて可愛いの。まだ引っ込まない爪で思い切り引っかかれても |
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| 許してしまうじゃないの。その様子を威嚇しながら遠くで見ているママ猫のことに私は気付いていた。 |
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| ねぇアンタ、なんで子供4匹とも色が違うの。彼氏が4人いるわけ? すっごぉい。モテモテじゃん・・・ |
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| なんて言いつつ、小屋のドアを少し開けて段ボール箱を足下に置き、私は家の掃除に取り掛かった。 |
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| もう1回箱を覗いてみると、真っ白い子猫がいない。あれれ? 自力で出られるような箱じゃないから |
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| きっとママ猫が、人間に子供を取られるんじゃないかと心配して、どこか別の場所に運んだのだろう。 |
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| しばらくして覗くと、また1匹いなくなっていた。そしてまた1匹・・・いつしか箱は、空っぽになった。 |
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| 可愛くて手元に置きたい衝動と、飼えない我が家の事情。ずっと眺めていたい気持ちと、命の重さ。 |
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| ママ猫が連れ去ったことで私が子猫の世話をせずにすみ、里親も探さずにすんだのだが、果たして |
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| これは最良の結果なのか。 |
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| 4匹の子猫を、ママ猫同様、野良猫にしてしまった。親と引き離してでも人間の手で育て、病院で |
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| 注射や去勢、避妊をして里親を探したほうがよかったのか。 それとも・・・? |
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| もし、人間よりも大きくて強くて頭のいい動物がいたとして。それが自分から子供を引き離したら。 |
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| 私は―― イヤだ。 |
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| 21 Apr 2001 |
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