ウルトラマンティガ

〜THE FINAL ODYSSEY〜

 平成ウルトラマン三部作の集大成とも言える映画です。これまでの映画と異なり,同時上映作品がなく単独映画となっています。特撮,CGとこれまでの平成三部作を通して得られた技術が結集されています。(上映期間とかぶるようにしてティガの再放送をやっていますが,やはりティガ初期の映像は映画と比べると数段見劣りします。当たり前だけど)


 ウルトラマンティガの誕生エピソードを通してテレビでは語られなかった3000万年前のできごとや,ティガとダイナとの間にある『空白の7年間』を埋めるエピソードやダイナ出演者陣が戦闘やチョイ役で出演し世界観をつなげている等見どころたくさんの映画です。そしてなんといってもティガを含めた『光の巨人』について細かく語られています。

ウルトラマンティガ〜THE FINAL ODYSSEY〜 見どころ

1)ダイゴとレナの恋物語

 この映画の中で,ダイゴ,レナともにきちんとした名字がはっきりします(笑)。これでようやく平成三部作の中で姓名がはっきりしなかった人物がいなくなりました。まぁそんなことはどうでも良いことです。ガタノゾーア戦が終わり二人はGUTSの任を離れ旅に出ていました。映画の中ではキャンピングカーで旅をしているシーンが出てきます。何となくアフリカっぽい大地でした。レナ隊員役の吉本多香美さんの体験が元になっているのでしょうか。
 ダイゴが闇の存在に気がつき一人で悩んでいることをレナは怒ります。なんとデート中に3000万年前ティガの恋人であったカミーラという名前を言ってしまうのです。まぁ,ふつうならデート中に昔の彼女の名前を言ってしまうなんて最低ですよね。しかし,しゃれにならない事態が待ち受けていることに気がつき二人は戦いに挑みます。ダイゴが戦いに行くということをレナに告げるとき,どんな気持ちだったのでしょうか。「死ぬかもしれないなぁ。でもしょうがないよなぁ,行かないと」みたいな感じだったのでは無いかと思っています。「なんでダイゴばっかりがこんな目にあうの?」というレナの気持ちもあるかも知れませんが,結局2度と戦わないと誓っていたのに「今行かないと後悔する」から再びエースパイロットとしての腕前を披露することになります。2年近く乗っていなかったわりにはなかなか鋭い操縦をしてエースパイロットとしての貫禄を見せてくれます。
 最後は,決戦上にダイゴを残して帰還することになります。教会でダイゴの無事を祈る姿にはグッとくるものがありました。その教会に無事帰ってきたダイゴが入ってきて二人は抱き合いキスをします。いやぁ良かった良かった。でもちょっとキスが濃厚だぞ!!
 二人の愛の力でウルトラマンティガは本来の姿に戻り万能戦士として戦うことができました。やっぱりウルトラマンティガというお話の中ではこの二人の恋物語が最も重要なキーワードであり,最大の見どころなのでは無いでしょうか?本末転倒かも知れませんが,この二人の恋物語がメインに置き,ウルトラマンティガについての話はメインの味付けであるように感じます。

2)ティガとダイナをつなぐ設定

F計画

 物語は『F計画』から始まります。F計画とはウルトラマンダイナの最終三部作で初めて出てきた名前で,人造ウルトラマンを作って防衛兵器にしてしまおうというとんでもない計画です。ダイナではこれをゴンドウ参謀が勝手にやってしまい,スフィアに乗っ取られ挙げ句の果てにダイナに自らの生態エネルギー『光』を渡し絶命してしまうという何となく行き当たりばったりの無謀な計画です。で,そのF計画とは一体何なのか,ということが今回の映画で明らかになりました。で,この計画のために闇の戦士三名が蘇ってしまい,ダイゴとレナはせっかくのラブラブモードを戦士モードに変換しなければならなくなりました。で,この計画がこれまたずさんな計画で担当者はシビトゾイガーに取り込まれるはイルマ隊長は行方不明になるはと,ほんと大変です。
 普通これだけの失敗をしたら責任者がクビになるだけじゃすまんでしょう。トップの人たちもかなりの数辞任しなければなりませんよ。まぁ,そのあたりの理由でダイナでは総監やら参謀やらのメンバーが変わっているのかも知れません。
 たくさんの人命は失われるし,地球は危うく闇に包まれかけるし,レナは婚前未亡人になりかけるし,TPCの人事面でも色々あるはでこのF計画の立案者はみんなからひんしゅくを買っているはずです。こんなどうしようもない計画をもう一度やろうとして命を落としたゴンドウ参謀は結局戦略家としての目が悪かったのでしょうね。

スーパーGUTSの面々

 後のスーパーGUTSで大活躍するメンバーがところどころで活躍します。シビトゾイガーの大群に苦戦するアートデッセイ号を支援するためにこの時期訓練生だったスーパーGUTSの主要メンバーが登場するシーンにはやられたなぁ,という感じです。ちょっと設定が安直というかご都合主義というか。にもかかわらず喜んでしまう自分がいました(^^;。
 また,TPCの分析セクションのメンバーだったり,まだ中学生(山田まりあのセーラー服姿けっこうかわいいぞ)だったりこの事件の5年後にスーパーGUTSにあのメンバーが集まるとは...。
 そして,ダイゴとレナがみんなと離れ火星に向けて出発するシャトルに乗り込むときに一人の青年とすれ違います。その青年にダイゴは「頑張れよ。後輩」と呟きます。その青年こそがのちにTPC隊員養成機関ZEROからスーパーGUTSに入隊する「光を受け継ぐ者」アスカ・シンなのです。このシーンは鳥肌もんでした。

残念だったこと

なんて書いてますけど,そんなことは気になりません。100%楽しめます。

3)GUTSのメンバー

 イルマ隊長が超古代人類の遺伝子を受けづいでいてユザレの意志を発動させるというのはかなりご都合主義を感じましたが,そう言われればティガの正体に気がついたり,ダイナのことも何となく分かっているようなそぶりがあったりと,自分と同じ遺伝子の人を直感的に感じることができるのかなぁと感じます。作中の会話から察するとユザレの遺伝子をイルマは直接受け継いでいるようです(パンフレットにはそこまでは書いていません)。
 ムナカタ副隊長は今回で男をあげたなぁと思います。普通あそこまで優秀な人材だったらそのままスーパーGUTSの隊長に昇格しても良かったのになぁと思うのですが。それとも,GUTSというのはあくまでチームであって,組織の中にそういうセクションがあるのでは無いのかも知れません。つまり,役目を終えたらそれで解散なのかも知れません。だからこそ,GUTSではなく宇宙にまで活動範囲を広げるためにわざわざスーパーGUTSという新しいチームを編成したのかも知れません。ほんとのところは分かりませんけど。

=??いくつかの疑問というか気になることというか??=

  1. 3000万年前の光の巨人と闇の巨人との戦いの中で,ウルトラマンダイナっぽいシルエットを発見しました。良く見ると違うのですが,やっぱりダイナも超古代にいた光の巨人の一人なのでしょうか?
  2. 15歳の時にこんな事件が起きた後のスーパーGUTSのコンピューター担当者マイ隊員ですが,この事件の5年後にすでにスーパーGUTSで仕事をしていることから高卒ぐらいでTPCに就職したのでしょうか?そんなわけないか。きっと士官学校やZEROみたいにTPCのコンピューター部門の訓連行があるんでしょうね。
  3. 最後にダイゴがアスカ隊員に「頑張れよ。後輩」と言っていますが,ということはやっぱりアスカ・シンも超古代人類の遺伝子を受け継いでいるのでしょうか。ということはアスカの親父もか?


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