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Live At The It Club - Complete / Thelonious Monk - SONY RECORDS国内盤 SRCS-8736-7 1998年9月9日発売 ¥2.800税抜

DISC1
*@ Blue Monk *A Well,You Needen't B 'Round Midnight *C Rhythm-A-Ning
*D Blues Five Spot *E Bemsha Swing *F Evidence *G Nutty *H Epistrophy (Theme)

DISC2
*@ Straight,No Chaser A Teo *B I'm Getting Sentimental Over You C Misterioso D Gallop's Gallop
*E Ba-lue Bolivar Ba-Lues AreF Bright Mississippi G Just You,Just MeH All The Things You Are I Epistrophy (Theme)

* Previously unissed

Recorded in Performance at the "It" Club Los Angeles,Ca,on Oct,31 and Nov,1.1964

Thelonious Monk - poano
Charlie Rouse - t.sax
Larry Gales - Bass
Ben Riley - Drums

ストレート・ノー・チェイサー、ブルー・モンク・・・なんと妖しい響きのする言葉なんだろう。
初めてモンクに惹かれたとき、こういったタイトルの持つ言葉の響きにも影響されたかも知れない。
とはいえ聴いてみた中身がつまんなければそれまでだったはず。

20世紀も押し迫った今、改めてモンクの再評価の機運が高まってきたのも
彼の作品やスタイルがそのまま21世紀にも継承されて然るべき優れたものだからだと思う。
今回発表された未発表テイクと同時に、お馴染みのテイクも今までカットされていた部分を
復元した完全ヴァージョンとなっていますが、それらすべてが、
モンクの実像をくっきりと浮かび上がらせてくる気がします。
とにかく今、ここでこれを聴いておくことは貴方のジャズ・ライフにおいて
必ずプラスに作用するはずです。

特異なスタイルと形容されることの多いモンクのプレイスタイル、実はそれほど変わってる訳ではないのです。
その形容が彼が好んで使う不協和音に対してあるのだとしたら、それはあまりに表面的すぎる指摘だと思います。
ピアノは平均律の楽器だから、他の弦楽器が容易く出せる微妙なクォーター・トーン的な表現をするのに
この方法しかなかっただけなのだと思うのです。
多分、ルーツ系の音楽に親しんできた方なら誰もがそう感じるのではないでしょうか。
俗にチューニングの正確でないホンキー・トンク・ピアノなんかを聴いてて、得も言われぬ快感(グルーヴ感)を
覚えることがありますが、それに近い表現を求めたらこれしかないのでは。
実際モンクのピアノのフレーズの随所にラグやストライドの片鱗を伺うことが出来ます。

とまれこの、2日間に及んだライヴ・レコーディングの全貌がこうして聴けることを喜びたいです。
初めて陽の目を見たトラックの中には、やや妖しい部分がちらっとあったりしますが
それは決して作品的価値を落とすというより、モンクの人間くささを感じさせるもので
かえって好感度が高くなりました。

記録によると彼は、page2で紹介してるソロ作品の内約半分をこのライヴの両日の間の深夜に、
スタジオに移動して吹き込んだようです。一体いつ眠ったのだろう?
時にミュージシャンは超人的な体力を発揮するものですが、彼もこの日は
非常に集中力が高まっていたのではないでしょうか。

願わくば世のジャズファンすべての方に聴いて欲しい一枚です。

b.b. Sep.18.1998