パソコンをホームシアターに活用しよう


7.欠点は次々現れるもので  今後の課題

 リージョン・コードを克服できることは確認出来ました。これで手持ちのDVDソフトを心おきなく楽しむことが出来ます。
 という訳で、早速色々なDVDを使って、改めて映像チェックしてみることにします。
 まず、「アルマゲドン」冒頭の都市破壊シーンから。おお! 破壊される建物の中で動いている小さな人まで、きっちりよく見えるじゃないですか!
 気をよくして、次に「スリーピー・ホロウ」。うーん、元々クールな感じの色調の作品ですが、その色合いとG450出力のシャープさが相まって、とてもいい感じ。ですが……。
 あれ? 何だか、少し違和感が……?
 しばしスクリーンを凝視する。そうして、やっと気がつきました。この作品、闇の中にもやが立ちこめるシーンが結構多いのですが、そのもやがきれいに再現できていないんです。グラデーションが段階状になってしまい、きれいに描けていない、といいましょうか。ドット状のグラデーションが画面に描き出されていたのです。
 おやおや、これはどうしたことだろう? と思いました。
 パソコンの描画方法の問題でこうなるんだろうか? それとも、ビデオカードが再生支援機能に対応していないことが原因だろうか? いやいや、解像度が800×600と低いせいで細密な描写が行われていないせいなのでは……。
 色々、考えました。しかし、いくら試してみても、その症状は良くなりません。ビデオカードの問題かとも思い、友人からもらったnVIDIA社製の「RIVA TNT2」というチップを積んだビデオカードに差し替えてみても、いっこうに改善の兆しは見えません。
 と、いうことは……。
 もしかして、と思って専用機(DVL−919)に登場願いました。これをプロジェクターに色差ケーブルで接続し、もやの立ちこめる同シーンを再生。すると……。
 やはり、見えました。パソコンでの再生ほどには目立ちませんが、もやの描画が同じようにドット状で行われていたのです。これは、デジタル圧縮の抱える問題だったと思われます。ただ、専用機ではその特性に合わせてある程度補正をかけて出力しているのに対し、パソコンでは素の情報を引き出すため、この様に目立って見えてしまうのだと思われます(専用機だけで観たときには気づかなかったですね)。
 うーん、素の情報を引き出してメーカーのMPEGエンコード技術を比較してみるというのも一興ではありますが、1ユーザーとしてはごまかしでもきれいに見える方がいいなぁ。
 これは、今後のソフトメーカーの腕に期待するしかないようです。
 気を取り直してチェック再開。
 今度は、アニメ作品。アニメのDVDは、その圧縮上の問題から再生が難しい部類に入るジャンルです。これがきれいに再生できたら、私の視聴上は全く問題がない状況になった、と考えてもいいでしょう。
 早速「オネアミスの翼」という名作SFを再生してみる。すると……。
 おわぁ、映像がぶれてる!!(苦笑)
 あんまり症状は出ないのですが、それでも所々映像の輪郭がぼやけてぎざぎざになってしまう箇所がありました。試しにいろいろと設定をいじくり、先ほどと同じようにビデオカードも変えてみて、さらに再生ソフトも変えてみたのですが、効果なし……。
 うーん、これは困った。
 とはいえ、アニメ作品はほとんど観ませんから、大きな問題ではないですね(笑)。再生ソフトの改善か、ハードウェアのグレードアップか……追々、解決策を見つけていくことにしましょう。
 以上の結果から、アニメ作品に関しては若干の問題が見られるものの、映画再生についてはほぼ問題なく行える、ということが確認できたようです。
 それでは、やっと1本、ゆっくりと映画を観てみることにしましょう。
 というわけで、昨年末に買っておいた「グラディエーター」を選んで、鑑賞開始。
 うーん、細部まで見えると冒頭の大合戦も迫力が違うなぁ、なんて画面に見入っていました。
 ところが!!!
 話が進み、画面が古代ローマ帝国に移ったとき、「それ」は起こりました。
 画面上に、水平に横線が何本も入ったのです。1本2本ではなく、等間隔に、上から下まで何本も何本も。
 「何じゃぁ、こりゃぁ!!!」
 松田優作ばりに声を上げ(嘘)、うろたえることしばし。
 色々なシーンを確認してみると、どうやらこの横縞はCGで描いたシーンなどでよく発生するようです。でも、何故?
 設定をいじくり、再生ソフトも変え、ビデオカードのドライバをチェックし、考えつく限りの調整を行っても、全く症状は改善されません。
 ところが、またしてもRIVA TNT2のビデオカードに挿し換えてみたら、今度はあっさりとそのシーンを問題なしに再生することが出来ました。どうやら、今回はビデオカードの問題のようです。しかし、画質の面から言えば、明らかにG450の方が上。RIVA TNT2の方は、すこし画像がぼやけた感じになってしまい、色のノリも今いちのように思えます。うーん、どうしよう……。
 そこで最後の手段と、パソコンによるDVD再生を主眼としたサイトの掲示板で症状の相談をしたところ、なんと同じビデオカード(Matrox G450DH)を使っている人からも「同じ解像度(800×600)ならうちでもその症状が出るよ」と報告があり、どうやらこのビデオチップがハードレベルで抱えている問題らしいということが分かりました。
 うーん、こりゃ、このビデオカードを諦めるしかなさそうだなぁ……。
 プロジェクターの画素変換を回避するために選んだ解像度ですから、これを変更したくはありません。
 泣く泣くG450を諦め、RIVA TNT2を組み込むことで解決したのでありました。これでも、僕の持っている専用機よりは遙かにきれいな映像を出力してくれるのですから、とりあえずはこちらで我慢することにしましょう。
 やっと、落ち着いて映画が観られるようになりました……うーん……(苦笑)。

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