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page4 - 第 5期 第 78弾 1998年 10月 23日 発売

ウォーキン・ダウン・レキシントン / 大坂昌彦 Paddle Wheel原盤 KICJ-351 キング・レコード

@ Chatte Trois Couleurs (Masahiko Osaka) A Walkin' Down Lexinton (Kim Nazarian,Masahiko Osaka)
B The River Flows In To The Night (Kim Nazarian,Masahiko Osaka)
C (They Long To Be) Close To You (Hal David) D An Englishman In New York(Kevin Godley,Lol Creme)
E Chika-A-Dee (Kim Nazarian,Masahiko Osaka)
F Once Upon A Summer Time (Michel Legrand,Ediee BarclayEddy Marnay)
G L-O-V-E (Milt Gabler,Bert Kaempfert) H Circadian Rhythm (Masahiko Osaka)
I Unchained Melody (Hy Zaret,Alex North)

Masahiko Osaka - drums / Mulgrew Miller- piano
Christian McBride - bass / Mark Gross - soplrano sax & alto sax 4,5,8,9
Dusko Goykovich - trumpet & flugelhorn 3,7 / Phil Woods - alto sax 2,6

Produced by Yoichi Nakano / Recording Engneer : A.T.Michael MacDonald
Recorded at Sound on Sound,New York,Apr.14-17,1998

様々な分野で、実力が正当に評価されにくい日本を捨てて
海外進出する人が増加するのではと感じてる私としては、
最近のスポーツ界は見てるだけでも爽快な気分になります。
本業の音楽業界でもその辺は同じで、海外で活躍する
日本のミュージシャンにはいつも心の中で
みんなの目を覚まさせてくれ!と願いに近い
応援を飛ばしてます。
今回のレビューにその気持ちが
現れたか否かはお読みいただいた方の
判断にお任せしますけど。

なお、この企画は参加委員による共通のページとして、各委員のサイトでもご覧になれます。
ページのデザインやレイアウトは各委員のサイトで異なると思いますが、
文章の内容は全く同一のものが紹介されます。

なお、当サイトではご意見の到着順に掲載しております。
現委員のメンバー及びリンク先はゴールド・ディスク品質向上委員会のページをご覧下さい。

b.b. Oct.27,1998

【委員の声】 其の一

「大坂は素晴らしい、 but 共演者に物足りなさが」

ドラムの実力だけでなく、魅力的な自作曲が書ける人として
早くから評価の高かった大坂ですが、こと、このアルバムで
彼の評価はさらに飛躍的に高まるに違いないと感じました。

オリジナルの秀逸さは恐らく、今後彼の曲を誰かがカヴァーすることで
より鮮明になるのではと、先まで楽しみになってきました。
またそのドラムワークもリズムの変化、アクセントを付けるタイミング、
いずれをとっても聴いてる身が爽快感を覚える程で素晴らしい限りです。

ドラム・プレイヤーの彼にとって、自己名義のアルバムというのは
どの辺まで自分が全面に出るかを考えながらの編曲になると思う
のですが、このアルバムはあくまでオーソドックスな展開をしてます。
曲そのもを大切にする気持ちで仕上げたのだと感じました。

と、ここまで書けば諸手を挙げて五つ星かというと
実は何度聴いても音がすり抜けていってしまって
とらえどころがないのです。
訳はたったひとつ。
共演者のプレイにスピリットを感じないのです。
あまりに綺麗すぎるんです。

個人的な願望として、共演者のマルグリューにはもう少し
鍵盤を叩き付けるくらいの気持ちが欲しかったし、
ゴイコビッチにも冷凍物のピザ食わされてる気分が。
全体的に綺麗にまとまりすぎてる気がしたのです。
一抹の寂しさが残ってしまった。

評点:★★★★☆

b.b. - Web Site 【apple Jam /Jazz PEOPLE】【Blues PEOPLE


【委員の声】 其の二

「Jジャズおなどる...あなどるべからず!」

気乗りがしなかった。
Jジャズというものを大西順子以外は聴いたことがない。
のっけから驚嘆した。素晴らしいドラマーではないか。
知らずにいて恥ずかしい。

これほど叩けるドラマーは本場にもそうはいまい、という書き方自体が失礼だな。
メンバー全員気合が入っており缶詰音楽とは無縁の張り切ったプレイが喜ばしい。
Miller、McBrideとのトリオは鉄壁。Woods、Goykobich も先ずは実力通りの好演。
Gross が期待を上回る快演だ。Nazarianのボーカルも(華がない分)違和感はない。

勿論、主役は大坂だ。自身のソロは@とGの2曲だけで残りは脇に徹しているが、
全てにおいて並々ならぬ存在感を誇示している。本作には彼の多彩なドラミング、
非凡なリーダーシップ、トータル・ミュージシャンの才が見事に捉えられており、
代表作に止まらず第一級の作品となった。

SJ誌の評点はインフレ傾向が長いが、こういうのを真正の4ツ星という。
困った、CD棚にJジャズの置場がない。

評点:★★★★

林 建紀 (現GD品質向上委員会長)
tatsunori hayashi web site : JAZZ DISC SELECTION
tatsunori hayashi web site : http://www.netq.or.jp/~user/tatsu/
email : tatsu@netq.or.jp


【委員の声】 其の三

「余計な装飾は不要だったのでは...」

近年、評価の高い日本人ドラマーだが
彼のアルバムを聴くのは今回が初めてだ。
私自身、ドラムの技術論は全くわからないが言われなければ
日本人と気がつかないレベルの演奏になっている。
ドラマーとしての力量は一流なのだろう。

しかし本アルバムの構成にはまったく賛同できない。
まずボーカルは不要だと思う。アクセント程度に一曲
入れるならまだしも、4曲は多すぎる。
ついでにゲストもいらない。せっかくD・ゴイコビッチや
P・ウッズといった大物が参加しているのにボーカルナンバーに
配しているので存在感が希薄で必要性が感じられない。

彼らに恨みはないが、とにかくネットリとしたボーカルが
登場するたびに聴いている側のノリが途切れてしまう。
作る側にすれば目的や狙いがあってやっていることだろうが、
私個人としては不満タラタラである。

なぜここまで書くかといえば、@が素晴らしいから。
70年代のスティープルチェイス盤にありそうな曲想で
躍動感が素晴らしいトリオ演奏だ。
そしてラストのIもよい。雰囲気がいいのだ。
つまり私にとって本作のベストはトリオ演奏の2曲である。
それだけに余計な装飾を施した間の曲がなんとも勿体なく感じてしまった。
ピアノ、ベースとも現代最高のメンバーを揃えたのだから、
全曲@のようなトリオでビシッと決めてくれたら評価はまったく違っただろう。
トータルな音楽家としての才を見せたかったのかもしれないが、
私には成功しているように思えない。

評点:★★★☆

増間 伸一 (Masuma's Homepage) http://www.asahi-net.or.jp/~kd5s-msm/


【委員の声】 其の四

「今の"ジャズ"が聴けるオススメのアルバム」

大坂昌彦のリーダー作をはじめて聴いた。
聴いて、おおっ、と思った理由は、アルバムの最初から
ドラムがビシバシとキマって、しかも曲ごとに叩き方が
変化に富んでいて、聴いていて非常に気持ち良い
仕上がりになっていたから。

サポートに徹している場面でも、うまくバンド全体の
サウンドをコントロールしている感じがします。
これほど存在感のあるドラムは他ではなかなか聴けないのでは。 
間違っていたらごめんなさい、なのですが、
オリジナルの曲はメロディ、コード進行ともにけっこう複雑な曲もあって、
それでいて自然な流れでカッコよい。
ミュージシャン泣かせかも知れないけれど。 
スティングの5曲目、モニカ・セッテルンドの「ワルツ・フォー・デビー」
でも演奏されていた7曲目は好きな曲です。
しかもカーペンターズの4曲目まである。
私の世代ではうれしい選曲。 

ヴォーカルのキム・ナザリアンはじめ、
適材適所でミュージシャンが参加していますが、
全体を通して演奏しているマルグリュー・ミラーのピアノが、
ソロにバッキングに、けっこう快演です。
いやー、久しぶりにいいアルバムに出会いました。

評点 :★★★★★

工藤 一幸 

(9月1日インフォペッパーのドメイン名が変わりました。)
電子メール(1)   kudokazu@mtf.biglobe.ne.jp (2) kudo.kazuyuki@pep.ne.jp

ホームページ事務所 http://www2s.biglobe.ne.jp/~kudotax/          ジャズ http://club.pep.ne.jp/~kudo.kazuyuki/


【委員の声】 其の五

「美しいが、なにか物足りなさが残った」

ドラマーの技量をどうこう言う必要がない
(どうせわからないのだが)大坂昌彦のリーダー作。
豪華メンバーに加えさらにゲストまで呼んだ
「さあ、どうだ」といった話題作である。

たしかに全編破綻なくきれいに流れていった。
間違いなく安心して聴けるアルバムではある。
しかしこれで満足できるかとなると、首をひねってしまう。
キム・ナザリアンのボーカルはすごく上手。だがどうも好きになれない。

ゲストの二人とも美しい音を奏でてはいるが、
どうしてもという必然性を感じない。
大坂本人が望んだ人選だったのか?疑問が残る。
管はマーク・グロスだけでも良かった。(期待以上の出来)
大ヒットした4曲目はややおとなしすぎる印象、
スティングの5曲目の方がノビノビと吹いている感じで良い。

一番のお気に入りは8曲目の「ラブ」。
このノリで全部やってくれればもう半星プラスだったのに。


評点:★★★☆  

STEP 片桐俊英

(ホームページ連日更新中 HomePage:http://www.awa.or.jp/home/step/)


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