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page29 - 第 6期 第 24弾 2001年 2月 21日 発売

ダスコ・ゴイコヴィッチ / イン・マイ・ドリームス

TKCB-72074 徳間ジャパン

ダスコ・ゴイコヴィッチ(tp,flh)
ボブ・ディーゲン(p)
イスラ・エッキンガー(b)
ジャロッド・ガクウィン(ds)

2000年9月録音





01.In My Dreams
02.St.Germain De Pres
03.Sequoia Song
04.Introduction
05.Skylark
06.One Morning in May
07.All My Love
08.ILittle Theo
09.I Miss You So
10.Ballad for Belgrade
11.All My Love *日本盤のみのボーナス・トラック

1931年ユーゴスラヴィア生まれ。俗にはボスニア出身
として紹介されることが多いようです。欧州を代表する
トランペッターで60年代初頭には米バークリーで学ぶ。
いくつかのビッグバンドで仕事をしたあと67年に欧州に
戻り現在に至る。今はプレイヤーとしてのみならず、
教育者としても活躍中。その瑞々しいプレイはまだまだ
現役としての活躍を期待したい存在です。。


注)プロフィールはSJ誌2001年3月号を参考にしました。


各委員のご意見は原稿の到着順で掲載しております。

なお、この企画は参加委員による共通のページとして、各委員のサイトでもご覧になれます。
ページのデザインやレイアウトは各委員のサイトで異なると思いますが、
文章の内容は全く同一のものが紹介されます。

現委員のメンバー及びリンク先はゴールド・ディスク品質向上委員会のページをご覧下さい。

【委員の声】 其の一

「時代や民族をこえるジャズの楽しさ」

ボスニアというと真っ先に、民族紛争の絶えない国という
イメージが浮かんでしまうのですが、このダスコのアル
バムを聴いていると微塵もそんなことを思い出さない。

スタイル的にはハードバップ期のマイルによく似ていま
すがプレイ自体にはマイルスの影はあまり感じません。
きっとこの時代のジャズが根っから好きなのだと思いま
す。ダスコをじっくり聴くのは初めてなのですが、無理の
ない自然体のプレイには時代を超えたジャズ本来の魅
力に溢れていて嬉しくなりました。

懐古趣味ではなく、ひとつのスタイルとしてハードバップ
をやるのは実に楽しくてかつスリリングです。プレイヤーも
リスナーも一体になって楽しめるし、そこには何らの国境
も壁もない世界に浸れる幸せな時間が生まれます。

作品的には全体がやや平坦な作りで、もうちょっとメリハリ
が欲しい気もしましたが、オリジナルの#4が特徴的なリフ
故か印象に残ります。欧州ジャズ界の貴重な存在ですね。

評点:★★★★

bb (bluesboy).
E-Mail bluesboy@pluto.dti.ne.jp
Web Site 【Blues PEOPLE & Jazz PEOPLE】 / 【apple Jam


【委員の声】 其の二

「哀愁漂うヨーロッパの香り」

ダスコ・ゴイコヴィッチの名前は以前から気にしていましたが、ちゃんと聴く
のは今回がはじめて。1曲目では、語りかけるようなミュート・トランペットの
メロディが哀愁を誘います。このアルバムではアクロバティックに吹くわけでは
なく、とにかくこの人はメロディの人なんだなあ、ということを実感しました。
メンバーも彼に寄り添うように音を重ねていって、雰囲気をハズすようなことは
ありません。特に、ボブ・デゲン(デジェン)のピアノは風采に似合わず美しく
好みではあります。主役抜きでのピアノ・トリオの7曲目でも良い感じ。
 そんな中で比較的元気な4、6、8曲目。バラードばかりではなくてここには
こんな曲もあっていいかな、と思います。あまりメロディアス路線はハズさずに、
けっこう奔放に吹いています。そして再び哀愁バラード路線の9曲目で本来なら
幕を閉じるのですが、国内盤にはさらに2曲ボーナス・トラックが。曲としては
それぞれ良いのですけれど、ここで終わりの方がアルバム全体のバランスとして
考えると、とも思います。全体を通して聴いてみて、心にしみ込んでくる味わい
がありました。じっくり聴くにもBGMにも良いのでは。
 個人的な好みとは少々違いますが、日本ではあまり有名でないミュージシャン
達がここまでの演奏をしているので、ヨーロッパ・ジャズもまだまだ奥が深いと
いうことを感じました。ボブ・デゲン(デジェン)は、一昨年暮れにアルバムが
エンヤから国内盤で出てましたっけ。タイトルは「カタビリティ」。
星4つ

評点:★★★★

工藤 一幸
E-mail: kudukazu@mtf.biglobe.ne.jp kudo.kazuyuki@pep.ne.jp
URL: (事務所) http://www2s.biglobe.ne.jp/~kudotax/
(ジャズ) http://club.pep.ne.jp/~kudo.kazuyuki/


【委員の声】 其の三

「まさに夢心地のバラード集」

昔の活躍ぶりを知らず近年の日本でのライブや録音ぶりから、てっきりもっと若い
世代と思いこんでいました。 今年満70歳を迎えるとはちょっと驚きでした。
ほとんどがオリジナル曲といっても、どれも優しいメロディーのうえ時折耳馴染みの
あるフレーズが借用されていたりして、とても聴きやすい作品でした。
バックの三人も初めて聴くプレイヤーばかりでしたが、全員腕達者のようです。
ことにピアノはソロ・バックともに素晴らしく、すっかり気に入りました。中でも2曲目の
「サンジェルマン・デュ・プレ」、5曲目「スカイラーク」は一際美しいピアノが楽しめます。
哀愁漂うトランペットの音色にぴったりマッチしています。
また録音の良さも忘れるわけにはいきません。低域から高域まで質感が揃っていて
ヴォリュームを上げたときはもちろんのこと、控えめでも各楽器が良い音で鳴ります。
久しぶりに和めるアルバムです。

評点:★★★★☆

(STEP 片桐俊英) 現GD委員会 委員長
e-mail:step@awa.or.jp
HomePage:http://www.awa.or.jp/home/step/


【委員の声】 其の四

「円熟したベテランの味」

大ベテランの域に達しながらも精力的にアルバムをリリースしているダスコだが、
本作でも実に安定したジャズを展開している。もっとも耳に残るのはミュートで
奏でられるバラードであるが、そのフレーズといい音の掠れ具合といいどうしても
マイルスを思い浮かべてしまうのは安直すぎるか。アルバムの殆どがバラード系で
占められているが、どれも見事な出来であり退屈することはないだろう。さすがは
円熟したベテランである。むしろチェンジ・オブ・ペースとして数曲挟まれている
アップテンポのナンバーが邪魔に思えてしまうほど。やはり冒頭の二曲が本作品の
魅力を端的に表現していると思う。バックのトリオも無名だが堅実なプレイでいい
雰囲気作りに貢献している。
 目新しい部分は皆無なので保守的な(?)ファンがじっくりと楽しむ作品であろう。
個人的には全曲スローバラードでも良かったと思っている。

評点:★★★★

増間 伸一(Shinichi Masuma)
E-mail:shin@masuma.nu
WebSite:http://www.masuma.nu/


【委員の声】 其の五

「円熟しつつも瑞々しい佳演」

本作はEnja復帰第1作。Bob Degen(p)、Isla Eckinger(b)、Jarrod Cagwin(ds)との
ワン・ホーン作。スタンダード2曲を除いて殆どが自作、何れも親しみ易い佳曲だ。
バラード集に見えて快活な演奏を交えるところは"Art Farmer / Art"を想わせる。
ヨーロッパのエレガンスが漂うバラード、壷にはまったスインガー、贅肉のない
吹奏は円熟のなせる技だが瑞々しい。聴後の印象は薄い。追加収録曲は余計。

評点:★★★☆

HAYASHI Tatsunori
email:tatsu@ai.wakwak.com
site :JAZZ DISC SELECTION  http://www.ai.wakwak.com/~tatsu/


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