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opus introduction interview

最近の教授の顔って好きです。幸宏氏の言葉を借りれば”律義”(by カセット・ブック)という言葉がもともとぴったりの人ですけど、Discord Live以来、そこに何か神妙さが加わった感じがする。まるで身辺整理でもして、どんどん裸になろうとしてる。胸奥に堅い決意をひめている人の顔という印象。

アーティストがこんな表情になるときって、同時にとても危険だったりする。誤解をおそれずに言うなら、つい自決前の三島由紀夫を想起しちゃう。次第に内部に堅固に形成されつつあった信念を実行にうつすときがとうとう来た、というような顔に見えてしょうがない。具体的には、来年上演されるオペラのことだと思いますが。

教授って、いつでもどこか半笑いのところがありましたよね(笑)半笑いというのは、熱狂の最中ですら自分を冷めた目でみてる自意識のことなんですが。”自分が本当にやりたいことはなんなのか”と自問自答しつつ、つくりあげていったアルバム「Smoochy」ですら、どこかに半笑いがあったと思う。僕は、それを奇怪な現代社会にほうりだされた天才音楽家の宿命みたいなものだと考えてきました。

でもBTTBの坂本龍一には、半笑いは皆無です。取り組みの姿勢が真摯そのもので、なにより自分の音楽に完全に没入している。かといって、人を寄せつけないような峻厳さとは違う。もう聴いた人はすでに知っていると思いますが、とても無垢で、愛らしい作品集ですよね。ユーモアだってある。

もうひとつ重要なのは、教授にとってのBasicって、フランス近代音楽、殊にドビュッシーであったということ。アルバムを聴き終わった後、いやあ!ことほど、さようにフランスの近代音楽なのか!と感慨深かった。もちろん、もう一度BTTBみたいなアルバムをだす機会があったら、別の傾向が出てくるだろうけれど。

今やあらゆるスタイルの音楽について自在の域に達してしまった、さまよえる音楽家、坂本龍一は、ついに長い長い彷徨を終えるのだろうか?音楽家として何をすべきかについての確信を得たのだろうか? 明確な指針をもった航海が開始されるのだろうか?ともかくオペラが待ち遠しい!みんな肝心な時にお金がなくて、オペラが観れないなんてことがないように(笑)


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