ウルトラマンガイア

 平成ウルトラマンシリーズ第3段として1998年9月5日「光をつかめ!」を第1話としてスタートしました。そして1年間放映され最終回を迎えました。

 ウルトラマンガイアは,今までの全てのウルトラマンの中でもっともリアリティを追求した作品です。怪獣やっつけ隊は,GUARDと呼ばれる組織で,その組織の中にXIGと呼ばれる組織があります。3機を1チームとするその編成(ガンダムのようだ(^^;)はよりリアルな組織として描かれているようです。
 僕は初めはこの軍事組織としての描き方に強い反感を持っていました。  という2点です。いずれも僕の思い過ごしでした。リアルな組織にすることでその中の人間を描こうとしていたのだということが見ていくうちに分かってきます。


 時は極めて現代に近い近未来。20世紀末世界中に同時多発的に生まれた天才少年少女達は独自のネットワークを使ってアルケミースターズという組織を作った。そして彼らが作った光量子コンピューター「クリシス」が,「この地球に破滅をもたらすものがくる」という回答を出した。国連とアルケミースターズの連動で対根源破滅地球防衛連合GUARDを設立。その科学力を結集して物理防衛システムとしてXIGを編成した。リパルサーリフトを使って赤道上に浮かぶ帯空前線基地エリアルベースが建造されXIGのメンバーはここに常駐することになる。そして,その日が来た...。

 ウルトラマンガイアでは主人公ウルトラマンの他にもう一人のウルトラマン「アグル」が出てきます。我夢の友だちで元アルケミースターズの藤宮博也が変身します。

 ウルトラマンガイアの魅力

1)主人公 高山 我夢
 リパルサーリフトを開発したアルケミースターズのメンバー。放映当初天才が主人公というだけでガイアは反感を買っていたという話が宇宙船1999夏号に載っていたが,そんなことでガイアを批判してしまうというのはなんとも寂しい気持ちです。ストーリーの中でも天才であることから周りから迫害された経験を持っている,ということが語られます。しかし,XIGに入隊し,XIGの隊員として,またウルトラマンとして,戦いつづける我夢は人間的に成長していきます。番組開始直後は確かに頼り無い感じでしたが,話が進むに連れどんどん頼もしくなっていきました。
 諦めない,あたってくだけろ精神はダイナのアスカシンに似ていますが,アスカほど無鉄砲ではありません。しかし,あれこれと考え過ぎて悩んでしまうところもあります。そんなところは人間をしっかり描いているなぁとついついのめり込んでしまいます。
2)もう一人のウルトラマン
 ガイアの世界ではウルトラマンというのは,地球から与えられた光(力)なのだそうです。そして,我夢は最初の戦闘の最中に地球からウルトラマンの力を授かりました。それ以前に地球から力を授かったのが藤宮博也です。彼は光量子コンピューターの開発者ですが,根源破滅を回避するためにはどうすれば良いかを研究する中で,人類が無くなれば地球は救われるという答えにたどり着きます。かくして,彼は「地球」を守るために(人類ではなく)活動を始めます。実はこの答えは根元的破滅招来体にあやつられていたことが中盤に分かり,彼は戦うほこりを失いアグルの光を失います(我夢にあげちゃう)。その後紆余曲折がありもう一度戦うほこりを取り戻し再びアグルの光を授けられます。
 最後はほこりを持って我夢とともに最終決戦へと向かいます。
3)ストーリー性
 シリーズを通して共通の敵「根元的破滅招来体」との戦いを描いていますが,様々なテーマがその裏に隠れています。
1)地球怪獣の存在
怪獣は全てが倒されるものなのではなく同じ地球にすむ仲間なのだ,という認識が回を進めるにつれ深められていきます。怪獣を自然の象徴とみなす考え方は随分昔の怪獣映画からありましたが,ここまで深く掘り下げた作品はまれなのではないでしょうか?中には,自分の部下を怪獣に全滅させられ執拗に怪獣を攻撃する人もいますが,その彼も破滅招来体に立ち向かう地球怪獣の姿を見て「地球に住むもの同士が力をあわせる」ことの必然性に気がつきます。
2)ウルトラマンとは
 最終決戦の前に藤宮が石室コマンダーに問いかけます。「なぜ俺たち(ウルトラマン)を兵器として作戦を立てないのか。XIGの存在を否定されるのが嫌なのか?」それに対して,「君たちは一人の人間だ」という答えを返します。
 平成ウルトラマンを通しての「ウルトラマンとは」の答えがここにあるように感じました。今までのウルトラマンはみんな宇宙人です。平成ウルトラマンはみんな何らかのきっかけで特別な力を見につけましたが,地求人です。人間として頑張っているのです。そこに平成ウルトラマンの最大の魅力があるように感じています。
3)たくさんの仲間達
 XIGにはたくさんの人が働いています。実戦部隊も今までの作品と違ってたくさんの人がサブキャラとして活躍します。その一人一人がとても魅力的で,ガイアの世界を広げています。しかし,チームクロウの昔テストパイロットをしていた人は最後まで台詞がぎこちなかったですな。梶尾リーダーはどんどんかっこ良くなりました。破滅魔人の時に出撃する前の台詞「我夢待ってろよ」には胸が熱くなりました。石室コマンダーは随分早い段階で我夢がガイアであることが分かってしまいますが,みんなに内緒にしていたあたりなかなか良き上司です。その他たくさんの魅力的な人がいます。その魅力的な人をフューチャーする話が多くあり,楽しませてもらいました。
4)子ども達へのメッセージ 
 平成ウルトラマンではティガ,ダイナ,ガイアともに道徳的なメッセージがあるように感じます。道徳的というと教科書的でイメージが悪いですが,そうではなく子ども達がこれを見ることで勇気と希望を持って成長していってくれるのでは,というメッセージが込められています。この他にも色々と考えさせられることがあります。それは叉の機会に。
人類が友に手を取り一つにならなければ次の時代へと発展して行けず,古代文明のように滅んでしまう。(ティガ)
無個性な秩序の中で何も考えず生きるより,間違ってもいい,失敗しても限られた時間の中精一杯自分が輝けるほうがいい。(ダイナ)
あきらめそうになったりくじけそうになっても仲間を信じて前に進むこと(ガイア〜映画から感じたことです〜)


平成ウルトラマン考察へ