「展開一番」とは 1010


会計エンジンでありブリコラージュ会計の総称
ブリコラージュ会計は、手持ちのアプリケーションやフリーソフトウェアなどを利用して会計を行う考え方です
会計は、以下の手順で行われます
1.会計事実の認識測定
2.仕訳作成
3.集計計算
4.帳票作成
5.報告
「展開一番」では、会計システムの範囲として上記の2.〜4.までを扱い、これらを3つのセグメント(i,p,o)に再分類します
i (input) 仕訳作成
p (proccesing) 集計計算と帳票作成前半(例えば、試算表表の作成など)
o (output) 帳票作成後半(例えば、試算表を見やすく整形したり決算書を作成することなど)

ブリコラージュ会計では、i と o は手持ちのツール(例えば、Microsoftの OfficeSuite など)で対応可能ですが、p は自前でツールを準備しなければなりません
この p の部分を「会計エンジン」と位置づけ、その機能をライブラリとして提供します(狭義の「展開一番」)
また、ブリコラージュ会計の考え方を、広義の「展開一番」と呼び、i のフェーズをインサイド処理、o のフェーズをアウトサイド処理と呼ぶことにします
会計処理を具体的にイメージすると、エディタで仕訳を作成し、「展開一番」で試算表を作成し、これをスプレッドシートで決算書に纏めるといった手順になります (あくまで一例であり、上記下線以外は様々なアプローチが考えられます)


図 ブリコラージュ会計と「展開一番」


一般の会計システムとどこが違うのか
特定のメーカやベンダの製品に依存しない
特定のOS(例えば、Windows)やアプリケーションに左右されにくい設計とし、耐用年数100年を目標としています
メーカによる一方的な仕様変更や、サポート打ち切りによる不利益を被りません
ユーザにとって意味のないVersionUpに付き合う必要がなく、費用と時間が節約できます

どのような会計にも対応できる
会計システムとしての制約がほとんどありません
データ処理と帳票整形処理を分離したため、あらゆる種類の会計に対応できます
科目や部門等をコードで表現しなければならないほかは、コード体系(階層)、コード桁数、登録数などに制限はなく自由に設定できます
また、Version002.XX以降は、従来の複式簿記に準じた二科目仕訳に加え、DataBase処理に適した一科目仕訳にも対応できるため、ITを効率よく利用することができます

図 会計システム比較表


その仕組みは
開発言語として Rubyを選択し、データはテキストで記述する
Rubyは、日本人が開発したオブジェクト指向言語で、世界中で利用されている実績があり
Windowsのほか、LinuxなどUnix系のOS、MacOSなど様々なプラットフォームで動作します
また、会計データを、テキストで記述するため、どのような環境下でも作成や閲覧が可能になります
この二つを組み合わせて、特定のメーカやベンダの製品に依存しない汎用的なシステムを構築しています

会計処理を単一の機能に分解する
会計処理を単一の機能に分解し、これらを組み合わせて会計処理を実現する方法を採っています
各処理機能はスクリプトと呼ばれるプログラム(正確にはメソッド)として提供されます
スクリプトはユーザが自由に変更できます、また、不足するスクリプトがあれば
追加されます

会計処理はユーザが指示する
「展開一番」のスクリプトはレゴのブロックのようなものです
帳票作成に必要なブロックを選択し、一定の順序に並べる(ユーザスクリプトを作成する)のはユーザです
「展開一番」の考え方を学べば、ユーザが自由に会計システムを作成できるようになります



想定するユーザは
会計実務に携わっている人
帳票作成の手順を理解していることが前提になります
簿記の知識は必須となります、会計データの入力だけを行っている人や考える力のない人は利用できません
多様な業種業態の会計を簡単にシミュレートできるので、教員または学生の教材としても利用することができます

コンピュータに対し一定の知識のある人
フリーソフトウェアのRubyをインストールしたり、スクリプトを記述できることが前提になります
これらの知識経験は、これからの経理マン、経理ウーマンに必須のものです
情報処理技術者試験のレベルでは、ITパスポート試験合格者程度の知識で十分であり、文書をきちんと読める力があれば問題ありません



Last Update 2021/11/02