「わからない→逆恨みに走る」の構図 |
YUKIO |
「武道館公演の初日(9/9)に行って来ました。」 |
ZEN |
「ほう。その前に・・・・・あっちやこっちで、愚にもつかない難癖をつけてる人がたくさんいるね。」 |
YUKIO |
「しかも、教授ファンを標榜していた連中がでしょ?」 |
ZEN |
「もう、なんか人間ここまで根性が腐るもんかねぇ、というところまでいっちゃってる輩もいるよ・・・・・・」 |
YUKIO |
「『Untitle01』以降ね。増えた。結局、わからないから逆恨みに走るわけだよね。」 |
ZEN |
「でも、わからないことは決して恥ずかしいことじゃない。」 |
YUKIO |
「そうそう。むしろわからないのを逆恨みして、教授をけなして、傷つけられた自分のケチなプライドを守ろうって方が余程恥ずかしい。"頑張る"方を選べよって思う。さもなくば、きっぱりと教授と決別するならまだ潔い。」 |
ZEN |
「それに教授を、引き下げたり、矮小化したうえで、けなしても本当の教授や彼の作品は無傷だよ。批判の水準に達してないからね。」 |
YUKIO |
「もし批判をやるなら教授の達した深度においてやれ、ってことだよね。しかし、これは単なる知的水準の問題じゃない。なんで逆恨みっつう安易な方向に流れる連中がかくも多いのか?それが問題だ。」 |
ZEN |
「つまり・・・・・言いたかないけど、日本人の品性が全体的にどんどん悪くなってる。」 |
YUKIO |
「うむ。だからそういう意味でも理念性へのヒステリックな禁忌が基調音となってたポスト・モダン的状況からの脱皮ということが重要だよね。教授は大胆にもアーティストとして実行した。」 |
ZEN |
「なるほど、そうつなげるかね。君は教授の大転換については、そこそこ整理して自分なりに理解できたみたいじゃないか。」 |
YUKIO |
「いやいや。全然クリアじゃないよ。しまいに浅田彰さんや柄谷行人さんの著作や柄谷・浅田コンビの同人誌的な「批評空間U」まで読んでみた。浅田さんの方は多少つながるところがあったけど。ほとんど無駄骨(苦笑)だった。なんだかんだ本もたくさん買っちゃったしね。結構な散財だったよ。まあ、別の意味で面白かったんで、よかったです。」 |
ZEN |
「本が増えたってのは、単なる君の勝手だろうけど(笑)、やっぱり人間一生勉強だね。」 |
YUKIO |
「ボクも含めて、日本人なんて「20世紀の総括」なんて大きなタームで思考するなんてことまずないからね。目先のことばっか。そういう意味でも、今回はまたとない機会だったんだよ。」 |
ZEN |
「本来なら教授に感謝すべきだ。それを逆恨みとは、悲しく貧困な精神だ。一体、日本人はどこまで失墜していくんだろう・・・・・」 |
YUKIO |
「それはある程度、教授も覚悟の上だったと思う。環境問題なんかの問題意識が国民的に高い国でやったら、大衆レベルでもずっとマシな反応が得られただろうけどね。」 |
ZEN |
「日本人はそういうことに関しては頭スカスカだから・・・・百家争鳴にはほど遠い。」 |
YUKIO |
「なんとなく、『LIFE』もただひたすら凡庸なシニシズムの中に埋没してしまいそうな予感がしてるんだよ(TT)・・・・・・・」 |
ZEN |
「悪夢だね。すべての日本人よ、「LIFE」に耳を傾けよ、という種類のものじゃない。あくまでも21世紀に先駆けたマルチメディア・パフォーマンス体験と捉えるべきなんだけど、それだけは本当にやりきれないやね。」 |
YUKIO |
「唯一の慰めとしては、ネット上における不特定多数の匿名者による投稿が、日常生活でのフラストレーションの掃き溜めの機能も果たしているから、厳密な意味での世論とは言えないということだね。」 |
スノビズム VS 無知の知 |
ZEN |
「ところで、君はクラッシック・ファンでもあるわけでしょ?」 |
YUKIO |
「ファンって言い方も考えもんだけどね。音楽を聴く時間のうち半分ぐらいは、クラッシックを聴いてるから、そういうことになるね。でもクラッシック・ファンって嫌いなんだ。」 |
ZEN |
「へぇー。なんでさ?」 |
YUKIO |
「クラッシックってのは、既に公然と評価が定まってるわけだ。これは一種の権威主義です。いわば国会議員のバッチみたいなもんです。しかも、大方クラッシックの作曲家って既に死者だから、これからヘマをやる可能性がないので、安心して支持できる。その近傍にすり寄ってくる人の中にどんな嫌みな野郎がまぎれこんでるか、君、想像してみろよ。」 |
ZEN |
「・・・・・・・・・」 |
YUKIO |
「インターネットを始めたばかりの頃、クラッシック・ファンの集まる主要な電子掲示板に出入りしてたんだけど、半分以上は嫌みなスノビズムだったね。高慢で上等な趣味をもってる自分に優越感を感じるのと、表裏一体で権威の奴隷なわけ。演奏の聴覚的な差異はわかっても、自分なりの音楽的な価値感は全くと言っていいほどない。彼らは煎じ詰めれば、権威だからいいと思い込んでるだけ。クラッシックという存在の性質上ある程度の衒学趣味はしょうがないと思う。でも、ほとんど半分以上はその種の輩なんだよ。」 |
ZEN |
「虫酸が走るね。」 |
YUKIO |
「初めのうちこそ、ボクも騎士道精神(笑)を発揮して、その高慢の鼻をへし折ろうと馬鹿正直に論戦したりもした。だけど、どこまでいっても不毛で、そういうことにエネルギーを費やしてること自体がバカバカしくなったのさ。」 |
ZEN |
「おやおやドンキホーテ気取りだね。おっと、ちゃかしてすまん。ともかく根性曲がりは、どう理路を尽くしてもダメだからね。ログだけじゃどうにもならない。」 |
YUKIO |
「そうなんだ。だからボクはホームページの内容は、YMOと坂本龍一でいこうと決めたんだ。YMOファンであることの方が心地よいと思った。それからこの上さらに電子掲示板やらで時間を浪費せずに、少しは自己集中的な作業をしたかったんだよ。」 |
ZEN |
「ほう。思わぬ自己表白を聞かされたよ。それはともかく、特にここ数年、クラッシック・ファンが世界のサカモトのファンへ合流しているね。もっとも坂本龍一という特異な音楽家の複雑性ゆえに固定した支持層がないとも言えるわけだけれど。」 |
YUKIO |
「それがまたいよいよ事情をややこしくしている。衒学趣味はあっても、もともと音楽のわからない連中が多いからね。周りから適当に尊敬されちゃって、自分もそのポジションに依存しちゃってるんだ。で、今回の『LIFE』にしたって、到底、連中の手に負える作品じゃないのに『わからない』の一言が言えないために逆恨みして愚にもつかない難癖をつける。思えば幼弱な情けない根性だよ。」 |
ZEN |
「クラシック・ファンのスノビズムにもパターンがあるね。音楽の核心部分に言及する力量がないんで、しょうもない些末事に知識を傾注してしのごの言う。」 |
YUKIO |
「今回もひとつの典型的なスノビズムのパターンに直面したんだ。『LIFE』では、千秋楽の公演以外では第三場の終曲が終わると、教授はじめ出演者が聴衆の声援に応えることもなく粛々と楽屋に引き上げ、カーテンコールもなくジミ・ヘンが鳴るという演出をとっている。それはプログラム(DOCUMENT
LIFE)の中の対談でも教授が言及しているんだ。」 |
ZEN |
「つまり客出しまでひっくるめて彼の表現ってことだね。しかも、彼の独自のオペラの。」 |
YUKIO |
「そうなんだ。これは古典的なオペラにおいて、聴衆との間に成立している慣例に則った振る舞いじゃないんだけど、なんと!それをあげつらって、執拗に『LIFE』批判をしたスノッブがいたんだよ(笑) 周知の通り教授は年少の頃からアカデミックな英才教育を受けてきた人だ。その種の慣例については、心配しなくても先刻承知だっつうのにね。」 |
ZEN |
「その演出の意味合いを考えようという気はさらさらないわけだね。」 |
YUKIO |
「それどころか、その一事をもってあの大作を否定するような勢いなんだよ。唖然とするだろ?でも、こうしたことは日本のクラッシックのスノビズムでは珍しいことじゃないのさ。うんざりするほど見てきたよ。自分の手に負えない作品にぶち当たると、どうでもいい些末事をあげつらって頑張るんだよ。己の存在証明を賭けてね。しかも、彼らは人数が多い。これは睥睨すべからざる財力だから、興行的な成否に大きな影響をふるっている。」 |
ZEN |
「君はわからないことは、わからないと正直に認める方だ。しかし、君の言ったことは、君自身にも照射されかねない問題だぜ。」 |
YUKIO |
「うむ。ちゃんと肝に銘じないとね。それに、『わからない』ということを自覚することは非常に大切なことだ。シンドイけど、そこから真に実りある探究が始まるからね。」 |
ZEN |
「無知の知だね。無知の知たぁー簡単に言えば、『オレは本当にわかってるんだろうか?』と厳しく検証してみる知的誠実さだよね。『あの人は本当にわかってるんだろうか?』と言いかえても同じこった。専門家でもこれを忘れてるから、無数の術語を弄しつつも根本的なところが空洞って人が結構多いんじゃないかな。無知の知は、弟子プラトン経由の古代ギリシャの哲人ソクラテスの警句だけど、ああいうものは永久に古くならないね。ホント、怖い言葉だよね。」 |
YUKIO |
「うむ。ボクは、学生の頃、ニーチェを好んで読んだんだ。すると『偶像の黄昏』なんかで、心理家の彼らしい直観で、何もそこまでっていうぐらいソクラテスの悪口が書いてある。ソクラテス=プラトンは、その後の観念論の礎と目されてる向きがあったから、生成の哲学者ニーチェとしては、偶像としてソクラテスを玉砕する必要を感じたのかもしれない。ニュアンスとしては、つまり無知な人がソフィスト、今でいえばインテリ階層へのルサンチマン(怨恨)から発して無知の知を説いて、相手を論駁してまわるのは"下品な振る舞い"だという指摘だ。でも、だからってソクラテスが無効ということにはならない。むしろニーチェの戒めを念頭におくことで、一層完全なものになった。」 |
ZEN |
「無知の知でいけば、怖いものなしだね。」 |
YUKIO |
「うん。だから安易なスノッブの道を選んで、常に自分のポジションの保持に汲々とするよりも、まず無知の知に立てよ、って思う。無知の知に立てば、ヘタすると教授や浅田さんも吹っ飛ぶかもしれん。」 |
ZEN |
「まっさきにこのサイトが吹っ飛ぶような(^^;;・・・・・」 |
YUKIO |
「・・・・・・・シャレにならない。帰らせてもらいます。」 |
ZEN |
「すまん。しかし、いきなり近世を通り越して、古代ギリシャとは突飛な感じもするけど。」 |
YUKIO |
「今のは衒学趣味かな?でもね、関係ない話をした気はないんだ。現代音楽史を画するような作品『LIFE』にまつわる反応について、ソクラテスが飛び出す根拠を与えちゃうのが日本の偽らざる現状なんじゃない。教授だってバッハのコラールだし、浅田さんだって実践面ではとりあえずモダンの確立だとも言ってるんだぜ。
こうなったらボクは北京原人に戻ろう。勝ったな(^^)v(意味不明)」 |
ZEN |
「次回から本題に入るでしょう・・・・・。たぶん(--);」
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