| 2nd |
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| 【 hate 】 |
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| 大嫌いな人のことを、徹底的に自分の世界から追い出す。関わらないように行動する。 |
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| これには相当の努力が必要だ。2度と会わなくていいような人であればいいのだが、 |
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| そんな人のことは嫌いにならなくてもいい。その必要が無いと分かっているから。とすると、 |
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| 大嫌いな人というのは結構身近な人である可能性が高いのである。 |
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| 今まで、とても嫌いになった人が2人いる。1人は社会人になってから。私の足を引っ張った男。 |
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| そしてもう1人も男性。随分前の話になるが、私が中学生の時のことだった。その人は、 |
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| 物理的にも精神的にも、私の居場所を奪ってしまった。彼は、私がそんな風に考えているとは |
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| 思わなかっただろう。そうでなければ、私がそんなに嫌いになる訳がないのである。 |
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| とうとうある日、私は叫んでしまった。「嫌いだ、今すぐここから出てけ!あんたなんか大嫌い!」 |
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| 生まれて初めて当人に向かって「嫌い」と言った時。情けないことに、信じられないほど足が震えた。 |
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| 罪の意識は感じていたものの、後悔は全く無かった。だって本心なんだもん。だってこれ以上、 |
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| 我慢出来ないんだもん。だって、大嫌いなんだもん――もう少しで、涙が出そうになった。いや、 |
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| 泣いてしまったかもしれない。そして今も時々その事を思い出し、胸が痛む。 |
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| しばらくは中途半端に落ち込んでいたが、政治家みたいに「撤回いたします」なんてホザけば |
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| そうなるものでもないし、そうしたいとも思っていなかったのも事実。どちらかといえば、それでも |
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| 私の視界に入ってくる彼を許せなかったし呆れてもいたのだが、時が経って、いつの間にか |
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| ある空間が私の元に戻ってきたのだった。 |
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| いつか、気付いたことがある。嫌いな人に嫌いだと言うことの怖さや辛さ、苦しさと比べれば |
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| 好きな人に好きと言うのって、なんて簡単なんだ。好きだと言われて怒り出す人なんていない。 |
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| 嫌いだと言ってしまう時の勇気の半分以下で好きと言えるはず。言おう。言ってみよう。 |
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| 伝えたいと思うのならば、気持ちは何でも(いや、「嫌い」以外か――?)、言葉にするべきだ。 |
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| 何かと引き替えにそれを知ったのだと思い、私は昔の自分に少しだけ感謝した。 |
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| 後日−10年後くらいかな。私はその憎き(?)相手と偶然再会した。向こうは私よりずいぶん大人。 |
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| 何も無かったように話しかけてくる。そして私も、少しだけオトナになっていた。 |
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| 27 Mar 2001 |
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