トライ&トライ自分発見セミナー 第1回基調講演「子どもの居場所と大人の役割」 1997.5.29
講演 久田 邦明氏
神奈川大学、東京学芸大学などで社会教育関連科目の講義を担当。専門はコミニュケーション史からみた教育の歴史。
1.子どもたちの現在
^ニュータウンの子どもたち
@現代社会の最前線としてのニュータウンについて考えることは、日本の近未来を考えること
Aニュータウンの子どもたちの“幸せ”と“不幸せ”。快適な暮らしの背後にあるものは?
Bあるがままを認めてもらえない子どもたち。「居場所がない」「自己肯定感が持てない」
_子どもの居場所のさまざまな事例
@五本木住み区センター(目黒区)
十数人の中学生がたむろ、主任児童委員の女性が中心になって対応について試行錯誤。施設の運営委員、PTA役員、小学校長、中学校教師などの集まりを開催
A本牧中学校コミュニティスクール(横浜市)
帰宅途中の中学生も、午後7時まで利用可能。セルフサービスで飲み物を用意。遅刻した生徒を受け入れることも
B高崎市中央公民館
教育相談所の事業を公民館でも行う。教職希望の学生ボランティアも参加。ボランティアのカウンセラーの女性たちが不登校の児童生徒の相手を
Cフリースペースたまご(世田谷区)
30歳の女性二人が中心になって運営。幼児から高校生までが利用。行政などから資金援助を受ける。
|山口菓子店(目黒区)
敗戦の年から続く駄菓子屋/親や教師とは違う、子どもとの距離取り方/子どもの成長にとっては大切な場所
}フレンドスペース(千葉県松戸市)
不登校・引きこもりの民間施設/多彩なサークルや行事/商店街の人々と交流
~加古川料理専修学校(兵庫県加古川市)
中卒高校中退者を1年間で料理人にする/生徒は十数人/とことん面倒をみる
プラネットステーション(大阪市)
演劇活動、音楽活動、映像制作のための施設/機材の操作も可能/“ぼらんてぃあすたっふ”が事業を企画
2.大人の役割とは
^子どもへの対応を問い直す子どもの権利条約についての間違った考え方、大人は大人としての自覚、大人の役割をさぼらない。=子どもを子どもとして扱うことの重要性
@“もっともらしい一般論”を疑う
「いい子、いい母、いい父こそが問題」(フレンドスペース 富田富士也)いい子は親の言いつけを守ろうとして苦しんでいる現実がある
A相手のことを理解するには、自分のおもいを伝えるには、
人間理解は、とてつもないエネルギーの要ること「母親は自分の子を100%理解できる」という幻想を持たないことが大切。
B親同士、ざっくばらんな人間関係をつくる。リーダーシップをとる人が必要
C「母親だから子どもが好き」ということはない。無理して子育てする必要はない。母親自身が自己肯定感を持てない現状も問題。
_子ども居場所を確保する
@子どもの居場所が無くなった!?“子どもの世界”が許容されなくなってしまった
A必要とされる、大人の支援。“子どもの世界”を確保してやる必要が生じている
Bキッズ・パーティの場合、新しい発想の、注目される事業複数の母たちの存在。複数の母たちが複数の子供達を育てていくという発送
3.地域社会をつくる
^地域団体の無力化
@自治会・町内会、子供会、PTA…の現状は?網羅的な団体の弱体化
A地域団体をきばんとした行政手法が困難になっている。行政は困惑し、住民は戸惑う
_どこから始めるか
@“地域社会を切実に必要とする人々”の着目した、“公共施設”を拠点とした活動を子ども、高齢者、障害者…
A望ましい地域社会とは、どういうものなのかを考える。ニュータウンの暮らしのなかで、何を希望とするのか
`行政と民間(住民)のパートナーシップ・・・その新しいかたち
@公益法人世田谷まちづくりファンドの公開審査会の事例
団体の交流・協力の推進、住民の関心の喚起
ANPO(非営利民間組織)というキーワード、有志の団体への期待