10.美深組と、最後の夜


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美深組


 行くと、かなりの数のライダーが。俺もあらかじめ美深町内で買っておいた小型の日本酒を出し受付を済ませる。(この宴会の参加条件は、「美深町内で、何か一品以上買い物をしてくること」なのだ。)
 そして場内にお邪魔させていただき、テントを張る。
 張っていると、美瑛かしわ園でのキャンプ2日目に会い、銭湯に連れて行ってもらった神戸ナンバーのセロー氏とバッタリ会う。こんな広い土地で、かつ思い思いに旅をしている筈だが、また再会できることに旅の意外性を感じる。

 いろんな人、いろんなバイクがいる。
仮面ライダーと
 夕方、赤いマフラーをなびかせた仮面ライダーが現れ、まわりに人が集まる。彼は毎年 夏、あの懐かしい仮面ライダーの格好をして北海道を巡っていて、当時北海道を旅するライダーの間では有名な存在だった。ちょっと時間を頂いて、一緒に「変身!」のポーズ撮影にご協力させていただきました。
 彼の愛機サイクロン号(だっけ?)は以前はAX-1マフラー6本出しだった筈だが、いつのまにかカタナに替わっていたのがこの年の変更点かな。

 自分のテントに戻り、夕食の準備をする。こんな時、まわりのライダー達とすぐ打ち解け、仲良くなってしまえるのは北海道ツーリングの最大の楽しみだ。各自持ちよった食料をつまみに、飲み、そして語らう。今までどんな旅をしてきたかとか、今後の予定とか、話題は尽きることがない。
 みんなそれぞれ年齢、職業、出身、そして乗っているバイクは違っていても、共通の話題・夢を持っている。この北海道に魅せられ、毎年夏になるとこの大地に集まって来る、物好き達なのだ。

宴会ステージ  やがて夕方、主催者による宴会が始まる。前年、不幸にも交通事故に遭ってしまったとあるライダーのために皆で黙祷した後、キャンプファイヤー点火、そして美深町長の音頭で乾杯!
 焼酎が柄杓で振る舞われ、地元バンドのライブ、ギャルコン、ステージの上からのつまみ撒きなどで大いに盛り上がる。
 特にライブでは飲めや踊れの大盛り上がり。普段はクールでとっつきにくそうな連中が肩を組み、踊り、歌う。ライダーに、こんなパワーがあったなんて。と言いつつ、自分もその一人になってしまっていたのだが。
 予想以上に楽しい、美深の夜だった。一度この美深での宴会にハマってしまうと、また次の年も是非参加したくなってしまうという。そんな、「美深組」達と、いつまでも飲み明かした。

  [本日走行:250km, 消費ビール:1L]




○8月8日(日)

 6時ごろ起きる。毎日の日課で、洗顔・歯磨きなどをする。
朝、皆で  まわりの人も起き出してきた。
 8時に集合写真を撮るというのでそれまで準備しながら待つ。美深町長の到着が多少遅れたが、写真に収まり、楽しい仲間と別れを告げ、9時出発。今日は屈斜路湖まで走る予定なのでかなり忙しくなりそうだ。

 名寄のコンビニで朝食を食べていると、二人のライダーがいて、彼らも屈斜路湖へ向かうという。それならばとご一緒させていただき、本日は3人での移動だ。パートナーのZZR400の中島氏(小学校の先生)とゼファーの常松氏で隊列を組んで走る。今まで単独での移動ばかりだったので、たまにはこういう集団も楽しい。
 士別から道道358号で岩尾内湖、そして滝上へ。
 バリバリのオンロードバイクであるゼファーとZZRは速いので、バリバリのオフロード低速走行専用車である我がセローでは大変だ。ついさっき”隊列を組んで”なんて書いたが、軽く流しているつもりの彼らの後ろを、懸命に追いかけているというのが実態なのだった。
鴻ノ舞  滝上から国道273号を少し北上し、途中右折して鴻ノ舞へ。以前バイク専門紙で見たことのあるゴーウトタウン。森の中にコンクリートの廃屋がある集落跡で、そのほとんどが薮の中だ。
 バイクを降り、少し薮に入ってそれらの廃屋を見る。屋根が抜けているのが大部分で、家の中に直径15cmくらいの木が生えているところを見ると、相当前に捨てられたのだろう。
 ちょっと不気味なところだ。

 そのあと遠軽に出て、ドライブインに入り腹ごしらえをした後、国道242号、333号で北見市(端野)へ向かう。以前未舗装だった国道333号はきれいにアスファルトが敷かれていた。ただ端野の手前の端野峠だけはまだ未舗装だった。こういう場所だけ、我がバイクは主導権を握れる。後続のオンロード2台はカーブが怖そうだ。
 程なくこのジャリ道を抜け、美幌経由で屈斜路湖目指して坂道を登ってゆく。

 屈斜路湖手前にある美幌峠では、俺のセローのパワー不足が露見し、きついきつい。目を三角にしながら、前の2台にアクセル全開でついて行く。
 峠でジャガイモドックを食う。風が強く、冷たい。下りはじめると、屈斜路湖のすばらしい眺めが広がる。
 その後、17時ごろ和琴民間キャンプ場着。テントを張り利用料の300円を払い、買い出しをした後、近くの無料露天風呂、コタン温泉に入りに行く。

 キャンプ場のレストハウスではビールがなんと原価で売られており、とってもナイス。しかも24時間のコインランドリーまである。キャンプサイトは砂で清潔感があるし、その気になれば目の前の屈斜路湖で泳ぐことだって出来る。
屈斜路湖の夜  常松・中島氏ら、そして周辺のテントのライダー達を交えて、最後の楽しい夜を過ごす。
 めしはジンギスカン+やきとり+ビールなど...

 そういえばCRMでやってきたライダー氏はテントを張る際、方角を確かめ、朝日のあたる場所を探していた。夜露に濡れたテントを早く乾かすためだ。
 別のライダーは着替えをシュラフの中に放り込み、(着るのではない)隙間を少なくして寝ると、耐寒性が向上するという。
 なるほどと頷けた。こんな旅のノウハウを得られるのも楽しい。

  [本日走行:335km, 消費ビール:1.5L]




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