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Session 13 「ジュピター・ジャズ(後編)」 戦友だったグレンと組織「レッドドラゴン」の幹部ピシャス。今回の取り引きはその二人の因縁が元だった。撃たれたスパイク。そして、ジェットと再会できたフェイ。「ジュリア」の行方を知る男、グレンは・・・。 |
脚本 信本 敦子 作監 小森 高博 メカ作監 後藤 雅巳 絵コンテ 岡村 天斎 演出 佐藤 育郎 |
感 想 |
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逃げた女。 仲間意識が芽生えるのがイヤだった。仲間だと意識してしまえば、別れられなくなる。人と人との間にはいつか必ず別れがある。いつか来る別離から逃げるため、女は船に別れを告げる。女は酒場にひとり。この街に女は彼女ひとり。過去を捨てたい女は、過去にすがりつきたい男と出会う。 過去の女を追う男。 冷えた街に見つけた、かつて知っていた女と同じ名前。男はなりふりかまわず飛び出す。そこにいたのは、やはりかつて知っていた男。彼を心底憎みぬいている男。過去の盟友は今ではただ自分に憎悪のみを向けるケモノでしかない。突きつけあう銃と剣。彼らに対する憧れとともに育った青年と、同志の裏切りを信じきれない青年との関係をまじえ、銃と剣は再び火を散らす。 今の女を追う男。 今必要なのは、女が持ち逃げした金。たとえそれが微々たる金額であっても、盗まれたものは取り返さなきゃいけない。それが仁義ってもんだ。そう、金が目的であって、その結果女を見つけて、その女が船に帰ってきても、それはそれで結果でしかない。 男であり女である男。 同志とか仲間とか、自分を含めた人間関係の思い出が欲しかった。部屋には過去の写真、自分と自分とかかわりある人とが一緒に写っている写真が張ってある。人とのかかわりを大切に、それを信じていたかった。だから、憧れていた人が自分を裏切ったことが信じられなかった。信じたくなかった。裏切られた思い出は消してしまいたかった。憧れはいつか憎しみへと変わることに気付かなかったのか、あの時。 自らを堕天使と呼び、天使であり続ける友を憎悪する男。 人など信じるに値しない。掟を守るためなら、友をも切り捨てろ。道はそこにあるのではなく、自分がその血と引き換えに、切り裂いて作ってゆくものだ。キレイ事で生きていけないのがわかっているなら、その手で自分の背中から羽根をむしりとれ。 登場人物ひとりひとり(あのメガネのおっさんも含め)、それぞれがそれぞれの物語を演じてゆき、それぞれが別の物語と影響しあい、そしてひとつの物語へと紡がれていく。という信本さんらしい、いや信本さんならではの素晴らしい作品です。(余談ですけど、こういう人間関係のストーリー重視こそ彼女の持ち味で、変にSFっぽい作品を意識しないほうがいいでしょう(^^;;) 圧巻はエンディング。最終回ではよくある手法ですけど、テーマ曲(SPACE LION)とあいまって素晴らしい終わり方です。余韻がいつまでも心に残っています。 「収穫は?」 「ねえよ」 「みんなでどこ行ってきたの?」 「いいところよ」 「エドだけ知らんちー」 「そのうち話したげるわよ」 「ううん、いい、別に」 「かわいくないわね」 スパイクとジェット、エドとフェイ、という二組の会話が、この前後編のすべてを語っている(のかな?)ようです。 特に、エドの言葉で、このとてつもなくくらーい物語、冷たいカリストの物語が一気に雪解けしてしまうようです。 |
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Session 14 「ボヘミアン・ラプソディ」 ゲート公団からの依頼でゲート襲撃事件の黒幕を追っていたビバップ。だがその裏にはゲートに関る秘密が潜んでいた。そして、エドがネットで対戦していた伝説のチェスマスターが捜査線上に浮かび上がってきた・・・。 |
脚本 佐藤 大 作監 しんぼたくろう(中村プロ) メカ作監 後藤 雅巳 絵コンテ 都留 稔幸 演出 山田 和弘 |
感 想 |
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タイトルの元ネタは、知る人ぞ知るクィーンの名曲ですね。たまにカラオケで歌ってはヒンシュクを買っています。(^^;; ストーリーとしては「ゲート襲撃事件」の犯人を追う、ってことなんですが、襲撃というより、ハッキングによる窃盗ですね。電子社会におけるサイバー=テロってやつでしょうか。現実の世界でも、アメリカあたりが専門の研究機関を設けるとか言ってますし、近い将来、ATMの電脳襲撃事件ってのもあるかも。 ハッキングの手口だとか、その犯罪マニュアルをネットで売り買いするとか、サイバーネタ・ファンとしては(なんだそりゃ)なかなか見ごたえのある展開でした。 いや、それにしても久々にエドが活躍するかと思っていたのに、ずっとリビングでチェスだけってのは不満が残るぞー。 もひとつおもしろいのが、スクラップ居住区。(?) なんとなく無重力っぽいんですけどね。こんなところで生物はほんとにちゃんと生きていけるんでしょうか?(^^;; いろいろとギミックが必要な気もするけど。 ずっとここだけ、ってのはマルかもしれないけど、重力のある所へ行っちゃうと大変だろうなぁ。(そんな心配してどーする) 無重力だと、生物はそれに併せて進化するとか? なんとなくSFっぽいギミックと、スットコドッコイなストーリー展開で、とってもビバップなストーリーでした。(^o^) |
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Session 15 「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」 誰も知らなかったフェイの過去の断片。それはコールドスリープから目覚めた彼女が体験した淡い恋物語だった、が・・・。ジェットが捕まえてきた賞金首は、その思い出の男。しかも思い出とはひどく違う姿で・・・。 |
脚本 信本 敬子 作監 逢坂 浩司 メカ作監 後藤 雅巳 絵コンテ 岡村 天斎 演出 森 邦宏 |
感 想 |
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おお、夏への扉(R・A・ハインライン)ですね。(^^;; 猫と一緒に冬眠していた訳じゃないっすけど。 フェイの過去がちょっとだけ出てきます。もっとも、50年ほど冷凍睡眠(コールドスリープ)されていて、それ以前の過去はあいかわらず謎っすが。 この、フェイが「見かけより歳を食っている」ってのは、他のSessionでもいくつか伏線がありましたね。正確には70か80歳くらいになるんでしょうか?(^^;; コールドスリープから蘇生した後の記憶の混乱、ってのはSFネタではよくあるように思います。そもそも、冷凍睡眠させた猫の脳波が、蘇生後は乳児期のそれに近いものになっていた、なんていう実際の実験結果もありますし、かなり信憑性のある話ですね。 ある日、(コールドスリープから)起きたら、多額の借金を背負っていて、その変わりに記憶は無くなっていた、というお笑いな展開から始まります。 まあ、結局は家族ぐるみ(?)の詐欺師に騙されていた、ってオチなんですが。(^^;; 信本さんの脚本でSFっぽいオープニング、ってことで(ある意味で)ちょっと心配だったんですが(笑)、あまりそういう方向で突っ込むこともなく(いちゃもん付けたいところはあったけど(^^;;)、ふくみ笑いをしながら楽しめる展開に仕上がっていたので、ビバップらしくてよいストーリーでした。 スリーピング・ビューティー(Sleeping Beauty)てのがフェイってのは、ちょっと無理があるような気もするけど(殴られるな(^^;;)、エンディングの「Sleeping Beast」ってのとで(アインのことだけど)、「Beauty and Beast」(美女と野獣)ってのにもかけてあるんでしょうか? でも、それならエドとアインのほうがぴったしな気もするけど。(笑) |