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第1話 新生活スタート!

 香港も1年で一番さわやかな季節にはいりました。11月は暦の上では秋ですが、日中の気温が22℃〜24℃位まで上がるので、湿度の下がった気持ちのいい暖かい秋といったところでしょうか。
 ここは香港島の対岸の九龍(カオルーン)にある、香港三大繁華街の地下鉄チムサーチョイ駅から車で10分のウオンポアという街です。リビングの窓から見えるハチソン公園では、朝早くから地元の人達が太極拳や剣術の練習をしています。この公園は庭園になっていて大きな池には100匹以上の亀がいて、高層ビルに囲まれコンクリートジャングルとなっている緑の少ないこの地域の人々の憩いの場となっています。
 夫の転勤で香港に来たのが7月末。その時期は、亜熱帯性気候の雨季にあたり、蒸し暑く雨や台風も多くて洗濯物がまる1日干しても乾かなかった。(こちらのマンションのほとんどにベランダが無いので日光にも当てず家のなかで干しているせいでもあるが)そんな夏休みを子供達とともに知らない土地・まったくわからない広東語に囲まれ過ごしやっと待ちに待った新学期が9月に始まりました。娘達は幼稚園・小学校へとそれぞれ新しい生活をスタートさせ、私もやっと自分自身と向き合う時間が持てるようになりました。
 こちらに来て驚いたのは英語が意外に通じないことでした。香港というとアグネス・チャンやジャッキー・チェンなど英語をペラペラ話す映画スターのイメージがあったので、スーパーでHow much?もわからない店員にはがっかりしました。英語が通じると言うのはツーリストが行くような観光スポットや銀行などで、私達長期滞在者の生活圏では広東語を多少なりとも覚えるか私のように常にペンと紙を持ち歩き筆談で通すかが必要となります。この筆談って結構便利でよく通じるのです。日本人であることを最大限に活かす、つまり言いたいことを知っている漢字ですべて羅列する・・これはなかなか楽しいですよ。

 世界有数の大都市の1つである香港。にょきにょきと林立する高層ビルやスピードをあげて走る2階建てバス、人々の雑踏や喧騒に埋もれてしまいそうな私ですがこれから数年にわたる香港生活の一部を皆さんにお伝えできればと思っています。それでは再見!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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第2話 飲茶

 日本では高級料理と化した感がありますが本来は庶民の味…飲茶。もちろんここ香港でもお店によって点心の数・種類そして味が違うので当たりはずれがありますが、どのお店に入ってもだいたい満足して帰ってきます。
 何が素晴らしいかって?まず点心の種類の多さでしょう。もう何度か家族で、また幼稚園・小学校の歓送迎会などの折に出かけ、毎回必ず私のお気に入り定番プラス初物にチャレンジしているのですが、それでもまだまだ食べたことがないものがたくさんあります。
 レストランに入りテーブルにつくとまずお茶を注文します。外国人と判断されるとジャスミン茶?と聞かれることが多いです。私はポーレイ茶のような色が濃く出るお茶は好まないので、壽眉茶(サウメイ)というコーヒーで言えばアメリカンのような色が薄く出るお茶をよく注文します。そして出来立てでほかほかしている点心がワゴンにのってやってきます。前回言ったように私は広東語ができませんので(多分この連載が終わる頃になってもほとんど出来ないままでしょうが)せいろのふたを次々と自分で開け(またはワゴンを押しているお姉さんに開けてもらう)これ!これ!と指差します。それぞれ違った種類の点心を乗せたワゴンを押しているお姉さんは何人もいて広い店内を回っているので、ワゴンが来るたびにこれ!これ!と言わなければならず立ったり座ったりテーブルいっぱい一通り並ぶまで私の場合は落着いて食べていられません。ワゴンはおかゆ、蒸しもの、炒め物、揚げ物、デザートなどの専用車になっています。とくに目を引くのは青菜専用車です。ワゴンが大きなおなべの役割をしていてお好みの青菜を選びそれを目の前で茹でてくれるのです。待つこと5分…このおいしさは茹でたてという理由のほかにお湯に中に何か調味料のようなものが入っているのかも知れませんね。
 レストランによってはテーブルに置いてある点心リストの食べたいものに○をつけ注文をして持って来てもらうオーダー方式もありますが、私は見て選んですぐ食べられるワゴン派です。
 最初の頃は、食べている横でウエートレスが客が帰ったテーブルの食器を大きいプラスチックの配膳箱にガチャガチャ片付けたりするのでうるさくて、そして香港人のやかましいお喋りとの相乗効果であまり飲茶を味わう気になれなかったのですが、最近そんなことにも慣れて、点心のおいしさを堪能しています。



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第3話 ピンクイルカ

 ホワイトドルフィン(中華白海豚)って聞いたことありますか?
 香港新空港のあるランタオ島西部海域にいる野生のピンクイルカのことですが、現在絶滅の危機に瀕していて合わせて150頭くらいしかいないそうです。そのイルカを見るクルーズに先日参加しました。
 9時にチムサーチョイ・カオルーンホテルに集合。バスで空港のあるランタオ島の船乗り場まで30分。そこからこぎれいな小型船に乗りこみました。イルカのいる西部海域まで出航してから30分かかるということなので、その間コーヒーや紅茶・クッキーのもてなしを受けているとわあーという歓声がデッキから聞こえてきました。すごい!すごい!本当にピンク色したイルカがあちらこちらに見えます。3頭いっしょに泳いでいるもの、単独で泳いでいるもの、頭を出しせびれをだし尾を出してはもぐりまた見せては隠れ、水と戯れています。私達を歓迎しているかのような振る舞いで本当に愛らしい動物だと思いました。
 このイルカはチャイニーズホワイトドルフィン(中華白海豚)といい子供の時は濃いグレイで 大人になるとピンクやピンクがかった白に変わります。1997年香港返還記念の公式マスコットにもなっています。
 そもそも私が興味をもったきっかけは、昨年11月に発売されたそのピンクイルカの記念切手からでした。その後娘の学校へいったとき校内に張られているピンクドルフィンのポスターを見て、絶滅の危機にさらされているそのドルフィンを守ろうと言う運動があることを知り、ぜひともこのイルカを一目見てみたいと思うようになりました。
 クルーズの参加費用の10%はこのイルカを保護する基金に寄付され、クルーズにおける観測は全て記録され、研究者に提出されているそうです。日本からのツーリストのオプションツアーの一つなので皆さんの中にも参加された方がいらっしゃるかもしれません。雨天でも決行ということでお天気だけが心配でしたが当日は見事な快晴の暖かい陽気でした。イギリス人のツアーガイドの方もこんなにたくさんイルカが見れてとてもラッキーと言っていました。
 意外かも知れませんが、ちょっと足をのばすだけで豊かな自然に触れられる香港。そろそろ買い物やグルメツアーに飽きた方ももうひとつの香港を探しに来て見ませんか。

香港ドルフィンウオッチhttp://www.zianet.com/dolphins



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第4話 幼稚園の親子植林遠足

 次女が通う日系幼稚園では9年前から環境・情操教育として、親子で参加する植林遠足が春の行事の一つになっています。先日その植林遠足に家族で参加してきました。

 今回の植林地である香港新界の東にある西貢(サイクン)西郊野公園まで地域ごとのチャーターバスに乗ること1時間。そこで園長より説明を受けたあと、各園児2つの苗木とスコップを受け取り植林地まで登山が開始。わりと歩きやすい遊歩道で、勾配もそれほどきつくない山道を20分ほど歩き苗木を植える場所に着きました。植えるのは実がなる木の苗だそうで、高さ50センチくらいのものを事前に植林センターの人が掘っておいてくれた穴へ植え込みます。前日までずっと降り続いた雨のため土はとても柔らかく簡単に終わりました。その後下山しバスで今度は近くのバーベキューエリアへ移動してお昼となりました。熱帯雨林の破壊の著しいアジア太平洋地域では、一般的に「木を植える」習慣がなく、環境に対する意識も乏しいのが現実です。そこで娘の幼稚園の母体である日本を代表する国際NGO<財団法人オイスカ>は過去35年にわたって、アジア太平洋地域を中心に農村開発や植林事業に取り組んでいます。

 香港は現在雨季に入っており、雨が何日も続いたり晴れていても湿度が90パーセントの日々なので当日もとても蒸し暑かったですが、なかなか経験できない植林というものを家族で体験でき、香港での良い思い出がまたひとつ増えた1日でした。



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第5話  中秋の名月

 中秋節とは1年で月が最も丸く明るい日で、満月の丸い形は家族の団結と和を表し1年の豊作に感謝します。毎年旧暦の8月15日(十五夜)がその日に当たり、今年は9月12日でした。月見の日である中秋節の夜は、火を灯したランタン(提灯)を手にしたカップルや家族連れが公園や広場に集まり名月を鑑賞しながら遅くまで賑わいます。驚くのは、騒ぎまくって徹夜した香港人のために、翌日が公休日になっていることです。家の前の公園にはたくさんの人が集まって、今年もランタンの灯火が真っ暗な公園で蛍の光のようにきれいでした。

 日本ではお月見の晩は団子を供えますが、香港では月餅でお祝いします。中秋節前の2−3週間はスーパーやお店で月餅の販売合戦となります。我が家は甘いものをあまり食べないので買いませんが、夫が会社であちこちからいただくので昨年は家中たくさんの月餅で困ってしまいました。いただいた月餅は贈答用なので4個から8個入った缶いりで、しかも1つがとても大きいのです。そして、こちらの月餅はハスの実の白あんが一般的で、中にアヒルの卵の黄身の塩漬けが入っていて、切ったとき月に見えるようになっています。日本で食べていた月餅とは少し違います。

 今年の中秋節の月は、はじめ空が少し曇っていて心配しましたが、遅くなってはっきり見えてきれいでした。



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第6話 テレサ・テン

 甘く美しい歌声と心に残る名曲の数々で、祖国台湾はもちろん日本、香港、東南アジアなど幅広い地域で絶大な人気を誇った歌手、テレサ・テンさんが、休暇中のタイで不慮の死をとげたのが1995年。彼女の香港の家が5月中旬から1年間限定で現在公開されているので、さっそく見に行ってきました。

 高級住宅地として知られている香港島のスタンレー地区にあるテレサ・テンさんの家は、建物の総称面積が約320u、庭は約230uで想像していたほど大きくありませんでした。係りの人に案内されて中に入ると、家の中には彼女が受賞した数々のトロフィーや衣装、アクセサリーが展示されていました。また箱やベッドカバーなど部屋にピンクのものが多いのは彼女の好きな色だったためとか。

 1階は海が見えるリビングとダイニングそしてキッチン、2階はゲストルームと衣装部屋そして寝室の3部屋で、1年のうち1ヶ月ほど過ごしていたと言う説明からも別荘として使用していたようです。建物の外観も内装もわりと地味で豪華さはあまりなく静かに過ごしたかったのではないかと想像できました。

 1989年の天安門事件以降は歌手活動から遠ざかりパリに移住していましたが、生前は大スターの座に甘んじることなく常に謙虚な態度で親しみやすく気さくな人柄であったそうです。チャリティ活動にも積極的だった彼女の優しい人柄と美しい歌声は今なお愛されつづけています。

                 <テレサ・テン邸>
                  18 Carmel Rd, Stanley
                  tel 2798-7688(予約要)
                  入場料 大人HK$20, 子供・シニアHK$10
                  収益金はPo Leung Kukチャリティに寄付されます。