「展開一番」データで取引高推移分析を行う【3Dグラフ作成S/Wを利用】 81


「展開一番」データを利用する例として、3Dグラフ作成ソフトウェアを利用する取引高推移分析を紹介します
3Dグラフ作成ソフトウェアとして、フリーソフトウェアの「GraphR)」を利用します
〔事例1〕
分析対象としたNPO法人は小規模で会計担当者が常駐していません、したがって、特定の日に集中して伝票を起票しています

そこで、年間の取引高(仕訳金額)を月別日別にグラフにしてみました
会計用パッケージソフトウェアで仕訳日記帳のデータをエクスポートし、表計算ソフトウェアでデータを整形します
会計日と借方金額以外を削除します、次に金額を日別に集計し、CSV形式のデータとしてエクスポートします
なお、会計日は月をX軸に、日をY軸に展開できるように、分割する必要があります(取引高はZ軸になります)
不要な行・列の削除、会計日の分割、日別の集計は表計算ソフトウェアで行いましたが、ここではその詳細は省略します
エクスポートしたデータ(月,日,取引高)に、グラフ化に必要な(データのタイプを指定する3行分の)データを付加します
このデータを、GraphRの画面にドラッグ&ドロップすると、以下のグラフが作成できます


X軸は月を表します、手前から斜め右に1月、2月・・・12月となります
Y軸は日を表します、手前から斜め左に1日2日・・・31日となります
Z軸は取引高を表します、取引高は色分けされています、凡例は指数表示となっています(黒から青へ変化するあたりが百万円です)
なお、GraphRで作成したグラフはマウスで自由に回転させることができます(上のグラフはそのスナップショットです)


このグラフから、取引高が、特定の月、特定の日に集中していることがわかります
大きな取引高は、決算月の12月(正確には12か月目、以下同じ)に3つ、その前の月の25日に1つ、そして1月末に1つあります
12月は決算関係の仕訳が多く入り、また、1月は前期の決算で計上した売掛金や未払金などの決済が生じるためでしょう
月末は総じて取引高が多いのですが、5月末と7月末がゼロとなっています、また、年の前半の10日から22日ぐらいまでは取引高がほとんどありません
このNPO法人の取引高の発生分布は極めて特徴的ですが、経理処理の実態を反映したものと言えそうです−年の前半が仕込みの時期で後半でその成果が現れること、決算月に整理仕訳が多く発生する(期中は現金主義による会計整理を行い、期末に発生主義に修正している)こと、講師等の人件費の支払い(25日前後の山)からイベントを年に2回程度実施していることなど−



〔事例2〕
分析対象とした法人は12月決算のサービス業を営む株式会社です

過去10年間の売上高の推移を年別月別にグラフにしてみました
月次の売上高を10年分用意し、「年,月,売上高」/行のCSVファイルを作成します
例えば、
0,0,100 (ゼロ年ゼロ月の売上高は100)
0,1,120 (ゼロ年1月の売上高は120)
・・・
0,11,190 (ゼロ年11月の売上高は190)
1,0,110 (1年ゼロ月の売上高は110)
・・・

このCSVファイルを、GraphRの画面にドラッグ&ドロップすると、以下のグラフが作成できます
ただし、以下のグラフではY軸方向の間隔を広くしています
実際のデータでは、{0,0,Z0}{0,1,Z1}の間に{0,1.5,Z0}というダミーのデータを挟んでいます

手前から右上のX軸が年、左上のY軸が月で、Z軸が売上高になります
どの年も決算月の売上高が突出しています、そのため期初の売上高は低調です
売上高は全体としては増加傾向にあります
月次の売上高のバラツキが大きく、最大値/最小値で10以上となっており、固定費の割合が高い企業ではこの値の改善が必要ですが、クライアント層が限定されているため厳しいでしょう
売上高に関しては、既存データを活用した新しいクライアント層の開拓が課題になりそうですが、ここでは、期末に売上計上が集中していることに伴う、原価の分析が重要になります(年々その傾向が高くなっているので全社的な対策が必要と考えられます)
例えば、仕事の平準化が可能か、納期管理は機能しているか・・・
売上高推移の分析により、売上高以外の問題点が浮かび上がってくることもあります






Last Update 2013/05/06