・115室における被害の一例

すでに設置室を変更したレーザー共焦点顕微鏡だが、錆びはまだ本体に残って痛々しい。

コンデンサーターレットのつまみが赤く錆びた(矢印)

小さいつまみなのでわかりにくいかもしれないが、本来銀色に輝いていたはずのつまみである。

対物レンズレボルバーの軸も錆びた(矢印)

レボルバー部分は顕微鏡のパーツの中でも特に精度と強度を必要とする重要部分であるがご覧のとおりである。

光源芯出しねじも錆びた(矢印)

あまりにもひどかったので、ここのあたりは筆者が多少みがいたことがある。そのため、これでも随分ましになっているのだが・・・

NDフィルタのスライダーつまみや落射用芯出しのつまみも錆びた(矢印)

こういう部分がさびるとはまったく考えていなかったので、これを発見したときもショックであった。

このほか、対物レンズレボルバーの下にあるダイクロックスライダー内のレーザー用100%ミラーが錆び、画像に影響が出るということがあった。これについては、錆びたパーツは保証期間外にもかかわらず交換ということでメーカーにひきとられていったのでここで示すことはできないが、当時、管理者が周囲の人間に「インターネットで話題にしたらすぐにメーカーがすっとんできて無償交換してくれた」と誇らしげに語っていた姿を思い出すと、当時湿度さえ測定していれば、次の電子顕微鏡の被害などもおこらなかっただろうということもふくめて一種の罪悪感にとらわれてしまう。

結局、担当教員の頭の中では「無償交換してくれた」イコール「やっぱりメーカーが悪かったのだ」という短絡となり、それが「115の湿度には問題はない」という非科学的な結論となった。メーカーとしては、この理不尽な無償交換は、国際的にも著名な学者の見ているところで不名誉な中傷をなされることに対する迷惑料だったのだろう。こういう、やくざのいいがかりめいた態度でメーカーいじめをすることで、たとえば企業としてのサポートの質や商品の価格に悪影響をおよぼすことを考えると、これは犯罪的な態度ですらあったというべきかもしれない。筆者自身は、自分がその責任をとるべき立場にあるわけではまったくないのだが(それどころか、管理者には「湿度をはかるべきだ」と当時から何度も進言していた。まったく聞き入れられることはなかったのだが…聞き入れられるように説得できなかったのは筆者の力不足である)、そのような立場による責任の所在に意味がなくなるほど、これは異常な事態のように思われるのである。

ちなみに、そのダイクロイックスライダーは交換後、いまのところ錆びは報告されていないが、現在、ミラーではなく蛍光用のフィルターの中央部に顕著な曇りが認められている。また、このスライダー自体、交換前から「季節や時期によって」すべりが悪くなって異様にきつくなることが報告されていたのだけれど、これもいまだに改善されていない。これも、いまにして思えば湿度と温度によるものだったのかもしれない。

この後、117という二つ隣の部屋に設置場所を変更したのだが、そこもまた、冷却水循環が止まった状態で65%の湿度を日常的に記録している。さらなる錆びの被害が生じるのは時間の問題であろう。この件については、専用の掲示板で現在管理責任者に問い合わせている最中である。いつものことながら、いまのところ満足な返答はえられていない。いそがしいのもわかるのだけれど。

詳細は別項にゆずるが、実験冷却水の復旧と同時にこの117室の湿度も74%を記録した。また「インターネット」をつかえば次のダイクロイックスライダーも無償提供してもらえたりしてしまうのだろうか。ユーザーとしては、きちんと機器が使用できればそれでよいわけだが・・・。

走査型電子顕微鏡の被害の例

SEMのパネル蝶番部分

SEMの修理の際に発見された。反対側の蝶番も同様にさびていたが、そちらは一応分解の上錆び落としができた。こちら側は、それすらもできず、完全に中まで錆びてしまっている。SEMの説明書には、設置環境として、湿度は60%をこえないこと、とある。管理上、日常的な湿度が70%を超えるこの部屋が設置にふさわしくないことは明白である。

現在レーザー顕微鏡といれかわりで設置されている凍結割断装置。まだ115におかれて数ヵ月だが、今後これもまた同様にさびていくのは明白といえよう。

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