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7.食在広州

さて店に入るときれいなお姉さんが入り口で待っていた。とりあえずそのお姉さんに「うぉーめんしーさんがーれん(3人です)」と言ったら「うにゃうにゃうにゃまっ(・・・・・・ですか?)」と聞かれた。「うぉぶみんぱいら(わからん)」といったら「うにゃにゃにゃまっ(・・・・・・・ですか?)」とまた聞かれた。これはきっと3人だということが伝わっていないのだと思い「3人です(中国語)」と紙に書いて渡すと、紙に「お食事ですか?」と書いて渡された。「どぅい(はい)」と答えると大笑いしながら席に案内してくれた。どうも言葉もろくに喋れない田舎者が(中国ではこういう表現があるに違いない)職を探してやってきたのと間違えられたらしい。3人の身なりは・・・書くまい。とにかく席に着くと早速メニュー選びである。先ほどのお姉さんたちは入り口の所に戻ってしまっている。別のお姉さんがメニューを取るために来ている。しばらくして意を決したようにして「にぃめんちーつぉんぐなーりー(どこから来たの?)」と聞いてきたので、「たーぱん(大阪)」と答えておいた。本当は姫路(じーるー)なんだけれどそのときは発音を知らなかったので、広州からみれば大阪も姫路も同じだろうと大阪と答えておいた。よくわからないと言った顔をしたので「たーぱんつぁいりーべん(大阪は日本にある)」と言うと、びっくりした顔をして「にんしーりーべんれんま?(日本人?)」と聞かれた。完全に中国人と間違えられていたらしい。飛び込みでこの様なはずれの店に来る日本人のお客なんていないのだろう。メニューの選択ははとても会話では出来ないので筆談である。店の人に得意のメニューを聞いたら「鳩のまる唐揚げ?」(すすめられた時はどんな料理か全然わからなかった)を勧められたので言われるままに頼んだ。そして野菜の炒め物は中華料理を食べるときにははずせないのでこれも頼んでおいて、後は他の2人に任せて通訳係に徹する。「肉料理であっさりしたのって伝えられる?」とか「これはどういう料理だ」とか、すったもんだしながら筆談を進める。そんなことをしていると、ウエートレスの人が物珍しそうに集まってきていて、店の中でちょっとした人気者になっている自分たちに気が付いた。料理を頼んでしばらくすると「鳩のまる唐揚げ?」が皿に盛られて出てきた。頭の部分が恨めしそうにころんと皿の上に転がっている。我々は店内では注目の的である。期待に応えねばならないと思った瞬間、私は行動に出た。箸でその頭の部分をつかみ口にもって行き、かりっと揚がったくちばしと軽い接吻を交わしたのである。結果は予想どうりであった。とってもおいしかった。同僚にはあきれられたが・・・・・。そのおいしさとは別に料理もさすが本場でかなりおいしい。ビールは「ちんたお(青島)」ビールで飲んで食って死にそうになるまで食べた。しかし、中国は物価が安い。これだけ飲んで食って3人でたったの213元(約3000円)である。もし広州に行く機会があったら一度寄っててみることをお勧めする。お店の名前は「新光花園酒家」である。その後、夜の広州へ繰り出したのだが、目的を既に達してしまった同行者の一人がやたらにホテルに戻りたがったため、観光もそこそこにホテルに戻って床についたのであった。

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