2回目の すごい 原型(綾瀬恵那編)− [to previous] [to home] [to next]

12月14日
 反転型のシリコンが固まったらこちらにも石膏を流して補強します。石膏が固まったら外枠のブロックを外せます。やっとここまできた〜って感じです。 型は写真(中)のようにサンドイッチ構造になります。ブロックの隙間にはみ出たシリコンが貼り付いているので、彫刻刀などで剥がしておきましょう。指でも簡単に千切れます。 左のコーヒー豆のようなところは「湯だまり」です。レジンを流すときにこぼれないように池を作っておくのです。大きさは500円玉くらいの大きさが理想のようです。 ただ、型の大きさによるので無理に合わせる必要はありません。その辺は柔軟に対応しましょう。型ができてから切り出してもいいのですが、私はあらかじめ粘土で作ってます。
 で、型を開くと写真(右)のようになってます。原型はしっかり貼り付いているので、型の方を変形させて原型を取り出しておきます。


12月17日
 ケーキの箱の持ち手パーツなんですが、ちっちゃくて平面なので「片面取り」をすることにしました。片面取りは、型に直接レジンを流してプラ板などの平らな板を当てて複製する方法です。 原型が小さく、片面が平面のものに適しています。湯口がないのが特徴で、あふれたレジンはバリになります(笑)。型が1個でコンパクトなのでシリコンの節約にもなります。
 初めに、原型をプラ板に瞬間接着剤で仮止めします。プラ板の大きさは型枠のブロックの大きさに合うようにしておくとやりやすいです。 次に、ブロックで枠を作ります。隙間からシリコンが漏れないようにテープで目張りしてあります。更に、プラ板と隙間ができないように輪ゴムをかけておきました。
 で、シリコンを流します。量が少ないので、他の型を作っているときにシリコンを少し分けてもらって作ります。ついでにやるのが調度いいくらいの大きさです。 出来上がりは左の写真のようになります。型にレジンを数滴たらして、プラ板などをあてて複製することになります。型の周辺に、余ったレジンが流れ込む溝を掘っておいてもいいですね。


12月18日
 両面型の方は仕上げです。湯逃げは凸になっている方をカッターで切り取っていきます。スジができているのでそれに沿ってV字に切れ目を入れれば簡単に取れます。
 湯口も切り込みを入れます。ランナーからパーツにかけて溝を切っていきます。溝が細いとレジンが流れてくれないそうなので、できるかぎり大きくなるように心掛けます。 しかし、パーツも大切にしたいので、相方の型にも溝を切って入り口は大きくなるようにしました。
 ここまでくれば、型は完成です。次はいよいよテストショットです。

12月21日
 型にレジンを流して複製する段階まで来ました。はじめはテストショットです。レジンがきちんと流れてくれるかどうかテストをします。同時に複製に必要なレジンの重量を把握します。 レジンは、ウェーブのノンキシレンタイプ・アイボリーを使っています。ノンキシレンタイプは型に優しく臭いもきつくないので最近の主流のようです。型が長持ちするのは助かりますね。
 準備としては、紙コップを大量に用意します。秤も必須です。レジンはA剤とB剤を同じ重量混ぜ合わせて反応させます。そのため、ABそれぞれにストック用コップ、計測用コップが必要です。 混ぜ合わせるコップはローテーションして使うので数個用意します(写真+印のコップたち)。作業用にA剤、B剤を缶からストック用のコップに取り分けておき、型に合わせて重さを測ります。 測りとった溶液に気泡ができないように注意します。気泡があったら楊枝などでつついて潰しておきましょう。で、+印のコップで混ぜ合わせます。混ぜると濁るので、濁りがなくなるまで手早くかき混ぜます。 手早くですが静かにです(^^;。泡立てては決していけません。


12月21日
 混ぜ合わせたら型にレジンを流し込んでいきます。あふれないように気を付けてください。湯口いっぱいまで注いだら型を叩いたり傾けたりしてレジンを行き渡らせます。 湯逃げの穴にレジンが上がってきていればとりあえずOKです。レジンが回ったら余りのレジンを湯口に盛り上がるくらいに注ぎ足しておきます。湯逃げの穴にも混ぜ棒でちょんちょんとレジンをたらしておきます。 なぜこんなことをするのかというと、レジンは硬化する過程で収縮するのです。すると、湯逃げの出口まで届いていた液面が下がってしまいます(写真中央)。すると、せっかく上まできていたのにパーツが欠けてしまったりするのです。 なので、液面が下がってもパーツに影響がないように山盛りにしておくのです。
 レジンの硬化が始まるのは5分くらいなのでこれらの作業を手早くやります。ただ、硬化時間は気温に大きく依存してまして、寒くなると時間がかかるようになります。暑いとあっという間に硬化が始まってしまいます(^^;。 なかなか難しいものです。そして、完全に硬化するまで1時間弱かかりますので(冬の場合で。たぶん気温は10度くらい。)小一時間経ったところで型を開きますと、写真右のようにパーツができあがっているわけです。


12月21日
 というわけでテストショットの結果です。1つ目の型は、足の踵に空気が溜まっていて最中になっていました(^^;。湯逃げの口がちょっと狭かったようです。それとレジンの流れも悪かったようなので、入り口を少し広げることにしました。 髪の毛のパーツも先端に気泡があったので、湯逃げを深くして空気が抜けるようにします。箱はバリが凄いですが、これはクランプが甘かったためです。もっとしっかり挟まなくてはいけないようです。
 2つ目の型は大きな問題はありませんでした。心配だった前髪や鼻の頭もきれいに抜けていまして安心しました。三角巾のパーツの一部に気泡ができていたので湯逃げにバイパスを追加することにしました。
 3つ目の型も大きな問題なしです。腕は指先まできれいに抜けていました。1つだけ、ネクタイの湯逃げを1本、切り忘れていました(^^;。テストショットではパーツの欠けがなかったので気付かなかったのですが、2回目の複製で判明しました(^^;。
 4つ目の型は問題なしでした。スカートの裏側にコピーライトのロゴが入っているのですが、ちゃんと読めました(^^;。片面取りのケーキの箱の持ち手ですが、こちらは気泡が入ってしまいました。パーツは平面なので大きな問題ではなさそうです。
 などとチェックしながら型を微調整して、不良パーツの出ないコンディションを整えていきます。で、問題なく抜けるようになったところで量産に入ります。

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