パソコンをホームシアターに活用しよう


10.RADEON参上  だけど失敗……

 前回の更新からだいぶ間があいてしまいましたね。
 この間、私のDVD再生環境にとって大きな変化が起こりました。
 実は、私が使っていたソフトDVDプレーヤー「CinePlayer」が、結局バージョンアップされないまま、配布中止となってしまったのです。つまり、第8回の記事に書いた問題点は一切解決されないまま、CinePlayerというソフトDVDプレーヤーは姿を消してしまったのです。
 これはショックでした。G450とCinePlayerの組み合わせには、映像的には何の不満もなく、あとはソフト周辺の問題点の解決がつけば私にとって最高の環境になるはずだったのですから。
 その問題点が解消されるという見込みがなくなってしまった以上、CinePlayerに代わるソフトDVDプレーヤーを探さなければなりません。ところが、他のソフトDVDプレーヤーでは、CinePlayerの映像を超えることが出来ないことは、これまでの試験ではっきりと分かっていました。
 そこで、いっそのこと、前回の記事に書いていた「RADEON」チップのビデオカードと「ATI Player」の組み合わせを試してみることにしたのです。
 早速、いつも行くパーツショップへ出向き、ビデオカードを物色。すると、バルク品で「RADEON7500」のカードが、ゲーム、ソフトDVDプレーヤー同梱で14,800円で売られていました。
 それを購入し、早速挿し換えをしてみることにしました。
 DVD再生専用パソコンの蓋を開け、挿していたMatrox社製「G450」を外し、代わりに「RADEON7500」を挿し込み、電源投入。カードを認識したら、付属のCD−ROMからドライバソフトをインストールし、再起動。
 さぁ、これで我がDVD再生パソコンの映像出力がRADEON7500に切り替わりました!
 このカードで「ATI Player」というソフトDVDプレーヤーを使用すると、どのような映像が得られるのか……私には、それが以前から非常に興味のあることでした。ネット上での情報などによれば、非常に綺麗で、独自の再生支援機能によりCPUへの負荷も抑えられるとのことでしたから。
 遂に、いよいよ、その映像を体験できる準備が整ったのです! あとは、同梱されていたCD−ROMからソフトをインストールするのみ!
 ……ところが。
 同梱されていたそのCD−ROMにはしっかりとこう書かれていたのです。


 「PowerDVD3.0」


 やっちまったよ……。
 どうやら、このRADEON7500はATI社直販ではなくて、サードパーティー社の製品だった模様……そのため、ATI Playerが付属されていなかったのです。なんてこった、ATI Playerの画質を楽しみにしていたのにぃ!!!
 一応、ATI社のウェブページからATI Playerの最新版をダウンロードして、インストールを試みましたが、「ATI社製品が見あたりません」という理由でインストールが出来ませんでした……サードパーティー社のビデオカードでは使わせてくれないのね……。
 この時点で私、マリアナ海溝よりも深く落ち込みました。毎度の事ながら、買う前にもっとよく確認しようよ、自分……。
 しかし、せっかく買ったRADEON7500、無駄には出来ません。
 そこで、ATI Playerの代わりになりうるソフトDVDプレーヤーを探し始めました。
 私がRADEONに興味を持った一番の理由は、このチップが持っている独自の再生支援機能にあります。
 以前にも少し書きましたが、再生支援機能とは、映像を出力する際に動画再生の負荷をパソコンのシステムに代わって受け持つ、ビデオカードに搭載されている機能です。ビデオカードがその機能を持った専用回路を搭載していれば使えることになります。
 最も広く搭載されている機能は、MC(Motion Compensation:動き補償)と呼ばれる支援機能。これは、DVDの圧縮データであるMPEG2の動きのデータから、画像を補って情報を処理する方式です。この機能は確かにCPU負荷は軽減されますが、動画のデータを回路が補う方式であるため、もともと収録されている信号よりは映像の質が劣ってしまう欠点があります。
 しかし、ATI社のビデオチップには、そのMCの他にIDCT(Inverse Discreet Cosine Transform:逆コサイン変換)という機能もサポートしています。これはMPEG2のデータを、圧縮する時とは逆の処理を施してデータを解凍する方式です。これはDVDに収録されたデータを可能な限りもとの形に戻す方式であるため、CPUの処理の軽減はもとより、映像そのものの劣化も回避することが比較的に可能なのです。
 私は、このIDCT機能にとても興味を持っていました。
 つまり、「IDCT機能を使ってみたい!」というのもRADEONチップ選択の大きな動機のひとつだった訳です。
 では、この「IDCT」をサポートしているソフトDVDプレーヤーは何か?
 私はパソコンショップへと出向き、店頭でいくつかのソフトDVDプレーヤーのパッケージを手にとって、製品概要を読み比べました。
 その結果、その当時「RADEONのIDCTをサポート」と明記してあったのは「PowerDVD XP」というソフトだけだったのです(もしかしたら「WinDVD」も書いていないだけでサポートはしていたかも知れませんが)。
 そんな訳で、私は「PowerDVD XP」のパッケージを購入することとなったのでした。ホント、激しく散財しておりますねぇ……ま、旧バージョンがRADEONカードに付属していたので、バージョンアップ版を買えば良かっただけ助かりましたけど。
 購入後、早速インストール。そして、早速DVDを再生してみると……若干、「G450+CinePlayer」よりも粗めな感じは受けますが、映像そのものはかなり綺麗なものが出てきました。念のため、「WinDVD ARENA」とも比較視聴してみましたが、映像そのものには差が感じられなくなっていましたね。
 それに、再生支援としてIDCTをオンにする必要もなく、コマ落ち等も感じられませんでした。うん、これはいけそうです(IDCTにこだわる必要はなかったかも……)。
 そして、驚いたことがひとつ。
 「PowerDVD XP」で再生すると、音が綺麗……。
 これが本当に、うちのエントリークラスといってもいいアンプでも、はっきりと分かるくらい音楽やサウンドエフェクトの質が変わったのです。これは嬉しい効果でした。
 それに、比べてみると、WinDVDよりも若干動きが軽いようにも感じます。
 とりあえず、「RADEON7500+PowerDVD XP」の環境で不満を感じることはなさそうですので、当分はこれでいってみようと思います。
 さ、後に残った不満な部分といえば、サウンド関係ですね。こちらも、カードの挿し換え等をやってみましたので、次回の記事で報告したいと思います。

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