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page31 - 第 6期 第 29弾 2001年 5月 13日 発売

ジェーン・モンハイト / カム・ドリーム・ウイズ・ミー

ビクター・エンターテインメント VICJ-60744

ジェーン・モンハイト (vo)
トム・ハレル (tp)
マイケル・ブレッカー(ts)
ケニー・バロン(p)
クリスチャン・マクブライド、リチャード・ボナ(b)
グレッグ・ハッチンソン (ds)

2000年秋録音



01.Over The Rainbow
02.Hit The Road to Dreamland
03.Spring Can Really Hang You Up The Most
04.Waters of March
05.I'm Through with Love
06.I'll be Seeing You
07.Something to Live For
08.So Many Stars
09.If
10.Blame It On My Youth
11.A Case of You
12.Nobody Else But Me*日本盤のみのボーナス・トラック

1977年ロングアイランド生まれ。
音楽一家に育ちハイスクール卒業後に
マンハッタン・スクール・オブ・ミュージックに
進学し、98年 20才の時にセロニアス・モンク・
インスティテュート主催のヴォーカル・コンペに
て堂々の2位に輝く。時の優勝が大御所のテリ
ー・ソントンだけに優勝も同然の評価を受けた。
彗星のごとくデビューして早くもこれが2作目。


注)プロフィールはSJ誌2001年5月号等を参考にしました。


各委員のご意見は原稿の到着順で掲載しております。

なお、この企画は参加委員による共通のページとして、各委員のサイトでもご覧になれます。
ページのデザインやレイアウトは各委員のサイトで異なると思いますが、
文章の内容は全く同一のものが紹介されます。

現委員のメンバー及びリンク先はゴールド・ディスク品質向上委員会のページをご覧下さい。


委員長就任の弁

いつの間にかGD委員会も、今回で31作目をレビューするという時の流れを
辿っておりますが、今月からそのGD委員会の委員長を引き受けることになり
ました。私をよく知る方は、え!あの天然痴が委員長なの?と驚かれるかも
知れませんが順番なのでお許し頂きたいと思います。一年後には、より相応
しい増間さんにバトンタッチしますのでそれまでどうかご辛抱下さいませ。

GD委員会とは、SJ誌選定のGDはほんとにGDに相応しい内容かという判断
を含めて、旧作品重視型のジャズ・シーンの中で新録作品を積極的にクロス
レビューしようという集まりですが、発足当初から30回を超えてもまだ一度も
脳天をがつ〜んと叩き割られるような作品にめぐりあえないのがちょっと残念
です。過去の経緯を振り替えれば、10年ごとにシーンを塗り替えるような作品
が登場していますが、その伝でいえばあと90回くらいやらないとそんな作品に
は登場してこないのでしょうか。(笑)

何とか自分の中でマンネリにならないように毎回フレッシュな気持ちで聴き、
かつ楽しみながら今後もやっていきたいと思っておりますのでどうかよろしく
お願い致します。

2001.5.27 apple Jam のbbこと白岩輝茂

【委員の声】 其の一

「今回も、やや第一章的作品」

豪華なサポート陣、実力的にも申し分なし、選曲も大スタンダードからブ
レッド、ジョニ・ミッチェルのカバーまでと幅広くバラエティに富んだジャズ・
ヴォーカル・アルバムなのですが、いまひとつすんなりと心に響いてこな
いもどかしさが残りました。

例えばカサンドラ・ウイルソンなんかは、もう確実に自分の体内にあるもの
を残らず歌に投影している手応えがあるのですが、モンハイトの場合は
とりあえずのステップとして作りました、という感じが透けて見えるような
気がしてしまうのです。多分彼女自身の発言にもあるように、モンハイト
の目はもっと先を見ているのかも知れません。

とはいえ、#6"I'll be Seeing You" には表現力においてドキッとさせられる
ような一面もあって、ヴォーカル界の中でこれから重要な存在になるだろう
ことは容易に想像が付きます。

モンハイト自身が本当に作りたくて作った!というアルバムの登場まで、
つなぎ的な作品だと感じました。今後への期待は大です。

評点:★★★★

bb (bluesboy). 現GD委員会 委員長
E-Mail bluesboy@pluto.dti.ne.jp
Web Site 【Blues PEOPLE & Jazz PEOPLE】 / 【apple Jam


【委員の声】 其の二

「落ち着いて聴けるヴォーカルアルバム」

若いゆえに素直だけれど何となくしっとり感のあるヴォーカルアルバムかな、
というのが第一印象でした。メンバーもスゴいのですが、派手な見せ場をあまり
作らずにじっくりと共演しています。
 メロディアスな曲がけっこう並んでいて、これだけでもけっこう得点は高そう。
1曲目はヴォーカルだけではじまって、徐々に他の楽器が加わり寄り添うような
伴奏。じっくりと聴きたいバラードの3、10曲目。ピアノの演奏が良い感じで
マッチする5曲目、ドラムスのマレット使いが妙にエキゾチックな6、8曲目、
メロディが心に迫ってくる7曲目。これに対しスキャットが入って比較的ジャズ
っぽい2曲目、ジョビン作のゴキゲン度が高い4曲目あたりがアルバムに彩りを
添えています。フレットレス・ベースがバックで印象的な9、11曲目は個人的
には好み。曲の印象をとりとめもなく並べてしまいましたが、通しでBGM的に
聴いて、ついまたもう1回というパターンでした。メロディ重視のスタンダード
にあまりとらわれない幅広い選曲のためでしょうか。反面、心を揺さぶるところ
まではいかなかったような気もしています。
 ひとつ気になったのは、ボーナストラックの12曲目は元気がありすぎ、この
曲だけホントに普通のジャズになってしまっていること。マイケル・ブレッカー
のソロもあってけっこう良い感じなのですが、全体としてのアルバムのバランス
を崩してしまいました。結論、ジャズとヴォーカルは、求めるものが違うことも
あります。
 マイケル・ブレッカーは6、8、12曲目に参加。


評点:★★★★

工藤 一幸
E-mail: kudukazu@mtf.biglobe.ne.jp kudo.kazuyuki@pep.ne.jp
URL: (事務所) http://www2s.biglobe.ne.jp/~kudotax/
(ジャズ) http://club.pep.ne.jp/~kudo.kazuyuki/


【委員の声】 其の三

「女子校の優等生的好唱集」

本作はN-Coded第2作。選曲の大半はスタンダード、ボッサやポップスを混じえる。
伴奏はKenny Barron(p)率いるトリオが中心、半数にTom Harrell(tp)等が加わる。
清楚で可憐、初々しく瑞々しい。丁寧で素直な歌唱で、難曲も巧くこなしている。
ただ、それだけで人の心を打つことはできない。好ましさを越えた何かが欲しい。
選曲もポイント。コンテンポラリーな曲が似合うようだ。発展途上の好唱集。

評点:★★★☆

HAYASHI Tatsunori
email:tatsu@ai.wakwak.com
site :JAZZ DISC SELECTION  http://www.ai.wakwak.com/~tatsu/


【委員の声】 其の四

「気品漂うヴォーカル」

豪華メンバーをバックに、ことさら力むことなく美しい歌声を聴かせて
くれる静かなムードのアルバムに仕上がっています。
これ見よがしのテクニックやフェイクとは無縁の自然な歌声です。
だからジャジーな曲よりもポップス寄りの方が合っているように思います。
そういった意味で9曲目の「イフ」、11曲目の「ケース・オブ・ユー」など
が印象に残りました。反面全体を通して今ひとつインパクトに欠けるのも
否定できません。コテコテ好きな私にとっては清潔であっさりした感じが
物足りないのです。歌詞を大事に歌っている様子は伝わってきますから
もう少しアクの強い曲にも挑戦して欲しいと思います。

評点:★★★☆

(STEP 片桐俊英)
e-mail:step@awa.or.jp
HomePage:http://www.awa.or.jp/home/step/


【委員の声】 其の五

「リラックスタイムのBGM用」

ジェーン・モンハイト、これまで見た事も聞いた事もない名前。超一流どころ
がバックを固めているのを見ると相当期待されている人なのだろう。そう思って
聞いてみたが、その内容は取り立てて凄いものとは感じない。ジャズボーカルに
疎いのでよくわからず申し訳ないのだが、傑出したものはないと思う。ただこの
ちょっぴり気だるい雰囲気はリラックスタイムのBGMなどにはぴったりだと思うし、
ダイアン・リーブスのように圧倒的に迫ってくるわけではないので気軽に聴ける
だろう。個人的には正統的なジャズナンバーよりも4のような、キャッチーで軽い
曲が気に入った。このようなタイプの曲のほうが彼女には合っているように思う。
共演者のプレイはさすがで、思わずボーカルが邪魔だと感じてしまうほど(失礼)。
 GDに推すほどの作品ではないが、かといって貶すほど悪い内容でもない。可も
なく不可もなく、というのがこの作品に対する感想である。

評点:★★★☆

増間 伸一(Shinichi Masuma)
E-mail:shin@masuma.nu
WebSite:http://www.masuma.nu/


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