Nゲージの小型レイアウト製作記(1)

Nゲージの小型レイアウトの製作過程を紹介します


Nゲージのレイアウト製作は初めてです。最初は鉄道好きの2人の息子のためにと
始めたのですが、途中から自分自身が完全にハマってしまいました。
サイズは900mm×600mmとしました。タンスの奥行きが60cmなので、その上に収納で
きるということ、それと、製作を楽しめて、途中でくじけないようにこのサイズにしました。
900mm×600mmで紹介されているレイアウトは、1〜2輛の編成までというものが多いですね。
私は、蒸機やDLは客車2両が牽引できて何とか特急編成が走らせるように、3輛編成が2編成走れる
ような900mm×600mmを目指しました。
又、後で同じ幅のボードを増設できるような、準モジュール形式としました。

製作途中の写真をまじえて紹介します。

●レイアウトボードへのレール固定
レイアウトボードは5.5mmの合板と角材で自作しました。5.5mmのベニア合板は実測で、910mm×610mm程あります。裏面に24mm×14mmの角材を日の字に付けてあります。右側にボードを増設できるように、外側のレールは右が開いたUの字になっています。
既製のボードを購入しなかったのは、単に自作が安いからです。合板と枠用の角材で7〜800円程度だったと思います。
レールは10mmの釘で固定しました。走行性を重視し(初めてのNレイアウト製作ですし)、レールには一切の勾配を設けず、フラットトップ型としました。


●レイアウトのレール構成
2編成を入れ替えれるように、フィーダとギャップの場所に苦心しました
線路はフレキを使わずに全てTomixのレールで、内側がC243、外側がC280です。
3両編成が直線で停まれるようにいろいろ考えたあげくのレール配置です。
3両編成が2編成と、2両編成が1編成の計3編成をレイアウト上に置けますが、水色
の区間の列車は赤の区間との往復運転のみになります。
赤と橙の区間は、緑の区間に退避させて入れ替えが可能です。



●発泡スチロールの山と丘を製作
最初は簡単に済ますためトンネルは設けない予定でした。しかし、フラットトップとしたので、少しでも変化を付けてみようと、又、妻のアドバイスや息子の要求も考慮して、トンネルを設けることにしました。
山は軽量化のために発泡スチロール板を用いました。発泡スチロール板をいろいろと探したのですが、意外に適当なものは見つからず、結局、既製のもの(Tomix)を購入しました。必ずカッターナイフの歯を新品に交換してから作業します。加工はしやすいものの、ゴミだらけになります。ここでは、ハンドクリーナが強い見方でした。発泡スチロールの接着には木工用ボンドを用いました。
山の場所は、隠してしまいたい複線の曲線部分にしました。単線部分は森にしたかったので、トンネルは避けたかったのです。山が大きくトンネルが長すぎると、小さなレイアウトなので、走行を楽しめません。一方、トンネルが短かすぎると、列車の先頭と後部が丸見えで突き抜けたようになって変な感じがします。そこで、ちょうど3両が隠れる程度の長さにしました。
トンネル内に遮光のため黒の画用紙を貼りました。トンネルポータルは津川洋行とPECOのものです。ボード右上方の直線に駅のホームを設けるため、レイアウトの長編(写真上側)に高さ30mm、幅14mmの角材をつぎ足しました。レイアウト裏面の枠に使った角材の高さが24mmで、その上に乗った合板の板厚が5.5mmなので、計29.5mmですから、30mmで上面はうまくそろっています。
2編成の運転のため、フィーダを追加して2か所としました。


●地面の基礎部分が完了。
発泡スチロールの山にボンド水に浸したティッシュを重ねていき、それが乾いた上にしゃぶしゃぶのプラスターを薄く、なすり付けるように塗りました。発泡スチロールのつなぎ目や、地面との境目はこの方法で段差を埋めました。地面の着色は、アクリル塗料と、一部、水彩えのぐを用いました。
簡単に着色、ウェザリングを行なった「わらぶき農家」と「木造駅舎セット」+「対向式ホームセット」(Tomix)を仮配置しました。この駅は3両分のホームです。


●樹木の製作
ここで、樹を製作しました。ウッドランドシーニックス社の「針葉樹キット(42本入)」
を用いましたが、以下の様に自作もしました。
全体ができてから、「完成後の紹介」で紹介しているウッドランドシーニックス社の
「ファインリーフフォーリッジ」の樹木を追加しています。

つまようじに、合成ゴム系接着剤で「フォーリッジクラスター」(ウッドランドシーニックス社)を貼り付けたもので、針葉樹の雰囲気。
幹は、黒と茶の油性マジックで塗りました。

 
公園で拾ったツゲやツツジの枝に「フォーリッジクラスター」を貼り付けたもので、広葉樹の雰囲気。 枝は何でもいいという訳ではなく、特にツゲ(多分マメツゲ、1cm位の濃い緑の硬く丸い葉の低木)が枝が密集していて良いです。

 

 
上記の自作樹木の幹の材料となったマメツゲです。左の写真のように、公園などに丸く仕立てられて植えられているのをよく見ます。

右の写真のように、部分的に枯れたところや、株の内部に残った枯れ枝を使いました。


●地面とバラストまき、植樹など
地面には「カラーパウダー」(Tomix)と、「コースターフ」(ウッドランドシーニックス社)をまきました。何れも木工ボンド(酢酸ビニル系)の3倍水溶液に洗剤を垂らしたものを筆塗りしてからまきますが、このままでは1/3程度しか固着しませんので、まいた上から木工ボンドの水溶液をスポイトで滴下して固着します。「コースターフ」をまいた時点で初めて地面らしくなります。

その後、線路にはバラストをまいて固着。バラストはボンド水(木工ボンド+水)を薄くしすぎ、固着後バラバラと崩れてやり直すハメになり難儀しました。やはり、バラスト用に薄めるのは2倍程度が基本です。バラストはTomixのものはNにはやや大きいとのことで、KATO(ウッドランドシーニックス)の中目のものを使いました。でも、まだ大きいようです。作業性は、大きめのほうが良いので、私にはちょうどよかったかも知れません。バラストの固着についてはTipsのコーナでも少し書いています。
固着後、アクリル塗料のフラットアースに少量のフラットブラウンを混ぜ水で薄めてバラスト、道床、レールともに塗りました。乾いてから、レール上面と内面をピンセットでこすって塗料を剥離しました。このときに出た塗膜粉はハンディクリーナで吸い取りました。Tipsのところで紹介している割りばしクリーニングのほうがうまく落とせるようです。

ボール紙で道路を製作後、グレーに少量の黄土色を混ぜたつや消しで塗装。次に、約40本の樹を植樹しました。潅木(低木)は「フォーリッジクラスター」と、一部にライケンを使用しました。
右上のトンネルを抜けたところに駅のホームを設置。当初は、ここも3両編成分が停車できる”別の駅”と考えていましたが、気が変わって風情を重視することに。ホームは2両分の長さとし、先に設けた駅の別ホームとすることにしました。


●ポイントの切り替えレバー周辺にも、ぎりぎりまでバラストをまきました。
Tomixのポイントは道床内部に基板が入っているので、くれぐれもボンド水がしみ込まないように注意します。私は結構しみ込みましたが、セーフでした。しみ込んでも、乾いてからカチャカチャやると、接点が回復したという話もあります。
あらかじめ、すき間に合成ゴム系の接着剤などを塗っておくのが安心かも知れません。ご覧のように、ポイントだけでなく、レールとレールの間には一切バラストはまきませんでした。


●踏み切りや信号機を設置。樹の追加。
約100本の樹を植えて8割完成。でも、まださみしい...。これから車や人をおいていくつもりです。駅の広告は、家族や知人の名前をもじったパロディのものを自作しました。
社名は、私の趣味で「鳥見鉄道」としました。
時代は1980年ごろで、蒸機がまだ走っているという設定です。里山の盆地で、駅から少し離れたところに町の中心地があります。
季節は、バードウォッチングに適した春〜初夏です。(ほんとうは枯木と紅葉が難しいから。新芽も難しいので繁りすぎています)
小さなレイアウトは物足りないと言う意見もありますが、実際に出来てみるとそうでもないですね。
スローでの運転を守れば、大きさのハンディは、ほんとうにわずかなものです。
地面の基礎が出来るあたりまでは本当につまらなかったものが、草木、道路、ストラクチャーと進むうちに、そのスペースが信じられないような変化をとげていきます。
レイアウト製作の経験のない方には、この醍醐味を是非とも味わっていただきたいと思いました。木々の間や、丘の陰からスローで現れる気動車、DLなどを想像してみて下さい。
それにタンスの上にすき間さえあればしまっておけます。

●樹の追加、小物ストラクチャーの追加。
仕上げの段階です。今度は、「ファインリーフフォーリッジ」(ウッドランドシーニックス社)を切断した、広葉樹、松等に見立てた樹木を中心に、30本ほど追加しました。
樹は、潅木を除いても150本程度になりました。
その他、以下の追加、修正を行いました。
・寂しかったプラットホームにはTomixの人形を置きました。パッケージには、「Made in Germany」と書いてあって、製造は独Preiserのようです 。
・農家の横にトラックを配置、駅駐車場にもTomixのクラウンとトラックを置きました。
・駅のホームには構内灯を設け、ホーム対面には信号所を置きました。
・踏み切り周辺には安全上、鉄路柵を設け、道路沿いに電柱を建てました。
・新たに3灯式の信号機をいくつか設置しました。
・トンネルの入り口には自作で勾配標を造って置きました。
・駅舎の脇にキュービクルを設け、信号の脇に継電器箱を設けました。


以上のように、細々したところをつめてきて、やっと完成といえるところまできました。
後に、特に背の低い樹を中心に40本強の樹を追加し、Tipsのところで紹介している方法で樹の数を40本ほど増やしました。
よって、トンネルのある山の部分に約100本、その他に130本の計230本程度(潅木を除く)となっています。


この時点での状態はこんな感じです。



*写真は全て室内の蛍光灯下で撮影しています。


Nゲージの小型レイアウト製作記(2)(完成後の紹介(その1))

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