COWBOY BEBOP
その7 とにかく渋いアニメ!
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 Session 19 「ワイルド・ホーセス」

 スパイク機のオーバーホールに地球に降りたスパイク。待っていたのは元スパイク機の持ち主、修理屋・ドゥーハンだった。一方ビバップ号は起動上でコンピュータウィルスを使う宇宙海賊と交戦し、逃げられていた。スパイクも交えて再戦するものの、スパイク機はウィルスにやられ落下しはじめてしまう。そこへドゥーハンが持ち出したモノとは・・・。
脚本 稲荷 昭彦
脚本協力 山根 公利
作監 逢坂 浩司
メカ作監 後藤 雅巳
絵コンテ 飯田 馬之介
演出 山田 弘和

感 想
「趣味だねぇ・・・」
いや、この一言につきますね。今回のSession。
くすんだ青空。伸びゆく一本の飛行機雲。その先端に向かってつきたてられた親指。ズームアウトしてゆき、荒れ地に立ちつくすスパイクと、どうやら不時着したらしいソードフィッシュ。つまりはヒッチハイクのつもりなんでしょうけど、すっげー凝った映像的な演出です。(^^;;
今回、スパイクはソードフィッシュのオーバーホールのために地球へ来ています。んで、そこで前のソードフィッシュのオーナーであるドゥーハンってのが出てきますが、これがもう「趣味」の一言な人物です。(笑)
マニアならよだれが出そうな飛行機やらヘリやら戦車やら・・・・果てはスペースシャトルかい。いるんだよなぁー。こーゆーヤツ。
しかし、細部まで緻密な作画だこと。

【本日のブルーソックス】
エイトウッド・・・・・八木のことか?(^^;;
14年前に優勝で、ランディ、ブランケット、ヒルズ?(^^;;
ランディ=ランディ・バース?
ブランケット=毛布=掛布?
ヒルズ=丘=岡田?

んでま、ストーリーとしては他に銛を使って相手にウイルス(コンピューター・ウイルスのことね)を打ち込む「自称、海賊」さんたちを追いかける話もあって、そいつらとやりあって、スパイクがヘマやって地球の大気圏にソードフィッシュで突っ込みそうになって(この手のマシンは、大気圏突入離脱ができない、って設定らしい。ん? ジュピタージャズでグレンのマシンを引っ張って大気圏離脱したのはなんで?(^^;; だからぁSFを書けない脚本家は・・・以下自粛)、最後の危機をドゥーハンとその弟子のマイルズが助けに駆けつける、ってのがおおまかなところ。
いつの間にか頭のいいところを惜しみなくさらしているアインのナイスな活躍や、エドの奮闘(?)&的確な発言。(笑) 見どころはいっぱいあります。
「機械に使われたいのか、機械を使いたいのか」ってドゥーハンの言葉は、最近のコンピュータ社会に対するアンチテーゼでもありますよね。インターフェースが簡略化され(そのぶん、マシンに対する負荷は高まり、より高性能なモノが要求されますが)、誰でも触れることはできるようになり、マスコミなどに躍らされて、インターネットにも繋いでみたものの、あなた、コンピューターを「使って」いますか?
しかし、機械を止めるには蹴っ飛ばすの一番有効なのか?(^^;;>スパイク
そーいやマイルズもラジオのスイッチ切るのに、足で蹴飛ばしてたよな。このあたりの男たち共通の機械の扱い方か? そりゃ「使われて」はいないよな。(笑)

【本日のモノ・システム】
今回はこのMONOシステム、てのがひとつのキーワードになってます。いろいろと意見もあるようですが、サンライズが公式に発表している設定資料によると(参考:カウボーイビバップ・フィルムブック2 角川書店)、
Mashine(機械)
Operation(操作)
Navigation(航行)
of OuterSpace(大気圏外)
となっています。
つまりは、大気圏外活動における必要な機能を一括制御できる、規格化されたシステム、ってことでしょうか。広い意味で言えば、ビバップ号などもこのMONOシステムを採用しているので、モノ・マシンとなります。
が、一般的には、モノ・システムを装備した「モノ・ポッド」というカプセルを搭載できる単座のマシンを指すことが多いですね。(ソードフィッシュとかレッドテイルとか)

さて、大気圏突入できない「モノ・マシン」で、ウイルスを注入されたため操縦ができずに重力の井戸へ引き込まれそうなスパイク。それを救いにスペースシャトルで飛び立つドゥーハンとマイルズ。この描写がすごい。(^^;;
牽引しているのはM4シャーマン戦車?(^^;; シャトルはコロンビア?(^^;;
で、ご存じのように本来のシャトルは、垂直に立てられた状態で腹には本体より大きな燃料タンクをくっつけ、おまけにブースターロケット2基も使って飛び立ちます。
しかし、ドゥーハンは通常の航空機のように、滑走路から発進します。いったい、燃料はどこに積んでいるんでしょう?(^^;; この時代、推進剤はかなり圧縮が可能になっているんですかね。とするとこのシャトル、エンジンもその「新型燃料」に合わせて換装されているのか、それともオリジナルのエンジンでも使えるのか。
もともとこのシャトルは、「滑空」して滑走路に着地するための航空機っぽいフォルムですので、この状態では飛び立つことは難しい。で、ロケットエンジンの出力がマキシムになるまでビンディングして固定するとか、機首を持ち上げるための補助ロケット8基とか、んでもってちゃんとその補助ロケットを切り放すシーンもあるとか、ここまでやるかというほどの「こだわり」ですね。(笑)
「耐熱タイルがはげちまった・・・第二ノズルも動かん」
ああ、コロンビアの初フライトを思い出す。(^^;; あの時も、タイルがはげたため、帰還時が心配されたものです。(ほんと) ノズルが動かない、ってのもあったよな。(コロンビアかどうか覚えてないけど)
このタイルって、たしか日本製じゃなかったけ?(うろ覚え)
「ま、なるようになるか・・・・」
なるようになった「結果」が人生ってもんじゃないの?


 Session 20 「道化師の鎮魂歌」

 誰も姿を見たことがない、謎の殺し屋・東風。その殺人現場にスパイクは偶然居合わせてしまった。その超人的な力に圧倒されるスパイク。その場はしのいだものの、東風より挑戦状が来る。誰もいない遊園地・スペースランドで、二人の戦いが始まった・・・。
脚本 村井 さだゆき
作監 小森 高博
メカ作監 後藤 雅巳
イメージボード 入江 泰浩
絵コンテ・演出 武井 良幸

感 想
「ハロー? ボーイ」
今回は賛否あるでしょうねぇ。不気味ですからねぇ。(^^;;
しょっぱなから雰囲気が全然違うので、違和感を持った人も多いでしょうね。映像的にもさりげなくCGを多用していたり。
で、今回、ほんとにCGが多かったようですが、かといってセルアニメとの無節操な繋がり方は無く、見た目セルアニメっぽい手法で描かれています。それだけに、今までのアニメを見慣れた目からすれば、異様なまでの臨場感を味わいました。
で、ストーリーはというと、ミョーな“力”を持った殺し屋「東風(とんぷう)」の殺しの現場を偶然スパイクが目撃してしまった、ってとこから、東風に狙われるスパイク、東風の謎を掴もうとするジェット(とエド)、いよいよ最後の決戦、てなもんです。(すっげーおおざっぱ(^^;;)
で、この東風ていうピエロみたいな恰好したおっさん。殺し方がえげつない、というか徹底している、というか・・・車の防弾ドアに、一点集中で着弾させ、防弾を打ち破ったうえでさらに弾丸をぶちこんで殺してしまう、とか。予告編で話題になった、サマーソルトキックの連続ワザ。通常なら有り得ないワザですが、なるほど、こいつはそーゆー男だからなのね。(^^;; 直接描写でなく、シルエットでの表現という演出が、効果を出していたように思います。
スパイクをボコボコにするも、たまたま現われた猫にとまどう東風。その隙にからくも逃げ出すスパイク。これが後々への伏線となります。(見え見えだけど(^^;;)
昔なじみのボブから情報を得ようとするジェット。どうもこの人は、人がタバコをくわえるとライターで火をつけるクセがあるようです。前世は六本木でお水の花道的なおシゴトをなさっていたのかもしれません。
包帯でぐるぐる巻きになって、温州みかんを食べようとするスパイク。口を塞がれているのに(おそらく、口の中も切れまくってるんだろな。舌もかなり噛んでいそうだし)、どうやって食べるつもりだったのか?(^^;; で、“関係ない”フェイ姐さんにさんざんからかわれて、みかんも食べられて、皮だけ頭にのせられるていたらく。
アイキャッチ、なぜか「COWBOY BEBOP」に「TM」付き。なんで?(^^;;
ちなみに「TM」(トレードマーク)。フォントによっては記号として登録されている場合もありますけど、機種依存文字ですので、他のパソコンやワープロなどでは正確に表示できない場合があります。インターネットのように、異機種混在の世界では使うのはやめましょう。他にもローマ数字とかもね。
メールが来たことをエドに知らせにいくアイン。か、かわいい。(*^^*) 「アイン、げんきでちゅう」とかってソフトは販売されないんでしょうか?(笑)
んで、そのメールをフェイフェイに知らせにいくエド。フェイに頭をつかまれてからだだけぶらんぶらんさせているのがおバカでかわいいです。(笑)
メールは東風からスパイクへの「パーティの招待状」なのですが(もちろん、ヤバイお話ですね)、これをスパイクには知らせないようにエドに言いつけるフェイ。(後ろでそのスパイクが聞いていたんですけど(^^;;)
ここに来て、フェイのスパイクに対する態度がかなり変化してきましたね。もともと“かわいい”ところは随所で見せていたんですが、これほど露骨にスパイクの身を案じる、というのは、それまでのフェイの行動からはかなり大きな変化だと思います。
東風の秘密を探るため、ISSPのメインコンピューターにアクセスすることをエドに指示するジェット。エドの「あいーっ!」てな返事の仕方が良いです。(^^;; もう、ほとんど父娘だな、このコンビ。(ちなみに、Session #23では、内偵のためこのふたりが父娘に変装します)
で、久々に苦戦しながらも、かなり乱暴にアクセスしてしまうエド。この電脳世界のビジュアル的表現がまた良い。(^^;;
そして解ったことは・・・・ISSP暗殺能力向上実験、被験体カルテナンバー46、コードネーム「東風」。精神の退行現象により実験は中止・・・
実験室、異端なプロジェクト、試験管、注射器、ガラス細管、遺伝子操作、脳改造、超常能力、子供の心を持った大人・・・
「大友」な世界ですねぇ。(^^;; ナンバーが40番台、ということは、鉄雄の後輩なんでしょうか?(笑)
実験の最中、ガラス越しに東風を見つめる猫。オッドアイ(左右の瞳の色が違う)の毛長の猫。精神が退行しても、そのことが彼にとってなんらかのトラウマとして残っていたんですね。(これも伏線)
「パーティ会場」である遊園地で東風との最後の対決。そう、またしても偶然に猫の人形が・・・一瞬錯乱する東風、しかし、それも束の間、追い込まれるスパイク。だがだが、遊園地のアトラクションであるパレードのが近づき、そのネオンに照らされてスパイクの瞳が光る。そう、彼もまたオッドアイ。
ここで東風がひるんだところで、最初の出会いで東風がスパイクに投げたナイフを使って東風に一矢むくいるスパイク。もちろん、ぜんぜん致命傷にはならないんですが、子供となってしまった東風は、その痛みに我を忘れて泣き叫び、近づいてきたパレードの巨大な人形(ロボット)に踏みつけられ・・・
映像的なものを除いては、雰囲気としてはSession #6【悪魔を憐れむ歌】に似てますね。
むこうは大人の心を持った子供だったし。


 Session 21 「ブギ・ウギ・フンシェイ」

 宇宙風水師・パオから謎のメールがジェットに届いた。その暗号めいた内容に、パオを訪ねようとするジェット。だが着いた先はパオの墓だった。ジェットはそこでパオの娘・メイファと出会う。2人を追う謎の男たちも現れた。果たして事件の真相は・・・。
脚本 村井 さだゆき・渡辺 信一郎
作監 竹内 浩志(スタジオ・ライブ)
メカ作監 後藤 雅巳
絵コンテ 潮 乱太
演出 佐藤 育郎

感 想
まず最初に、勘違いなさっている方も多いみたいですが、「フンシェイ(FengShui)」てのは“風水”のことです。
今回は「宇宙風水」などというアヤシゲなモノが出てきます。んで、なんとなくそれが物語の中核をなすのか、と思えば・・・
前評判が高かったメイファの登場で、否が応でも盛り上がるか、とはならず、なんとなく二流のラブコメっぽい展開に。(^^;;
キャラクターとしてのメイファは、ゲストキャラということもあって、かなり説明不足になってしまいましたね。これはちょっともったいない。ほんとなら、もっと元気よくジェットおじさんを引っ張り回すような存在になればよかったのでしょうが、メインのストーリーを展開させていくうえで、その部分の説明が多く(実際、説明っぽいセリフも多かったですし)、彼女の深い部分が描ききれなかったのが残念です。
脚本に村井さんとナベシン、てことで気合いを入れようとしたんでしょうけど、やはり裏設定とかに凝りすぎたような。(^^;; 三十分でまとめるには、盛りだくさんすぎます。宇宙風水なんていうギミック、個人的にはかなり好きなんですけども、これもおおざっぱな説明だけで、細かな部分を語りきれなかったのが残念。
あと、細かいようだけど止め絵も多いし、はじめのジェットとメイファの逃走シーンなんかで、バスや自動車の作画がちょっち荒っぽいというか・・・
「案山より聖獣を見いだせ。我、四神相応に有り」
まず、このメールがジェットのもとに送られたことから事件は始まります。送り主はジェットの古い友人であるパオ。んでもって、ジェットはパオのことを調べるうちに彼の娘であるメイファと出会い、そこに謎のギャングの襲撃が・・・
ご存じの方も多いでしょうが、聖獣と四神というのはほぼ同じ意味で、東の青竜、西の白虎、北の玄武、南の朱雀のことです。この四神はそれぞれ自然形態の象徴ともなり、青竜は河川、白虎は街道、玄武は山、朱雀は池や海を表します。四神相応の地とは、つまりは東西南北をこういった自然の象徴で囲まれた場所で、古来、都の位置を決定する場合などに、このような地が選ばれてきました。
さて、パオからのメール。
案山がホテルの屋上ってのはまあかまわないとして・・・青竜が電車、白虎が白い建物、玄武はドーム(ご丁寧に、うねうねとした尻尾まである(^^;;)、朱雀は崖とは。もうちょっともっともらしい説明が欲しかったですね。地図を広げて地相的にうんぬんとか。
で、そこで見つけたのが太陽石。位相差空間ゲート事故のときの月のかけらで、時空の歪みを吸収して、とてつもないエネルギーを秘めているんだそうな。どっかで聞いたことのある話やなぁ・・・
リビングでの禁煙を命じられるスパイクとフェイ。(^^;;
たしかに、タバコを吸っている本人はともかく、その副流煙によって他人が迷惑しますからねぇ。関係ないけど、わたしは去年、タバコをやめてしまいました。
太陽石をいきなりくわえて、羅盤を持つエドのもとへと駆けていくアイン。偶然とは考えにくいですね。太陽石と羅盤との関係を、ある程度知っていたのか推理したのか。だんだんと彼の本性があらわれてきました。
太陽石の謎も少しはとけて、パオを探しに行く一行。
「でも、父は何故ジェットさんにメールを送ったのかしら。あたし、じゃなく・・・」
オッサンと少女のメルヘンはここから、オッサンの友人であるパオとその娘の葛藤へと展開してゆきます。
「男も理屈じゃないわ。ジッサイ」byフェイ
いろいろな意味で当たっているし、外れています。(^^;;
トイレに太陽石を放り込むエド。なんと、ここがエアロックになっていたとわ。(^^;;
太陽石にプラズマ・カノンをぶち込むことで、太陽石に内包されていたエネルギーを解放し、時空の歪みの中に閉じ込められていたパオを見つけ出す。これもなんかもっともらしい説明が欲しかったなぁ。(^^;;
で、結局は・・・
パオが娘と話をするために、風水の見立てでジェットを利用してただけだった・・・つまりは、ジェットにメールを送ることで、ジェットとメイファが出会い、ふたりして自分を探しにくる、ということを予測していた、ということ。
つまり「男も理屈じゃない」ってことでしょうか。いや、父親が、ってことか。
メイファが去り、禁煙も解除されたビバップ号。以前と変わらないビバップが戻ってきたが、ひとつだけ変わったのは、雑誌の占いのページを読まなくなったこと・・・
風水が占いと異なるのは、すでに決められた結果を予測するだけでなく、例えば部屋の中の家具の配置などを変えることで、気脈の流れを調節し、結果を変えてしまうこと。
人間は、決められた道を決められた通りに歩いているのではなく、いつでも自分の意思で進むべき道を変えることができるのさ。

次回は「衝撃のSFマカロニ巨編」だそうだが・・・