ハーネス



ハーネス
 機体と体を接続するための道具で、形は写真を見てもらえばわかるように、椅子のような形状をしています。これを体に装着して、カラビナ(金具)で機体を接続します。

 昔のハーネスは本当に ”機体と体を接続する” だけの機能しかないものが多く、クライミングに使うハーネスのようなシンプルな形状でした。空中での姿勢は直立状態。想像してみると分かると思いますが、この吊られた直立姿勢をとり続けるのは結構つらいものがあります。
 そこでその後、機体の性能向上に伴って長時間フライトが可能になってくるに従い、もっと楽で疲れない姿勢がとれる、現在の形状へと変化していきました。

 パラグライダーというスポーツにおいてハーネスは機体に次いで重要な、必要不可欠な道具です。極端な話、機体とハーネスさえあれば空を飛ぶことができるのです。 それだけに、機体とハーネスのふたつがパラグライダーのフライトに与える影響は大きく、慎重に選ぶ必要があります。

 そして値段ですが、これも機体に次いで高価である場合が多く、価格帯としては4〜12万円で、最も多い価格は6〜8万円といったところです。

 機体の場合、値段が高ければいいとは限らないのですが、ハーネスはある程度高級なものを選んでも問題ない場合がほとんどです。というのもハーネスの場合、値段の違いは安全性の高さであるとか、各種調整機能、材質・品質の高さといった要素に現れる傾向にあるからです。また、機体を買い換えても同じハーネスを使いつづけることは可能ですし。 この点、ハーネスはスキーでいえばブーツにあたる道具といえるでしょう。

 さてハーネスの材質ですが、これも基本的には布で出来ています。とはいっても機体に使っている素材とは違い、厚く強靭なナイロン繊維が使用されています。それ以外にも万一のクラッシュ時に備えたプロテクター類が充実しているのも最近のハーネスの大きな特徴です。

 はて? プロテクターってなに?
 これは文字どおり体を守るための装備です。離陸に失敗して斜面に落ちたり着陸寸前に失速落下してしまった場合に足から地面に着けばいいのですが、ハーネスに腰掛けた姿勢でフライトする構造上、お尻から着地してしまう場合があります。そんな時、衝撃から守ってくれるための装備なのです。たとえば左上の写真のハーネスの場合、FRP製の硬いプロテクターと、柔らかいウレタンゴムの組み合わせで衝撃をやわらげます。



 それに加えて近年は「エアバッグ」と呼ばれるプロタクターを持ったハーネスが主流になってきました。
 これは車のエアバッグと同じように、中の空気がゆっくりと抜けることによって衝撃を吸収する仕組みです。ただし車のエアバッグは、衝撃が加わった時に火薬のガス圧で膨らみますが、パラグライダーのエアバッグハーネスの場合、飛行中は常時膨らんでいます。

エアバッグハーネス  その原理は、ハーネス前面に設けられたエアインテークから空気を取り込むだけという、いたって簡単なものです。 ちなみにこれはパラグライダーの機体が翼の機能を発揮する原理と一緒で、エアインテークから入ってくる空気によって、エアバッグは所定の形状に膨らむわけです。
 だから機体と同じように、地上では空気を抜くことによってコンパクトになります。というか、フライトしてなければ勝手に空気が抜けてくれます。

 長所があれば、当然短所もあります。例えば格好悪い(と思う人が多い)こと。ただし最近は洗練された形状を持つ、カッコいいエアバッグハーネスも登場してきてますので、ミーハーかつ安全性重視のアナタはそちらを選ぶと良いかと思います。(右の写真)

 で、エアバッグハーネスの次の欠点は値段が高いこと。これは普通のハーネスに加えてさらにエアバッグという付加装備が付くわけですから、ある意味仕方ない面もあります。だいたい同モデルで、エアバッグ付きとそうでないハーネスを比較した場合、2〜3万円程度の差があることが多いです。

 それ以外にも空気抵抗が多少大きくなるなんていう話もありますが、エアバッグハーネスの持つ安全性という長所を考えた場合、さしたるマイナスにはならないという考えが主流になっているようです。





もどる