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Cassandra
Willson - vocal
Lonnie Plaxico - bass
Marvin Sewell - guitar
Kevin Breit- guitar
Eric Lewis - piano
Mino Cinelu - percussion
And more person
Produced by Cassandra Willson
1. Run The Voodoo Down (Miles Davis - Cassandra
Willson)
2. Traveling Miles (Cassandra Willson)
3. Right Here,Right Now (Marvin Sewell -
Cassandra Willson)
4. Time After Time (Cyndi Lauper - Robert
Hyman)
5. When The Sun Goes Down (Cassandra Willson)
6 .Seven Steps (Victor Feldman - Miles Davis
- Cassandra Willson)
7. Someday My Prince Will Come (F.E.Churchill
- L.Morey)
8. Never Broken (wayne Shorter - Cassandra
Willson)
9. Resurrection Blues (Marcus Miller - Cassandra
Willson)
10. Sky And Sea (Miles Davis - Cassandra
Willson)
11. Piper (Cassandra Willson)
12. Voodoo Reprise (Miles Davis - Cassandra
Willson - Angeliqee Kidjo)
13. Francing (Miles Davis - Cassandra Willson)
アコースティック・サウンドをベースにブルース的、フォーク的な雰囲気を持つ
黒人ミュージシャンを最近は「ブルー・ブラック」と呼ぶらしい。普段、あまりカ
テゴリーを気にせず音楽を聴いてる私にもその言葉の響きは確かにピンとくる
ものを感じてしまった。
その筆頭格に上がっているのがこのカサンドラ。確かに彼女のようなフレキシ
ブルなスタイルの人を表現するのに相応しい言葉かも知れない。以前、ドン・
チェリーの息子イーグル・アイ・チェリーを聴いたときロックともSSWとも括れず
悩んだことがありましたけど、このブルー・ブラックという言葉はその辺をすっき
りさせてくれる気がしました。
なお、この企画は参加委員による共通のページとして、各委員のサイトでも
ご覧になれます。ページのデザインやレイアウトは各委員のサイトで異なると
思いますが、文章の内容は全く同一のものが紹介されます。
現委員のメンバー及びリンク先はゴールド・ディスク品質向上委員会のページをご覧下さい。
bb (bluesboy) / Mar.7.1999
久しぶりに浮遊感というものを味わいました。カサンドラの構築する音の世界には
空間的な拡がりと色彩、それに時折吹いたりやんだりする風のような波動を感じ、
その原因が間の取り方にあるんだなと気付きました。
マイルス特有の、間で表現する手法がここではふんだんに聴かれます。必然的に
その隙間の方にイメージが拡がり聴き手のまぶたには様々な情景が浮かんでくる
ことになる。
カサンドラのインタビューでの発言を読むと、この作品に限らず普段から間を大切に
している人のようで、それがマイルスの影響から来ていることを認めている。
今回のアルバム・タイトルが示しているようにこの作品はマイルスへのオマージュ
と言える内容ではありますが、マイルスの変化し続ける姿勢に共感を感じ、またマ
イルス・ミュージックの持つ間というものを自分の中に取り込みながら変化し続けて
いきたいという彼女にはもしかしたら、マイルスでさえも到達し得なかった世界への
イメージが見えているのかも知れない。
(3)(8)(9)が特に素晴らしく、なかでも(9)は冒頭からドラマチックな展開を見せ、
私にはこのアルバムの白眉に思えました。こんな素晴らしいアルバムには滅多
に出会えるもんじゃない。
評点:★★★★★
bb (bluesboy) . - Web Site 【apple Jam
/Jazz PEOPLE】 / 【Blues
PEOPLE】
昨年7月にスタートしたこの企画も、初めてヴォーカルを
取り上げることになった。ヴォーカルものはCDを10枚くら
いしか持っていない私にとって、内心かなりの不安を感じ
ていた。しかしこのアルバムを聴いてみると実に堂々とした
歌いっぷりで、そんな不安は吹き飛んでしまった。
いたずらに声を張り上げることなく静かで、しかも力強い。
余裕綽々といった雰囲気がスピーカーを通して伝わってくる。
「MUSIC MAGAZINE」をはじめ、多くの音楽誌で大きく扱
われるのが納得できる。狭い意味でのJazzにとどまらない、
ブラック・ミュージックの名盤と呼んでも良い出来と思う。
マイルス・デイビスに対するトリビュートといった要素は
ライナーノーツや評論家諸氏にお任せするとして、(エレ
クトリック・マイルスは”聴かず嫌い”ということもあり)カサ
ンドラ自身のプロデュースが本作の大きなポイントになっ
ていることは間違いないだろう。多彩なゲストも適材適所
といった感じで、特にギターの使い方が素晴らしく、深み
のある音楽を作っているようだ。
一番気に入った曲は6曲目の”SevenSteps”綾戸智絵
の「YOUR SONGS」でも印象的な一曲だったが、この
アルバムでもステフォン・ハリスのヴァイヴやレジーナ・カ
ーターのヴァイオリンが効果的に使われていて大変味わい
深く仕上がっている。とにかく今回はケチのつけようがなく、
ゴールド・ディスクの名に恥じない盤である。
評点:★★★★☆
from : STEP 片桐 俊英
e-mail:step@awa.or.jp
HomePage:http://www.awa.or.jp/home/step/)
'80年代半ば頃にスティーヴ・コールマンらと先鋭的な曲を
中心に歌っていた彼女は、実はスタンダードやジャズメン・
オリジナルを歌っても上手かったのでした。ブルーノートに
移籍してからいちだんと深みが増し、'96年のアルバム
「ニュー・ムーン・ドーター」ですごい世界を見せつけられ、
いったい彼女はどこへ行ってしまうのかと思っていました。
今回はマイルス・デイヴィスへのトリビュートアルバム。
オリジナルも半分近くあり、表現されているのはまさに
彼女自身の黒い(そう、まさに黒い)世界です。そのサウ
ンドは原曲に負けていないとさえ思えます。
ギターは、むしろR&Bなどに近い感じでしょうか。チュー
ニングがゆるいような音程をハズしたような、独特な奏法
が出て来る場面(これがGreek Bazoukiという楽器か?)
もありますが、マーヴィン・スーウェルのギターはとにかく
渋い。
9曲目のエレキ・ギターの間奏を渋いと感ずるか、音程を
ハズした下手くそなギターととるか。前者に感じられる方
はおそらくこのアルバムを傑作と思われるのでは。
2曲目にスティーヴ・コールマンが参加。相変わらず個性的
ですが、もっとアップテンポの曲で暴れまわって欲しかった
気も。4曲目はマイルス・バンドのライヴで何回も聴きました。
6曲目は7拍子の部分が小気味良い。7曲目も斬新なアレン
ジ。10曲目は何とパット・メセニーが参加。'86年のアルバム
「ポイント・オブ・ビュー」でもこの曲は演奏されていて、そちら
はジャン・ポール・ブレリーのギターでした。
8、9、11曲目と好みの曲が続きます。12曲目など、遠きア
フリカの血を呼び覚ます現代の魂の歌とも感じられ、この曲で
私はノックアウトされました。
ジャズかジャズでないかという論点はさておき、彼女のヴォー
カルの存在感は圧倒的です。他では聴けません。「ニュー・ム
ーン・ドーター」の方も気に入ったら、どうぞ。
評点:★★★★★
工藤 一幸
電子メール (1)kudokazu@mtf.biglobe.ne.jp (2) kudo.kazuyuki@pep.ne.jp
ホームページ事務所 http://www2s.biglobe.ne.jp/~kudotax/
ジャズ http://club.pep.ne.jp/~kudo.kazuyuki/
今月のGDも評価が難しい一枚である。ジャズボーカルをまったく
聴かない私にとっては評価基準がなくて困ってしまった。とりあえ
ず聴いてみた感想は、一言”心地よい”であった。とくにバックの
演奏がどの曲も大変素晴らしくそれを聴くだけでも十分楽しい。
気に入ったのは(1)でマイルス役を演じるオル・ダラ。どちらかと
いうとフリー系のイメージが強い人だが、ここではアルバムコンセ
プトに沿った好演だ。(2)で牧歌的な雰囲気を作り出すS・コール
マンのアルトとマーヴィン・スーウェルも良い。特にギターのスーウ
ェルはアルバム全編にわたり重要な役割を果しており要注目。
力強いプレイを聴かせるロニー・プラキシコも印象に残った。
曲では(3)がベスト。爽やかなポップロックといった感じで心地よい。
(5)にも思わず体が揺れる。エネルギッシュな(6)、不気味な(9)
などもオススメできる。ただし(4)や(7)といった曲はマイルス・バ
ージョンの方が数段魅力的。全体的にカサンドラのオリジナルの方
が出来が良い気がする。 じゃあ、このアルバムがGDに相応しいか
と言われればちょっと待てよ、言いたい。
まず、誠に個人的意見だが、カサンドラの唱法が好きになれない。
やはり黒人ボーカルには声量を活かし高らかに、雄大に歌い上げ
て欲しい気持ちがある。終始淡々と呟くように歌われると、少しキ
ツイ。特に後半飽きが来てしまった。ただしアルバムコンセプトを
考えると、これはこれでピッタリなのかなとも思う。
あとどう聴いてももジャズアルバムとは言い切れないので、GDに
してしまうことには少し抵抗が残る。 とういわけで、ジャズともブラ
ックミュージックとも言える本作のクオリティは極めて高い。しかし
私の個人的な好みに合わないこと、GDにすることには同意できな
いことというつまらない理由から、減点させて頂きたい。
評点 :★★★★
増間 伸一(MASUMA SHINICHI)
E-MAIL JZB03622@nifty.ne.jp
HOMAPAGE http://www.asahi-net.or.jp/~kd5s-msm/
http://www.asahi-net.or.jp/~kd5s-msm/pats.htm
http://member.nifty.ne.jp/MASUMA
彼女の歌唱をまともに聴いたことはない。聴きもせずに苦手
意識を抱いていた。 結論から述べよう。ダークでブルージー、
立派にジャズ・ヴォーカルであるにもかかわらず、一個のシン
ガーを聴く作品ではない。一個の"音楽家"を聴く作品だ。
恐るべく抑制され物足りなく思える歌唱も、作品のコンセプトに
照らせば、これ以上のものは思い浮かばない。また、曲単位で
は4ツ星前後にしか聴えないのに、通しで聴いている間、とくに
中盤以降は流れに身を委ねる如く心地よく、聴後の充足感は
5ツ星に値する。
物憂げな歌唱と、フォーク、ブルース、フュージョン、 エスニック、
純ジャズ等、多彩な楽想とカラフルなサウンドがイマジナティヴな
空間を形作る。音楽家として驚嘆すべき力量だ。もはやジャズを
突き抜けている。 筆者の問題は、やはり曲単位では二三を除き
(Iは圧倒的名演)感応しないことだ。 良し悪しと好き嫌いは別物
ということだな。私的価値は低いが、史的価値は高い。
誉めているのか貶しているのか判らない評になったが、一聴の
価値は充分にある。 最後に出谷啓氏の至言を掲げておく。
筆者は選ばれなかった聴き手かも知れない。
"きき手も歌手をえらぶ権利があると同時に、
歌唱もきき手を選ぶ場がある"
評点:★★★★
林 建紀 (現GD品質向上委員会長)
tatsunori hayashi web site : JAZZ
DISC SELECTION
email : tatsu@netq.or.jp
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