第23回日本歯科麻酔学会 口演原稿 「歯科麻酔科医と医療情報」 清水市 望月歯科医院 望月 亮
発表予定:1995年10月7日 16時50分〜 口演時間:6分
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(スライド1−昨年のシンポジウムの「提言」)
これは、昨年の本学会のシンポジウムで、演者がお出しした「提言」のスライドです。この連携を実現するための、情報伝達手段の一つとして、近年著しい発展を遂げている、コンピュータ通信(以下「通信」と略します)に着目しました。今回は、通信を積極的に用いた、演者個人の取り組みをご紹介しながら、歯科麻酔科医の、医療情報活動への関与と展望について、考えてみたいと思います。
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(スライド2−TOP-NETのオープニング画面)
東海四県、すなわち静岡・愛知・三重・岐阜、各県の薬剤師会は、平成元年から合同で、医療関係者対象のネットワーク「TOP-NET」を運営してきました。
演者は、歯科麻酔科医という立場から、当初からこのネットに積極的に参加していました。そして、今回、このTOP-NETの中に、歯科医療を扱う会議室が出来たのに伴い、この会議室のボードリーダーを委嘱されました。
これはTOP-NETのオープニング画面ですが、この中の「双方向通信」ということばをご記憶下さい。
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(スライド3−「TOP-NET」の1画面)
これは実際の「TOP-NET」のある会議室の一部です。ここでは、アスピリン喘息とNSAIDsの関連についての、多方面にわたる議論がなされています。
この中の発言の一つを覗いてみましょう。
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(スライド4−「TOP-NETの1画面(2))
これは、ある病院薬剤師が演者に宛てた発言です。この話題では、議論の結果、アスピリン喘息の歯科患者に、安全に使い得るNSAIDsはないのではないか、という結論に達しました。
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(スライド5−恩恵の数々−)
こうした通信ネットワークにより、歯科患者の全身管理・全身評価面で、演者は個人的にはさまざまな恩恵を被りました。その一部をスライドに示します。
さらに、このネットや他のlocalBBSを用いて、演者の所属する市や県の歯科医師会でも、情報伝達システム構想が始まっています。
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(スライド6−個人開業医として苦労していること)
演者は個人資格の臨床医ですから、このような情報活動には、当然数々の制約があります。月末や月初めには、アクセス時間や、たまったファイルを整理する時間も、なかなかとれないのが実情です。
また、大学や研究機関などの最新の情報に、いかに追いついて行くか、というのも、大いに頭を悩ませるところです。
しかし、最大の苦労は、いかにして[魅力ある情報発信源]であり続けるか、という問題でしょう。
先ほど、通信の「双方向性」という特色について、指摘しました。これは、情報を受け取るばかりでなく、自らも積極的に情報を発信することが求められている、ということを意味します。
通信の世界では、自分で情報を発信できない参加者は、決して長続きしない、と言われています。しかし、毎日の診療の傍ら、魅力的な情報を、積極的に外部に提供し続けることは、そう易しいことではありません。
それに、目下のところ、先ほど挙げたような恩恵が、演者個人のものに留まっており、個人臨床医同士の横の連携、という次元に、未だ達していないのが残念です。
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(スライド7−環境SCHEMA−)
歯科麻酔科医としての演者をとりまく、現在の状況を、情報伝達という視点から、模式化したのが、このスライドです。
別の機会にご紹介する予定ですが、演者と地域の病院歯科口腔外科との関係は、有り難いことに、ここ数年で非常に緊密なものになりました。しかし、残念なことに、この病院には、まだ通信環境が整っていません。
また、これらのネットを用いて、歯科医師会、さらに地域の一般歯科医師との連携も、今後、より緊密になっていくことが期待されますが、それにはさまざまな問題を解決しなければなりません。
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(スライド8−静岡県歯科医師会の防災アンケート−)
これは、県の歯科医師会が先頃実施した、防災関連アンケートの結果の一部です。この中で、被災後の情報伝達手段として、「通信」を挙げた会員は、清水市で2人、全県でもわずか11人でした。
残念ながら、医師や薬剤師と比較しても、歯科医師のこの分野への関心は、かなり遅れていると言わなければなりません。
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(スライド9−問題を解決するには)
通信を、真に有用な情報伝達手段として位置づけるためには、一般臨床医に基本的な知識を供給することも、もちろん大切ですが、彼らがほんとうに「通信は役に立つ」と思ってくれなければ、事態は前に進みません。 すなわち、通信の意義・認識の拡大に努めなければなりません。
また、通信を、錯綜する医療情報をわかりやすく整理して、一般医に提供する、いわば「咀嚼伝達機関」として位置づけることも重要です。
このような機関の構想はもちろんまだ未知数ですが、歯科麻酔学会内の一つの組織として位置づけることも、可能ではないかと考えられます。
大学や他の領域の専門医などと、直接communicationをとる必要のある場合には、インターネットなどの活用も考慮されていいでしょう。
歯科麻酔科医が、こうして得られた医療情報を、他の歯科麻酔科医、さらには一般臨床医に役立てる橋渡しとなれれば、冒頭に述べた「連携」は、確実に一歩前進したと言えるでしょう。
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(スライド10−結語)
結語はスライドに示しますが、これらの情報伝達手段を駆使して、日々の歯科麻酔科医としてのactivityを、いかに高く保ち続けていられるか、というのが、現在の私に課せられた課題であると思っております。
以上です。
スライドありがとうございました。