「展開一番」データで利益率売上高分析を行う【3Dグラフ作成S/Wを利用】 80


「展開一番」データを利用する例として、3Dグラフ作成ソフトウェアを利用する利益率(売上総利益率)売上高分析を紹介します
3Dグラフ作成ソフトウェアとして、フリーソフトウェアの「リニアングラフ3D(RINEARN Graph 3D)」を利用します
三次元のデータを簡単にグラフ化できるので、ここでは「月」「売上総利益率」「売上高」のデータを関連づけて分析してみます

月別に売上高と売上総利益率をエクセルで表にし、それをグラフ化するのが一般的ですが、「展開一番」ユーザであれば、分析のより効果的な活用を考えたくなるはずです
そこで、これらを三次元グラフで表現し、マウスで三次元キューブをグリグリ回して見るべきポイントを説明すれば、その意図するところを相手に強く印象付けることができます(説明する相手によっては効果がない場合がありますが・・・)

グラフの作成方法として、以下の手順を考えます
最初に、X軸Y軸平面上に月別の売上総利益率を表示します、次に、Z軸上に売上高を表示します
月は原点からの方向で表示し、売上総利益は、X軸Y軸平面の原点からの距離で表示します
4月はX軸からマイナス30度の方向、5月は同じく60度の方向、方向でいえば、原点から東方向が3月、北方向が12月となります
従って、第一四半期が第四象限(Y軸を含むため正確な表現ではありせんが)、第二四半期が第三象限・・・となります
もし、各月の売上総利益率が同じであれば、X軸Y軸平面上に正12角形が描かれることになります
X軸Y軸平面上にプロットされた点をZ軸上に売上高分だけ移動させた点がその月の最終的な位置(三次元の情報を有する点)となります
さてそこで、
売上総利益率は原点からの距離(半径)、売上高はZ軸上の距離ですから、その値はすぐ求められますが、月の位置は計算で求める必要があります
6月、9月、12月、3月はX軸またはY軸上にありますから、計算すべきは4月と5月だけになりますが(他の月は線対称となっているので計算は不要)、これも長さと角度が分かっているので、三角関数から簡単に計算できます

ある会社のデータを上記の方法で数値化して、「リニアングラフ3D」に渡した結果、以下のようなグラフが作成できました

中央黄色の円(正12角形)は、売上高利益率が10%の点をプロットしたもので図形を読みやすくするために描いています
第一四半期が赤、第二四半期が青の点でプロットされています、これらが傾向的に、黄色の円に近付いていくことが分かります
つまり、売上高総利益率は逓減傾向にあることが見て取れます
この図はスナップショットですが、実際はマウスを使ってどの方向にもグラフを回転させることができるので、その意図するところを効果的に見せることができます
ここではZ軸はほとんど見えていないので、Z軸が正面になるように回転させます

第一四半期(赤)は売上高が減少傾向にあることが分かります、また、第二四半期(青)以降売上高が急激に回復していることも見て取れます
1月の売上高は減少しているものの、2月・3月と増加傾向にあり、第一四半期に行った低価格戦略への切り替えは、従来の利益を確保するという意味においては概ね成功であったと評価することができます

【参考】
「リニアングラフ3D」では、三次元データを、XYZの順にタブで区切って、1つのデータを1行に記述します
複数のデータをTSV(Tab Separated Values)形式のファイルとして作成し、これを「リニアングラフ3D」に渡します〔他にも方法はありますが、詳細はソフトウェア付属の「オフィシャルユーザーガイド」に譲ります〕
参考までに、上記のグラフ作成に用いたデータを以下に掲載しておきます
--------------------
19.918 -11.5 24
11 -19.052 23
0 -21 20


-9 -15.588 25
-12.990 -7.5 30
-16 0 32


-12.99 7.5 36
-6.5 11.258 40
0 13 48


7.5 12.99 36
12.124 7 38
13 0 45


8.66 -5 0
5 -8.66 0
0 -10 0
-5 -8.66 0
-8.66 -5 0
-10 0 0
-8.66 5 0
-5 8.66 0
0 10 0
5 8.66 0
8.66 5 0
10 0 0
8.66 -5 0
--------------------
(註)2行連続した空行は系列の区切りとされます




Last Update 2011/05/06