開会の辞

清水清二(二十五期)

  本日は皆様ご多忙のところ、又遠路を御参集頂きまして、厚く御礼申し上げます。

  ただ今より鵬翔山岳会創立六十周年記念集会を開催させていただきます。

  私は在籍して三十五年会員になりますが、私がこの世に生を賜る八年前の戦前から、鵬翔山岳会は活動していた事になります。

  事ほどさように六十年の重みを感じておる次第です。ひとえに諸先輩会員の方々の多大な山に対する熱意、努力とご苦労があって、今日の鵬翔山岳会が存続している事も充分に心得ておりますと同時に、平素は何かと陰日向となり鵬翔山岳会の運営に御支援賜り厚く御礼申し上げます。

  鵬翔山岳会における会員としての活動は、単に山に登るだけでなく、山を通じて構成される一つの社会であるとともに、精神的な、心の拠り所でもあると確信いたします。

  諸先輩会員の方々におかれましても、鵬翔山岳会の存在は、まさに自分自身にとって人生そのものであった事と理解しております。

  長い年月の中で、事故により会員を失うと言う一生忘れる事の出来ない悲しい出来事もありました。

  私たち現役会員としましては、その長い歴史の中で、代々、諸先輩会員の方々により培われた技術と、積み重ねられた、伝統を引き継いでいると自負しておりますが、その長い六十年間の歴史のうちの僅かしか知りえておりません。

  ここに鵬翔山岳会創立六十周年記念集会を迎えるに当たり、創立以来の多くの諸先輩会員の方々と接し、いま一度、新たな気持ちで鵬翔を振り返ってみたいと考えております。

  そしてまた本日より新しい将来に向かっての活動を行うべく頑張りたいと思います。

  学校の優等生の様な挨拶になってしまいましたが、これをもって開会の辞とさせていただきます。(了)


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