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We Three / The Horace Parlan Trio - BAYBRIDGE 国内盤 TECW-25673 1998年3月20日発売

@ Us Three(H.Parlan) A Summertime(G.Gershwin) B Broken Promises(G.Gershwin) C Solar(M.Davis)
D Wild Is The Wind(D.Tiomkine) E Bags Groove(M.Jackson) F Fran Dance(M.Davis) G Little Esther(H.Parlan)
H Billy's Bossa(H.Parlan) I Have You Ever Met Miss Jones?(R.Rodgers/L.Hart) J Blues For H.P.(H.Parlan)

Recorded at Focus Studio Copenhargen June 18&19 1997
Produced by Makoto Kimata
Recoeding Engineer Henrik Lund

Horace Parlan - piano / MadsVinding - bass / Ed Thigpen - drums

これほど洗練されていながら、かつ強烈な黒っぽさも兼ね備えてるプレーヤって類をみないのではないかな。
黒っぽさではジュニア・マンスやボビー・ティモンズ、ホレス・シルヴァー等、ファンキーなタッチのピアノ・プレーヤーは沢山居るけど、
ここまで洗練されたスタイルではなく、彼らはあくまで土臭くアーシーなのが持ち味。
個人的にはそういったアーシーなフィーリングの方をより好む体質ではあるけれど、パーランのピアノを聴けばそんなことはどうでもよくなります。

彼の代表曲とも言うべき「アス・スリー」のリメイクというか、セルフ・カヴァーから始まるこのアルバム、叙情的なすべり出しの初めの二音を聴いただけで
きっと貴方は釘付けになると思う。まして、インテンポになってからのアドリブの頭のフレーズは決定的だ。
四つの音を三回繰り返す、これだけで聴き手を懐に入れてしまうことは間違いない。

またAの サマータイムではテーマ終了後、コード弾きを四回繰り返した後のアドリヴ・フレーズの一節目の音の切り方にぞくっときます。
シングルノートでのアドリヴはこの音の切り方ひとつで天地ほどグルーヴ感が違ってくるのですが、これにはたまりませんぞ。

とにかく彼が脳性小児麻痺で右手が不自由だということが信じられない。
ハンデキャップをものともしないプレイヤーは他にも同じピアノのミッシェル・ペトルチアーニ、デイヴィッド・マシューズ等少なからずいるんですが、
パーランも言われないと聴いてるだけではそのことに全く気が付かないのだ。しかも彼の場合はほとんど左手だけでメロとコードを超絶的に交互に弾くらしい。

あと、サイドメンとして加わっているドラムのエド・シグペンは文句無しの第一級のミュージシャン。
彼の加わった作品で駄作があったら教えて欲しいぞ、というくらい作品の価値を段違いに押し上げる名手だ。
Gのリトル・エスター(きっとエスター・フィリップスのことに違いない)のようなスウィンギーな曲でシグペンの本領は何気なく発揮されるが、
Dの本来歌もののワイルド・イズ・ザ・ウインドでのブラシワークなども、絶品中の絶品。もちろんパーランのピアノが泣けるほど美しいのも忘れてはいけない。
こんなのを雨降りの日曜日の昼下がりにでも聴いてしまったら、切なくてたまらんぞ。
もっか彼、または彼女が居ない方はこしらえてから聴いた方がいいかも知れません。

--b.b. May 28 1998