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2003/06/30

 今日は船で西表島へ渡る。通常は高速艇で40分のところをのんびり航行の貨客船を選ぶ。"客"と名前には付いているが、どう見ても貨物船。座席などひとつも無い。テントの下に6帖程の台があり、各々腰をかけたり寝そべったりして2時間弱を過ごす。こんな状態だからこの船に乗る人はわけありの人ばかり。犬を連れた一組と、ライダー2人、そして鳥を見るための我々2人。
 出航後すぐにエリグロアジサシ、オオアジサシが見れた。風が気持ちいい。竹富島、黒島、小浜島などを見ながらゆっくりと船は進む。波はほとんどなく珊瑚礁が良く見える。水平線を双眼鏡で見ると白波が立っているので、石垣と西表の間は浅くなっているのだろう。
 半分を過ぎたあたりから海鳥が見え始めた。アナドリがいると聞いていたので、それで間違いないだろう。尾もくさび型だったし。もう少し翼の細い海鳥も1羽だけ現れたが、何かはさっぱりわからず。このあたりではエリグロアジサシも頻繁に飛んでいた。背が真っ黒で下面が白いアジサシはセグロアジサシだろう。カツオドリなんかも見たりして2時間弱はあっというまに過ぎてしまった。鳥を見る人も、見ない人もこの貨客船はおすすめですよ。


オオアジサシ


カツオドリ

 西表島の南東の仲間港に上陸。石垣よりもさらに日射しが強い。レンタカーでボロボロのマーチを借り、エアコン全開で出発。山はやんばるの森のように密度が高くうっそうとしている。美しい。
 由布島で水牛車を見たり、貝を拾ったりして遊んでいた。その時、太陽を遮る影が。すぐに真上へ双眼鏡を構えた。カンムリワシだ。由布島の方向へまっすぐ飛んで行った。石垣で見れなかったのでうれしい。次はとまっている所をゆっくり見なければ。
 観光スポットに寄りながら今日の宿泊先の干立へ向かう。観光スポットといってもココでは大抵マングローブと大きな干潟だ。来る人もエコな人ばかりなのでこれでじゅうぶんだ。


マングローブと青い空

 16時ごろ宿に到着。連日の6時スタート22時終了のハードスケジュールで疲れていた我々は1時間程お昼寝を。気持ちよく目覚め、さあカンムリワシ探しだ。田んぼが山の谷間に入り込んでいるいい場所があった。シロハラクイナ、バン、コサギ、アカショウビンがいた。まだ陽も高いというのにオオコウモリが山の斜面を飛んでいる。山の稜線付近からふわりと飛び出したのはカンムリワシ。旋回をしながらどんどん離れていく。どこかにとまってくれー。残念ながら稜線を越え、見えなくなってしまった。
 宿に帰り夕食をすませ外へ出た。きれいな夕日が地平線に沈んでゆく。日没は19:40頃。ココの夏は夕食の後に夕方が訪れるのである。宿の前でオオコウモリを観察し、今夜もナイトウォッチングへ出発だ。
 コノハズクの声が時々聞こえるがあまり近くないので見れることは無さそうだ。道路を走っていると石ころが転がっているように見える。ベンケイガニだろうか? ミナミオカガニだろうか? 田んぼの農道にはヌマガエルがたくさん出てきている。しかし期待した生物も出て来ず今夜はあまり盛り上がらなかった。


ベンケイガニ?


ミナミオカガニ?


サキシマヌマガエル?

 

2003/07/01

 今日も6:00出発。宿の前の道路をうろうろと動く影が。ズグロミゾゴイだ!!! こんな所にいるなんて。カメラを構えるがシャッター速度1/2。あー、ストロボを付けていれば良かった。デジタルカメラなので感度を上げようと思った時、軽トラが通過。走って逃げたのち飛んでしまった。ココの人たちは昼間暑くて働かないので朝が早いのである。しかし今日は朝からついている。今日はいい一日になるに違いない。
 西表では簡単に見れると思っていたムラサキサギがなかなか見つからない。田んぼはほとんどが刈り入れが終わっており水を張っている所は一枚もない。それで海岸へ出て採餌しているようなのだ。干潟にいる姿を見つけても遠く、スコープ使っても大きく見る事はできなかった。ところが今日は違った。昨日から何度も足を運んでいる田んぼに行くと、ムラサキサギがいるではないか。あぜ道を右から左へ移動し餌を探していた。しかし、餌が見つからなかったようで左端にきた時、飛んで行ってしまった。


ピンボケのズグロミゾゴイ


ムラサキサギ

 朝食を食べに宿へ帰る途中、道路にまた石ころが、、、、、セマルハコガメだ!!! この島でぜひ見てみたいと思っていた生物のひとつだ。車を路肩に停め、セマルハコガメを捕まえひっくりかえして地面に置いた。教科書どおり首を引っ込め胸のちょうつがいを軸にふたをした。まさに箱亀。カメラを構えるとココぞとばかりに首を出して起き上がり、ものすごいスピードで逃げていく。カメがこんなに早く歩けるなんて知らなかった。あの立派な太い足は山を登るためと、早く歩くためにあるのだ。それにしても天然記念物をこんなふうにして写真を撮るなんて罰当たりだなぁ〜。


セマルハコガメ

 朝食の後は浦内川に行って遊覧船に乗り上流へ向かった。船着き場から往復2時間のジャングル探検だ。ココでは鳥の方は期待できないが、南の島独特の生物に出会えるかもしれない。ジャングルの雰囲気をかもし出すヘゴの木の下を歩いていく。恐竜が出てきてもおかしくはない。というのは大袈裟すぎるかな。キビタキやサンコウチョウの声が時々聞こえた。目的地のマリュウドの滝、カンピレーの滝を見て復路についた。船の時間が決まっているので往路は大急ぎで、復路は自然を観察しながらゆっくりと。美しい尾を持つイシガキトカゲの若い個体、ワニのような顔をしたサキシマカナヘビ、小さな体のリュウキュウカジカガエル、翅に黒い紋があるコナカハグロトンボなど。西表島を紹介する図鑑に載っている生物が次々に登場した。


ジャングルに光が射す


コナカハグロトンボ


イシガキトカゲ


サキシマカナヘビ

 午後は星砂の浜でシュノーケリング。日本語で素潜り。あれっ、鳥の観察は? ここでは飛んでいるエリグロアジサシを撮影したくらい。どこまでも続く青い海と水平線から広がる青い空を見ていると、鳥にこだわらずこの島をおもい存分楽しもうという気になってくる。
 日射しが強いのでTシャツを着たまま泳ぐのがこちらでのスタイル。昼食で食べたサンドイッチの欠片を水中でほぐすと、青、黄、黒、白黒縞々のかわいい小魚が寄ってくる。防水のカメラで何枚か撮影したがすべてピンボケ。残念。


エリグロアジサシ


星砂の浜で

 今日もきれいな夕日が見れそうなので、それまでに夕食をと思い車を走らせる。緩いカーブをまがった前方の電柱にカンムリワシがいる!! やっぱり今日はついている! ちょうど空き地があったのでそこに乗り入れカメラを構える。道路と反対側に牧場があり、そこに出てくる獲物を狙っているようだ。こちらにはまったく興味なしのようで、たまに振り向く程度。一眼レフで横位置、縦位置。デジスコで横位置、縦位置。たくさん撮影。胸の模様がもう少し見えればもっと良かったが、かわいいベレー帽をこんなに近くで見れたのだからこれで良しとしよう。


カンムリワシ

 予想どおり美しい夕日が見れた。水平線近くに雲があり直に太陽は見れないが、それが光を弱め雲を黄金色に輝かせ、さらに海までも美しい色に染め上げた。太陽が沈んだ後も空の色は刻々と変化し、オレンジから濃紺へのグラデーションを造り、その真ん中に月齢1の細い月が配置された。遠くで鳴くアオバズク、コノハズクの声を聞きながら足下が見えなくなるまでこの浜ですごした。
 その後真っ暗な牧場へ行った。広い牧場の真ん中に舗装道路があり夜は車の通行はまず無い。高台にあるので遮る物がなく360度見渡すことができる。車のライトを消した。満点の星空だ。「残念だけど南の方向に雲があるね〜」しかし時間がたってもその雲は動かない。そう、それは天の川。射手座のあたりが銀河の中心方向で いちばん明るい部分だったのだ。はくちょう座のあたりの天の川がふたつに別れているのもはっきりとわかる。
 こんなに美しい夜空を見たのは2度目。前回は15年程前に北アルプスの頂上で見た秋の夜空。どちらも甲乙つけがたい。太古昔の人は毎日こんな夜空を見ていたのだろうか。


星砂の浜夕景


射手座・さそり座付近

 

2003/07/02

 いよいよ南の島最終日。今日は高速艇に乗って石垣島に戻り、いっきに梅雨空の関空に戻る予定だ。昨日カンムリワシ、ムラサキサギ、セマルハコガメなど順調に見れ緊張感がなくなり、本日はちょっと寝坊の7:00スタート。
 子連れのシロハラクイナや牛にまとわりつくアマサギを見て船の出発の時間を待った。日本最大のキシノウエトカゲも探したがそんな簡単に見つかる物ではない。これは次回ということで。(はたして次回があるのか?)


アマサギ

 高速艇は物凄いスピードで走っていく。浮いているのではないかと思うくらい。小さい窓からアジサシを探したが見つけてもすぐに後方へ見えなくなってしまう。あっという間に石垣港についた。西表島から帰ってくると石垣島が都会に感じた。人の動きも時間も流れも早い。
 空港で南の島のユニフォーム = Tシャツ、短パン、ビーチサンダルを着替え都会の人の格好になり飛行機に乗り、この旅は終わった。

 

最後まで読んでくれた方 ほんとうにありがとうございます