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page27 - 第 6期 第 21弾 2000年 12月 20日 発売

Manhattan Jazz Quintet / Teen Towm

VACM-1169 ビデオ・アーツ

デヴィッド・マシューズ(p)
ルー・ソロフ(tp)
アンディ・スニッツァー(ts)
チャーネット・モフェット(b)
ビクター・ルイス(ds)

2000年8月30,31日
ニューヨーク録音



01.Flash Point
02.Blues Intro / The Chicken
03.Teen Town
04.Road Song
05.I Wish
06.To M.O. Emm
07.Sparkle
08.Pastime Paradise
09.Rumblin'

デビュー当時はこのグループの名前が
略すとM.J.Qということで、活字だけだと
よくミルト・ジャクソンの居たM.J.Q.と間
違えられることがあったのがもう懐かし
い話です。当初、濃いジャズ・ファンから
取り組み姿勢が軽いとか、ジャズを売る
ための仕掛け人たちによる策略の産物
だとか、色々と言われたものですが、こ
こまで15年間という実績を誇ればもう誰
も何も言うまい。と思いたい。(笑)


各委員のご意見は原稿の到着順で掲載しております。

なお、この企画は参加委員による共通のページとして、各委員のサイトでもご覧になれます。
ページのデザインやレイアウトは各委員のサイトで異なると思いますが、
文章の内容は全く同一のものが紹介されます。

現委員のメンバー及びリンク先はゴールド・ディスク品質向上委員会のページをご覧下さい。

【委員の声】 其の一

「ジャズの中のひとつのスタイルになったか」

15年間に何度か入れ替わったメンバーも居ますが、中心になっている
デイヴィッド・マシューズとtpのルー・ソロフが居る限り彼らの特徴的な
エッジのくっきりしたバンドの音に変化はないでしょう。今回の作品で
は個人的にはウエスの「ロードソング」のカバーが嬉しかったですが、
何よりも1曲目のマシューズのオリジナル曲「フラッシュ・ポイント」にこの
バンドの魅力が集約されている気がします。判りやすくてメリハリのある
テーマ・アンサンブルから元気良く飛び出すソロフのトランペット、これ
こそM.J.Q.の顔だと感じています。躍動感溢れるリズム隊と各人の力
強いソロ回しの妙味これなくしてM.J.Q.を聴いた気がしないというもの
です。アレンジに大活躍しているマシューズの貢献こそ実は大いに評
価しなければと思いつつ、聴いてる耳にはこのバンドの集合体としての
魅力が強烈です。

彼ら自身がジャズの中のひとつのカテゴリー化してるというと大げさ
かも知れないのですが私には好感度の高いバンドです。中でも今回
のこのアルバムが最も良い作品に思えました。

評点:★★★★

bb (bluesboy).
E-Mail bluesboy@pluto.dti.ne.jp
Web Site 【Blues PEOPLE & Jazz PEOPLE】 / 【apple Jam


【委員の声】 其の二

「アレンジされたジャズの美学」

私が4ビートジャズを聴くようになった最初の5枚ぐらいに、マンハッタン・
ジャズ・クインテットのファースト・アルバムがあります。その後も彼らの演奏
をずっと追いかけているということは、けっこう彼らの演奏の洗礼を受けている
ということなのでしょうか。やはり彼らならではのサウンドがそこにあります。
 1曲目からオリジナルで勝負しています。これがまたカッコ良い。スピード感
あふれる曲、印象的で分かりやすいテーマ、それに続くエキサイティングなソロ。
まずこれを聴け、といったところ。
 どの曲でもそうなのですが、ルー・ソロフのスタジオ・ミュージシャンとして
の、トランペットの職人芸が見事。また、タイトル曲を含む2、3曲目はジャコ・
パストリアスの曲で、アコースティック・ベースのチャーネット・モフェットの
重戦車級の演奏を聴くことができます。そして、いわゆるニュー・スタンダード
とも言うべき曲が並んでいますが、出てくる音はMJQとしての音。
 もともとデヴィッド・マシューズは第一級のアレンジャー。注意して聴くと、
随所に無理なくアレンジされた痕跡や、サウンドの方向性があります。彼自身の
不自由な右手を感じさせずに、ずっとピアニストとしてやってきて、しかも、好
セールスを獲得してきたことは、彼のアレンジした曲のカッコ良さ、シャープさ、
分かりやすさなどによるものが大きいと思います。オーケストラ作品も合わせる
とすでに30枚近くもアルバムを発表しているだけのことはあります。

評点:★★★★☆

工藤 一幸
E-mail: kudukazu@mtf.biglobe.ne.jp kudo.kazuyuki@pep.ne.jp
URL: (事務所) http://www2s.biglobe.ne.jp/~kudotax/
(ジャズ) http://club.pep.ne.jp/~kudo.kazuyuki/


【委員の声】 其の三

「水戸黄門的楽隊変貌」

本作は第1?作。いつもと様子が違う。熱気と脂ッ気が漲る。シャープでスマート、
達者ながら腹八分目、いかにも日本制作らしい缶詰音楽風のプレイは何処へやら。
濃い口だ。オープナーから身を乗り出しづめ。Soloffが凄い。随所で切れまくる。
Snitzer効果の指摘もむべなるかな。Snitzerもポップでアーシーないいテナーだ。
アレンジ臭を感じさせず自然、痛快至極なネオ・ハードバップ。気分は満点。

評点:★★★★☆

HAYASHI Tatsunori
email:tatsu@ai.wakwak.com
site :JAZZ DISC SELECTION  http://www.ai.wakwak.com/~tatsu/


【委員の声】 其の四

「スニッツァーの健闘が光る」

実はMJQのアルバムを一枚も聴いたことが無い。所謂聴かず嫌いという奴で、
なぜか敬遠してきた。つまらない教科書的なジャズをやるグループだと思って
いたが、本作を聴いて印象が変わった。まず(1)が良い。ジャズの黄金時代を
思い起こさせるアグレッシブなナンバーでインパクトは十分。ルー・ソロフの
テクが光る。(2)(3)はジャコゆかりの二曲で個人的にも思い入れが深いナンバー
だが、見事に処理している。特に(2)は楽しめた。ウェスやスティービーの曲が
出てくるなどアルバムコンセプトが良くわからない部分もあるが、小じんまりと
纏めるより余程いいだろう。またスムースジャズ系のアンディ・スニッツァーが
どのようなプレイをするのか興味があったが、グループにしっかりと溶け込んで
大健闘といえる内容だ。マイケル・ブレッカーのバラードプレイを髣髴とさせる
(6)などは新境地とも言えるのではないか。
 後半に少々飽きてしまったが、国内制作のよる企画物が嫌いな私でもなかなか
楽しめる一枚であった。マシューズの才能を再認識できる作品でもある。

評点:★★★★

増間 伸一(Shinichi Masuma)
E-mail:shin@masuma.nu
WebSite:http://www.masuma.nu/


【委員の声】 其の五

「痛快なドライブ感溢れる盤」

80年代中期に鮮烈なデビューを果たして以来すでに15年、コンスタントに
作品を発表し続けている人気グループの新作です。大幅なメンバーチェンジ
にも関わらず、グループとしてのサウンドにはほとんど変化が感じられません。
相変わらずデヴィッド・マシューズのアレンジが大きく支配している証でしょう。
ルー・ソロフのトランペットを筆頭に、オーディオ的快感を得られる録音も従来
通りの素晴らしさです。あえて難を言わせてもらえば、アレンジがややマンネリ
気味で後半ちょっと聞き飽きる面がありました。次作では新しいメンバーでの
スタンダードにも期待したいところです。

評点:★★★☆

(STEP 片桐俊英) 現GD委員会 委員長
e-mail:step@awa.or.jp
HomePage:http://www.awa.or.jp/home/step/)


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