COWBOY BEBOP
その4 とにかく渋いアニメ!
Ahead
Next

 Session 10 「ガニメデ慕情」

 ジェットが警官時代を過ごした星・ガニメデに立ち寄ったビバップ。そこでジェットは、かつて別れた恋人・アリサの消息を聞く。一人訪ねて行ったジェットを迎えたのは、アリサの今の恋人、リントだった・・。
脚本 稲荷 昭彦
作監 逢坂 浩司
メカ作監 後藤 雅巳
絵コンテ 山口 祐司
演出 山田 弘和

感 想
さて、ジェットおじさんの過去話です。
あまりジェットを“おじさん”とは言いたくないんですが・・・(謎)
これもストーリーとしてはものすっごくありきたりなんですけどね。(^^;;
Session #1でもそうでしたが、賞金首の男、そしてその女というパターン、あるいは男ふたりに女ひとりというパターンがよく出てきます。
でまあ、そんなことは置いといて。
言ってみればまったく架空の世界である「ガニメデ」の日常、特に港町、漁港、漁師なんていう泥臭いというか土臭いというか、魚臭い映像が、まったく違和感なく映し出されているという、毎度のことなんですがほんとに感心します。
で、その日常っぽいジェットの時計ですが。
文字盤には15までの数字がありますね。つーことは自転周期30時間ということでしょうか。本来は7.15日くらいらしいので、テラフォーミングによって自転を早めたとしても、かなりの大改造っぽいですね。(^^;;
やっぱクラッシャーでも雇ったんでしょうか?(笑)
スパイクはもちろん、今回の賞金首のリント、そして“あの”ジェットも、なんだかビバップに出てくる男どもって、女々しいところというか、「男の弱さ」をさらけ出していますね。
わたしは恋愛に関してはかなり淡白で、わかれた女を追いかけるなんてことはありませんし、よりを戻すつもりがなくても、未練がましく再会するなんてこともしないでしょうし、女にたよることもないんで(自分ひとりで生きていける自信がある、というより、そうするための努力を怠らないから)、ビバップの男どものこういった行動ってのは、実はちょっとピンとこないんですね。(^^;;
なさけねーぞ、てめーら。(笑)
男ってのは、そういった情けない部分があっても、それをやせ我慢するところに美学があるんだぞ。(でも、そういった弱さを見せることで、女の母性をくすぐるってのも、ひとつの手段か・・・)


 Session 11 「闇夜のヘヴィ・ロック」

 ビバップ号船内で、ジェットが何者かに噛まれた。手当の甲斐もなく、ジェットは謎の病気を発して倒れてしまう。そして次々と噛まれ、倒れていくフェイ・アイン・スパイクは謎の生物と対決に出た・・・。
脚本 横手 美智子
作監 しんぼたくろう(中村プロ)
メカ作監 後藤 雅巳
絵コンテ 
演出   森 邦宏

感 想
つまるところ、何が言いたかったのやらこの作品。(^^;;
シュールというか、不条理というか・・・とにかく、ストーリーなんてあってないようなものだし、結末にいたっては、エドを残して全員死んでしまったのやら、ただ眠っているだけなのやら。
とにかく、感想なんてものをマジメに書く気にもならない作品でした。(笑)
言ってみれば、いろいろなSF映画などのパロディを繋ぎ、まともとも思える教訓とまともとはとても思えない教訓をちりばめ、脈絡もなくゴーインにストーリー(そんなものあったのか?(^^;;)を進めた、コラージュというかオブジェ的な映像アート、といったところでしょうか。(なんのこっちゃ)
プロローグはジェットの航海日誌。おお、スタトレじゃないか。
で、姿なきモンスターが船内を徘徊する・・・・エイリアンっすね。(^^;;
ジェットの体内のウイルスを調べるシーンは、物体Xっぽいなぁ。
火炎放射器なんかで敵を追い詰めるところなんかは、もろにエイリアン(1)だし、エアロックから船外へ、というシーンは2ですね。
で、エンディングはチャイコフスキーの「花のワルツ(くるみ割り人形)」。たぶん、2001年のエンディングの「美しく青きドナウ」を意識しているんでしょうが。
で、これだけおおがかりな不条理劇から得られた教訓は、「知らない人にはついていきましょー」と「冷蔵庫の中のものは入れっぱなしにしちゃいけない」でした。(^^;;
うーん・・・・・・
番組が終わったあと、自宅の冷蔵庫の中を点検した人は多いハズ。


 Session 12 「ジュピター・ジャズ(前編)」

 衛星・カリスト上空。出ていったフェイに続いて、スパイクも偶然キャッチした暗号「ジュリア」を聞き出してしまう。離ればなれになるビバップ。そしてフェイは、カリストの街で謎の男グレンに出会った・・・。
脚本 信本 敦子
作監 川元 利浩
メカ作監 後藤 雅巳
絵コンテ 岡村 天斎
演出 武井 良幸

感 想
前後編に分かれる、文字通りの「大作」です。(いろんな意味で)
冒頭は、ミョーに存在感のあるネイティブ・アメリカンのラフィング=ブル。流れ星にならないためにも、グレートスピリットを信じるようにしましょう。
逃げた女。追いかける男。別の女を求める男。なにも考えてない少女。あくびをする犬。
人間模様が複雑に交錯し、舞台はカビたパンと動かないクルマと、発酵しすぎた酒くらいしかない冷えた衛星(ほし)、カリストへ。
復讐心と闘争心だけを信じ、自分の心に触れるものはすべて傷つけなければ生きられない男。対照的なふたりの男の生きざまから、自分が生きるべき道を模索し、万機を守ることによってそれを見いだそうとする青年。
志を同じとする者を求め、同志を信じ、裏切られても認めず、心の底では常に仲間を求めている、心と体に傷を持つ男。
これでもか、とばかりにややこしい人間関係で、物語は後編へ・・・(おいおい) で、まずカリスト、という衛星(ほし)ですが。
もちろん、木星の衛星です。イオ、エウロパ、ガニメデなんかと同じで、いわゆるガリレオ衛星ってやつですね。
テラフォーミングはされているようですが、どういう訳か寒冷化してしまっています。
この世界では、位相差空間ゲートによって、太陽から距離のある場所へも太陽光を送ることができる、ということなので(それがため、木星なんていう僻地でも植民が可能となっている)、そのあたりになんらかのハード的な問題があって、この寒冷化となってしまっているのかもしれません。
今回はゲストキャラとして、ビシャスはもとよりリンやグレンといった、かなり個性の強いキャラが出てくるのですが、個人的には、最初スパイクをビシャスと勘違いし、次ぎにフェイを襲おうとしたロシア風の帽子をかぶった黒縁メガネのおっさんが気に入っています。(笑)
そういえばカリストって、なんとなくロシアっぽい(というか、末期のソ連っぽい)ですね。あるいはルーマニアか・・・・
などと言いつつ、後編へつづく。