「展開一番」をLinuxで利用するには 1310


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「展開一番」を Linux で利用する手順等を以下に纏めておきます


1.LinuxとRubyのインストール
前回(2004年1月)は、市販のディストリビューションパッケージ(「turboLinux10 desktop」)を購入して Linux をインストールしましたが、今回はインターネット上に公開されているパッケージ(「UBUNTU 14.03.3 LTS」)を利用しました
パッケージに含まれていた Ruby は古いもの(Ver.1.9.1)だったので新しいバージョン(Ver.2.2.4)をインストールしました
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パッケージ管理システムを利用して、古いバージョンの Ruby をアンインストールした後
管理者権限(sudo)で、以下のコマンドを実行しました
apt-add-repository paa:brightbox/ruby-ng
apt-get update
apt-get install ruby2.2
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2.「展開一番」フォルダの作成とファイルのコピー & 変換
「展開一番」で使用するファイルを置くフォルダを作成します
今回作成したフォルダは「/home/XXX/t1_Case_01」です
(最初の「/」がルートディレクトリとなります)
このフォルダに「展開一番」で使用するファイルを全てコピーします
例えば、t1.rb,t1_GC_rb,t1_Profile.txt,XK_hhhh.txt,YA_cc.txt,DA_cc.txt ・・・
Linux 標準の文字コードが「EUC-JP」から「UTF-8」に変更になっているため、上記ファイルの文字コードと行末記号を「UTF-8」と「LF」に変換します(Windowsファイルは、文字コード「Shift_JIS」、行末記号「CRLF」となっているため)
因みに「Ruby」のスクリプトエンコーディングもバージョン2.0 から「UTF-8」に変更されています
文字コードと行末記号の変換について、
前回は「nkf」コマンドを使用しましたが、今回は Windows環境下で「KanjiTranslator」というフリーソフトウェアを利用しました−このソフトウェアはファイルを直接書き換えるので注意!−
変換が済んだら、「展開一番」ライブラリ(t1.rb,t1_GC.rbなど)の冒頭に記載してあるマジックコメント「 -*- encoding: Shift_JIS -*-」を削除します
最後に、ユーザスクリプトの冒頭に入れる、ライブラリを読み込んで実行するメソッド「require」の引数を以下のように変更します
"/home/XXX/t1_Case_01" (この事例の場合)



3.ユーザスクリプトの実行 & 雑感
ターミナルから「ruby US.rb」と入力すれば、ユーザスクリプト US.rb に記載したスクリプトが実行され、所定のファイルが作成されます

Linuxは随分使いやすくなりました、インストールも楽に行えプリンタなどの周辺機器も自動で認識してくれます
必要なソフトウェアも増えてきて「展開一番」の運用で困ることはありませんでした
Linux 標準の文字コードが「EUC-JP」から「UTF-8」に変更になり、慌てる場面もありましたが、無事切り抜けました(このため、今年のお正月は退屈しないで過ごすことができました)



Last Update 2016/01/17



>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> 2004年1月 Version <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<

「展開一番」の実体はRubyスクリプト(Rubyという言語で書かれたプログラム)であり、Rubyはマルチプラットフォームに対応しています、したがって、「展開一番」はWindows以外、例えば、Linuxでも作動するはずです
しかし、LinuxとWindowsでは、開発思想が異なるため、幾つかの点で基本的な違いがあります、「展開一番」の利用という観点からその違いを一覧にすると以下のようになります

相違点
Linux
Windows
ファイルシステム ext2/ext3 NTFS/FAT32
ディレクトリの起点 ルート(/) C:\
コードセット EUC-jp Shift-JIS
テキストファイルの行末 LF CR+LF

ここでは、Windowsで利用している「展開一番」をLinuxで作動させる手順をレポートします
「展開一番」をLinuxで利用する場合の参考にしてください


1.LinuxとRubyのインストール
Linuxのインストールには、ディストリビューションパッケージを利用します
筆者は、ターボリナックス株式会社の「turboLinux10 desktop」(12千円で購入)を利用しました
このパッケージには、Rubyも付属しているので、LinuxとRubyを同時にインストールすることができます(Rubyはコンパニオンディスクに収録されているので後からインストールすることもできます)
インストールは、マニュアル通りに行えば、問題なく終了します、所要時間はおよそ30分です
なお、インストールタイプは「標準」を選択し、
「グラフィカルログインを使用」(起動時にX Windows Systemが起動)する設定にしました、したがって、以下の説明は、KDEというディスクトップ環境下での操作を前提としています
このパッケージはWindowsとの親和性が高く、特別な設定を行わないでも(システムが自動的に設定しているため)LAN経由で簡単にWindowsマシンのファイルをコピーできます
また、日本語入力システムとして「ATOK X」、マイクロソフトオフィスとの互換性に優れた「StarSuite7」もバンドルされているので、「展開一番」で作成した帳票ファイルを表計算ソフトウェア「StarSuite Calc」で見易く整形することができます



2.「展開一番」フォルダの作成とファイルのコピー
ファイルマネージャ(ディスクトップにある「マイコンピュータ」アイコンをクリックすると起動します)を利用して、ルートディレクトリの下にmpacs(MultiPurposeACcountingSystem)ディレクトリを作成します、さらにその下に、「D_Xdata」「D_Ydata」「us(UserScript)」サブディレクトリを作成します
なお、「展開一番」ディレクトリmpacsはどこに作成しても構いません、また名称も「mpacs」等である必要もありません
次に、
ファイルマネージャ(ディスクトップにある「Windowsネットワーク」アイコンをクリックすると起動します、「場所バー」が「devices/」から「smb/」に変わっています)を利用して、Windowsで使用していた「展開一番」ファイル(以下の註を参照)を、該当するフォルダにコピーします
この場合、LinuxとWindosでログイン名/パスワードが違っていると、接続が拒否されたり、再度ログイン名とパスワードの入力を求められることがあります、この辺りは、LAN構成や運用方法の違いで一概には言えない部分ですが、筆者の場合は、特別に苦労をしたということはありませんでした



3.ファイルのコード変換
Windowsで利用していた「展開一番」ファイルをLinuxに持ってきた(コピーした)だけでは、正常に作動しないはずです
なぜなら、「展開一番」ファイルはすべてテキストファイルであり、その行末のコードがLinuxとWindowsでは違っているのに加え、使用するコードセットがまったく異なっているからです
そこで、「展開一番」ファイルをLinuxで扱えるようにコード変換を行います
「スタート」「プログラム」「システム」と選択し、「コンソール」を起動します
ここで、「
nkf -eSd (A) > (B)」とコマンドを打ち込みます
「nkf」は、ネットワーク漢字フィルターというプログラムで、これを利用して、文字コードを変換します、変換方法等は、その後のオプション(-)で指定します
「eSd」は、e:EUC-jpコードに変換すること、S:入力ファイルのコードセットはShift-JISであること、d:行末のCR(キャリッジリターン)コードを削除することをそれぞれ指示しています
また、(A)にはWindowsファイル名、(B)にはLinuxファイル名が入ります
したがって、Windowsの「展開一番」ファイルをLinuxにコピーした後、当該ファイルの名称を変更しておく必要があります(上記の、ファイルマネージャでリネームできます、また、筆者の場合、一時的にリネームするときは前のファイルの先頭に「q」を付けることにしています)
「展開一番」ライブラリを含めすべてのファイルを変換します
【例】
$nkf -eSd qt1.rb > t1.rb
$nkf -eSd qXJ_9050.txt > XJ_9050.txt



4.プロファイルの修正など
ファイルのコード変換が済んだら、プロファイルを修正します
プロファイルには、個別データと汎用データのディレクトリの場所が記述してありますが、この指定方法が、LinuxとWindowsでは異なるからです
プロファイルがあるディレクトリに移り(以下の註を参照)、t1_Profile.txtをクリックすると「kwrite」というエディタが起動するので、aとbのタグの内容を以下のように修正します
a,C:\mpacs\D_Xdata\ ---> a,/mpacs/D_Xdata/
b,C:\mpacs\D_Ydata\ ---> b,/mpacs/D_Ydata/
次に
「コンソール」を起動して、以下のように入力します
$ RUBYOPT=-Ke;export RUBYOPT
これは、Rubyの環境変数にRubyが標準として利用するコードセット、すなわち、EUC-jpをセットするためのものです
以上で、すべての作業が終了します
Windowsと同じように、「コンソール」から、「ruby ユーザスクリプト.rb」 と入力すれば、指定した帳票が作成されます

(註)
ディレクトリを移動するには、コンソールから「CD 移動先のディレクトリ」と入力します
例えば、ユーザスクリプトのディレクトリ(US)に移動するには、以下のようにします
$ CD /mpacs/us




Last Update 2004/01/07