時の棲む森 時の棲む森 過去ログ2018年分


12月24日    ハッピーメリークリスマス!
12月23日 あいミスSSS「ブーメラン」 「クレアの新しい聖装ってさぁ……」 「すばらしいだろう? 私のような傭兵でも魔術が使えるようになる聖装だしね」 「あ、うん、そりゃすごいのはわかるよ、着るだけで魔術が使えるなんて反則だし」 「まぁ、確かに本職からすればあの程度大した魔術じゃないんだろうけどね」 「いや、常識的に着るだけで魔術使えるってだけでものすごいんだけど……でもさ」 「なんだい?」 「その聖装ってさ……布少なすぎない?」 「確かに気になる所だな、だがこれはこれで良い物だぞ?」 「へ?」 「肌を刺すような敵の視線に晒される、それを防ぐ盾を持たない。  ゾクゾクするじゃないか!」 「変態だー、変態がいるー!!」 「変態ではない、ただの性癖だ」 「変態だけじゃなくて痴女だった?」 「なぁ、ラディス。今の君にブーメランっていう言葉を贈ろうか?」 「わかってる! アタシだってこの聖装の布が少なすぎるの気にしてるんだから!」 「じゃぁなんで他の聖装にしないんだい?」 「それは……この聖装だと魔力が上がって上級魔術が遠慮無く使えるから……」 「ラディス」 「なによ」 「君の性癖はすでに把握した」 「うっさい! 何良い事行ったような顔してるのよ!!」 「なぁ、冥王。アイリスってのは変……個性的なのしかいないんだな」   ギゼリックの呆れ声が冥界に響いた。
12月16日  早坂の独り言  一ヶ月ぶりの更新です。毎年恒例年末年始進行ハードモードに突入中で平日は  動けず、休日は休息にあてるしかない12月です。  でも、気分転換を兼ねてのお出かけはしてきています。    雨上がりの冬空のビックサイト  年末に行く事の出来ない早坂は今日が最後のビックサイトです。  今日はドールズパーティー、収穫物はツイッターで一部公開しています。  他にも数点作品はあるのですが、年内の公開はできないかと(^^;  みなさん、ビックサイトで良い年末をお過ごしくださいね。
11月19日 ・夜明け前より瑠璃色な Moonlight Cradle aftershortstory            sincerely yours -Twilight Moon- Episode 4 「Honeymoon」  電車に揺られながら、わたしは窓の外の景色を眺めている。  今も昔も未来も、車窓はそんなに変わってないと思う。  向かい合わせにした席のわたしの隣ではお母さんが、向かい側ではお父さんが  眠っていた。 「……どうしてこうなったんだろう?」  教会での結婚式の後、司祭様まで巻き込んだ披露宴……あれって披露宴って言っても  いいのかな?  お祖父ちゃんのお店を借り切っての披露宴……パーティー?  ただの飲み会だったような気がしないでもなかった。  でも、みんな楽しそうな笑顔で、とても盛り上がったから良かったと思う。  わたしは早めの時間に、麻衣お姉ちゃんと一緒にお祖父ちゃんのお家の客間に避難して  そのまま泊まることになった。  せっかくの結婚式の日だもん、お母さんとお父さんを二人っきりにしてあげたかったから。  こうして結婚式は無事にすべてのスケジュールを終えて普段の生活に戻るかと思った翌朝。 「リリアちゃん、遅いわよ? お寝坊さんね」  客間まで迎えに来たお母さんはわたしを引っ張るようにして家に連れて帰った。 「ほら、早く着替えてらっしゃい。急がないと間に合わなくなるわよ?」 「急ぐ? 間に合う?」 「そう、これから新婚旅行に行くんだから、ね♪」  あ……失敗した。  新婚旅行の事まで考えてなかった。  あれ? でも、お母さんは旅行に行くって? 「揃ったみたいだね」  奥からお父さんが旅行鞄を持ってやってきた。 「達哉、リリアちゃんが着替えるまでもうちょっと待ってて」 「あぁ」 「お母さん? 着替えるってわたしも行くの?」 「当たり前でしょう?」 「だって準備とか」 「リリアちゃんの鞄は用意してあるわ、あとは着替えるだけよ?  それとも、そのままの格好で行く?」  お母さんはわたしの手を取り外に向かおうとする。 「ちょ、ちょっとまって、着替えてくる!!」 「部屋に着替えを用意してあるからね〜」  こうしてわたしの知らない間に新婚旅行に一緒に行くことが決まった。 ---  続きは特設ページにて公開です。  来年2019年2月27日が、夜明け前より瑠璃色な MoonlightCradle の発売10周年になります。  その前祝いを兼ねての、同人誌「夜明け前より瑠璃色な Moonlight Cradle sideshortstory  sincerely yours your diary」のweb公開加筆修正版「sincerely yours -Twilight Moon-」。  完結致しました。  全編書き直しの加筆修正版ということで苦労しましたが・・・まぁ、今考えると大変な企画ですよね(^^;  そのまま掲載すればいいのに、ほんと全部書き直しました、コピーペーストは一切ありません。  全く同じ文章でも書き直してます。なんていうか・・・もはや意地?(^^;  色々と伏線を張ったまま、同人誌版もweb公開版も終わってますが、この後の日常ストーリーは  このサイトで公開していましたし、今後もネタがあれば公開しています。  シンシア達の家族旅行もリリア本人のツイッターでいろんな写真が公開されています。  まだまだ続くお話です、よろしければ今暫くお付き合いくだされば幸いです。  最後に連載したweb版sincerely yoursをいつも紹介してくださったFaxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN)さん。  紹介ツイートをリツイートしてくださったみなさん、ありがとうございました。
10月31日 ・虹の彼方へ    ちび姫様「綺麗な虹です♪ 虹の彼方には何があるんでしょうね?」  先日の旅行の時、朝方霧雨が降ってたのですが、そのとき偶然とれた虹の写真です。  ここまでしっかりと虹を撮影出来たのは初めてかもしれません。  運が良かったんでしょうね、きっと(^^)  虹の彼方には、何があるんでしょうね?
10月17日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN)  また、紹介ツイートをRT、いいねしてくださった皆様もありがとうございました。 ・先日のキャラクター1のクロシェットブースにて販売されてたくじ引き。  早坂は運良く、B賞を当てることができました。  いつのグッズだかは覚えてませんけど、カミカゼ☆エクスプローラー!のグッズセットで  紙袋の中にまなみの台紙付きテレカ、風花のイベントCGのクリアファイル、美汐の  システム手帳が入ってました。くじ運無い早坂ですが、嬉しかったです(^^)  と、いうわけでそれを記念して? それと気分転換も兼ねて2011年に頒布した  同人誌のお話を、執筆し直しての加筆修正版でwebで公開です。  あのイベントの時、併催されたイベントでのジャンルがクロシェット。  オーガストの同人誌を作った後に勢いで書き上げたお話ですが、この後5年の間  毎年続編が続いたシリーズです。  ・・・うん、勢いって怖いですね(笑)  今回公開するのは、その1作目です。2作目以降の公開は反応次第、ですね。  ・カミカゼ☆エクスプローラー aftershortstory             おっぱい☆エクスプローラー! ・現在加筆修正中の「Twilight Moon」の次のエピソードはもう少しお待ちください(^^;
10月10日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN)  また、紹介ツイートをRT、いいねしてくださった皆様もありがとうございました。 ---  エピソード3「ウエディング・ベル」後編です。  ・・・あれ、書いてみると文章が少ない? わざわざ分ける必要なかった?(^^; --- ・夜明け前より瑠璃色な Moonlight Cradle aftershortstory            sincerely yours -Twilight Moon- Episode 3 「Wedding Bell」 「お母さん、お父さん。ちょっと付き合って欲しい所あるんだけど、いいかな?」  式当日、わたしはふたりを教会まで連れて行く事になっている。 「ごめんねリリアちゃん。麻衣とさやかに誘われているから今日は無理なの」 「俺もおやっさんに時間を空けておくように言われてるから、ごめんね」  二人の答えは予想通り、だってそうなるように準備してあるんだから。 「うん、大丈夫。わたしはお姉ちゃんやお祖父ちゃんに頼まれて迎えに来たんだから」  二人揃って不思議そうな顔をする。 「とにかくお姉ちゃんもお祖父ちゃんも待ってるから、早く行こっ!」  わたしはふたりの手を取る。  お父さんの大きな手にちょっとドキっとしたけど、気づかれてないよね? 「ちょ、リリアちゃん!?」 「ほら、早く!」  勘づかれる前に教会まで連れて行かないと!  弓張川の土手の上を三人で歩く。手は危ないので離してあるけど、ちょっと残念。 「リリアちゃん、何処まで行くの?」 「教会だよ」 「教会? エステルさんが俺たちに用事?」 「お父さん、呼んでるのはお姉ちゃんとお祖父ちゃんだって」 「そういえばそうだったな、それじゃぁ教会に何があるんだ?」 「つけばわかるってお祖父ちゃんが言ってたよ……あれ?」  さっきまで会話してたはずのお母さんが静かだった。  お母さんの方をみると、歩きながら顎に手を当てていた。  あれはお母さんが思考に没頭してるときの癖なんだけど、歩きながらは危ないと思う。 「お母さん、考えるのは後でも出来るからちゃんと歩い……」 「きゃっ!」  注意を言い終わる前にお母さんが躓く。 「おっと、大丈夫か?」  それを瞬時に受け止めるお父さん。 「あ、うん、ありがとう」  お母さんを受け止めるお父さんの姿が、なんだか昔から連れ添ってる夫婦に見えた。  まだ再会して少ししか立ってないのに…… 「シンシア、とりあえず教会まで行ってみよう。リリアちゃんが俺たちに不利益な事は  するはずないんだからさ」 「そうね、リリアちゃんは私の自慢の娘だものね」 「そうだな」  二人が何故かわたしを褒めはじめた。 「……早く行こう!」 「リリアちゃん、もしかして照れてる?」  振り返ると、多分赤くなったわたしの顔が見られちゃうので、お母さんの声は無視することにした。 「あ、きたきた」 「麻衣、それにさやかも」  教会の前でお姉ちゃん達が待っていた。 「タツ」 「おやっさん!」 「はいはい、それじゃぁ達哉君はこっちに来て」 「ちょっと仁さん?」  お父さんはお祖父ちゃん達に連れて行かれた。 「シンシアさんはこっちよ」 「さやか?」  そしてお母さんとわたしは、お父さんが入ったのとは別の入り口から教会の中へと入った。 「え、これって……」  用意された部屋の中に案内されたお母さんは固まってしまった。  そこにはマネキンに着せてある、純白のウエディングドレス。 「……リリアちゃん」  突然真面目な顔になったお母さんがわたしに迫ってきて両肩をつかんだ。 「お母さん?」 「ねぇ、リリアちゃん。まだリリアちゃんの結婚は早いと思うの」 「……はい?」 「それよりも相手は誰なの!! はっ、まさか達哉なの?  そんなの駄目! 達哉は私の旦那様なんだから、たとえリリアちゃんでもあげないんだから!」 「……ねぇ、お母さん。ここでぼける必要はないと思うんだけど」  お母さんの後ろでは苦笑いしてるお姉ちゃん達が居た。 「リリアちゃん、あまり時間がないからシンシアさんに着替えてもらわないと」 「そうですよね、母がすみません」 「え、悪いのって私?」 「はいはい、お母さん。早くお着替えしましょうね」 「……もしかしてって思ったけど、やっぱりこのドレスは私の?」 「シンシアさん、達哉くんと結婚しても式はまだだったでしょう?」 「だからね、今日ここで式を挙げるの、リリアちゃんからのプレゼントだよ」 「……」  お母さんは目元を手で拭った。 「リリアちゃんはやっぱり私と達哉の、最高の娘よ、ありがとう!」 「お礼は後でいいから、早く着替えよう? あんまり長い間教会を借りれなかったから、ね?」  お母さんのお礼は照れくさいので時間を理由にせかすことにした。  尤も、時間が無いのは本当なんだけどね。 「リリアちゃんの制服は隣の部屋に用意してあるから、早く着替えてね」 「ありがとう、麻衣お姉ちゃん」  お母さんの着替えはお姉ちゃん達と教会の人に任せて、わたしも着替えることにした。  隣の控え室に用意してあるわたしの正装。  カテリナ学院の制服でもスーツでも無い、わたしだけの正装は、研究室の制服のレプリカ。  今で言うと静寂の月光教の女性の司祭様の着る制服に近いものだけど、わたしのは微妙に細部が違う。 「……司祭様のとは全く同じじゃないけど、この正装で参列者側って、大丈夫なのかな?」  今更ながらにそう思うけど、参列するための正装はこれしかない。  それに、この制服はわたしにとっての人生の節目で着てきた物。だからこそ今日この制服で  お母さんをお祝いしたい。 「っと、早く着替えないと」  着替えて待っていた私は麻衣お姉ちゃんに呼ばれてお母さんの部屋に戻った。 「……きれい」  純白のウエディングドレスを纏ったお母さんはすごく綺麗だった。  このお母さんが普段はあんなことやこんなことをしてる、一児の母だなんてとても思えない。  それに歳だって 「リリアちゃん? その先は考えちゃだめよ?」 「……」  こういうときのお母さんは鋭いので考えるのを止める。 「大丈夫よ、私は永遠のじゅうな……」 「だから、危険なネタは禁止!!」  はぁ、どんなに綺麗なドレスを纏ってもお母さんはお母さんだった。  感動が一気にどっかに行ってしまったのがわかる。 「リリアちゃん、私達は先に式場にいってるわね」 「はい、さやかお姉ちゃん、麻衣お姉ちゃん、ありがとうございます」  お姉ちゃん達が控え室から出て行った。 「ねぇ、リリアちゃん。今日のことって達哉は知ってるのかしら?」 「知らないはずだよ? みんなで黙っていようって決めてたから」  本当はフィアッカお姉ちゃんからの条件なんだけど、ね。 「ふふっ、リリアちゃんのいぢわる♪」  そう言って微笑むお母さんは、とても綺麗で…… 「……いいの、今日だけは意地悪でも」 「そうね、ありがとう、リリアちゃん」  綺麗なだけではなく、とても上品で、色っぽくてわたしはドキっとしてしまった。  そのとき突然控え室のドアが開いた。 「時間」  呼びに来てくれたのはリースお姉ちゃんだった。 「それじゃぁ行きましょう?」 「うん、ヴェールはわたしが持つから安心してね」 「よろしくね、私の自慢の娘のヴェールガールさん♪」  礼拝堂の扉が開く。 「……」  式場内にいる家族のみんなの息をのむ音が大きく聞こえる。  バージンロード、本当は親族がエスコートするのだけど、お母さんに親族はいな…… 「え?」  いつの間にかお母さんの隣に一人の女性が立っていた。 「お姉ちゃん……なの?」 「あぁ、シンシアが私の事を姉と思ってくれるのなら、な」  そこに立っていたのは間違いなく、フィアッカお姉ちゃん。  未来で別れてきたあのときの姿の、フィアッカお姉ちゃんだった。 「お姉ちゃん……」 「シア、泣くのではないよ。泣き顔を新郎に見せる気か?」 「……うん、ありがとうお姉ちゃん」  フィアッカお姉ちゃんのエスコートでゆっくりとお母さんはバージンロードを歩いて行く。  その先にいる、お父さんの所に向かって。 「シンシア……綺麗だよ」 「達哉……ありがとう。達哉は格好良すぎるわよ」 「そんなこと無いさ、シンシアの方が綺麗すぎて」 「コホン、よろしいですか?」  二人のやりとりをエステル司祭様が諫める。 「「あ、はい」」 「ふぅ、まったく貴方という人は……」  一度間をとったエステル司祭様は、高らかな声で告げる。 「ただいまより朝霧達哉、シンシア・マルグリット両名の結婚の儀を執り行います」  式は無事終了した。 「おめでとう、お兄ちゃん!」 「おめでとう、シンシアさん!」  家族皆のお祝いと祝福の声。 「みんな、ありがとう!!」 「え?」  そのとき、白い羽根の結晶が舞った。 「きれい……」  誰かがそうつぶやいたのが聞こえた。  この白い羽根の結晶体は、空間転移の際の余剰エネルギーが結晶化したもの。  誰かがターミナルシステムで空間転移を行ったと考えるのが普通なんだけど。  多分、ちがうよね。 「まったく、してくれたわよね」  お母さんもそう思ったみたい。 「ありがとう!!」  お母さんは空に向かって大きな声で、届けとばかりにお礼の言葉を述べた。  そして空高く、ブーケを放り投げた。
10月8日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN)  また、紹介ツイートをRT、いいねしてくださった皆様もありがとうございました。 ---  エピソード3「ウエディング・ベル」  だいたいこれで半分くらいです、ちょっと長くなったので前後編での公開とします。  後編は早く公開できるといいなぁ(^^; --- ・夜明け前より瑠璃色な Moonlight Cradle aftershortstory            sincerely yours -Twilight Moon- Episode 3 「Wedding Bell」 「遅れてごめんね」  商店街の喫茶店、その奥の席でわたしは待ち合わせをお願いした。  その相手は 「問題ない」  リースお姉ちゃん。 「それで、呼び出した理由は何?」  わたしは店員さんにジュースをリースお姉ちゃんの分も注文してから返事する。 「あ、うん。リースお姉ちゃんと、フィアッカお姉ちゃんにも相談があるの」 「なんだ、私にも用事があるのか?」  わたしの呼びかけにリースお姉ちゃんの胸元にある教団のペンダント型デバイスから声がした。  このデバイスは未来のフィアッカお姉ちゃんから託された物で、いろんなシステムが組み込まれて  いて、その中の機能の一つとして、リースお姉ちゃんの身体を借りずにフィアッカお姉ちゃんとの  会話が出来るシステムがあった。  このシステムのおかげでリースお姉ちゃんの時間を奪わなくて済むって、フィアッカお姉ちゃんは  嬉しそうに言ってたのを覚えている。 「ごめんね、出てきてもらって」 「かまわないさ、可愛い姪の為だからな。それで相談とは何だ?」 「うん、実はね、お母さんとお父さんにプレゼントがしたいの。でもそれにはリースお姉ちゃんと  フィアッカお姉ちゃんの協力が必要なの」 「……」 「ふむ」  リースお姉ちゃんはさっききたクリームソーダを飲みながら頷く。  胸元からはフィアッカお姉ちゃんの声。  リースお姉ちゃんの口は開いてないのに声がするのはちょっと違和感があるなぁ。 「って、それはおいといて」 「ん?」 「あ、こっちのこと。それでプレゼントの事なんだけどね、結婚式をプレゼントしたいの」  このことを思いついた、というか気づいたのは最近、少しだけ生活が落ち着いてきた時だった。  当たり前だけどお母さんは結婚していないままお父さんと別れ、未来でわたしを産んでくれた。  でも今は一緒にくらしているし、結婚してなくてもお母さんもわたしも朝霧のミドルネームを  名乗っている。  だったら正式に結婚式を挙げた方がいいんじゃないかなぁってわたしは思ったの。 「結婚式を挙げる夫婦にこんな大きな娘が居るのはちょっとおかしいかなぁって思ったけど  やっぱり一生に一度なんだし、ちゃんとした式を挙げて欲しいと思ったの」 「そうか……リアは親思いだな」  声だけしかしないフィアッカお姉ちゃん、だけどわたしには未来のフィアッカお姉ちゃんの  笑顔が見える気がした。 「だけど、現実的な問題があって……」  そう、式を挙げる為に色々と調べたわたしが、一番の問題としているのは予算だった。  今のわたしにはそんなお金を持っていない。  と言っても未来に居たときのわたしだったとしても式を挙げるほどの貯金は無かった。 「それでね、リースお姉ちゃんっていつも教会にいるでしょう? だから安くお願い出来ない  かなぁって……」 「無理」 「即答!?」  わたしのお願いを言い切る前に即答された。 「ワタシは教会に属していない、たまにご飯を食べに帰るだけ」 「……」  リースお姉ちゃんは普段はいったいどういう生活をしているんだろう?  そういえば海辺で魚を釣っている姿を見かけた時もあったけど……  フィアッカお姉ちゃんの仕事の関係で一所に落ち着けないのはわかるけど……これはこれで  後で考えないとね。  それよりも今は予算の問題。 「フィアッカお姉ちゃん……お金は持ってる?」  こんな事聞きたくないけど、今のわたしには手段はもう無い。 「それなりにあるが……借金したお金での結婚式で良いのか?」 「う……」  お金を借りることしか考えてなかった。確かに娘の借金での式なんて良いはずは無い。 「どうしよう……わたしはまだ働けないし、働くわけにもいかないし」  働けないのは未成年だから、働くわけにはいかないのは、識っている技術を使っちゃいけないから。 「左門お祖父ちゃんの所でバイトさせてもらうしかない、かなぁ……」  でも、それだとどれくらい時間がかかっちゃうんだろう? 「まったく、何か目標が決まると一直線に進む、間違いなくシアの娘だな」 「フィアッカお姉ちゃん?」 「式を挙げて欲しいのは姉としての私も参加させてもらう事にしよう」 「え?」 「だから、資金面は出世払いとして借金では無いことにする」 「お姉ちゃん……」 「だが、条件がある」 「条件……?」  なんだろう? 難しくないことだといいな。 「あぁ、条件は……この結婚式は当人達には秘密にする事だ」  デバイスから聞こえるフィアッカお姉ちゃんの声。  わたしには未来のフィアッカお姉ちゃんのにやりと笑う顔が見えた気がした。 「リリアちゃん。今日もおでかけなの?」 「うん、早く今の満弦ヶ崎に慣れたいからね」 「探検でもしてるの?」 「そういえば満弦ヶ崎には遺跡、いっぱいあるよね」 「えぇ、そうね……ここはあの満弦ヶ崎ですものね」  お母さんが言う”あの”満弦ヶ崎には二つの意味がある。  お母さんが産まれた戦争があった時代での、月と地球を結ぶ地球側の玄関口の満弦ヶ崎。  わたしが産まれた時代での、遺失技術研究所がターミナルを発見した都市、満弦ヶ崎。 「リリアちゃん、わかってると思うけど関わっちゃ駄目よ?」 「わかってるって。研究対象にはしないから安心して。それじゃぁ行ってきます!」  わたしは麦わら帽子をかぶって夏の日差しの元に出て行った。 「こんにちは、エステル司祭様」 「あら、こんにちは、リリアさん」  協会に着いてからすぐに礼拝堂に入ると司祭様が掃除をされていました。  この礼拝堂、わたしの産まれた時代にもちゃんとある由緒正しき教会で、戦後初めて  地球の人達に開かれた静寂の月光教の教会です。 「エステル司祭様、このたびは無茶なお願いを叶えて頂きありがとうございます」 「いえ、貴女の願いを神が聞き届けてくださっただけです。それにその話はもう何度も  しているではありませんか?」 「それでも、何度でもお礼を言いたいんです」 「そうですが、では神に感謝の祈りを捧げましょう」 「はい!」  司祭様に促されて、私は神に感謝の祈りを捧げる。  正直に言えば研究者でもある私は静寂の月光教の教徒ではないし、その教えを守って  生活してるわけでは無いんだけど、今ここにある奇跡は、やっぱり神様のおかげかなぁって  思い始めている。 「尤も、神様じゃ無くて女神様なんだけどね」 「何か言われました?」 「い、いえ、何でも無いです!」  静寂の月光教の生まれた経緯を知っている、なんて言えないよね。  それに神様じゃ無くて二柱の女神様で、その二柱の女神様がわたしのお母さんとお姉ちゃん  だって事は絶対に言えない。  ……あれ? そうなるとわたしは静寂の月光教の女神様の娘になるのかな?  礼拝を終えて司祭様と相談をする。 「なら、こういう形にするのは如何でしょうか?」  司祭様の提案を頭の中でシミュレートする。 「うん、いいかも」  シミュレートの中でのお母さんの姿、想像しかできないけど、それでも絶対綺麗になるって  確信が持てる。 「ふふっ、リリアさんはお母様思いなんですね」 「え? そうですか?」 「はい、事情があって式を挙げられなかったお母様に式をプレゼントする、すばらしい親孝行  だと思いますよ」 「あ、ありがとうございます」 「でも……お母様のお相手があの方とは思いませんでしたけどね」  一瞬にして司祭様の雰囲気が変わる。 「司祭様? その……お父さんと何かあったのですか?」 「いえ、何もありませんよ」  ……絶対嘘だ、だけどそれを追求したらとてもいけない気がする。  うん、これは流す方が良い選択かな。 「あの、司祭様が個人的にお父さんと知り合いなのはわかってますけど……」 「えぇ、神に誓って絶対に秘密にします。し……お返しする良いチャンスですからね」  今なんて言おうとしたの!?  いったいお父さんと司祭様の間で何があったの?  すっごく気になるけど……怖くて聞けなかった。 「くすっ、どうなされたんですか、リリアさん?」 「い、いえ、なんでもありません」  司祭様の笑顔が……なんだか怖かった。  お姉ちゃん達やお祖父ちゃん達とみんなでこっそりと協力しながら、準備は整っていく。 「リリアちゃんは当日どうするの?」 「え? わたし?」  さやかお姉ちゃんに尋ねられたけど、当日って、式に参列するだけかと思ってた。 「それじゃぁ駄目よ、シンシアさんの一世一代の晴れ舞台ですもの。協力してあげないと、ね」 「協力って?」 「あ、お姉ちゃんの式の時に私はしたあれのこと?」 「麻衣お姉ちゃん、あれって?」 「その通り、麻衣ちゃん。司祭様に連絡して手配整えておいてね」 「うん!」 「今から楽しみだわ〜」 「えっと、さやかお姉ちゃん? 麻衣お姉ちゃん?」  わたしは話についていけず、でも話が進んでいるこの状況に戸惑うしか無かった。 「料理のことは任せておけ」 「はい、左門お祖父ちゃんのご飯は美味しいのでわたしも楽しみです」 「……」 「?」  あれ? 左門お祖父ちゃんが黙っちゃった。わたし、何か不味いこと言ったかな? 「大丈夫だよリリアちゃん。親父殿は照れてるだけだから」 「こら、仁!」 「隠したってばればれだよ、親父殿。確かに僕達の子供はまだだからね」 「えっと?」 「リリアちゃんはね、親父殿にとって初孫なんだよ」 「わたしが左門お祖父ちゃんの初孫?」  左門お祖父ちゃんとは血のつながりはない、でもお祖父ちゃんはお父さんの父親代わりって  言ってたから、わたしにとってお祖父ちゃんになるわけだけど。 「仁、そんなことより式のケーキの仕込みは任せるからな!」 「わかってますよ親父殿、僕達のときより豪華にして見せますよ!」 「ならちゃんと準備しておけ!」 「はいはい」 「あの、左門お祖父ちゃん。わたしには本当のお祖父ちゃんがいないから……その、  ありがとうございます」  上手く言葉にできなくて、お礼しか言えなかった。 「良いんだよ、リリアちゃん。孫はお祖父ちゃんに甘える物だからな」  そう言うと頭を撫でてくれた。お母さんとお父さん以外に撫でてもらうなんてことはないから  ちょっとくすぐったかったけど、不思議と温かかった。 「子供も甘えたいんだけどなぁ」 「仁!」 「へいへい……そういえばだけど」  仁さんは突然真面目な顔をした。 「お袋殿はやっぱりお祖母ちゃんって呼ばれきゅぴっ!」 「……何?」  仁さんの言葉は途中で変な悲鳴に置き換わった。  気づくとその場に倒れてる仁さんの頭には…… 「しゃもじ?」  お前にお祖母ちゃん呼ばわりされたくない、と書かれてるしゃもじが刺さっていた。 「春日……相変わらずキレがあるな」 「……」  お父さんの関係者ってすごい人ばかりなんだなぁって思うことしか出来なかった。  こうしてお母さんとお父さんに秘密のまま、結婚式の日は迎えることになりました。
9月9日 ・夜明け前より瑠璃色な Moonlight Cradle aftershortstory            sincerely yours -Twilight Moon- Episode 2 「Recollection」  わたし達がこの世界に来て、2日目の夜。家族皆に詳しい説明をする事になりました。  お父さんの妹である、麻衣さんと家族ぐるみでつきあいのあるレストランの鷹見沢さん達。  どこまで説明すべきかを昼間にお母さん達と相談しました。 「フィアッカさんに確認もしなくちゃいけないな」 「そうね」  わたしやお母さんの持ってる知識や経験はそのまま世に出すのは危険すぎる。  そういう事実は知っているだけで危険になる場合もある、のだけど…… 「ねぇ、お母さん」 「なぁに?」 「家族に隠し事はしたくない、かな」 「……そうよね、家族だもんね。リリアちゃん、ありがとう」  でも、やっぱり危険な事もあるかもしれないので、夜にはフィアッカお姉ちゃんにも  来てもらう事になりました。  そして夜、ちょっと遅い時間なのはレストランの営業が終わるまで待ってたから。 「初めまして、リリアちゃん、でいいのかな? 俺は鷹見沢左門。タツの親父代わりだ」 「初めまして、えっと……お父さんのお父さんならお祖父ちゃんになるのかな?」  私は確認するように訪ねた。初めて会う人からいきなりお祖父ちゃんっていうのは流石に  失礼かなぁ、って想ったんだけど 「そうなるな。まさか仁や菜月より先にタツの娘に会うことになるとは想わなかったがな」  そう言って笑ってくれました。 「初めまして、僕は鷹見沢仁。仁お兄ちゃんって呼んでくれていいぞ」 「おい、仁。俺はお祖父ちゃんで仁は兄なのか?」 「親父殿、兄はいつまでたっても兄なのですよ!」 「まったく、仁くんったら」  そういって微笑むお姉さん。 「初めまして、私は達哉君の姉で鷹見沢さやかです」 「さやか……お姉ちゃん?」  お父さんのお姉ちゃん? という意味で思わずつぶやいた言葉に、さやかさんは目を輝かせた。  と想った瞬間、抱きしめられていた。 「私の事お姉ちゃんって呼んでくれるのね、嬉しいわ〜」 「ずるいよお姉ちゃん、それだと私だけ叔母さんになっちゃうじゃない」  麻衣さんはそう言って頬を膨らませた。  確かにお父さんの妹なのだから叔母になるんだけど。  以前のフィアッカお姉ちゃんとのやりとりを思い出すと、絶対にそう呼ばない方が良いと想った。 「あの、麻衣さん……もし嫌じゃなければお姉ちゃんって呼んでもいい、ですか?」 「え、いいの?」 「はい、その方がしっくりくるので」 「ありがとうリリアちゃん!! 私末っ子だったからお姉ちゃんって呼ばれるのに憧れてたの!」  さやかお姉ちゃんと反対の方向から抱きしめられた。  ……両サイドに感じる柔らかさが、私より大きいことを主張してる気がする。 「なら私も菜月お姉ちゃんって」 「菜月はオバサンだね」 「なんで私だけカタカナのオバサンなのよ!!」  菜月さんは素早く何かを投げるような仕草をした、と想った瞬間 「はうっ!!」  仁さんの額にその何かは命中した。  そして跳ね返った何かは…… 「しゃもじ?」 「あー、兄さんのことは気にしないで良いからね?」 「あ、はい」  気になるのはしゃもじなんだけど、言わない方がいいかな。  ちなみに呼び方は菜月お姉ちゃんでおちついた。 「待たせたか?」 「あ、リースちゃん。いらっしゃい!」 「……しまった」  お店に入って来たフィアッカお姉ちゃんはさやかお姉ちゃんに捕まっていた。 「あの、姉さん。フィアッカさん……リースの事も含めて今から説明するから  ちょっと落ち着いてね」 「えー」  さやかお姉ちゃんが可愛く拗ねる。  ……お母さんが若く見えるのは昔からしってたけど、お父さんの家族の女性は  どうしてこんなにみんな若く見えるんだろう?  そしてなんでみんな胸が大きいんだろう? 「わたしだっていつか……」  そんなどたばたから始まった顔合わせは終わり。 「それじゃぁ説明しますね。俺とシンシアとの出会いの真実と、俺の娘の話を」 「……」  話し終わった後、みんな何も言葉を発しなかった。  考えが、思考がついて行かないんだと思う。  わたしだってこんな話をいきなりされれば混乱すると思うし、はいそうですかって  簡単には納得出来ないと思う。 「そうか……納得した」  え? 左門お祖父ちゃん納得できたの!?  声には出さなかったけど思わずツッコミを入れてしまう。  でもわたしの驚いた顔を見たお祖父ちゃんは、笑いながらこう付け加えた。 「シンシアさんが帰った後のタツの変化の理由が納得出来た、という意味だったんだがな」 「あの、左門さん。私が帰った後の達哉の変化って?」  気になったお母さんがお祖父ちゃんに問いかける。 「タツはあのとき、間違いなく変わった。だが、その変わり方が少し危うかったんだ」 「……」 「別に捨て鉢になったわけでもない。だがな、どう見ても何かに耐えて無理してるようにしか  見えなかったんだ。そのくせ達観したような、ちぐはぐでもあったな。  気になったんだがな、問いかけても答えてくれそうにはなかった。だから俺は見守る事にしたんだよ」 「俺ってそんなに変わりましたか?」 「タツ、お前自身が気づいてないわけはないだろう?」 「……」 「まぁいいさ、10年越しになったが、やっと話してくれたんだからな」 「……ありがとう、ございます」  お父さんは頭をさげた。 「かまわないさ、タツの覚悟だったんだろう?  男の覚悟に水を差す真似はできんからな」  そう言うとお祖父ちゃんは席を立ち、リビングから庭にでて、たばこを吸い始めた。 「ふぅ……肩の荷、一つ降りたな」  夜空を見上げるお祖父ちゃんの顔は、安心したように微笑んでいた。 「それで、これからどうするの?」  さやかお姉ちゃんの言葉にお父さんはすぐに応えた。 「もちろん、シンシアとリリアちゃんと一緒に暮らすよ」 「でもシンシアさんは昔の月人なんでしょう? 戸籍も無いだろうし」 「一応戸籍はあったはずですよ? でも700年前の事ですからね、もう鬼籍に入ってる  はずですけどね」  あはは、と笑うお母さん。 「あぁ、その辺は大丈夫だ。シアとリアの戸籍だけならある」 「え?」  フィアッカお姉ちゃんの言葉にお母さんが驚く。 「もしかして教団が動いた? いえ、そんな訳は無いわね……」  そう言って手を顎に添える。 「シア、いくら考えても絶対に答えは出ないぞ?」 「どうして?」 「ターミナルシステムが介入した、と言う答えなんて出るわけが無いだろう?」 「……はい?」 「なんでターミナルが?」 「理由はわからないがな、ターミナルシステムから介入があったのはまちがいない。  今この日から31年前にシンシアは産まれ、14年前にリリアが産まれた事になっている」 「却下!」  お母さんは即答した。 「それじゃぁ私の年齢がおかしくなるでしょう!!」 「いや、私に言われてもな……すでにもう決まっていることだしな」 「やり直しを要求するー!!」  空に向かって叫ぶお母さん。  ……確かにこれで31歳っていうのはおかしい気がする。 「ねぇ、お兄ちゃん。教団ってそこまで月人の事を管理してるの?」 「麻衣、これはオフレコなんだけどな、教団には裏があるんだよ」 「昔の地球の宗教でも良くある話だけど……今存在してるその組織の話って聞いても大丈夫なこと?」 「覚悟があれば、な」 「うーん……私は月学の教師としては知っておいた方が良いかもしれないけど……」 「麻衣、あとで差し支え無い程度に教えて上げるわ」  お母さんがフォローしていた。 「とにかく、タツ。それにシンシアさんにリリアちゃん。これからもよろしくな」  お庭から帰ってきたお祖父ちゃんのその一言に、みんなでよろしくの挨拶をした。 「ありがとう、みんな」 「ありがとうございます」  それからの日々はあっという間に過ぎていった。  あの説明の翌日、最初に問題になったのは生活用品だった。  着の身着の儘でこの世界に来たわたし達は着替えすら無い。  昨日は間に合わせの服を借りて……どれも胸のところがぶかぶかだったのは忘れることにする。  下着は近くのお店で買ってきた。  今日は当面の着替えを買いに行く、という時に大量の宅配物が到着した。 「何か頼んだ記憶はないんだけどな。差出人は……フィアッカ・マルグリット?」 「えっ、フィアッカお姉ちゃんから?」  何を送ってきたのだろうかとお母さんが箱を開ける、 「これ……どうして?」  中に入っていたのはわたしやお母さんの衣服だった。下着もある。  驚いたのは新品ではなく、生活に使っていたわたし達の洋服だったということだ。  わたしのお気に入りのワンピースも入っていた。 「もしかしてこの差出人のフィアッカお姉ちゃんって……」 「そうね、私達がいたあの時代のお姉ちゃんね」 「これも転移させたの?」 「そうだと思うけど、この時代の宅配システムをちゃんと使ってるあたり  手が込んでるわね、お姉ちゃんらしいんだから」  あの時代に残してしまった、今はもう会えないわたし達の大事な家族からの素敵な贈り物。  私は空に向かって心込めて、届けと念じながらお礼を言う。 「フィアッカお姉ちゃん、ありがとう!!」  着替えが手に入ったら今度は生活する部屋の片付けに移る。  今居るお父さんの家は、わたしにとっては見覚えのある、今まで生活してきた家と  全く同じだった。  あの時代でお母さんは、お父さんとの想い出がある家だって聞いてたけど  ここまでそっくりとは思っても無かった。  これなら寝ぼけてても何も間違えずに使えるって思うくらい。 「寝ぼけないと思うけどね」  問題は部屋割りだった。  今の家の部屋は、2階にお父さんの部屋、麻衣お姉ちゃんの部屋。  書斎とさやかお姉ちゃんの部屋だった部屋。  1階にリビングとダイニングやお風呂、客間。  それと、屋根裏部屋。 「部屋はどうしようか? シンシアはどう思う?」 「そうね……リリアちゃんは一人部屋の方がいい?」 「わたしはお母さんと同じ部屋でもいいよ?」 「うーん……」  悩んだ結果、わたしは今はお父さんが使ってる部屋、つまり前の時代での  わたしの部屋になることが決まった。  お母さんはさやかお姉ちゃんが使っていた空き部屋にお父さんと一緒に住む事になった。 「リリアちゃん、部屋が別々になっちゃたけど、寂しくなったらいつでも寝に来て良いからね」 「わたしはもう子供じゃ無い!」 「そう?」  お母さんの視線が少し下がる。 「何処見てるのよ!」 「ふふっ、べーつにー♪」 「もう、お母さん!!」  こうして大がかりな引っ越しとリフォームは終わって。  お父さんは休んでいたお仕事に戻っていきお母さんは身辺整理と調整の為教団へ。  そしてわたしは夏休み明けにカテリナ学院付属への編入が決まった。 「ふぅ」  ベットに仰向けになって寝転んだ。 「普通に通ってた学院へ編入って、なんだか変な気分」  見上げると壁に掛かっているのはカテリナ学院付属の制服。  それは新品では無く、夏に入る前まで普通に着ていたわたしの制服。 「いかにも着ていましたっていう制服だと、お古だって思われちゃうかなぁ?」  色々と言い訳考えておいた方が良いかな、って思った。  まもなく迎える新学期。  色々とあった心配事や問題事は家族皆と乗り越えていってすべてが順調に進んできた。  まもなく迎える新学期も、編入ということで不安もあるけど、転校だから不安があって  当たり前と思ったら少し気が楽になった。 「なにせ、無事に過去世界に行けるかどうかって考えてたあの不安から比べると  こんなの不安の内に入らないよね。それに……」 「リリアちゃん、お昼ご飯よ〜」 「はぁい!」  リビングから呼ぶお母さんの声。夜になればお父さんも帰ってくる。新しいお姉ちゃん達も居る。  だから、わたしには何の心配も無かった。
8月12日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN) ・今日のおでかけ    有明よ、私は帰ってきた・・・?  コミックマーケット94 3日目に参戦してきたのですが、到着はゆっくり待機列の無い  時間対を狙って、11時30分過ぎなのですが。  写真の通り、正面に国際展示場の駅を見ています。  つまり、この時間でまだ入場待機列最後尾が、駅を出て左側にあるわけです。  早坂は夏コミ自体久しぶりなのですが、この時間でここまで列が消化されてないのは  久しぶりではないかなぁ、と思いました。  体調や明日の予定の都合もあり、あまり時間が掛けられないので今回はほとんど  回らず挨拶と素敵な作品を保護するのを優先で、東館へとまいります。  会場でお会いした皆様、色々とお世話になりました。  ほとんど通りすがりのレベルでしか居られなかったのが残念です。    まだまだ人の多い、13時30分頃には撤収致しました。  会場で得た素敵な作品は後ほどゆっくりと読ませて頂きます。  参加された皆様、お疲れ様でした。 ・早坂の独り言  余談ですが、早坂が苦手としてた宿題は「読書感想文」です(汗)
8月9日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN) --- ・Memories,Lilia 「……んん」  いつもと違う暖かさの中で目覚めた。  まだ少しぼーっとしながらも、起きようとして、起き上がれなかった。 「……?」  起き上がれない理由が、目の前のお母さんの顔を見て思い出した。 「そっか、一緒に眠ったんだっけ……」  わたしを抱きしめて……というか抱き枕のように抱きしめてるお母さんの寝顔。  ……こうしてお母さんと一緒に眠ったのはいつ以来だろう?  穏やかなお母さんの寝顔を見て、その理由を思い出した。 「お父さんに会えたから、だよね」  わたしを抱き枕のように抱くお母さんの後ろ、そっと寄り添うように眠ってるのは  お父さん。  初めて家族3人で寝る事になった昨日の夜、わたしは緊張してたけど、それ以上に  疲れてたみたいで、お母さんが眠った直後にわたしも眠てしまった。 「……ん」  そっとお母さんの腕をほどいて、起き上がる。  まだ眠ってるお母さんと、お父さん。 「……お父さん」  わたしが始めた研究のきっかけは偶然に過ぎなかった。  たまたまターミナルに跳んでしまい、その結果ターミナルシステムのアクセス権を  手に入れて……そして、お父さんに文句を言うための、研究だった。  でも、今思えばそんな偶然なんてあるのだろうか?  あのときのフィアッカお姉ちゃんは、こうなることを知っていた。  ならわたしがターミナルに跳んだことは偶然じゃなくて必然……  ……ううん、もうそんなきっかけなんてどうでもいい。  必然であっても、その先を選んだのはわたしなんだから。  そして選んだ先に……お母さんとお父さんと、こうして一緒にいられるのだから。 「お兄ちゃん、起きてる?」  そのときドアの向こう側から女の人の声が聞こえた。  お兄ちゃん?  自分より先に生まれた年上の家族を呼ぶ名前がお兄ちゃん。お兄様とか兄貴とか  言う場合もある…… 「じゃなくって!」  思わず考え込んでしまった自分にツッコミを入れてしまった。 「お兄ちゃん、誰か一緒に居るの? 入るね」  部屋の中で一緒に眠ってるお母さんとお父さんと、起きてるのはわたしだけ。  こんな状況を見たお兄ちゃんと呼ぶ女性は、いったいどう思う?  わたしが行動を起こす前に部屋の扉は開かれた。 「え?」 「あ……」  入って来た女性の声とわたしが声を上げるのは同時だった。  部屋に入ってきた、お父さんをお兄ちゃんと呼ぶ女性は、わたしより年上に見える。  肩まで伸ばす栗色の髪に大きな瞳。  そして思わず見てしまう胸元は……わたしより大きかった。 「じゃなくて!」 「え、えっと……どちら様でしょうか? お兄ちゃんのお知り合い?」 「えっと……」  どう説明したら良いかわからなくなったわたしはお母さんを起こすことにした。 「お母さん、起きて!!」 「お母さん? って、シンシアさん!?」  女性はお母さんの事を知っているようだった。 「いつ帰ってきたの? それよりシンシアさんがお母さんってことは……  お父さんはお兄ちゃんなの!?」  その女性は混乱してるようだけど、頭の回転は速いなぁ、なんて他人事のように思った。 「お茶をどうぞ」 「あ、ありがとうございます」  リビングに下りたわたしたちはお父さんの妹である、麻衣さんにお茶をいれて  もらっていた。 「あのさ、麻衣……紹介が遅くなってごめん」  お父さんの説明を、麻衣さんが聞いていた。  その様子をお母さんはにこにこしながら眺めていた。 「ん……言いたいことはわかるんだけど、いまいち理解できない所もあるんだけど」 「あぁ、それは後でシンシアと一緒に全部話すよ」 「そう?」 「それよりも麻衣、今日の予定は大丈夫なのか?」 「あ、うん。急ぎの用事は無いから大丈夫だよ」 「そうか、それじゃぁ夜におやっさんの所で全部説明するよ」 「うん、わかった。お姉ちゃん達にも伝えておくね」 「麻衣は変わってないわね」 「それを言うならシンシアさんも変わってないよ?」 「そりゃもちろん、私は永遠の17才だから♪」 「え、えっと……」  お母さんのボケ? に麻衣さんはどう答えて良いかわからないみたいだった。 「さて、シンシア。この後の説明というか、俺もいまいち理解出来てない部分も  あるんだが……全部話しても大丈夫なのか?」  その言葉にお母さんは真面目な顔になる。  全部を話す、それは知ってはいけない事情も含まれる。 「そうね……知りすぎて今を壊してしまうのは避けたいわね」  お母さんは顎に手を当てる、お母さんが深く思考するときの癖だ。 「ねぇ、お母さん」 「なに?」 「家族への説明なんだよね? だったら何も隠す必要は無いと思うよ?」 「ふふっ、リリアちゃんは優しいわね」  そう言うとお母さんはわたしの頭を撫でる。 「もう、子供じゃないんだからっ!」  反論はする、けどお母さんに頭を撫でられるのは嫌いじゃないから、ふりほどくことは  しない。 「……でも、リリアちゃんならわかるわよね。私達家族の特殊すぎる経歴、そして立場を」  わたしが産まれた時代より1200年前の時代に産まれたお母さん。  お母さんが生まれ育ったこの時代の技術の発展はすさまじく、わたしが産まれた時代でさえ  まだすべての技術を取り戻してはいない。  そんな時代で生まれ育ったお母さんにとって、失われた技術は、失われていない。  ただでさえすべてを取り戻していないあの時代より、今は500年も前。 「私達が知ってる技術は、どんな些細な物であっても、この時代を壊してしまうものなのよ。  ましてや悪用されれば再び戦争が起きるくらいに、ね」 「……」  お母さんの言葉がわたしに強く重くのしかかってくる。  わたしがした研究は、実行できてしまった時空転移技術は、やっぱり…… 「俺はさ、家族に会いたいっていう研究は尊いものだと思うよ」 「おとう……さん?」  今まで黙って聞いてたお父さん。 「俺だってターミナルにたどり着く研究の動機は、同じだからさ。だからシンシア、そして  リリアちゃん」  そう言うとお父さんは私の前にしゃがんで目線を合わせてくれた。 「家族に会いたい為に産まれた技術を悪用させなければ良いだけのことさ」 「でもっ!」 「大丈夫、シンシアも居るし……俺もいる」 「お父さん……」 「ごめんな、二人とも。一番居てあげなくちゃいけないときに居られなくて」  お父さんはわかってくれた、わたしの気持ちを受け止めてくれた。  そう思ったら涙が出て、止まらなくなった。 「お父さん……ごめんなさい」  叩いちゃってごめんなさい。 「お父さん……ありがとう」 「まったく、タツヤはなんど私を惚れさせれば気が済むのよ、もう!」  お母さんがわたしとお父さんを一緒に抱きしめた。 「さっきの話だけどさ、俺一人じゃ難しいよな」  技術を悪用させずに正しく使うためのルール作り。 「だからさ、一緒に作り上げていこうと思うんだけど、手伝ってくれるかい?」 「もちろんよ、タツヤ!」 「はい、お父さん!」  お父さんに会いに来て良かった、今やっと、心からそう思った。 「……私、思いっきり空気よね」  麻衣さんのつぶやきに慌てて皆でフォローする。  それが家族そろっての最初の共同作業となった。 「私達らしくていいんじゃない?」  後になってお母さんはそう言って笑っていた。
8月4日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN) --- ・Memories,Cynthia 「あらあら♪」  目の前で起きた光景にちょっとだけ驚いた。  まさかリリアちゃんがいきなり達哉を叩くとは思わなかったけど、その気持ちは  痛いほどわかる。  私の名前を呼びながら駆けてくる達哉は、リリアちゃんの事は目に入っていないはず。  それを無視されたと思えば、叩きたくなるのもよーくわかる。 「尤も、達哉はリリアちゃんの事を知らないからどうしようもないのだけれどもね」 「あっ!」  私の言葉の意味に気づいたリリアちゃんは、ささっと私の後ろに隠れてしまった。  自分の勘違いに恥ずかしくなったのだろう。 「……シンシア」 「達哉、久しぶりね」 「あぁ……間違いない、シンシア!」 「えぇ、正真正銘本物よ」 「あぁ、生きている内に会えるとは思ってなかったよ、でも」 「こうして会えたわ、達哉」  私の記憶の中にある達哉とは違う、それは当たり前。達哉は私の居ない時間を過ごしたのだから。  でも間違いなく達哉。  変わっていても変わっていない、私の達哉。 「おかえり、シンシア」 「っ! ただいま!!」  達哉の優しい言葉に我慢できない!  広げてくれた腕の中に飛び込み、温もりを感じたい!  私はその一歩を踏み出す。 「10年ぶりだな、シンシア」  ………え゛?  達哉のその言葉に私は固まった。 「あれ? シンシア?」  そこには広げた腕の置き場に困った達哉がいた。 「え、あ、うん、何でも無いわよ、達哉。それじゃぁ改めて」  感動の再会をやり直そう、うん。 「タツヤ、大事な事を教えてやろう」 「フィアッカさん、お久しぶりです。大事な事って?」  フィアッカお姉ちゃんにも挨拶をする達哉を見たお姉ちゃんはくすりと笑う。 「お姉ちゃん?」 「タツヤにとっては10年ぶりだろう、だがシアにとってはそうではないのだよ」 「ちょ、お姉ちゃん!?」  言いたいことがすぐにわかった私はお姉ちゃんの口をふさごうとした。 「シア、何れ解る事だろう?」 「でも、でも!」 「タツヤ、大事な話だ。良く聞くと良い……シ、シア、おちつけ!」 「いーやーでーすっ!」 「全く、母になってもまだ子供のままなのだな。タツヤよ、お前の娘を名乗った子。  いくつくらいに見える?」 「……まだ10代前半くらい?」 「その娘を産んだシアが、10年ぶりでは計算が合わないだろう?」 「そういえば……」 「うぅ……ばれちゃった、私が年上になっちゃったことがばれちゃった」 「別に良いでは無いか、年の差なんて関係なかろう? もともとシアは700年前に  産まれたのだからな、元から年上だ」 「肉体年齢はまだぴっちぴちのにじゅう……はっ! お姉ちゃん、はかったわね?」 「いや、今のはシアの自爆だろう?」 「もぅ、お姉ちゃんのいぢわる!」 「まぁ、そういうわけでタツヤ。詳しいことは後で本人達に聞くと良い。  私は一度教団へ戻る」 「フィアッカさん?」 「安心しろ、とはまだ言えないがな。色々と調整しないといけない事が多い。  しばらくの間、シアとリアを任せたぞ」 「……はい」 「それとシア、リアもだ。後で教団に顔を出してもらう。悪いようにはしないから  ちゃんと来るのだぞ?」 「はぁい」 「では、また後で会おう」  そう言うとお姉ちゃんは姿を消した。 「え? 透明化? それと重力反応も? フィアッカお姉ちゃんはこの時代でもこれだけの  遺失技術を……」  背中から顔を出したリリアちゃんが分析していた。  良くも悪くも私の娘ね、本当に。 「シンシア……それに、リリア……ちゃん」  名前を呼ばれてびくっとするリリアちゃん。  そんなに人見知りする娘じゃないんだけど……さすがにこの状況じゃ無理よね。 「俺の家へ案内するよ、行こう……いや、帰ろうか」  そう言って達哉は手を差し出した。 「えぇ、帰りましょう!」  物見が丘公園からの帰り道、弓張り川の土手の上を歩く。  あのときの記憶が鮮明に思い出す。  初めて達哉の時代に来たあのときは…… 「……恥ずかしかった」 「お母さん?」 「ううん、何でも無いわ。初めてここに来たときの事を思い出しただけよ」  そう言って私は達哉に視線を向ける。 「……」  達哉は黙って視線を逸らした。 「お母さん、このお家って」 「えぇ、お父さんの家よ、これがオリジナル」 「オリジナル?」 「えぇ、その話は後で説明するわ、ううん、説明だけじゃない。話したいことは  いっぱい、いーっぱいあるんだから!」 「そうだな、俺も聞きたいこと、話したいことはたくさんある」 「今夜は寝かせてくれないのかしら?」 「そうしたいのは山々だけど、シンシアは起きていられないだろう?  絶対途中で寝落ちするのがわかる」 「確かに……」 「ちょ、リリアちゃんそこで納得するのはどうかと思うわよ?」 「だってお母さんだし」 「……」  私っていったい…… 「ごめん、今は客間は掃除してないから俺の部屋で寝てくれないか?」  そう言って案内されたのは、今は達哉の部屋。そして未来では 「わたしの……部屋?」  ベットの場所、机の位置、窓の景色。  内装は違うけど、それは未来の私達の家の、リリアちゃんの部屋だった。 「リリアちゃん、今は達哉の、お父さん部屋よ」 「これがお父さんの部屋……」 「いきなりあった男の部屋っていうのも嫌かもしれないけど今日だけは我慢して  くれないかな、……リリアちゃん」 「……嫌じゃ無いから良いです」  それだけ言うとまた私の背中に隠れてしまった。  いつも可愛いリリアちゃんだけど、今はそれに輪を掛けて可愛い。  思わず抱きしめて、抱き枕にしたいくらい可愛い! 「お母さん?」 「……なんでもないわよ?」 「……」  うぅ、娘のジト目が心に刺さる。 「とりあえずベットのシーツは変えたし、着替えは……どうしようか?  大きめのシャツでいい?」 「えぇ、寝やすければ大丈夫よ」  達哉はタンスから大きめのシャツをだして渡してくれた。 「それじゃぁ、俺は下のソファに寝るからゆっくり休んでね」  そう言って出て行こうとする達哉は、何かに引き留められたように足を止めた。 「?」 「「あ……」」  達哉の服の裾をつかんで止めたのは私の手と、リリアちゃんの手だった。  その行為の意味に、リリアちゃんが顔を真っ赤にする。 「……二人が嫌じゃなかったら、同じ部屋で眠ろうか?」 「ありがとう、お願いしても、いい?」 「あぁ」  私とリリアちゃんは大きめのシャツに着替えて、達哉のベットで横になった。  流石に同じベットで眠る訳にはいかないと、達哉は床に布団を敷いて横になる。  そして、部屋の電気が消された。 「……」  暗くなった部屋、私は不安に襲われた。  それはもう克服したはずの、不安。 目が覚めたら、そこは暗い空間に居て  今までのはただの夢だったのではないか?  リリアちゃんが産まれてから全く感じなかった不安に私は襲われていた。 「お母さん?」  私のすぐ横からリリアちゃんが声をかけてくる。 「どうしたの?」  内心を隠しつつ、返事をする。 「……寝て起きたらいつもの部屋だってことは……無い、よね?」  その言葉を聞いて、私はリリアちゃんも同じ不安を抱いているのに気がついた。 「……ふぅ、母親失格かしらね」  怖いのは私だけじゃない、リリアちゃんだって怖いのだ。 「ねぇ、達哉。まだ起きてる?」 「あぁ」  ベットの下から聞こえるその声に、私は安心する。でも、声だけじゃ足りない。 「達哉……今夜は、甘えても、いい?」 「今夜だけか? 俺はいつでも甘えてくれてもいいぞ。それでシンシア達の不安が  消えるのならね」 「……もぅ、わかってて言ってるなんていぢわるよ?」  そう言いながら私はベットから起き上がる。 「お母さん?」 「リリアちゃん、家族一緒に眠りましょう」  ベットの上では狭いので床の達哉の布団に潜り込む。  私の前にリリアちゃん、背中側に達哉、という形で横になった。 「だいじょうぶ、だいじょうぶよ、リリアちゃん」  緊張で固くなっているリリアちゃんを私は抱きしめる。 「お母さん……」 「ん……」  そんな私達を、背中側から達哉が抱きしめてくれた。 「温かいね、お母さん」 「そうね、とても温かいわ」  私達の言葉に、達哉は何も言わず、ただぎゅっと抱きしめてくれた。  その身体がわずかに震えてる気がした。  ……そうだよね、達哉だって不安なんだよね。 「ふふっ」 「?」 「なんでもなーい」  私はそう答える。  みんな不安で、その不安を払拭したくて、こうして身を寄せ合う。 「私達家族って、似たもの同士ね」 「そうかも、な」 「……ん」  二人の返事を聞きながら、私の意識は眠りへと落ちていく。  その前にどうしても伝えたい言葉を、頑張って二人に。 「おやすみなさい、リリアちゃん、達哉……二人とも大好き、愛してる……」  返事が聞こえてくる前に、私は完全に眠りに落ちた。
7月31日 ・夜明け前より瑠璃色な Moonlight Cradle aftershortstory            sincerely yours -Twilight Moon- Episode 1 「Memories,Tatsuya」 「もうこんな時間か……」  凝った肩をほぐすように動かし、伸びをする。  机の前に座ったのは夕食後だからかなりの時間、PCの画面とにらめっこしてた  ことになる。 「……ふぅ」  日付が変わってる時間、今日は家に帰ってきている麻衣ももう寝ているだろう。  俺も風呂に入ってから寝る、か……  そう思いながら、窓から夜空を見上げる。  闇のような夜空に、輝く月が浮かんで見える。  今ではなかなか会うことの出来ない、スフィア王国の王女で有り家族であるフィーナ。  月と地球の未来の為に今も頑張っているだろう。  俺は、フィーナの目指す未来に一緒に向かう事は出来ない。  俺は、俺の道を進まなくてはいけない。  失われた技術を取り戻し、いつか彼女が眠るあの施設へとたどり着くための道。  それが俺の進む道なのだ。 「……」  引き出しにしまってあるフォトフレームを取り出す。  表面のガラスが割れたフォトフレーム、そこに納められてる写真。  その写真は、時に俺を励ましてくれる。  その写真は、時に俺を落ち込まさせてもくれる。 「あれからもう10年、か……」  その10年で失われた技術の発掘、解析は早いペースで進行している。  だが……次元の壁を越える、あの場所へたどり着く技術にはまだつながらない。  俺は夜空を見上げる。  夜空に浮かぶ月、そしてその月より先にあるだろう、近くにあり、もの凄く遠い世界。  その世界の漆黒の空間に浮かぶ、ターミナル。  この地球の地上からいくら見上げても見える場所には無い。  けど、こうして夜空を見上げると、そこにあるように感じる。 「……あ」  自分の頬に流れる涙に気づいた。 「……ははっ、笑っちゃうだろう? 俺、こんな歳になってもさ。泣き虫なんだよ」  そう言い訳しないと、涙が止まらなくなりそうだった。 「もう二度と会えないのはわかってる、どんなに頑張っても俺が生きているうちに  次元を超えることは……出来ないだろう。  だけど、将来キミを救い出すために、後世の為に研究を続けていく決意は今も  変わっていない」  ・  ・  ・ 「でも……やっぱり会いたいよ、シンシア……」  視界が涙で滲んでいく。  そのとき涙で滲んだ視界の端を、何かが舞った。  そして感じる、この波動。  この感じは……あのとき、俺が初めて…… 「まさ、か……!?」  あり得ない、あってはならない現象、だが、たどり着きたい先にあるこの現象。 「ははっ、寂しすぎておかしくなっちゃったのかな?」  そう言ってかぶりを振った、その先に。 「っ!?」  白い羽根の結晶体が舞っていた。  1枚、そしてまた1枚。どんどん増えては、消えていく。 「この羽根は!」  見覚えのある、そして絶対に忘れられない白い羽根の結晶体。  この羽根は俺があのときターミナルから帰って来た時に俺の周りに舞っていた物。  そして、シンシアがターミナルに旅だったときにも舞った。  当時の俺には意味が完全に理解していなかったが、今ならわかる。  これは空間跳躍の際の余剰エネルギーが一時的に結晶化した物だ。  それが羽根の形になる理由はわからない。  と、言うことは! 「今、どこかでターミナルシステムを使って空間跳躍を行われた!」  俺は周りを見回した、窓から顔を出して見える範囲をすべて見回した。  何処にも白い羽根が舞った形跡が無い。  それを確認した俺は、部屋から飛び出した。 「はぁはぁ……」  息が上がる、身体は苦しく悲鳴をあげるが、走るのを止めない。  悲鳴を上げる身体とは逆に、頭は冷静になっていく。  あの羽根の結晶が、空間跳躍の余剰エネルギーという仮定はもうどうでもいい。  わかってることは、あの羽根が舞う時、誰かがターミナルシステムで跳躍を行った  という、事実。  そして俺の周りで羽根が舞った、と言うことは俺の近くのどこかで空間跳躍が  行われたはずだ! しかし俺の周りに跳躍した形跡は、ない。  と言うことはかなり大規模な跳躍が行われたと言うことになる。  跳躍した箇所より距離のある俺の部屋まで羽根が舞うのはその証拠だ。  あの羽根は、跳躍した本人の近くでしか舞わないはず。  そして俺の部屋の周りではその形跡が…… 「くっ!」  思考がループし始めてる。ここは落ち着いて…… 「っ! 落ち着いてなんて居られるか!!」  もう考えなんてどうでも良い。  誰だ! 誰が何処で跳躍を行った!!  真夜中の満弦ヶ崎市、当てもなく走る、訳では無い。  俺は、ターミナルへの跳躍が行われた場所へと向かっていた。  そこしか考えられないからだ。  あのモニュメントに向かう為に、弓張川の土手に立つ。 「なっ!」  脚がもつれて土手から河川に転げ落ちた。 「く、くそっ!」  立ち上がって土手を上がり、周りを見渡す。そこには何も無い。 「ならっ!」  もつれる脚を動かして、俺は向かう。  シンシアと別れたあの場所、物見が丘公園のモニュメントへ。 「つっ……」  あれから何度脚がもつれて転んだのだろう。その回数はもう覚えてない。  やっとたどり着いた公園の入り口。 「……」  このままではもう一歩も歩けない、だから呼吸を整える。  そして、一歩ずつ、モニュメントのある丘へと向かう。  公園の街灯と月明かりに導かれるように、俺は進む。  それ以上進むな、行くと後悔する、きっと誰も居ない。  そう言う俺と。  もしかして……  そう願う俺と。 「……」  行くのが怖い、ここまで来て誰も居ない、という結末が、怖い。  だけど…… 「俺は、立ち止まるわけにはいかないんだ」  脚が震える、それはここまで走ってきたからだけでは無いだろう。  そんな脚を叩いて、先に進む。  一歩ずつ、一歩ずつ。  そしてたどり着いた丘の麓。  怖くて下ばかり見ていた俺は、覚悟を決めて。視線を上げた。  その先には……  長い金髪を頭の上でまとめた女性が居た。 「……シンシア……シンシア!!」  見間違うわけが無い、10年間ずっと思い続けてきた彼女が、シンシアが  そこにいる! 「シンシア!!」  俺はシンシアに向かって走り出す。  他に人が居るのもわかるが、そんなのは気にしない。  俺が会いたいのはシンシアだから! 「シンシア!!」  あと少し、もう少し。  俺の視界の中でシンシアが大きくなっていく。 「シンシア!!!」  あとちょっとでたどり着く、そのとき突然俺の目の前に一人の少女が立ちふさがった。  その少女はシンシアに似ていた。  初めて会ったあの時のシンシアより幼く、そして髪はサイドで結わえてある。  そこまで確認したとき、その彼女が動いた。  パシッ! 「え?」  その少女から平手打ちをされた。  何故? なんで? 俺が何かしただろうか?  それに、シンシアに似ている彼女はいったい?  一瞬にして浮かぶ謎だけど、俺は叩かれた頬を押さえることしか出来なかった。  そして少女は口を開く、その声はシンシアと違って、鈴を転がすような可憐な声だった。 「お母さんに寂しい思いをさせたこと、わたしを無視した事、これで許してあげます」  その一言に思いついた事もあったが、それより先に疑問が口にでた。 「……キミは?」 「初めまして、わたしはリリア・朝霧・マルグリット」  リリアと名乗った少女は眩しい笑顔で俺に衝撃の言葉を伝えた。 「貴方の娘です、お父さん」  シンシアと、俺と、突然現れた俺の娘、リリア。  家族の物語は、こうして唐突に始まった。
7月23日  それは、再開から始まった家族のお話。 ---  目の前で舞ったそれは、白い羽根の結晶体。 「っ!?」  見覚えがある、いや、絶対忘れられない。  この白い光の羽根は、あのとき俺がターミナルから帰ってきたときにも舞っていた。  そしてシンシアがターミナルへ旅立つときにも舞っていた。  当時この羽根の意味はわからなかった。でも今は想像できる。  空間跳躍の余剰エネルギーが結晶化したものだろう、  それが羽根の形になるのはさすがにわからない。 「まさか・・・そ、そんな訳は無い・・・けどっ!」  俺は上着を手にとって部屋から駆けだした。 ---  それは、再開までの埋められない時間 --- 「・・・おかえり、シンシア」 「ただいま、達哉!」  もう我慢出来ない、達哉の胸に飛び込みたい、達哉の温もりに包まれたい。  私はその一歩を踏みだそうとして、そして。 「10年ぶりだな、シンシア・・・あれ?」  私の脚は踏み出す形でぴたっと止まった。 「シンシア?」 ---  それは、初めての家族の時間の始まり ---  初めて家族3人揃って眠った夜、わたしは緊張してたけど疲れてたのか、  思ったよりも早く眠りについてしまった。  その後お母さんとお父さんがどう過ごしたのかは眠ってしまったわたしには  普通はわからない。  けど、お母さんは眠りにつくのが早いので、多分わたしと同じくらいの時間には  眠ってしまったと思う。 「・・・んー」  わたしはそっと上半身を起こす、そしてベットの上を見る。  一番壁側のわたし、そしてお母さんが眠っていて、そのお母さんを抱きしめるように  眠ってるお父さん。 「お父さん・・・か」 ---  夜明け前より瑠璃色な Moonlight Cradle aftershortstory sincerely yours -Crescent Moon-  続編にして完結編。  夜明け前より瑠璃色な Moonlight Cradle aftershortstory sincerely yours -Twilight Moon-  まもなく、連載開始・・・予定です(^^; --- ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN)
7月13日 ・FORTUNE ARTERIAL SSS”風鈴” 「今日も暑いな……」  手に持ったうちわを扇ぐ。 「そんなに暑いならクーラーの効いた部屋に行けば良いのではないかしら?」 「それもそうだが、夏は暑いのが当たり前であろう?」 「そうね、でも昔はこんなに暑くは無かったわね」 「そうだな」  まだここがただの村だった頃は、夏といってもここまで暑かった記憶は無い。 「時代の流れなのであろうな」  珠津島の山の中腹にある千堂家はこれでもまだ涼しい方だろう。  近代化された中心部の方では、日陰とはいえこうして縁側にすわって居られないほどの  暑さになっていることだろう。  ちりん。  風鈴が風に揺らされて、涼しげな音がなる。  遠くからは蝉の鳴く声。 「夏、だな」 「えぇ、そうね」  ・  ・  ・ 「伽耶、お昼ご飯は冷や麦にしたわ」  そう言いながら桐葉はお盆にのせた冷や麦を持って縁側に出てきた。  ガラスの器に盛られた冷や麦は、とても涼しそうに見える。 「はい、伽耶」 「ありがとう、桐葉」  小さなそばつゆの入ったガラスの器を受け取る。 「それでは」 「「いただきます」」  冷や麦を一房とり、つゆにつけてから一気にすする。 「冷たくて美味いな」 「そうね、夏は見た目から涼しい方が食が進むわね」 「そうだな……」  見た目が涼しくのどごしも良い冷や麦はこういう暑い日にはうってつけだと思う。 「……」  ガラスの器に盛られた白い麺の冷や麦。  手に持った黒いそばつゆにつけて食べる……うってつけのはずなのだが。 「のぅ、桐葉。おぬしの手に持ってるのは……」 「そばつゆよ?」 「……普通、そばつゆは黒いのではないか? 桐葉のはどうしてそこまで赤いのだ?」 「……そうね、少し七味唐辛子を入れすぎたかもしれないわね」 「少し、か……」  黒いそばつゆが赤くなるほどの七味を少し、か。 「結構美味しいわよ、伽耶も味見してみる?」 「謹んで全力で遠慮する!!」 「そう? 美味しいのに」  そう言って桐葉は箸を動かす。  ガラスの器に盛られてる白い冷や麦を一房、手持ちの器の赤いそばつゆにつけて口元に運ぶ。 「……涼しげなはずの食事なのだがな」  なんだか汗が出てきた気がする。 「まぁ良い、桐葉が美味いと言うのなら何も問題はなかろう」  そしてあたしは普通の黒いそばつゆで冷や麦を食べた。 「「ごちそうさまでした」」 「さて、この後はどうするかの」 「迎え火は暗くなってからですものね、その頃には伽耶ちゃん達もくるでしょう」  お盆に入った今日は迎え火をする。  それは、父様が帰ってくる日、だからこそ家族みんなで出迎えたい。 「そういえば、伊織君は来るのかしらね?」 「……知らぬわ」  来たら来たで色々と引っかき回していく伊織なぞ来なくても良いのだが。 「だが、あれでも息子だからな」 「ふふっ、居なければ居ないで寂しいものね」 「寂しくなぞないわ! あたしには伽耶がいるのだからな!」  お祖母ちゃんって言ってあたしに抱きついてくる孫の伽耶。  瑛里華が小さい頃を思い出すが、あのときとは違う愛おしさがある。  やはり初孫だからだろうか?  ちりん。  風鈴の涼しい音色が響く。 「今年のお盆も、騒がしいのだろうな」 「そうね、でもその方が楽しくて良いと思うわよ」 「そう、だな」  ちりん。  この青空の空高くまで、風鈴の音色が響いた。
6月30日  梅雨明けの、箱根の空。 「とても青いです」
5月20日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN) --- ・FORTUNE ARTERIAL SSS”そういのうつわ?” 「やぁ、みんな元気にやってるかい?」  引退した会長、元会長が監督生室にやってきた。 「伊織先輩、こんにちは」 「こんにちは、白ちゃん」  挨拶しながら当たり前のように会長の椅子に座る。 「そこに座ると瑛里華似怒られますよ?」  無駄だとわかってるけど俺は一応忠告する。 「かまわないさ」 「お茶が入りました」 「ありがとう、白ちゃん」  引退しても会長は会長だった。 「ところで支倉くん、確認するが瑛里華は今は留守だよね?」 「はい、なんでも東儀先輩に呼ばれて出かけてます」 「そうかそうか、上手くいったんだな」 「今度は何をしたんですか?」 「失礼だな支倉くん」  そう言って立ち上がる元会長。 「何をしたのではない、これからするのだよ!」 「駄目ですよ?」 「なに、現会長は居ないし元会長の特権だよ」 「そんな特権はありません」 「気にしない気にしない」  そう言いながら元会長は何かの書類を取り出した。 「今のうちにこれを通してしまおう、承認印の場所は変わってないようだしね」 「あ、いつのまに!」  手には生徒会承認の印が握られていた。 「それ以上すると瑛里華にまた怒られますよ?」 「ふっ、この俺が何も策を弄さず行動すると思うのかい?」 「いつも最初は行き当たりばったりですよね」 「結果が出ればオーライさ!」  そう、イベントの企画はいつも思いつきや行き当たりばったりのはずなのに、それが何故か  すべて大成功させてしまう。  それが修智館学院の元生徒会長、千堂伊織のすごい……恐ろしい所だ。 「それに、今の瑛里華に俺をとらえる力は無いさ」 「それはどういう意味かしら、兄さん?」  いつの間にか扉の前に瑛里華が立っていた。 「げっ! 帰ってくるの早すぎる!」 「征一郎さんに言われたのよ、きっと今頃兄さんが何かを企んでるはずだろうって」 「ちっ、足止めにあの機会を壊しておいたのに」 「やっぱり兄さんのせいだったのね?」 「ふっ、だがもう遅い! この企画書に承認の印は押した後なのだ!」  確かに企画承認の印は押されてる。 「そうね、でもその企画書が最初から無かった事にすれば問題ないわよね、兄さん♪」  瑛里華が一歩前に進む。 「はははっ、今の瑛里華に俺はとらえられまい、はっ!」  窓から外に飛び降りた元会長。 「追うわよ、孝平!」 「はぁ、わかったよ」 「行ってらっしゃいませ、支倉先輩、瑛里華先輩」  手を振る白ちゃんに見送られながら俺たちは元会長を追うことになった。  元会長は裏山の方へと逃げていく。  それを追いかける俺たちだが…… 「離されていく!」 「やっぱり吸血鬼の身体体力は化け物よね」 「これでも俺たちはそのかけらを宿してるんだけどな……」  普通の人なら追いつけないだろうが、なんとか見失わないで済んでいるが、追いつく決め手は無かった。 「ここは?」  いつの間にか河に出ていた。 「兄さんは」 「遅かったな二人とも!」  元会長は河の中にいた。 「流石に水の中まで追いかけて来れないだろう? 今回は俺の……勝ちだ!」 「全く、伊織は何をしてると思えば……」 「げ、征?」  河の上流の方から東儀先輩が歩いてきた。 「征一郎さんが来てくれたってことは」 「あぁ、用意できたぞ」 「もう直したのか? だが想定済みだ! アレは水中では役に立てないだろう」  元会長の言葉に瑛里華は微笑む。 「兄さん、東儀家の技術力を馬鹿にしちゃいけないわよ。技術は進歩してるんだから、ね♪」  そのとき東儀先輩の背後から何かが転がってきた。  その何かは、瑛里華の前に止まる。 「うん、思ったより可愛いわね」  そう言うと瑛里華はそれに乗り込んだ。   「この子は水中用の兄さん殲滅ユニットよ!」 「ちょ、瑛里華!? 前の時は相違の器っていってたよね?  なんで今回は俺の殲滅ユニットなんて名前がついてるの!?」 「だって用途がそれしかないじゃない」 「征!? お前んとこ才能の無駄遣いしすぎだろう!?」   「くす、兄さん。覚悟はいい?」 「まだだ、まだ終わらんよ! いくら水中用とはいえそのままでは海まで逃げ切った俺には追いつけまい!」 「この子は水中用よ、こうして中に乗り込んじゃえば……」  そう言うと瑛里華は完全に乗り込んだ。   「それおかしくない? 絶対中に入りきれないよね?」 「ふふっ、覚悟はいいかしら、兄さん♪」 「瑛里華先輩、お茶です。 「ありがと、白」  白ちゃんからお茶を瑛里華はいつものように優雅に飲む。   「ふぅ、一仕事終えた後のお茶は最高よね」  あの後水中戦となった二人の戦いを知るものは居ない。  だが、帰ってきた瑛里華の手にはぼろぼろになった企画書と承認の印を持っていたから  何とかなったんだろう、と思う。 「……」  俺は元会長の冥福を祈る事しか出来なかった。
5月13日 ・早坂の独り言  先日おでかけしてきました、今回は長野の蓼科高原です。  ・・・が。  高原なのですが、泊まった宿は山の中腹のため、完全に山の中(^^;  木々が生い茂ってるので窓からの景色もそんなに良くなく(^^;  良い写真が撮れなかったのが残念です。  旅の途中の写真は、ちび姫様が行く! だいじぇすと で掲載されていますし  リリアのツイッターの方でも多少ですが公開されていますので、よろしければ  見てくださいです。 CG:クリスティン・ケトラ(ほしとつきと,あきはら涼さん)  あきはらさんの日記にてあいミスよりクリスの絵が公開されました。  可愛いクリスさんの絵です(*^^*)  邪念撲滅!と言いながらもその姿に邪念を抱かせるような衣装ですよね(笑)  また、前のエントリで誕生日祝いのリースたんの絵も公開されています。  ギザ様はとうとう世界をも超えたのですね(笑) CG:小太刀凪(Sketches and company,ブタベストさん)  最新のエントリで制服をちゃんと着た?凪の絵が公開されました。  ブタベストさんの思考の流れがよく解る(笑)凪の絵ですね。  人は何故山を見るのか、そこに山があるからだ、な訳ですね(^^)  実に見事な制服のお山さんなのです(*^^*)  ふと思ったのですが、そもそもちゃんとした制服の着こなしをしてる生徒って  汐見学園の中にどれくらい居るんでしょうかね(^^;  メインでは玉藻だけだし、生徒会の真帆と葵だけじゃなかったかな?  さすがは自由な学園です(^^; ---  今日は母の日。  お礼を言いたい母は何処に? --- ・FORTUNE ARTERIAL SSS”母の日” 「はい、伽耶」   「桐葉、これはなんだ?」  桐葉から渡された一輪の花を見る。 「カーネーションよ、今日は母の日でしょう?」 「あたしはお前の母ではないぞ?」 「当たり前よ、私は伽耶の娘じゃ無くて親友ですもの」 「……」  当たり前のように言ってくれるその一言に、あたしは顔を背ける。 「あら、どうしたのかしらね、伽耶」 「なんでもない! それよりもこの花は」 「えぇ、伽耶の思ってるとおり、瑛里華さんからよ」 「……」 「いつもどこに居るかわからない貴方への伝言もあるわよ」 「誕生日だけじゃなくって、母の日にも帰ってきて私に祝われなさいよね!」 「だそうよ?」   「なんだ、その言いぐさは……」 「そうね、伊達に伽耶の娘ではないわね」 「どういう意味だ、桐葉?」 「さぁ?」 「……そう、だな。帰る回数を増やしてもいいかもな」 「あら、伽耶もとうとうデレたのね?」 「出れた?」 「ふふっ、なんでもないわ」  桐葉の笑顔がなんだか腹が立つが。    花の香りがあたしを落ち着かせた。 「母……か、あたしは母失格なのだがな」 「そうね、でも貴方が瑛里華さんの母親であることには変わらないわ」 「……そう、だな。よし、桐葉。来月珠津島へ戻るぞ」 「今すぐじゃなくて?」 「今は戻る理由が無い、だが来月ならあるであろう? 祝われなさいとほざいた我が娘を  祝ってやらねばな」 「全く、素直じゃ無いわね」 「桐葉、その笑顔はなんだ? なんだか馬鹿にされてるように思えるのだが?」 「温かく見守っているだけよ」 「それが馬鹿にしてるというのだっ!」 「はいはい、それで来月帰る事は伝えちゃいけないのよね?」 「当たり前だ、今日の礼に瑛里華を驚かせないと気が済まないからな」 「ふふっ、本当に不器用よね」 「何か言ったか?」 「なんでもないわ」  まぁ、良いか。さて、来月瑛里華にどう仕返しをしてやろうか?  そのことを考えると、面白くなってきた。 「ふふっ」 「ご機嫌かしらね、伽耶」 「さて、な?」
4月26日 --- ・sincerely yours short story「よい風呂の日」 「ただいま」 「おかえり、リリアちゃん。おやつにする? お風呂にする?」 「お母さん、どうしたの?」 「ん? リリアちゃんが帰ってきたからおやつにするかお風呂にするか聞いただけだけど?」 「そうじゃなくって、こんな昼間っからお風呂にするっておかしくない?」  夏場で汗をかいたならまだわかるけど、今の時期はそうそう汗をかく時期じゃない。  帰宅してすぐにシャワーを浴びる必要は無いと思うんだけど。 「今日はね、よい風呂の日なの」 「そうなの?」  今日は4月26日……4が良い、26で風呂、って事かな? 「ちゃんと制定された日なのよ?」  そう言うとお母さんはお茶を煎れながら説明を始めた。 「よい風呂の日はね、親子でお風呂に入って対話を深めたり家族同士のふれあいを促す記念日なのよ」 「そうなんだ」  昔の人は語呂合わせみたいにいろんな日を制定してるんだよね。  これもそんな日の中の一つなんだろうなぁ。 「そういうわけで、リリアちゃん、家族同士のふれあいしましょ♪」 「パス」 「……仕方が無いわね」 「え?」  お母さんがあっさり引き下がった? なんだか危険な気がする。 「それじゃぁ夜達哉が帰ってきたらみんなでふれあいしましょうね♪」 「お母さん、それ本気?」 「もっちろん♪」  このまま夜になれば間違いなくお父さんと一緒にお風呂に入る羽目になっちゃう。 「……お母さん、わたしは今お風呂に入ろうと思ってるんだけど」 「そう? お母さんも一緒していいの?」  眩しいくらいの笑顔のお母さん。  ……手のひらの上で踊らされてるのがわかって悔しいけど。 「いい、よ」 「リリアちゃんがデレた!!」 「違うからっ!!」 「〜♪」  すごく嬉しそうなお母さんと一緒に脱衣所に入る。  もの凄く負けた気がするけど、お父さんを巻き込んでの夜のお風呂よりまだ良いと思うんだけど…… 「なんだかやっぱり悔しい」 「どうしたの、リリアちゃん?」 「なんでもな……」  振り返るとすでに下着まで脱ぎ終わったお母さんの姿が目に入った。 「ほら、リリアちゃんも早く脱いで」 「っ、自分で脱げるから!」  お母さんに背を向けて下着を脱いで、先にお風呂場へと入った。  後を追うようにお母さんが入ってくるんだけど 「ぐすっ」  タオルを目に当てていた。 「……一応聞くけど、なんで涙目なの?」 「娘の成長を確かめようとしただけなのよ、なのに」 「それ以上言わないでいいから!」 「大丈夫よ、リリアちゃん!」 「ふわっ!?」  私はお母さんに抱きしめられた。 「まだまだリリアちゃんは成長期ですもの、きっと大丈夫!」 「……」  何処のこととは言わないでもわかる、そして抱きしめられることでお母さんのふくよかな胸に顔が  埋められる感触に、どうしてわたしのは大きくならないのかなぁと思ってしまう。 「さ、身体を洗って一緒に湯船に入りましょう♪」  ・  ・  ・ 「ねぇねぇ、達哉。今日はね、よい風呂の日なの」 「そうなんだ?」 「うん、親子でお風呂に入って親睦を深めたり家族でお風呂に入ってふれあう日なの」 「わたしは夕方に入ったからもう入らないからね?」 「えー」 「えー、じゃないの! お母さんも二人っきりで入った方が良いでしょう?」 「……リリアちゃん、ナイスっ!! そーゆーわけで達哉、一緒に入りましょう♪」 「わたしは部屋に戻ってるね」  夜のお風呂はなんとか逃げる事に成功したけど。 「……なんだかもやもやする」  すっきりとしない夜だった。
4月9日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN) ・今日のおでかけ  ツイッターの方を見て頂いてる方にはおなじみの、奥日光へと行ってきました。  特に観光する予定も無く、温泉とご飯だけでしたが(^^;  今回も帰りに東照宮に寄ってきました。  写真でのレポートはちび姫様が行く!の方でだいじぇすと公開しています。  それ以外での1枚。  東照宮の中にある杉並木。圧巻される存在ですね。    ちび姫様「すごいですね、まさに空に向かって育つ樹、です」   姫様、上手いこと言いますね  ちび姫様「えっへん、です♪」
4月6日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN)  ツイッターで該当記事のリツイートをされたあきはら涼さん、SHOuLaさん  ありがとうございました。 ---  現在長期メンテナンス中で、お話を書いてもガチャが出来る訳ないのですが  サービス再開後にガチャで引けることを願って!  ラディスとのお話です。 --- ・あいりすミスティリア! SSS”真理を究めし大魔術” 「あれ、めーおー? どうしたの、こんな所で」  こんな所でって、いつもラディスが居る場所だろう? 「確かに、この中庭の芝生は冥界の中で一番居心地が良いんだよね〜」  わかる気がする。 「って、それよりもめーおーは何してるの?」  ちょっと悩み事。 「悩み? めーおーに?」  ……泣くぞ? 「あー、ごめんごめん。で、ほんと何してたの?」  ちょっと考え事をしてただけだよ。 「考え事?」  そう、世界樹の種子集め、今ちょっと中断しているだろう?  ……おとなのじじょーで。 「あー、うん、おとなのじじょーってやつだよね、うん」  まぁ、それはおいといてさ。  地上に出た際にフォロー出来ることを増やせないかなぁって思ってるんだよ。 「フォロー? あぁ、あの魔術”冥王の盾”の事?」  うん、あれもちょっと問題ある魔術だから改良したいとは思ってるんだ。 「問題あったっけ? あれってあたしのものすごく強力な魔術でさえ防いじゃうじゃん」  確かに、どんなに強い攻撃でも1度だけ確実に防げるような魔術にしたんだけどさ…… 「そういえば、逆に初級魔術でも1度で割れちゃったね、あの盾」  やっぱり術式に問題あったかなぁ。 「それもあるけど、名前もあるんじゃないの?」  名前? 「めーおーのたて、でしょう? あの肉壁の」  いや、確かに地上ではミートウォールでしか役に立てないから新しい術式を考えようと  悩んでたわけなんだよ。 「盾を改良したら?」  んー、弱い攻撃を複数回防げるようにすると、多分強い攻撃は防げなくなるかもしれないし 「とりあえず名前からだよね」  え? 名前? 「冥王の盾、じゃあまり格好良くないじゃん」  ……そー言われればそうかも。 「そーだなぁ、こんなのはどう? 我は与う冥府の盾!」  おおっ、なんだか格好良い! 「でしょでしょ? やっぱりオリジナルの魔術なら格好良い名前をつけないと!」  そういえばラディスの魔術にも格好良い名前の魔術、あるよね。  あれはラディスが組み上げた魔術なんだよね? 「その通り!! あたしが組み上げたあたしだけの魔術だから、格好良い名前なのだ!」  あ、でも一つ気になったんだけど 「なに?」  あの光の白刃の魔術、なんで上空から撃ってるの?  普通に手元から放てばいいじゃない? そうすれば我は放つ…… 「すとーっぷ!」  ん? 「それ以上は駄目、色々と抵触するから」  そ、そう? じゃぁ止めておこう。 「うん、それが無難だよ、師匠も言ってたし。天上人でさえ逆らえない力に飲まれるって」  そう言われると逆らってみたくなる。 「あー、めーおーってそう言う性格だったよね。ま、あたし達に被害なければいいよ、別に」  さてっと、とりあえず術式をいじってみたけど、上手くいったかな? 「え? もう? ってか、あたしとしゃべってただけじゃなかった?」  うん、話ながら術式いじってた。 「……相変わらず非常識」  失礼な、これでも冥界一の常識人だぞ? 「はいはい、それじゃぁ実験してみようか? あたしの最大級の魔術、いっくよー!」  ちょ、まった、まだ盾を展開していない! 「来たりて滅ぼせ、界雷の王!」  ……  ・  ・  ・ 「ラディスさん、言い訳はありますか?」 「これは事故だって!」 「大きな雷の音が聞こえたと思ったら、そこに雷に打たれて黒焦げになってぴくぴく痙攣してる冥王さまが  いたんですよ? 犯人はラディスさんしか居ません!」 「だーかーらー、事故だって! 「まぁ、追求は後でするとして今は冥王さまを部屋まで運ばないと」  それには及ばないよ、ユー 「冥王さま!? だいじょうぶなんですか!?」  冥界でなら俺は無敵だから 「まぁ、確かに冥界での冥王さまはミ……無敵ですものね」  ユー、今なんて言おうとした? 「……なんのことでしょうか?」  俺、やっぱり泣いていい? 「それで冥王さま。改良は上手く行ったのですか?」  あー……試行錯誤中かな。 「上手くいかなかったんですね」  夏前までには完成させる! ……たぶん。 「冥王さま、それももしかして」  うん、おとなのじじょー。 「……はぁ、それって便利な言葉ですよね」  俺もそう思った。
4月2日  最後尾の車の荷台。  呪装刀が積まれているはずなのだが、人の気配がする。  敵意は感じないので、とりあえず幌を切り捨てることにした。  俺は呪装刀を構え……  本能のまま、後ろに飛び去った。 「な……」  俺が居た場所にはいつの間にか女が立っていた。  その両手には…… 「呪装刀……武人か?」 「貴方様がどなたかは存じませんが、この車の中のお姉さまを斬らせる訳にはいきません」  両手の呪装刀を構えたその少女を観察する。  まず気になったのは着ている服だった。  多少は改造されてはいるが、間違いなくこれは巫女の着物だ。  いや、手に持ってる物が呪装刀なら、呪装具の可能性もある。  そして二本の呪装刀を構える。  本来武人は呪装刀の力を引き出すために一振りしか使わない。  その呪装刀をそれぞれの手で構えて……そして間違いなく呪装刀は二本とも力を発揮している。 「あり得ない……」  なにより、呪装刀を操る武人が共和国側につくこと自体あり得ない。 「……」 「ボクは貴方と戦おうとは思っていない、お姉さま……斎巫女様を助けられれば、手を引く」 「な、斎巫女、だと!? 斎巫女殿が居られるのか!」 「はい、ボクは個人の意思で……斎巫女を助けに来ました」 「と、いうことは……敵ではないのか?」 「巫女が武人と敵対する事などあり得ないでしょう?」  そう言うとその呪装刀を軽くその場で振り抜いた。  その一振りで車の扉の壊した。 「わひゃぁ!?」 「お姉さまっ!!」 「殺さないで殺さないで、私は人畜無害なただの巫女ですっ!」  中から転げ落ちてきた巫女の少女は高速で土下座する。 「お姉さま、お怪我はございませんか!?」 「その声は……あやちゃん?」 「はい、お姉さま。助けに来ました!」 「あやちゃん……ありがとう、でも無茶は駄目ですよ?」 「お姉さまを守るのがボクの役目です」 「そうだけど……全くもう」  斎巫女はその少女を抱きしめる。 「私を守ってくれるのは嬉しいですけど、ちゃんと自分も守らないと駄目ですよ?」 「……はい」 「その、取り込み中済まないのだが」 「え……わひゃぁぁっ!」  俺の問いかけに斎巫女殿は大きく驚いた。  呪装刀を持った巫女よりも上質な巫女の装束を纏ったその少女はどこかあどけなさが残る  大きな目を俺に向けた。それは驚きよりも好奇心を持った目だ。  二人は姉妹なのだろうか? 斎巫女に妹が居たとは聞いたことは無いがあり得ない話ではないだろう。  しかし……姉妹にしては似てなさ過ぎるな、特に胸が。 「むっ、貴方今なにか失礼な事を考えませんでしたか?」  呪装刀を構える巫女の少女。 「……いえ、なんでもありません。それよりも斎巫女殿が何故共和国軍の車に?」  誤魔化しましたね、という少女の声が聞こえた気がしたが、聞き流した。 「はい、軍の方に呪装刀を研ぐように言われたのです」 「なに、共和国軍が呪装刀を?」 「断りましたら、車の荷台に放り込まれました」 「神殿の警備は何をしてるんだ?」 「それは、共和国軍には逆らえないとのことで……」  勅神殿は進行の要となる神殿、その警備すら共和国の言いなりとなってるなんて。 「お姉さま、ボクが居れば阻止できたのに、申し訳ありません」 「良いのです、あやちゃん。あのとき諍いが起きれば問題が大きくなってしまったでしょうから」 「だが、それで斎巫女が拉致されたとなるのも問題かと思うのですが」 「はぅ……そう言われればそうですね」 「そんなことよりもお姉さま、早く神殿へ帰りましょう」 「でも、ここは街のどの辺なんでしょう?」 「でしたら、俺が途中までお送り致しましょう」 「よろしいのですか?」 「はい、車までご案内します」  この現場に長居するわけには行かない。呪装刀の回収は奉刀会に任せることにした。 「古杜音? 古杜音じゃないの?」 「へ? あ、朱璃様!?」 「それに彩花まで? どうしてこんな所にいるのよ?」 「朱璃様こそ、伊瀬野にいらっしゃったはずでは?」 「知り合いなら心配ないな、しばらく車にのっていてくれ」 「あ、うん。古杜音、彩花。早く車にのって」  この物語はもう一つの物語。  伊瀬野の巫女達を守る、巫女であって呪術を使わず守るために戦う巫女。  その少女が斎巫女と一緒に天京に来た時に始まった物語。  外伝・千の刃濤、桃花染の皇姫 ---  近々連載予定!  という嘘を考えました(笑)  エイプリルフールは昨日ですけど、昨日には間に合わなかったので今日とっさに書きました(^^;  や、実際にはプロットはあるんですよ? 設定も考えたんですよ?  でも、書き上げる時間が無いのでお蔵入りしてるだけなので、あながち嘘じゃないんですが  まぁ、連載開始しないから嘘っていえば嘘ですよね(^^;
4月1日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN) ・一目でわかる嘘。  「早坂完全復活」  ・・・(汗) ・早坂の独り言  もう先週になるんですよね、春分の日の大雪。  早坂、あの日休みではなく、あの寒い中の外回りで完全に身体壊しました(T_T)  で、その後休みがもらえずずっとだましだましで、やっと落ち着いてきたのがもう4月。  新年度になりましたが、移動しない限り今年もこんな感じになりそうです。
3月19日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN) --- ・処女はお姉さまに恋してる〜3つのきら星〜SSS”お姉さまの為に” TSUKIKO SIDE 「それでは密お姉さま、よろしくお願いします」  密お姉さまに料理を教わるようになってしばらくして、買い物から始めることになった。  簡単な料理ということで、今日はカレーを作ることになっている。 「では、まずはカレールーから買いましょうか」  カレーにどの野菜が入ってたかな? と考えてた私は密お姉さまの言葉を不思議におもった。 「ルーが最初なんですか?」 「えぇ、来てみればわかりますよ」 「ふぇ〜、ルーっていってもいっぱいあるんですね」  メーカーの違いも辛さの違いもいろんな種類がある。 「そうですね、今日は甘すぎず辛すぎずが良いかもしれませんね」  密お姉さまがとったカレールーには中辛と書かれていた。 「月子ちゃん、このルーの箱の裏をみてください」  言われたとおりに裏を見ると 「あ、レシピが書いてあります!」 「えぇ、何人分かのレシピが書かれています、そのレシピにあわせて野菜を買えば間違いはありません」 「なるほど……」  確かに私が先に野菜売り場に行ってしまえばどの野菜をどれくらい買えばいいかなんてわからなかったに  違いない。 「今日の寮生のみんなは……確か織女さんはご実家に帰られて居ないので7人ですね。それではルーの量も  人数にあわせて買っていきましょう」  私は密お姉さまに教わりながら、人数に合わせて野菜を買っていった。 「あの、密お姉さま。ちょっと量が多かったと思うんですけど?」  7人分の材料より多くの野菜を密お姉さまは買っていた。 「えぇ、少し多めに作ろうと思ってます。確かに人数分で問題は無いですが月子ちゃんも美海さんも  美味しいとお替わりするでしょう?」 「あ……確かに」 「それに、残ったカレーも美味しい料理に出来るの」 「そうなんですか?」 「えぇ、その話はまた今度してあげるわね」 「よろしくお願いします!」  残ったカレーはそのまままたカレーライスとして食べるものばかりと思ってたけど、密お姉さまがそう  言うのならきっと美味しい料理になるんだろうなぁ。  寮の厨房に戻ってからも大変だった。  作り方はルーの箱の裏に書かれているので大丈夫だとおもったんだけど。 「じゃがいもは角をこうして切っておくと型崩れしにくくなります」 「はい!」  箱に書かれてないいろんな事を教わりながら、私はカレーを作り上げた。 「おおっ、これがつっきーの手料理か」 「は、はい……でも、密お姉さまにもお手伝いしていただきました」 「私は今回はほとんど何もしてません、カレーは間違いなく月子ちゃんの手料理ですよ」 「密お姉さま……」 「よし、それじゃぁ食べよう。主よ。その慈しみに感謝し、この糧を祝福をもて、私どもの心と  身体の支えとなりますように。アーメン」 「「アーメン」」  美海お姉さまの少し早口なお祈りに苦笑いしながら、みんなでカレーを食べ始める。  私は緊張して、まだスプーンを持つことも出来ていない。 「ん……美味しい! つっきー美味いよ!」 「美海お姉さま? 本当ですか?」 「私がつっきーに嘘つく意味ないだろう? それに周りを見てみろ」  言われるとおりに他の人の反応を見る。 「美味しいですわ、月子ちゃん」 「えぇ、なんていうか……優しい味がします」 「どこかで食べたことのあるような味がします」 「それは市販のカレールーを使ってるから、家庭の味と同じになるからですよ」  鏡子さまのその言葉に美海お姉さまがはっとした顔になる。 「そっか、これが家庭の味なんだよなぁ」  そう言って改めてカレーを口に運ぶ美海お姉さま。 「……やっぱり美味しいな、つっきー、ありがとうな」 「お姉さま……」  美海お姉さまが喜んで食べてくれる姿をみて、とても嬉しくなった。 「「ごちそうさまでした!」」  みんな残さずカレーを食べてくれた。  美海お姉さまはお替わりもしてくれたし、私は胸が一杯になっていた。 「食後のデザートをお持ちしました」 「え?」  密お姉さまが器に盛ってきたのは、ムースだった。 「いつ作られたんですか?」 「午前中に用意しておいたの」 「あ、それじゃぁ私が紅茶を煎れますね」 「なら私も」 「月子ちゃんは今日はカレーを作ったんだから、ここから先はゆっくりして良いのよ」 「でも」 「片付けくらいは私に任せてください」 「はい、月子ちゃん。デザートをどうぞ」  渡されたデザートを見て、まだまだ私は密お姉さまには叶わないな、と思いました。  翌日の日曜日のお昼ご飯。 「こ、これはっ!?」  テーブルに置かれたお昼ご飯は、チーズカレーのドリアだった。 「昨日の月子ちゃんのカレーを使わせていただきました」  お祈りの後に食べたカレーは確かに昨日の私のカレーだったけど、チーズや玉子が  入った事でまた違った味わいになっていた。 「月子ちゃん、簡単なレレシピなので今度ちゃんと教えますね」 「ありがとうございます、密お姉さま!」 「ふふっ優しいお姉さまの為に、がんばってね」 「密お姉さまっ!!」  小声で言われた名前に私は大声をだしてしまった。
3月15日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN) AUGUST,Nintendo Switch版大図書館の羊飼い-Library Party-発売  公式:ARIA/Nintendo Switch版大図書館の羊飼い-Library Party-発売  オーガスト・アリア公式サイトが更新、大図書館の羊飼い-Library Party-がNintendo Switchに  移植され7月26日に販売することが告知されました。  初回版や店舗別特典情報も同時に公開されています。  見た感じ、PSVITA版と同じ内容で、解像度がNintendo Switch仕様に変更されているようですね。  ということは、PSVITA版をプレイしてる早坂は新たにハード事買うという事は予算的に難しそうです。  そういえば、何処の誰とはあえていえませんが、AEの時のとある方との会話で、  -Library Party-のお話は良いのでいろんな人にプレイしてもらいたい、という話がありました。  PSVITA版をプレイした早坂も事実そう思います。  その門戸が少しだけ開かれたと思えば良いのですが・・・NS版でどれくらい増えるのかなぁと  思ってもみたりします(^^;  個人的にはPC版への逆移植が一番良いのじゃないかなぁ、とか早坂は勝手に思ってますです。  しかし、店舗別描き下ろし特典。  NSというハードとは思えないほど肌色率が高いですね(*^^*) ---  なんとなく、いつもの日常の一コマ。  微妙に危険な発言があるのが、sincerely yoursのシンシアだったりします(^^; --- ・sincerely yours short story「最高」 「ただいまー」 「おかえりなさい、あっ!?」  リビングから聞こえてきたお母さんの驚きの声。 「なに、なにがあったの?」  慌ててリビングに入るとそこでお母さんとお父さんが…… 「……将棋?」  何故か将棋の対戦、この場合は対局っていうんだっけ? をしていた。  お茶を煎れたわたしは二人の元に持っていく。 「ありがとう、リリア」  お父さんは笑顔で湯飲みを受け取り、 「うー」  お母さんは将棋盤をにらんで唸っていたので、側に置いた。 「お父さんが優勢なの?」 「どうだろう?」 「というか、そもそもなんでお母さんが将棋なんてしてるの?」  今まで将棋をしている所なんて見たことが無かった。  お母さんはわたしの質問に答える前に、駒を一つ動かした。 「んー? なんとなくかな?」 「……だろうね」  お母さんの性格からそうだとは思っていた。 「あ、でも、今流行してるっぽいし」 「そうなの?」 「なんでも可愛い女の子を弟子にするのが流行してるみたいなの」 「……え?」 「ほら、一昔前にもあったじゃない、小……」  なんだかその先を言わせてはいけない気がしたわたしは話題を変えようと口を開きかけたそのとき  パシッ!  良い音が将棋盤の方から聞こえてきた。  見るとお父さんが駒を一つ動かした、そのときの音だった。 「むっ!」  その手にお母さんが唸って、そして口元に手を当てていた。  これはお母さんの考えに没頭してるときの癖だ。  とりあえず危険な発言をされずに済んだ事にわたしはほっとした。 「リリアちゃん、見てるだけじゃ面白くないでしょう? 私が相手してあげる」  お父さんの番の時、お母さんがそう言ってきたけど 「わたしは将棋のルールしらないし、お母さんはお父さんとの勝負中でしょう?」 「うん、だからリリアちゃんでもできるオセロで勝負しましょう、もちろん一緒に♪」 「一緒って……まさか」 「えぇ、オセロ用意してね」  こうして何故かお母さんとオセロ勝負をすることになった、それもお父さんとの将棋の勝負と平行して。 「……負けました」  オセロの盤面はお母さんの黒色に染まっていた。全部黒色じゃないけど、ほとんどが黒色だった。  そして…… 「……負けました」  将棋の勝負はお母さんが負けを宣言していた。 「んー、久しぶりの並列思考は疲れるわね〜」 「普通は疲れるっていうもんじゃ無いと思うけどな」  お母さんの言葉にお父さんのツッコミがはいる。  というか、将棋とオセロの並列思考なんて、才能の無駄遣いのような気がする。  でも、お母さんだからって思えば納得も出来る。 「ねぇねぇ、今度は3人で3対局しない?」 「俺はシンシアみたいに並列思考なんて出来ないよ」 「そんなの慣れよ、慣れ♪」 「お母さん、お父さんに無理言っちゃだめだよ? 変なのはお母さんだけで充分なんだから」 「酷っ! リリアちゃんがいぢめるよ〜」 「まぁまぁ、シンシアのすごいところは俺が良くしってるからな」 「達哉、大好き♪」  お父さんに抱きつこうとするお母さんを反射的に止める。 「リリアちゃん、なにするの? ……あ、ヤキモチ?」 「え……?」 「ふふっ、なら一緒に抱きついちゃいましょう♪」 「ちょ、お母さんっ!?」  お母さんにお父さんごとまとめて抱きつかれたわたしだった。
3月2日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN)  今日も先日に引き続きおとボク3のSSSを。  Q:どうして2日続けてSSの掲載を?  A:興が乗ったから(w  Q:明日はどうなるの?  A:明日のことは明日考える(^^;  と、いうわけでナンパのお話です。 --- ・処女はお姉さまに恋してる〜3つのきら星〜SSS”二人の姫君” ORIHIME SIDE 「ねぇ、お嬢さん一人?」  駅前で待ち合わせをしている私に声をかけてきたのは見知らぬ男性の二人組。  これは、あのときのハンバーガーショップの前での時と同じですね。 「暇なら俺たちとお茶しない?」 「遠慮しておきますわ」 「まぁまぁ、そう言わずにさ、ちょっとだけだから」 「……声を掛けてくる蛮勇は大したものです、が私の都合を考えないのは愚行ですわ」 「はぁ?」  私の言葉に彼らの顔が歪む、前と同じ流れだった。  あのときの事を思い出し、私は手早くスマートフォンを取り出す。  警察に連絡するふりをすれば彼らは去って行くだろう。 「テメェ、なにするつもりだ?」 「これ以上つきまとうのでしたら、警察を呼びます」 「そんなことさせるわけ、ねーだろっ!!」  男が素早く手を上げようとした、その瞬間だった。 「見ず知らずの女性に、手を上げるなんていったいどういう了見なのでしょうか?」 「え?」  まるであのときと同じだった。私の前に立つ方が、男の腕を取り押さえている。  違うのは、密さんではなく、私の知らない人だった。  中性的な服装をした、でもその銀色に輝く長い髪が女性であることを示している。 「遅れて申し訳ありません、姫。さぁ、参りましょう」  男の手を離した彼女の手が私に向けられる。 「ちょっと待てって、俺たちと一緒にお茶しないか?」 「姫は嫌がっていました、それに私達には予定がありますので、失礼致します」 「っだよテメェは、こっちが下手に出てればいい気になりやがって」  怒った男の手がまたも振り上げられようとして、先ほどを同じく手を捕まれて止まる。 「いい加減にしなよ、アンタ」  男の手を止めた女性は、腰まで伸びる濡れ羽色の髪の持ち主だった。 「これ以上は警察だけじゃ済まないよ」 「そうですね、周りを見ていただければわかるかと思います」  その言葉に男達は周りを見る、遠巻きにこちらを見ている人が多かった。  その中には警察を呼ぼうとする声も上がっていた。 「あ、兄貴……」 「チッ、行くぞ!」  男達は慌てて逃げるように去って行った。 「大丈夫でしたか、姫」 「え? は、はい!」  銀色の女性から姫と呼ばれた私は、返事するだけで精一杯だった。 「ねぇ、千早。なんで姫って呼んでるの?」 「この方の名前を知らないからですよ、薫子さん」 「だからって姫って呼ぶのはどうかと思うけど?」 「お姉さまと呼ぶわけにはまいりませんし、なんとなく姫とお呼びするのが良いかと思ったので」 「そう言いたくなるのもわかるけどね、でもさ、ふふっ」 「何が言いたいんですか?」 「白銀の姫君に姫と呼ばれる人がいるなんて思わなかったからさ」 「お待たせしました、織女さん」  そのときになって密さんがやってきた。 「えと、その方々は?」 「お、騎士様遅れての登場、かな?」 「はい?」  黒髪の女性の言葉に密さんが警戒するようなそぶりを見せる。 「あの、密さん。この方々は先ほど私を助けてくださったのです」 「え? 大丈夫でしたか、織女さん」 「私は大丈夫ですわ」 「そうでしたか、疑って申し訳ありませんでした」 「その気持ちはわかりますから気にしないでください。それでは私達はこれで失礼致しますね。  まいりましょうか、騎士の君」 「もう、意趣返しのつもり? 白銀の姫君」 「ふふっ、それではご機嫌よう」 「ありがとうございました、ごきげんよう」  二人は仲良く去って行った。  その名の通り、姫と騎士のように。 CHIHAYA SIDE 「……」 「ん、どうしたの。千早」 「いえ、今回は手を出したのは失敗だったかと思ったんです」 「え?」  ナンパされてる女性を見て薫子さんが助けようと手を出すのはいつものこと。  それを押さえて先陣を切るのはいつものこと。  だけど…… 「あの姫君はよほど高貴な方なのでしょうね」 「だから、どういうことなの?」 「周りに隠れたSPが居ました」 「え?」  遠すぎず近すぎず、彼女を護衛する人が居ると言う事は、それだけの人物と言うことだ。  そして成り行きを見守って出なくて済む場面では出てこない。  その判断もしっかりとしてる、かなり優秀なSPだと思う。  おそらくは先ほどのナンパしてきた人達は今頃そのSPに取り押さえられている事だろう。 「んー、でもさ、助ける事が出来たから良いんじゃない?」 「……さすがは騎士の君ですね」 「それを言うなら千早なんてまさに白銀の姫君だったじゃない」 「それは、女性に声を掛けるならこの方が相手も安心するからですよ」 「そうだね……ところでさ、千早」 「なんですか、薫子さん」 「久しぶりにさ、お姉さまに戻ってみない?」 「……」 「なんだか懐かしいなぁって思ったらさ、このままお姉さまな千早と一緒にいるのもいいかなぁって」 「……はぁ」  一息いれてから声を高めにする。 「わかりました、今日だけですからね、薫子さん」 「やった、ありがと、千早お姉さま」 「……まったく、調子がいいんだから」 HISOKA SIDE  去って行く二人を見送った私はまだ警戒していた。  確かにあの二人には悪意は無かったし、周りの護衛が動かなかった所を見ると問題は  無いのかもしれない。  ただ、あの銀の女性の動きがあまりにも洗練されていた。  かなりの使い手だろう。後で調べた方が良いのだろうか? 「そういえば密さんは先ほどの方に、騎士と言われてましたね」 「え? 確かにそう言われましたね」 「密さんは騎士というより……王子様の方が似合うのに」 「織女さん?」 「あ、いえ、その、なんでもありませんですわ!」  最後の方は聞こえなかったけど、なんて言ったのだろう? 「そ、それよりも!」  織女さんが誤魔化そうとしてるから、ここは追求しない方がいいだろう。 「あの方々にちゃんとお礼をしなくてはいけませんね」 「別にそこまでしなくても良いと思いますけど」 「どうしてですの?」 「あの方々はお礼が欲しくて行動したわけでは無いと思います」 「えぇ、だからこそお礼をしなくてはいけません」 「えと、それにもうお会いする事も無いかと思うのですけど……」 「密さん、先ほどの会話に不自然な点があったの、気づきましたか?」 「不自然な点、ですか?」 「えぇ、まずはあの方々にも通り名があるという事、そして挨拶ですわ」 「……そういえばそうですね」  通り名なんてセラールの中でしか通じないはずだし、ましてやご機嫌ようと言って  別れる挨拶なんてセラールしか考えられない。  だけど、セラールの生徒にあそこまで目立つ生徒は居ないし、織女さん以外に姫と  呼ばれる生徒は存在していない。 「これだけヒントがあれば探すのは簡単ですわ!」 「……どうして、そこまでしてお礼をしたいのですか?」 「あの方々とは友達になりたいからです、それがきっと良い事だと思います」 「どうして、ですか?」 「私の勘、です!」 「……」  この後鏡子さんが苦労するのが目に見えた気がした。 「それはそれとして密さん、今日は楽しみましょう!」 「えぇ、そうですね」  後の苦労を考える事を、私は止めて今は織女さんのお付き合いの事を考える事にした……
3月1日  なんとなく、書きたくなったのでSSを。  以前書いた2人のエルダーのSSSを同じ話題を3つのきら星で書いてみました。  ただ・・・書こうと思ったきっかけのテーマのヒロインがでていないのが  自分でも謎です(^^; --- ・処女はお姉さまに恋してる〜3つのきら星〜SSS”境界線” 「最近は男女の境界線が無くなってきているそうですね」  食後のお茶の時間、誰かがつけたテレビから聞こえてきた台詞に私はドキリとした。 「境界線……ですか」  鏡子さんがそうつぶやいた。  この話題は危険だと思うから鏡子さんは乗ってこないとは思うんだけど…… 「境界線ってどういう意味なんでしょう?」  この話題が気になったのは花ちゃんだった。 「男性は男性だと思いますし、女性は女性でしかないと思うんですけど」 「花ちゃん。それはですね、昔の考え方から来てるのですよ」  私はいつものように花ちゃんに話しかける。 「一昔前は外に働きに出る男性を女性が家で待つ、というのが普通の家庭だったのです」 「それなら今でもあまり変わらないんじゃないんですか?」 「花ちゃんのお家はそうかもしれませんが、今では女性も働きに出てる方も多いじゃありませんか」 「その逆で男性が家に居る場合もあるのです」  鏡子さんも話に加わってきた。 「そういうときの立場は昔と入れ違ってしまってます、稼いでくる女性に家の事をする男性。  境界線とはそのことを言ってるのだと思うのです」 「なんだか想像がつきません」 「花ちゃんのお家ではそうかもしれませんが、織女さんが将来後を継ぐとなるとそういうことも  あるかと思います」 「あ、そういえばそうですね」 「しかし、その場合は家を守る男性が家事が上手でなくては大変ですね、私だったらそう言うお婿さんが  欲しいのです」  そう言って鏡子さんは私の方を見る。 「そ……そうですね、でもなかなかそう言う男性はいらっしゃらない……かと」 「そうですよね、見つけたらかなりの優良物件ですよね」 「あ、あはは……」  私は苦笑いをするしかなかった。 「なら、密お姉さまをお嫁さんに迎えればいいんじゃないですか!」 「え、あやめちゃん?」 「それは良い考えなのです、あやめさん、ぐっじょぶなのです」 「鏡子さんまで!」 「さすがは完璧な奥様ですね、密お姉さま」 「月子ちゃんまで……」 「そうだな、密さんを嫁にすれば安泰だな」 「美海さん……」 「人気者ですね、密さん」 「……」  こういうときはどう返せば良いかがわからないから苦笑いを続けるしかない。 「あーあ、密さんが男性だったらほんともの凄い優良物件なんだけどなぁ」 「っ!」  美海さんのその一言にどきっとした。 「ん、どうしたの、密さん?」 「い、いえ、なんでもありません」 「そう? 顔色悪くない?」 「さすがは密さん、私がこれから言う事を理解されて、そんな顔をしてしまってるのですね」 「鏡子さん?」  にやりと笑う鏡子さんの顔を見て嫌な予感しかしない。 「みなさん、密さんは淑女です、そして私達も同じなのです、だから嫁にはできません。  しかし、密さんに殿方になってもらえれば、婿にはできるのです」  ちょ、鏡子さん!? 「おー、その手があったか! それなら密さんを婿に出来るな」 「駄目です、それだと密お姉さまが密お兄さまになってしまいます!」 「いいんじゃね、婿なら」 「そうね、密様がお兄さまになってしまわれたら、キミリア館に居られなくなってしまいますね。  今は良いですけれど、休みになったらどうなるのでしょうね」  すみれちゃんのその一言にリビングに衝撃が走った。 「ごめん、密さん。密さんが居なくなったら休みの間の食生活が……」 「密お姉さま、お願いですからお兄さまだけはならないでください!! もう密お姉さまの食事なしには  生きていけません!!」 「美海さん……月子ちゃん……」 「そうでした!、キミリア館の救世主である密お姉さまはお兄さまになってもら訳にはいきません!!」 「あやちゃん、そもそもお姉さまがお兄さまになれるわけないでしょう?」  すみれちゃん……ごめんなさい、卒業したらそうなるんです。 「そういうことなのです、密さん」 「鏡子さん……私は部屋に戻って良いですか?」 「え? 見捨てないでください、密お姉さま!!」  逃げようとする月子ちゃんが抱きついてくる。 「ちょっと、月子ちゃん!!」  抱きついてくるから柔らかい物が腕にあたってる!! 「あー、月子ちゃんだけずるいですわ、私も密お姉さまを逃がしませんわよ?」 「あやめちゃんまで!」 「私もまざろっかなー、密さん♪」 「美海さん!?」  もみくちゃにされる、柔らかい何かが当てられて、このままでは不味い! 「もぅ、これ以上言うと週末のご飯は作ってあげないですからね?」 「「「ごめんなさいでした!!」」」 「……」  ぱっと離れてすぐに頭をさげる3人。 「密さん、モテモテのハーレムですね?」 「鏡子さん、もう勘弁してください……」
2月28日 ・早坂の独り言  先日、休みが取れたので河津桜を見に、伊豆の河津まで行ってきました。  いきなり電車が30分以上遅れて到着に至っては60分遅れたため、現地にはあまり長い時間  居られなくなってしまうトラブルはありましたが。    下流の辺りの桜は満開に近かったです。公式では6分咲き〜だそうです    上流の方ではまだ満開ではありませんでしたが、良い景色でした。    河津桜の樹齢80年の原木は満開でとても迫力がありました(^^)    宿泊先は下賀茂温泉、この温泉地の川沿いにも河津桜が植えられており、こちらは  6分咲きになったばかりかな。部屋の窓からも桜が見れて綺麗でした。  サーバーの都合上、あまり写真を掲載できない(汗)ので、他の写真は  ちび姫様が行く!だいじぇすと、リリア自身の写真はツイッターの方で  掲載されていますので、よろしければ見てくださいね。 CG:猫の日(ほしとつきと,あきはら涼さん)  猫の日にちなんでギザ様の絵があきはらさんの日記に掲載されました。  ・・・ギザ様、他にも可愛い猫ならたくさんい・・・た、かな?(汗)  相変わらずの存在感ありまくりのギザ様です(笑) CG:プリムラ(Sketches and company,ブタベストさん)  バーベナ学園冬服姿のプリムラの絵が掲載されました。  運命を切り開いた後のプリムラはほんと可愛かったですよね、その愛らしさ  いっぱいの、プリムラの絵ですね(^^)  同じエントリに「トニカクカワイイ」から司とFORTUNE ARTERIALからかなでさんの  絵が掲載されています。  かなでさんが何故にブルマか? という答えにはあえてこう答えましょう。  ブタベストさんだから、と(笑)
2月19日  今回も呼ばれた!(笑)センセイさんのワンフェスレポ(常時リソース不足RX)  センセイさんのワンフェスレポートが更新中です。  まさか2度呼ばれるとは・・・オーガスト系フィギュアがいつもより多かったと  言うことですね♪  しかしおっきいけどちっちゃい佳奈すけとはこれ如何に?  というか、つぐみと凪と並べるのはいぢめにしかならないような気がする(汗) AUGUST,AUGUST LIVE! 2018開催のお知らせ  オーガストライブ2018の開催の予告が掲載されました。  6月23日開催予定とのことで、まだ出演者の情報等は公開されていません。  前回のライブの時から楽曲がほとんど増えてないんですよね。  アレンジを変えて同じようなセットリストになるのかな?  どっちにしろ、土曜開催という段階で早坂はお休みじゃ無いので行けませんが(T_T) CG:みどりん(ほしとつきと,あきはら涼さん)  あきはらさんの日記にて誕生日をお祝いしての、みどりんの絵が公開されました。  ツイッターの方で過去のみどりん絵も見せていただきましたが、毎年毎年元気いっぱいで  可愛いみどりんなのです♪  いつまでも忘れられないくらいな元気を分けてくれるみどりんで居て欲しいです、はい(^^)
2月12日 ・今日のおでかけ  宿が取れたので連休を使って、鹿沢温泉へ行ってきました。  初日は良い天気で    正面に白根の山々がはっきりと見えました、空が高くて綺麗でした。  で、翌日の今日は雪で何も見えませんでした(^^;
2月8日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN) ・今日のあいミス  まもなく長期メンテに入るあいミスですが、ここに来てSRベア先生降臨。  残り少ない時間で強化中です。  育成強化、と言っても他のアイリス達のSRとSSR はおおむね聖装レベル80を超えているので  今のシステムでの戦闘は相性問題すら関係無く力押しで倒せるメンバーばかりになっています。  だからベア先生を急いで育成する必要は無いんですけどね、せっかくなので(^^;  これでまだ召還されてないSRはイリーナ、エルミナ、クルチャの3人となりました。  メンテ前までに召還出来ると良いのですが・・・ CG:エリス先生(ほしとつきと,あきはら涼さん)  あきはらさんの日記にてエリスの誕生日お祝いの絵が公開されています。  新薬の開発が出来るなんてすごいですねー、出来れば人に優しい新薬にしてください(^^;  SDサイズでも大きいエリス先生です(^^)  また、前のエントリでエステルさんの誕生日をお祝いしての絵が公開されています。 CG:携帯で困ってる女の子(Sketches and company,ブタベストさん)  携帯の再設定で混乱している女の子の絵が公開されています。  今時の子なら再設定とか簡単にこなしそうですよね、それが出来ないこの子は  機械音痴? や、それはそれで可愛いのですが(^^)  同じエントリに艦これより瑞鳳さん、オリジナルな女の子、あいミスより  アシュリーの私服姿の絵も公開されています。
2月4日  もう2日前になりますが、そう言う日でした。  そして忘れた頃に帰ってくる、日常の一コマ。 --- ・sincerely yours short story「ツインテールの日」 「あ、達哉。おはよう」 「あぁ、おはよう……?」  朝、リビングに下りた俺が見た物は、椅子に座ってるリリアと、その後ろに立っている  シンシアだった。  どうやら髪の手入れをしてたようだが…… 「増えてる?」  そう、リリアの髪が増えていたのだ。  リリアはいつもサイドに髪をまとめているが、今日はそのまとめた髪が反対側にもある。  いわゆるツインテールという髪型だった。 「どう? 達哉。リリアちゃんのツインテール、可愛いでしょう?」 「確かに可愛いな」 「っ!」  俺の言葉にリリアの声にならない声をあげた。 「良かったわね、リリアちゃん。お父さんに可愛いって褒められたわよ?」 「−−−っ!?」  顔を赤くしたリリアは立ち上がって、そしてふらついた。 「えっ?」 「リリアっ!」  俺は転ばないように、リリアの身体を抱き留めた。 「大丈夫か?」 「あ、うん、ありがとう、お父さん」 「まぁ、リリアちゃんったら大胆ね、達哉の胸に飛び込むなんて♪」 「え、あっ……っ!?」  慌てて俺から距離をとろうとして、リリアはまたふらついた。 「おっと!」  結局また俺が抱き留める形になった。 「もぅ、リリアちゃん。お父さん好きはわかるけどそんなに抱きつくなんて……妬けちゃうわね」 「違っ……違くないけど、違うの! なんだかバランスがとれないの」 「いつものサイドポニーと違ってバランスは良くなってるはずなのに?」  確かにリリアの髪型だとバランスは偏ってるようにも見えるけど、いつもと違う髪型にするだけで  バランスって崩れる物なのか? 「ねぇ、お母さん。もうこのバンスとってもいい?」 「えー? 可愛いから今日1日くらいつけておかない? 達哉もそう思うでしょ?」 「可愛いのは良いけど、バランス崩して危険なら止めた方が良い、それにいつもの髪型でもリリアは  可愛いからな」 「……ありがと、お父さん」  そう言いながらリリアは増えた方のバンス、髪の束を外した。 「あれ?」  外したバンスを持ったリリアが声をあげる。 「どうしたんだ?」 「ねぇ、お母さん。もしかしてこのバンスに……仕込んでない?」 「な、何のことかしら?」  そう言って目を背けるシンシア。うん、間違いなくシンシアの仕業だな。 「……」 「……」 「……」 「……」 「ゴメンナサイ」  リリアの無言の圧力にシンシアは根負けした。 「ほら、リリアちゃんはサイドポニーでしょ? だから片方増やすときにバランスとりやすくできるよう  ちょっと重力制御の応用で軽くしようとしたのよ?」 「それで?」 「軽くすると髪がまとまらなくなりそうだから、ちょっとだけ重くしてみました♪」 「それじゃぁ逆にバランス崩れちゃうじゃ無いの!!」 「そうね、でも結果的に良い思いできたでしょ?」  そう言ってとても良い笑顔になるシンシア。  逆にリリアは顔を真っ赤にしていた。 「おーかーあーさーん?」 「きゃぁ、リリアちゃんが照れ隠しに怒った♪」 「照れ隠しなんてしてないから!!」 「ところでなんでいきなり付け毛……バンスなんてつけたんだ?」 「それはね、ツインテールの日だからよ?」  あの後お茶を飲みながら経緯を聞いていた。 「……まぁ、シンシアだしな」 「そうでしょう? 可愛い娘をより可愛くコーディネイトする、さっすが私♪」 「でも、それならシンシアもツインテールにすればいいじゃないか」 「それも考えたんだけどね、私がバンスをつけると、本当にそれだけで重くなって首が  痛くなっちゃうのよ。肩だって凝るし」 「いや、バンスじゃなくて普通に両サイドでまとめればいいんじゃないか?」 「あ゛……」 「お母さんも抜けてるところはほんと抜けてるわね」  リリアの一言がシンシアにトドメをさしていた。   
1月26日    雨の中の見返り美人  まだ美人というには早いかな?
1月25日 ・今日のお届け物    無事本日到着しました(^^)  早速中身の確認、そして早速DLカードを使ってトラベリング・オーガスト2017の  データをダウンロードしました。  オーガスト冬セットのカレンダーをチェック、あいりす達の誕生日が記載されてるので  メモメモっと。  やっぱりディアナ様と広瀬柚香の誕生日は未掲載・・・残念。  DLカードでダウンロードしたトラベリング・オーガスト2017は後でゆっくり見るとして。  更新が終わったあいりすミスティリア!の方をプレイします。 ・今日のあいミス  ディリーミッションをこなすだけの毎日から脱出!  かと思ったら長期メンテナンスのお知らせですか・・・  システムが良くなるのは何も問題ないのですが、早坂的には止めないまま作業をして  欲しいと思います。  まぁ、確かに生まれ変わるのならどうしようもないけど、システム入れ替えなら今の  バージョンのままで修行だけでも出来ればいいかなぁ、と思いますです、はい。  ・・・あ、学園のAP消費が倍になってる(^^;  今後はAP消費をちゃんと考えないといけないですね。  プレゼントの一括機能も実装されてますね、試しにパフェ100個プレゼントしたけど  親愛度が2つしかあがらなかった(汗) 50超えてるとなかなか上がりにくいです。  そして相変わらず出撃の消費BPが高いので、一度で一気にお話を読み進められません。  あいりす達のやりとりはとっても楽しいです(^^)  特に第4章第2話。タイトル見た瞬間に吹いた。  もはや悪意しかないな、これ(笑)  新章を勧めればフレアライトも手に入るから新たに召喚する事も出来ると思うんだけど  召喚詳細に変化が全く無いみたいですね。  姉妹二人がSRで参入することを期待してたのですが、残念でした。  さて、長期メンテナンスが始まる2月15日までにイベントか新章がアップデート  されることを祈りつつ。 ・昨日のおでかけ  雪から逃げてきました(嘘)  いつものダイジェストはちび姫様のページに掲載されています。    初日は雪こそ降らなかったものの、雨風強い日でしたが、翌朝は良い天気でした(^^)
1月16日 ・SS紹介感想感謝、ありがとうございました。  Faxiaさん(雑記さいと FiRSTRoN) ・今日のあいミス!  召還のための準備は完了、描けないのでお話を書いて準備万端!  さぁ、フレアライト召還を!!  ・  ・  ・  SSR来た!!  召還に応じてくれたのはSSRアシュリーでした。  コトより確立低いのに(汗)  でも、SSRアシュリーは初なので嬉しいです(^^)  これで今のイベント開催中に3000集めるのは多分不可能なので、でぃりーで300個  貯まったら召還、という形で「袖踊る幽冥の刃」の召還を狙います。 AUGUST,あいりすミスティリア!OriginalSoundTrack発売  冬コミで先行発売されてたあいりすミスティリア!のOSTの一般発売の情報が掲載  されました。発売日は1月26日で2700円(税別)となっています。  先行発売では2000円だったんですよね。  それだけ流通に乗せると高くなるということなんでしょうね(T_T)
1月14日  ガチャを回すときに、出てきて欲しい為に絵を描く事があります。  念押しというか、願掛けですね。  しかし、早坂には絵を描くのは出来ません。下手すぎます(T_T)  なら、何が出来るのだろうか、と考えて。  描けないなら書くしかない!  これならガチャで召還出来るはず!!  ・・・そう上手く行けば良いのですが(^^;  一応お話の内容に最新のイベント「春を待つ命」の内容が含まれます。  未プレイの方はネタバレになりますのでご注意をお願いします。 --- ・あいりすミスティリア! SSS”袖踊る幽冥の刃” 「んー、せぃ! はっ!」  鍛錬場に来てみるとコトが自主練をしていた。  いつもの姿じゃなく、お正月の時に見せてくれた振り袖姿で。 「あ、にーさん♪ 視察?」  たまたま通りがかっただけだけど……それよりも 「もしかしてこの格好、気になる?」  そりゃ、気になるよ。 「そんなに?」  あぁ、結構窮屈そうな服装なのに、よく動けるなぁ、って。 「……にーさん、それわざと言ってる?」  実際にそう思ってたよ。 「思ってた?」  あのときの戦いを見れば納得できるよ。 「あぁ、トミクニでの戦い? あれはちょーと派手に暴れちゃったからねぇ」  ……ちょっと? 「そうそう、ちょっとだよ?」  …… 「……ごめん、若さ故の過ちって事にして」  いやいやいや、今でも充分若いでしょ? 「ありがと、にーさん」 「それで、にーさんはこの振り袖が動きにくいって言う話をしたかったんだよね?」  ……そーなる。 「ほんとう?」  疑ってる? 「だってねぇ、視線が振り袖からでてる脚や、胸元ばかりに行ってたからね」  ……ゴメンナサイ 「謝るのはやっ! でも、にーさんだからしょうがないよね」  …… 「もぅ、にーさんったら、膨れないで」  べ、別に膨れてなんかないんだからね! 「にーさん、決定的に似合ってない」  うん、自分でもそう思った。 「それで、ワタシに何か用事?」  特に用事は無いよ。 「そう? にーさんの事だからワタシの様子を見に来てくれたんじゃないの?」  な、なんのことかな? 「ふふっ、そういうことにしておくね、にーさん」 「でも、ワタシは大丈夫だよ。細雪の凶刃の溶けない雪は溶けたんだから。  今のワタシは雪解けの剣聖だもん」  …… 「にーさん?」  いや、雪が溶けきったらどうなるのかなぁって思って。 「へ? ……ふふっ、にーさんったら面白いこと考えるよね、本当に」  そうか? 「そうだよにーさん♪」  そう言うとコトは腕に抱きついてきた。 「雪が溶けきったら新しい呼び名を考えてね、にーさん♪」  冥王の傍らに寄り添う異国の剣士。  蒼色の振り袖を纏い、まるで踊るように願うように刀を振るう剣士。  その姿を見た人間界の人達は畏怖と尊敬の念をもって、こう称えた。 「袖踊る幽冥の刃」と。
1月12日 AUGUST,通販予告掲載  冬コミで販売されたグッズの通販予告が掲載されました。  冬は行けない早坂は毎年通販にお世話になるわけですが、今年は開始日が遅いですね。  いつもならグッズのカレンダーの1月のページが1日か2日で終わってしまう日に届くのですが  今回は締め切りが2月5日となっています。  来るのは早くても2月中旬くらいですね、早く手にしたい早坂としては待ち遠しすぎます。  また、あいりすミスティリア!のOSTは一般販売があるため通販での取り扱いは無いとのこと。  これも残念です。 CG:リース&イタリアンズ(ほしとつきと,あきはら涼さん)  あきはらさんの日記で年賀絵が公開されました。  リースリットとイタリアンズです。おすましリースちゃんが可愛いですね。  そしてこの後、イタリアンズに襲われるのが目に見えてます(笑)  今年も騒がしい朝霧家になりそうですね(^^) CG:いぬみみ巫女服きょにゅーな女の子(Sketches and company,ブタベストさん)  最新のエントリにて年賀絵が公開されました。  戌年にあわせて、いぬみみきょにゅー巫女服な女の子です。  ブタベストさんの属性てんこ盛りで、ちゃんと下着まで見せるあたり流石ブタベストさん。  そこにしびれる憧れるですね(^^)  え? 犬のしっぽを見せたかっただけ? 本当に?(笑) SS:春の七草(気ままな場所,福hideさん)   伽耶ちゃんのお正月の様子のお話が公開されました。  瑛里華も家柄的にそう言う知識は豊富そうですけど、やはり桐葉には叶いませんよね。  ・・・の知恵袋、と言うべき物ですものね。  ちなみに誰の知恵袋かは、言及致しません、早坂だって命惜しいし(^^;
1月10日 ・今日のおでかけ  ちょっと水上までお出かけしてきました。  昨日は例年より暖かい日ということで安心してたのですが・・・    銀世界でした(^^;  風も強く雪の上を走ってくる風は冷たかったです、はい。  写真はちび姫様が行く! だいじぇすとで公開しております、よろしければ  見ていってくださいね。
1月7日  七草の今日になってやっと年賀メール用撮影が出来ました。  いろんな媒体で送らさせていただきましたが、連絡先を知らない方も  たくさんいらっしゃいます。  ですので、サイトでも写真だけですが、掲載です。    ちなみに掲載媒体事に微妙に違う写真を公開してたりします(^^;  改めまして本年もよろしくお願い致します。
1月5日 ・今日のおでかけ    今日は鎌倉の鶴岡八幡宮まで初詣に行ってきました。  三が日を過ぎているのもあって、人も少なく苦労せずにお参りする事ができました。  その様子?は、ちび姫様が行く、で更新しています。  今年もよろしくお願い致します。
1月2日  新年あけましたおめでとうございます。  早坂は例年の如く、年末年始進行モード中で多忙というか、限界間近です(汗)  体調の問題もあり、2018年はどうなるか見通しが良くない状態です。  とりあえず平成29年度は更新はほぼないと見て良いかもしれません。  年賀メール、個別に頂いた方には七草までには返事出来たらいいなぁ、と  思っております(^^;    なにはともあれ、今年もよろしくお願い致します。
[ 元いたページへ ]