指しゃぶりにについては、原因、対策方法には様々な意見があり定説はないといえるでしょう。このページではいくつかの意見を紹介し、歯科的に若干の考察を加えます。
一般的な育児書にある意見
ユニークな意見
指しゃぶり・・・神経症的症状の摂食に関係した障害に分類される
正常児では1歳ころ始まり、次第に減少して5ー6歳ころにはなくなる一種の習癖。児童が疲れたとき、気分が不安定になったときなどに現れるが、その回数が極度に多かったり、学齢期になっても続く場合には病的であり、フロイトのいう口唇期的依存傾向や不安の存在をあらわすものと考えられる。
指しゃぶりの原因
感情的に未熟で、内向的、神経質で、一般に感情の発現の少ない小児にみられ、また、親の愛情不足、放任、干渉過多、祖母の溺愛などの家庭環境下の小児に見られる。
指しゃぶりによる歯科的障害
3カ月の赤ちゃん
ほとんど全部は親指か、こぶしを口に入れて吸っている
1歳半から2歳
ひとりで寝るよう強制した結果、指吸いになったというのが多いいったんくせになった指吸いに、あまり神経質になることはない。そばについててやれば、早くねるから、指吸いの時間もみじかくなる。
2歳から3歳
指吸いも3歳になるころに、卒業できるのがおおい。それはそばに母親がいてくれるというだけで、十分に依存の感じを満足させるように成長するからだ。
3歳から4歳
指しゃぶりは子供の失業状態のときにおこる。
禁煙がおとなにむずかしいように、指しゃぶりをやめることはこどもにはむずかしい。
体罰をくわえたりするのは、いちばんわるい。
母親が指しゃぶりについてとやかくいうことが、なおるものもなおりにくくする。
読者からの相談として
「保健所ではゆびしゃぶり=愛情不足という認識でアドバイスされたこと。また男の子の場合、母親の胸にいつまでもこだわる子はいつか性犯罪に走るとと助産婦から言われたこと」に対し山田氏は真っ向から反論をしています。
世界的に有名な小児科医イリングワースが書いた「ノーマルチャイルド」(山田氏はこの本をバイブルとしています)の引用として
「子宮のの中でしゃぶった結果として、新生児の手首や指に水泡がしばしば認められる」との記述から、指しゃぶりは生理的な現象であって、愛情不足のためではないと山田氏は考察しています。
「指しゃぶりの危険は、指しゃぶりにあるのではなくて、それをやめさせようとして両親がなにかをすることにある。」と自然治癒を推奨しています。
岩倉氏はこの本の中で、指しゃぶりに心理的な背景が強いと思われたとき、次のような処方を用いると述べています。
氏は指しゃぶりを心理的側面より考察し、育児の観点から治療しようと試みています。
以上みてきたように専門の立場の違いにより指しゃぶりに対する考え方は、微妙に違うようです。歯科医の立場からすれば、過度の指しゃぶりにより、「現代小児歯科学」にあるような歯科的障害(障害といえるかは?)は一部におこりえます。しかしそれは生命を脅かすようなものではありませんし、大部分のものは治ってしまいます。(一部は矯正治療しないと治らないものもあるようです)
人の価値観は多様です。指しゃぶりを治すべきか、放置すべきかは両親が決めることです。
しかしながら、指しゃぶりには生理的な側面と心理的な側面があることから次のことだけはいえると思います。