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page28 - 第 6期 第 23弾 2001年 1月 24日 発売

ダイアン・リーブス / サラ・ヴォーンに捧ぐ

TOCJ-66101 東芝EMI

ダイアン・リーブス(vo)
マルグリュー・ミラー(p)
ビリー・チャイルズ(p,cond)
レジナルド・ヴィール(b)
グレッグ・ハッチスン(ds)
ホメロ・ルバンボ(g)
ラッセル・マローン(g)
クラーク・テリー(tp)他多数



01.Lullaby of Birdland
02.Send in The Crowns
03.Speak Low
04.Obsession
05. If You Could See Me Now
06.Remenber Sara
07.Key Largo
08.I Hadn't Anyone 'Til You
09.Fascinating Rhythm
10.Embraceable You
11.A Chamada (The Call)
12.Misty *日本盤のみのボーナス・トラック

1956年デトロイト生まれ。
8才でピアノを学び 12才歌い始め、
15才でプロ・デビューする。その後
プロ活動と平行しながらコロラド大で
ジャズを学び、76年にはロスに移り
住み、さらにカリフォルニア芸術大でも
ジャズを学ぶ。81年に初リーダー作を
発表、86年にブルーノート入りをする。
もっか活躍中の歌手の中でも群を抜く
実力と人気を誇る、現代のヴォーカル
マスターの一人。


注)プロフィールはSJ誌2001年2月号を参考にしました。


各委員のご意見は原稿の到着順で掲載しております。

なお、この企画は参加委員による共通のページとして、各委員のサイトでもご覧になれます。
ページのデザインやレイアウトは各委員のサイトで異なると思いますが、
文章の内容は全く同一のものが紹介されます。

現委員のメンバー及びリンク先はゴールド・ディスク品質向上委員会のページをご覧下さい。

【委員の声】 其の一

「全てに完成度の高い大傑作!」

久々に脳天杭打ち級の素晴らしい作品です。
一聴した瞬間から全身の血が騒ぎ始め、それは
最後の曲まで冷めることはありませんでした。
サラに捧げるとはあるものの、これは曲の隅々
まで完全にダイアンのカラーが出ています。

オーケストラ・アレンジも決して古き良き時代を
懐古した風ではなく、あくまで曲と彼女の魅力を
今の時代に伝えようとしています。あらゆる音楽
を吸収した世代だからこそなし得る、多彩な表現
手法にはこれからのジャズの方向性さえ伺える気
がしました。中でも出色の出来は#4"Obsession"、
まさにドラマを観るような展開に胸躍ります。

評点:★★★★★

bb (bluesboy).
E-Mail bluesboy@pluto.dti.ne.jp
Web Site 【Blues PEOPLE & Jazz PEOPLE】 / 【apple Jam


【委員の声】 其の二

「情念あふれるカラフルなアルバム」

このアルバムの1曲目をまず聴いて、サラ・ヴォーンのコピーではないかとも
思えて危惧したのですが、実際に聴き比べてみると曲は同じでもサウンドは全然
別モノ。ダイアン・リーヴスの世界がちゃんと展開しています。
 当初は、オーケストラがゴージャスな反面、複雑なアレンジなので歌にのめり
こみにくいか、とも思えました。しかし彼女の声に引き込まれて、何度も聴いて
いるうちにだんだんゾクゾクしてきたのでした。
 ダイアン・リーヴスはストレートに歌っていますが、声量はあるしコッテリと
した印象もあり、ときどき餅のようにスーッと伸びていく時の声がまたいい感じ。
3−4曲目など、ドラマチックな盛り上がりが感動的。5、10曲目あたりも、
抑制が効いていてなかなか聴かせます。唯一のオリジナル曲の6曲目、5拍子を
基調に勝負している9曲目、雄大なブラジル(?)のイメージが浮かび上がって
くる11曲目、ボーナストラック「ミスティ」がうれしい12曲目。
 トリビュート・アルバムだけれども、彼女のアルバムとして十分楽しめる内容
の、実にカラフルなアルバムではなかったかと思います。個人的なイチ押しは、
11曲目、そして1−4曲目の流れが好きで、ここを繰り返しかけていました。
久しぶりにじっくり聴けたヴォーカルでした。

評点:★★★★☆

工藤 一幸
E-mail: kudukazu@mtf.biglobe.ne.jp kudo.kazuyuki@pep.ne.jp
URL: (事務所) http://www2s.biglobe.ne.jp/~kudotax/
(ジャズ) http://club.pep.ne.jp/~kudo.kazuyuki/


【委員の声】 其の三

「女王の貫禄漂う力作」

個人的な話で恐縮ですが、CDプレーヤーが修理から返ってきて良かったと
このアルバムを聴いて痛感しました。借り物のプレーヤーでも録音の良さは
十分感じていましたが、やはり聞き慣れたR−3だと安心感があります。
いきなりのゴージャスなオーケストラ・サウンドに驚き、さらにそのバックに
負けない堂々とした歌声はまさにご立派というしかありません。
再生装置によってはややうるさい音になりかねませんが、うまく調整して
スケールの大きな演奏を楽しみたいものです。
今さら歌唱テクニックを云々する必要もない完成度の高さを感じます。
それでも4つ星なのは、彼女の声質が好みじゃないという単純な理由です。

評点:★★★★

(STEP 片桐俊英) 現GD委員会 委員長
e-mail:step@awa.or.jp
HomePage:http://www.awa.or.jp/home/step/


【委員の声】 其の四

「史上の傑作が間近に思える快唱」

本作は第13作。Sarah Vaughanトリビュート作。フル・オーケストラと一流奏者を
バックに縁の曲を歌いあげる。他人の十八番でまとめるのはインストよりきつい。
持ち味と曲趣の相性が鍵。"Obsession"は成功、"Send in the Clowns"は力及ばず。
中盤からサンバに乗った前者が圧巻。神懸りとも思える絶唱に総身が粟立ち放し。
均せば4ツ星だがこれ1曲で星をあげた。文句なしの傑作を予感させる快唱集。 ★★★★☆

評点:★★★★☆

HAYASHI Tatsunori
email:tatsu@ai.wakwak.com
site :JAZZ DISC SELECTION  http://www.ai.wakwak.com/~tatsu/


【委員の声】 其の五

「苦手克服ならず」

ジャズボーカルにまったく興味が無く、ましてやサラ・ボーンなどアルバム枚も
持っておらず、まともに聴いたことがない。従ってこのアルバムの主題に関しては
よくわからないし、多くを語る資格もないのだがジョージ・デュークのプロデュース
ということで何か面白い展開があるかな、と思い聴いた。しかし元来ジャズボーカル
を受け付けない体質なのかどうにも入り込めない。ダイアンのボーカルに問題がある
とは思わないが、私はあのスキャットという奴がどうにも苦手なのであれが出てくる
と一気に白けてしまうのだ。また低音でこねくり回されるとはっきり言って鬱陶しい。
 サラに捧げるという事であまり冒険は出来なかったのだろうがもう少し斬新な部分
があっても良かったのではと思う。オーケストラが盛り上がってなかなかスリリング
な個所もあるのだが...
 苦手のジャズボーカル克服ならず残念だがアルバムの出来は悪くないのだと思う。

評点:★★★☆

増間 伸一(Shinichi Masuma)
E-mail:shin@masuma.nu
WebSite:http://www.masuma.nu/


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