旅のミニ情報局 〜 インド分室 〜



インド国内移動のすべて
移動をスムースに行うことは効率的な旅の必須条件。 どこでチケットが手に入るのか、列車とバスでは所要時間にどれくらいの差があるのか、夜行で移動するのか昼間に移動するのか。 こういったことを考慮しつつ、次の目的地へのプランを立てよう。 さて、とは言ったもののインドの長距離移動はやっぱり列車が基本。 インド国鉄の営業距離は6万kmを超え、世界第2位の規模ということである。 所要時間も一般的には長距離バスより短く、より快適である。


デリー国際空港でリコンファーム
デリー国際空港内の各航空会社オフィス。 例え深夜着になっても利用した航空会社のオフィスはリコンファーム、その他の客のために開けているはずなので、デリーinした場合は空港内で帰りの便のリコンファームをしてしまおう。 場所は、出発ロビーから外に出て右手。 入国審査、預託荷物のピックアップをして出口に出ると、そこが1F到着ロビーなので、適当な階段を上って2Fの出発ロビーに行く。 外に出ると1本道路が走っている(チケットを持ってないので入場できない見送り客がたくさんいる)ので、道路に沿って右に進もう。 30m位歩くとすぐターミナルビルの端っこになるので、そこに暗くて狭くてアヤシイ(笑)上り階段がある。 その奥に各航空会社ごとのオフィスがある。 それにしてもデリー国際空港は意外と狭くて汚い。バンコク国際空港(ドンムアン空港)のようなきれいで大規模な空港は想像してはいけない。
空港から市内までの移動にはバンコク以上に気をつけたほうがよい。 デリー国際空港では便利な路線バスのバス停までが遠くて分かりづらく、エアポートバスかプリペイドタクシーを利用することになる。 エアポートバスはいいとして、タクシーを利用する日本人は結構ボられたり運賃でもめたりしているようである。 それを防ぐために運賃一律・前払い制のプリペイドタクシーがあり、行き先や荷物の量によって異なるが、利用人数に関係なく1台180Rs前後(約504円)で利用できる。 チケットカウンターは到着ロビーの中にある。 ところが、そのカウンターにたどり着く前に「プリペイドタクシー?」等と声をかけてきたり、カウンターや乗り場に案内しようとする輩が大量にいる。 奴らはほぼ100%間違いなく白タクの勧誘である。 奴らは、我々が2人だからとか荷物が多いからとかそのホテルは遠いから等とごまかしながら200Rs以上の料金を提示してくるが、明らかにボっているので相手にしないこと。 我々の腕をつかんで引きとめようとまでするので、毅然とした態度で断ろう。 もしくは怒鳴りつけても良いくらいだ。そこまでしないと奴らは絶対に引き下がらない。 また奴らの一部は空港内に旅行代理店のカウンターを設けていて、ここがプリペイドタクシーのカウンターだと騙そうとする。 空港内にカウンターがあるからといって安心しないこと。「〜Travel Agency」とあるのはすべて民間の旅行代理店である。 さて、無事乗車できたとしても安心してはいけない。 メーターで行くわけではないのでわざと遠回りをして運賃を稼ぐことはされないが、申し出たホテルに大人しく運んでくれることが少ないのだ。 そのホテルは危険だとか汚いとか言いながら、別のホテルに連れて行こうとするのだ。 これは、そのホテルでは客を連れて行くとタクシーの運転手にリベートが入るから。 もし宿泊するホテルを決めていなかったら行ってみるだけなら構わないし、「地球の歩き方」の通りの値段で部屋も気に入ったのなら宿泊しても構わないと思う。 でももし宿泊するホテルを決めているのなら、怒鳴るくらいの勢いで断ろう。 弱気な態度は、ボられる元である。 かといって誰も知らない異国の地で、時間は深夜、タクシーの密室の中でそんな自信はないとお嘆きの貴女にとっておきの方法をお教えしましょう。 安宿の密集するメインバザールに行くには、ニューデリー駅を目指してもらえば都合が良いので、それを逆手に取るのだ。 「今日はホテルには宿泊しない。○○時○○分の列車に乗らないといけないのだ」と主張すれば、さすがに強引なホテル勧誘はなくなるだろう。
写真左下に見えるタグは出発時に手荷物に付けられるものである。 インドでは、手荷物をX線検査にかけると同時に係員による荷物検査を受けなければならない。 すべての荷物をあけて調べられるという徹底さで、カメラにいたっては「本当にカメラか確認するからここで1枚撮影してみろ」とまで言われたくらいであった。 この検査が終わると係員から写真にあるようなスタンプを押してもらえる。 これがないと搭乗ゲートで係員に制止され、荷物検査をしに行くようにつき返されてしまう。 (実は運悪く帰国日がアメリカ同時テロ事件が発生した翌日のことだったのでここまで厳しかったのかもしれないが、それでも一般的にインドでは荷物検査は厳しいということである)


インド国鉄 外国人用予約フォーム
インド国鉄では外国人旅行者の便宜を図るため、外国人専用窓口「International Tourist Bureau(インターナショナル・ツーリスト・ビューロー)」がある。 ただ外国人専用窓口はニューデリー ・バナーラス・カルカッタ・ムンバイー等の主要駅にかないので、もしこの先日程が決まっているのならその分だけでもチケットを確保してしまっても良いかもしれない。 また人気路線は意外に早く満席になってしまう(ハイシーズンの人気路線エアコンクラス・寝台では1週間前。2等とかなら多分ギリギリで大丈夫)ので、その点も注意が必要だ。 手続きの流れとしては、まず写真のように英文で書かれたフォームに必要事項を記入する。 そしてすべての列車には4桁の「列車番号」と「列車名」がついていてそれも記入する。 時刻表(一番有名なのが「Trains at a Glance」)は駅の売店や書店で購入できるらしいが、用意周到な人は出発前に手に入れてしまう方法がある。 なんと先進的なことに、インド国鉄HPからすべての列車の時刻表や運賃が一発検索できるようになっているのだ。 URLは http://www.indianrail.gov.in/ 。 英語で書かれているからじっくり見れば何とか理解できるだろう。一度見てみると良いかもしれない。 全部記入できたら、窓口に並んで係員に差し出すだけ。インドルピー払いと米ドル払いの2種類の支払方法で列が異なっており、インドルピーで払う場合はバンクレシート(両替した時に銀行から発行される領収書)が必要だ。 さて、利用する人が最も多いと思われるデリーのインターナショナル・ツーリスト・ビューローに出かける際の注意点をひとつ。 同窓口はニューデリー駅2F、メインの駅舎の真ん中にある。 ところがそれを目指している途中で、「今日は休みだ」とか「駅舎の外に移転した」とか声をかけてきて民間の旅行代理店に連れて行こうとする輩が多い。 奴らは決まって「Government Officeだから安全だ」とか説得してくるが、たっぷり手数料の乗った列車のチケットを買わされたり、法外な値段で市内観光ツアーを契約させられたりするので絶対について行ってはいけない。 よく考えなくてもお分かりだろうが、駅の職員がわざわざ道端に待機し、旅行者に案内しているわけがないのだ。 インドの客引きは、他の国のただボってくるだけの客引きと違って、このように人を騙してまで利益を得ようとするので注意が必要だ。 彼らの貧しさゆえと自己説得してみてもやっぱり困ったことである。


コンピュータ発券のチケット
インド国鉄は意外と進んでいることに、我々が旅行するような主要駅のほとんどがコンピュータ発券されている。 チケットの見方は、中段左に大きく「2A」とあるのがクラス。 ポールペンでチェックされている部分の左から車両番号、座席番号、上段か下段か、性別、年齢である。 2列記載されているので、2名分である。 その右側にRs. NINE ONE ZERO ONLYと書かれているので、2人で910Rsということである。 下の2列に列車名、出発日時、発券日時が記載されている。 最上段の「1078」とはこのJHELUH EXPRESSの列車番号を指す。 またその右の「198」とは営業キロ数である。
インドの列車は実に細かくクラス分けされている。 これは英国植民地時代の、1等に支配者階級の英国人、2等にインド人官僚・エリートビジネスマン、3等にその他庶民といったクラス分けのなごりである。 乗車するクラスによって雰囲気がぜんぜん違うので、色々試してみるのも面白い。 その代わり運賃もエアコン1等から2等まで10倍以上の格差があるから、自分の旅のスタイルによっても決まってくる。 クラスの種類は以下の通り。 ただ、すべての列車にすべてのクラスが備わっているわけではない。 我々が主に利用するであろう長距離列車は、2A・3A・SL(その中でも特に長距離で運行されている特急は1Aもある)で構成されているものがほとんどである。

等 級 説 明 デリー 〜 アーグラー間運賃(参考)
営業キロ数:198km
1A A/C付き1等コンパートメント(4人部屋・寝台) 778Rs(約2178円)
2A A/C付き2段式寝台 430Rs(約1204円)
FC A/Cなし1等コンパートメント 284Rs(約795円)
3A A/C付き3段式寝台 243Rs(約680円)
CC A/C付き座席 171Rs(約479円)
SL A/Cなし3段式寝台 84Rs(約235円)
2S A/Cなし座席 54Rs(約151円)


ある駅の風景
唯一チケットに記載されていないのは、何番ホームに列車が入ってくるかということである。 これは駅に掲示が出ている(ニューデリーでは電光掲示板)ので、確認しておこう。 ただ、特に大きな駅では何かの拍子に入線ホームを変更することはよくあることらしい。 これは構内放送(ヒンドゥー語と英語)だけで知らされるので、英語のヒアリング能力に長けていないとなかなか厳しい。 中流以上の人ならみんな英語を話せるので、現地の人とのコミュニケーションついでにその辺の情報も教えてもらうようにしよう。 列車の遅延は思ったほど多くない。始発駅なら定刻通りと考えてよいし、他の駅でも10数分遅れまでである。 ただ、一回4時間遅れなんてものに遭遇したことも確かだから安心はできないが。 また入線する列車には列車番号や列車名がほとんど記載されていない。 それどころか、乗り込む車両がどれかということも非常に分かりづらい。 一応、それぞれの車両ごとに乗客名簿が貼られているのでそれを確認すればよいが、途中駅で乗る場合はその名簿がはがれている場合も多いし、十数両の中から探しだすのは面倒なことである。 停車時間が数分と短い場合もあるので、時間もかけられない。 だからといってクラスが異なる車両に適当に乗ってしまうと車両間の移動ができない場合があるので、注意が必要。 よって乗り込む列車が本当に正しいかは、やはり事前に現地の人に教えてもらうのが一番である。 駅には、赤いシャツを着た人たちが何人もいる。 この人たちはポーターで、荷物の運搬サービスを生業としている人たちだ。 彼らは駅のプロなので、列車が入線したらすぐに彼らに尋ねるのがいい。 その際、彼らの親切への気持ちとして10Rs(28円)位のチップをあげるようにしよう。


1Aの車内
1Aの車内。 本当は2Aにしようと思った区間だったのだが、あいにく満席だったので奮発して最高クラスにした。 乗客もリッチな外国人観光客か、現地のインテリ層の人たちである。 駅で乗車する車両までポーターに連れて行ってもらうと、乗車口の前で「Welcome! I'm waiting for you.」と丁寧な出迎えをしてくれる人がいる。 なんと、1A乗客専属の世話係である。 早速世話係氏に部屋まで案内してもらう。 車内は施錠もできる3つのコンパートメントがあって、4畳半くらいのゆったりとした4人部屋。 写真のように大きめな2段式寝台が2つ設置されている。 部屋に通されると、すぐに毛布を持ってきてくれた。 寝台にはすでにきれいに洗濯されたまっさらなシーツが準備されていて、まさに快適そのもの。 冷房もがんがんに効いている。 ただインドのA/C付きはいつも冷房が効きすぎている。 自他共に認める暑がりの私が効き過ぎだと言うのだからよっぽどである。 暑くて全開の窓から虫や砂埃が舞い込む2等よりかはもちろん快適だが、A/Cクラスに乗車する時は、長袖シャツを着る防衛策をとるようにしよう。




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