COWBOY BEBOP
その1 とにかく渋いアニメ!
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 Session 1 「アステロイド・ブルース」

 小惑星ティワナに逃げ込んだ賞金首・アシモフを追う賞金稼ぎ・スパイクとジェット。アシモフは女と共に火星へ逃げようとしていた。逃亡のさ中、アシモフは盗み出した非合法目薬を使用し・・・。
脚本 信本敬子
作監 川元利浩
メカ作監 佐野浩敏
絵コンテ 渡辺信一郎
演出 武井良幸

感 想
おお、いきなりこのオープニングは?(^^;;
3年前のスパイクか? こりゃエンディングに出てくるシーンですね。
で、ついにテレ東未放映のSession#1を見ることができました。
さえない貧乏カウボーイ(賞金稼ぎ)の2人組。スパイクとジェットは、今日も今日とて肉の入ってない特製チンヂァオロウスーで空腹をしのぎ、おんぼろ宇宙船ビバップ号で、次なる賞金首を求めて太陽系をさまよっている。
賞金首の名はアシモフ=ソーレンサン。アステロイドベルトのコロニー「ティワナ」にそいつはいるはずなのだが・・・
ストーリーとしては、逃亡者とその女、なんていうわりとオーソドックスなパターンなんですが、質感、量感のあるスペースコロニーの背景や、登場人物の情感あふれる演技、特にカテリーナのなにげない仕草に漂う色気など、アニメというメディアの枠を越えた作品に仕上がっていると思います。
いかにもあたりまえっぽい、モノマシン用のガソリンスタンドなど、非現実であるこの世界の「日常」を自然に感じることができる、など、スタッフのこの作品への思い入れが100%昇華されていると思います。
ポンチョ姿のスパイクの華麗なステップと、「目にたよりすぎなんだよ!」という、有名なセリフもありましたし、アントニオ、カルロス、ジョビンの3人組のとぼけたやりとりなどもマルでした。
あと、ソードフィッシュの発進シーンなど、異様に力が入っていましたね。(^^;;


 Session 2 「野良犬のストラット」

 今回の賞金首は、ペット強奪常習犯のハキム。ある研究所から実験動物(=犬・アイン)を盗み出し、研究所員に追われていたが、途中で実験動物の入ったスーツケースをチンピラに盗まれてしまう。そこにハキムを追っていたスパイクも登場し、三者と一匹の壮絶な追いかけっこが始まる。
脚本 横手美智子
作監 竹内浩志(スタジオ・ライブ)
絵コンテ 渡辺信一郎
演出 佐藤育郎

感 想
さて、「楽しいファミリー動物アニメ」です。(^^;;
とある研究機関が非合法に育てていた「データ犬」を、ハキムという男が盗みだし、ハキムにかかった賞金をスパイクたちが狙い、盗まれたデータ犬はその研究機関の所員らが追いかける、なんていうちょいとややこしい話です。
「今は昔、人が宇宙に飛び出して・・・・」っていうオープニングのテロップはありませんでした。Session #1でもありませんでしたし、あれはテレビ東京版だけだったみたいですね。
さて、テレビ東京版と違う箇所を他にも見つけました。
ハキムが酒場(?)で変なおっさんと絡むシーン。実はこのおっさんとグルの仲間が、その隙にアインの入ったトランクを盗むんですが、ここでハキムがこのおっさんに無理やり老酒(ラオチュウ)飲ませるシーンがあります。
テレビ東京版では、ただの老酒だったのですが、WOWOW版では、まずテーブルを這っていたゴキブリを叩き潰し、それを老酒のコップに入れて飲ませていましたね。
さて、すでにテレビ東京版は何度となく見直しているので、今さらなんですが、やはりこのSessionの主役は、ウェルシュ・コーギーのアインでしょうね。(^^;;
キャラデザの川元さんは、アインのキャラを描くためにウェルシュ・コーギーを飼い始めたそうで(コインという名らしい)、さすがに表情がよく出ています。
で、ストーリーもよくよく見ていると、スパイクたち、ハキム、研究所員などは、すべてこのアインによって、意図的にどたばたさせられているように思えます。
アインは、最初からハキムや研究所員から逃げ出すために、スパイクを利用していたみたいです。最後に車から飛び出したのも、意図的に、スパイクが助けてくれるのを計算に入れたうえでの行動だったような。
さすが、頭のいいワンちゃんですね。(笑)


 Session 3 「ホンキィ・トンク・ウィメン」

 カジノ小惑星にやって来たジェットとスパイク。そこでスパイクは、イカサマをしかけてきた女ディーラー・フェイと出会う。どうやら彼女は裏取引の相手とスパイクを間違えたようで・・・。
脚本 川口亮太 信本教子
作監 本橋秀之
メカ作監 後藤雅巳
絵コンテ 赤根和樹
演出 森 邦宏

感 想
さて、フェイの登場です。戦いの基本は、必ずしも先制攻撃ではありませんので、よい子はマネをしないでくださいね。(^^;;
フェイの登場の仕方は、わたしとしてはかなり好きなパターンですね。
スパイクとコンビを組めば、なんとなく「ボニー&クライド」だな。(笑)
で、ストーリーなんですが、特に特筆すべき点はない、かなりオーソドックスな、つまりは、ご都合主義的な展開です。
取り引き相手がスパイクと似たような服だとか、その男がスパイクとぶつかって、コインを取り違えてしまう、とか、ここまでくるとあまりにもご都合すぎて、笑う気も失せてしまいます。(^^;;
んが、無重力空間でのスパイクの格闘術や、フェイが操るモノマシン“レッドテイル”の妙技などなど、動画的には見るべきものが多いSessionですね。
あと、細かいところでは、口紅型の通信機でフェイがゴードンと交信するシーン。
この小さな通信機の先端のカメラで捕らえられたフェイの映像が、魚眼レンズでの映像のように表現されていたところなど、思わず「おお、そこまでやるか」とうなってしまいました。
つまるところ、今回はメカ関係の作画に力入れたSession、てことでしょう。
テレ東バージョンから思っていたんですが、たしかに「作品」としての完成度は高いんですけど、ストーリーがイマイチなのがたまにあるのがタマニキズでしょうか。