3.ペンタックスMX
 中学にはいって、理科室の暗室を使えるようになったりして本格的にカメラ小僧となる。当時の新聞にはさまっていた黄色いヨドバシカメラ広告を毎回食い入るようにながめたっけ。あれは、暗室用品まではいっていてすごいカタログだった。このころ、現像タンクから引き伸ばし機(ダーストの一番小さい35mm専用機だった)、フェロタイプまで、最低限必要なものはすべてちまちまと揃えあげた。その過程で、どうしてもちゃんとしたカメラが欲しくなる。ヨドバシで手にとってみたり、カタログを大量に集めたりしてターゲットとなったのがMX。小さくて、システムが確立しているところが心をくすぐったのだ。小遣いをためまくって、安い店をさがして、まず、50mmつきのボディを手に入れた。次に買ったのがトキナーの80-200の望遠ズーム。これは交換マウント式のレンズで、結構当時はいろいろでていたものだ。そのほか、この頃に買ったのはワインダーMX、ストロボ。ワインダーはMXにつけると実に持ちやすいグリップが良かった。ストロボは東芝のQCC-2000。この当時買ったものの中で唯一いまでも手元にあるのがこのストロボで、実はまだ現役だったりします(RTSの写真参照)。ワインダー、レンズ、接写リング、あと、フォーカシングスクリーンなんかは、後に中古でMXを買ったという友人に譲った。その時には自分のMXはシャッターが壊れていて、そのままフェードアウトしていた上、メイン機が次のRTSに代替わりしていたからだ。東大の村田君、まだMXつかってる?


 中学の理科部に「写真班」というのを部長権限でつくってしまい、部の活動、というタテマエをもって学内にカメラを持ち込む許可をとり、文化祭で壁一面に数百枚の学内スナップを貼り出したり、ということをしていた(最終日には先着順にさしあげます、とやったら随分なくなったっけ)。新米の技術教師なんかはそれをいいことに「修学旅行の写真担当」というのをこちらにやらせた。フイルムは学校支給、というので喜んで引き受けたのだけれど、そのせいで修学旅行の写真、というのが手元には随分少なくなってしまった。卒業アルバムには自分の撮った写真がはいっているんだけど。いまにして思えば手抜きしやがったな、あの教師(笑)。制服のポケットにボディとレンズをいれて持ち歩く、とか、標準レンズを逆さにつけてマクロ撮影してみる(アダプタなんかつかわずに手でおさえていたりした)、とか、顕微鏡の接眼レンズの前に50mmのレンズをおしつけて簡単な顕微鏡写真をとってみたり、と、この時期にはいろいろあそんでいたっけ。

 このMX、マニュアルカメラが一時期流行した時に中古の価格がはねあがってすごいことになっていた。最近は少しおちついたみたいだけれど、これとかニコンのFM2とかの人気は根強いみたい。