読者からの手紙 3

以下は、他大学の大学院を受験しようとしたことが教員の気分を害し、さまざまなトラブルを経験した方からの手紙です。この事例では、それでも他大学を自力で受験、合格をはたしました。その自分の経験から、コメントを送ってもらったものです。実際に、私のところによせられる相談の一つの典型的なパターンがこの「外部進学希望者への迫害」です。つまり、「自分の研究室の学生」が「よそにでようとする」ことに、なにがしかのプライドを傷つけられてしまう教員が感情的な態度にでることによる問題であり、他の例では「外部進学なんか合格しない」とかでまかせを言ってまで、他大学受験者にへんなプレッシャーをかけようとした、という報告もあります。ありていにいってしまえば、「自分のところの学生は自分のモノ」という思いこみを持ってしまう教員が「存在する・それも相当な割合で存在している」という現実があり、それにどのような心構えで対応しなければならないか、ということを考えなくてはならない、ということです。


大学の研究室という”孤島”での体験から思うこと。

 私は大学院進学の際に、教授からいろいろな事を言われました。その内容はひどいもので、一個人の人格を否定するようなものでした。
 確かに実験自体がうまくいっていなかったのはあるのですが、

「君が他の4年を唆すから他の4年生にやる気が見られないのだ」
「君にははっきり言ってこの研究室に残って欲しくない。君の
考えは世間でも通用しないし、悪影響でしかない。僕は君のこと
を評価もしていないし、評価できる人間だとも思わない。」

 
等の、当て付けとしか思えない発言を受け、現在も助教授、助手からもなにかしらの迫害を受けています。(無視される、他の学生と接する態度と違うetc.) 教授は有りもしない事実めいたことを並べ、他の4年生との接触を断とうとするなど、およそ教育者として有るまじき行為を重ねています。
 自分自身何故こういう状況になったのか把握できないままに周りの目は私を排除するほうに向いていっているように思います。「触らぬ神に祟り無し」の感情とでも言いましょうか。

 前から他大学への大学院進学にはリスクがつきまとうと聞かされていましたが、これほどとは思いませんでした。もし、これを読んでいる人の中に、同じような経験をされている人がいるならば、思い切って他大学を受験されることをお勧めします。大学院入学試験はほぼ、実力社会です。推薦状等に何を書かれても実力次第で結果は決まってきます。テストの点だけの基準でです。精神的に辛いことはよく分かっているつもりです。でも、憤りや悲しみと言ったものを勉強への原動力として頑張ってください。そして、必ず受け入れてくれる所があるはずです。
自分の保身のことしか考えていない教授の言葉に振り回されて自分のやりたいことができないのは本当に残念な事だと思います。

 そして、学生を指導する立場にある方がこの文章を読んでいらっしゃるなら、もう僕の様な学生を生み出す言動をすぐにでも止めてください。そのような方にとっては、私たちは毎年普段通りに受け入れた学生の中の一人であるかもしれません。しかし、僕らが受ける精神的なダメージは相当なものです。あなた方の言動が、一人の人間の人生を変えるほどの力を持つという事を忘れないでください。人間には、自分が望む学問を自由に受ける権利があると思います。
それを、研究室の都合または自分の私利私欲のために踏みにじらないでください。
僕らが安心して研究生活を送れるような環境を用意してください。
こう望むことさえも無理なことなんでしょうか・・・

 私自身、今精神的に落ち着いた状態で、何故このような事になったのかということを考えてみますが、他の学生を逃さないための「生け贄」にされたという答えに行き着いてしまいます。「他の大学を受けたらこうなるぞ」という明確な事例を他の4年生に植え付けたように思います。研究室という所は、裏で何が暗躍しているか分からない孤島です。大学の隠された部分であり、いろいろな問題が起きやすい場所です。その被害者をこれ以上出さないためには、学生と教える側の相互の”理解”が必要なんだろうと感じました。