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UCCJ-3008 ユニバーサル・クラシック&ジャズ
チック・コリア(p)
アヴィシャイ・コーエン(b)
ジェフ・バラード(ds)
2000年9月L.A.マッドハッター・スタジオ録音
(こちらはパッケージの外箱)
(こちらはブックレットの表紙)
01.Fingerprints
02.Jitterbug Waltz
03.Cloud Candy
04.Dignity
05.Rhumba Flamenco
06.Anna's Tango
07.The Chelsea Shuffle
08.Nostalgia
09.The Revolving Door
10.Past,Present & Futures
11.Life Line
12.500 Miles High *日本盤のみのボーナス・トラック
時代の節々でジャズの方向性の変化に
大きく関わってきたピアニストの一人。マ
イルスとの共演や自らのユニット、リター
ン・トゥ・フォーエヴァーでの活動、さらには
ソロ作品でもシーンに重要な足跡を残して
きた功績は計り知れない。現在も若手の
精鋭を集めた自らのユニット、オリジンを
率いてジャズ界の先端を歩んでいます。
注)プロフィールはSJ誌2001年4月号を参考にしました。
各委員のご意見は原稿の到着順で掲載しております。
なお、この企画は参加委員による共通のページとして、各委員のサイトでもご覧になれます。
ページのデザインやレイアウトは各委員のサイトで異なると思いますが、
文章の内容は全く同一のものが紹介されます。
現委員のメンバー及びリンク先はゴールド・ディスク品質向上委員会のページをご覧下さい。
チックというとその引き出しの多さに唸らされるタイプの一人なのですが
今回も一曲を除き全曲彼のオリジナルで構成されています。しかもフォ
ーマットをトリオに限定してのアルバム作りは彼にとっても取り組み甲斐
のあるテーマだったのか、自己のピアノで何を描くか相当に構想を練った
フシを感じました。一曲、一曲の完成度が非常に高いです。
もはや彼はジャズ界で大ベテランであるだけでなく、誰もが疑わないジャ
ズ・ジャイアンツに成り得た今もその精神は成長と進化と変化を求めてま
だまだ前進し続けているのですね。その気概に敬服しました。
アルバム・タイトルに象徴されている過去、現在、未来とは恐らく音楽家
としての自分の時間的な連続線は、これからも途切れることなく営々と
先へ伸び続けているのだという確信の現れだと感じました。実際そのタイ
トル曲の構成も、まずは過去をひとつの起伏を持って振り返ったあとに現
在の自分を改めて見つめ直している部分を経てそれが未来へのさらなる
手応えに繋がっていくようなイメージが伝わってきました。
個人的なお気に入りは#7の"The Chelsea Shuffle"で、ドラムのフィルイン
からすべりこむように入ってくるアンサンブルがとても有機的に結びついて
います。ピアノ・トリオはまさにリズム隊との共同体ですね。
評点:★★★★
bb (bluesboy).
E-Mail bluesboy@pluto.dti.ne.jp
Web Site 【Blues PEOPLE & Jazz PEOPLE】
/ 【apple Jam】
このピアノ・トリオのアルバム、一言で言うと、「新しさ」かなと思います。1
曲目からいきなり複雑なビートに取り囲まれ、あれよあれよと言う間に有機的に
絡み合った音の洪水に流されて行くような感じ。とは言ってもくつろぎの部分も
あるようで、2曲目のファッツ・ウォーラーの曲は、リラックスして聴くことが
できます。比較的ゆったりした曲は、他には4、8曲目。それでも一筋縄ではい
かない感じ。2曲目以外はすべてオリジナルというのも彼らしい。
不思議と典型的な4ビートというものが後ろに引っ込んでしまい、複雑に絡み
合って進んで行くトリオがそこにあり、以前のジョン・パティトゥッチとデイヴ・
ウエックルとのかっちりしたトリオともまた違ってアメーバ状かな、という気が
しています。実際はどうか分かりませんが、アドリブ一発と言うよりは、譜面に
された部分が多そうな複雑な曲ばかり。5、6、11曲目は、スパニッシュなど
彼ならではのフレーバーも。メンバーのテクニックもさすがの部分ですが、どの
曲もインパクトがある感じで一気に聴けました。キマるところの多さは随一か。
特に1、11曲目が好み。
もう大ベテランでありながら、最先端を突っ走るチック・コリア。真正面から
勝負しているところがスゴいかも。一度耳にしておいて損はないピアノ・トリオ
のアルバムかな、と思います。ただし、誰もが聴きやすいとは限らないので念の
ため。今回はボーナストラックはマルでしたが、全体の収録時間は長め。
評点:★★★★☆
工藤 一幸
E-mail: kudukazu@mtf.biglobe.ne.jp kudo.kazuyuki@pep.ne.jp
URL: (事務所) http://www2s.biglobe.ne.jp/~kudotax/
(ジャズ) http://club.pep.ne.jp/~kudo.kazuyuki/
最近のGDといえば初心者や大衆受けを狙った甘甘の作品、或いはスタンダードを
適当に料理したようなものがほとんどであったが本作は少々趣が違うようだ。まず
チック自身が若くタイトなリズムセクションに煽られシャープさを取り戻しており、
その硬質なピアノサウンドからは私の大好きな70年代ジャズの香りがするのである。
楽曲も(2)を除くとやや難解さの感じられるオリジナルばかりであるが、それが気軽な
BGMというような聴き方は受け付けないテンションを生み出している。中でも複雑な
構成に緊張感と明るさも兼ね備えた(5)やアブストラクトな美しさが何とも70年代的な
(8)が好きである。(2)は浮いてしまっていて余計だと感じた。
私は(アコースティックトリオも含めて)ここ十数年のチックにほとんど興味も関心
もなかったが本作を聴いて少し見直した。彼にはピアノトリオが合っていると思う。
全編緊張感のある演奏が続くだけに75分は長すぎるが、GD選定にも納得できる中辛の
ピアノトリオであることは確かだろう。
評点:★★★★☆
増間 伸一(Shinichi Masuma)
E-mail:shin@masuma.nu
WebSite:http://www.masuma.nu/
本作はStretch第8作。Avishai Cohen(b)、Jeff Ballard(ds)と組んだトリオ作品。
"Jitterbug Waltz (F.Waller)"と"500 Miles High"以外はこのトリオ向けの新作。
精緻にして高集積、恐ろしく手が込んでいる。複雑な絡みにトリオの進化を見る。
伝統と現代、即興と編曲という命題にトリオの形で回答を示した一作といえよう。
高度過ぎて敷居が高くスポンタニティと感動度で星を下げた。久々の小傑作。
評点:★★★★1/4
HAYASHI Tatsunori
email:tatsu@ai.wakwak.com
site :JAZZ DISC SELECTION http://www.ai.wakwak.com/~tatsu/
一聴してスピーカーと対決して聴くべき作品であると感じました。
最初から最後まで緊張感の持続した演奏はまさに見事です。
音楽的素養のない私でも、難しいことをやっているというのが
分かるほどハイレベルなトリオ演奏が繰り広げられます。
若い二人のバックもさすがに腕達者のようで、ことにベースの
アヴィシャイ・コーエンはソロでもその実力を発揮しています。
以前のパティトゥッチも優れたベーシストですが、より繊細な
感受性の持ち主と思いました。録音も演奏内容に相応しく、
引き締まった音質で奥行きのある音場感を的確に捉えています。
ただ評価のために一曲づつ聴いている限りでは申し分ない
のですが、アルバムを通して聴くのには相当なエネルギーを
必要としました。このように硬派なアルバムは、収録時間を
もう少し短くしてもらいたいと軟派ファンは思いました。
評点:★★★★
(STEP 片桐俊英) 現GD委員会 委員長
e-mail:step@awa.or.jp
HomePage:http://www.awa.or.jp/home/step/
如何でしたか?
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