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魚種別攻略ガイドは2016年11月末まで@Niftyつりに掲載されていた物を再掲したものです。
カワハギ(フグ目カワハギ科)
おちょぼ口で餌をつついたり、吸い込んだり出したり、上下左右にヘリコプターみたいに泳ぐことができる元祖エサ取り名人(魚?)。ウロコがなくザラザラした皮は簡単に剥ぐ事ができることから、この名前が付いた。
大きさの割に縦横に引く釣り味はかなり強く、大型に水面近くで横走りされると心臓が止まりそうになる。待ち釣り、タタキ釣り、タルマセ釣り等々さまざまなテクニックがあるが、基本はハリのマメな交換や、エサのアサリの付け方など地道な基礎技術にある。
食べては秋から冬に大きくなる肝にとどめを刺し、刺身の肝和え、肝入り煮つけや鍋は日本人に生まれてよかった度120%。浅場から50〜60mの砂と岩が混じるような場所を好む。40cm近くまで大きくなるらしいが、まるかつの記録は30cmを超える事ができていない、残念だ。
【タックル】
カワハギ竿と言えば釣り人が竿の調子をイメージできるほど専用竿の中でも代表的な存在だ。そんな中でも本調子と言われる9:1調子の極先調子から7:3の柔らかめまでバリエーションがある。代表的なのは8:2の先調子と言われる竿で、竹とセミクジラのヒゲを使った高級和竿からグラスやカーボン製の普及品まで千差万別だ。重要なのは値段ではなく、自分のアタリの取り方、アワセの入れ方とマッチするかどうか?と言うことである。もっと言えば結論が出るまで使い込んでみたか?と言うことで、まずは浮気せずに1本の竿をしっかりと使い込むことから始めたい。
オモリは20〜30号を使うので、オモリを下げた時に竿先がおじぎするが穂持ちから胴にかけては曲がり始めないハリのある竿が良い。リールは小型両軸タイプでギヤ比が高く巻き上げスピードの早めの物が良い。また海底の起伏に合わせてたり、弛ませたり巻いたりと糸の出し入れが頻繁なのでクラッチ操作が楽な構造の物が適している。道糸は細ければ細いほどアタリが取り易いが、根掛かりも避けられないので仕掛けとのバランスで1〜1.5号を100m巻いてあれば良いだろう。
【仕掛け】
カワハギ独特とも言える胴突き2〜3本仕掛けが標準的で、幹糸3〜4号枝間10〜15cm、ハリス2.5〜3号3〜7cmで直結又はカワハギ専用の枝スが回転しない三叉接続具を使用する。ハリはハゲ系、丸セイゴ系、チヌ系などが使われ、エサの大きさや魚のサイズによって使い分ける。
道糸と仕掛けの間に中オモリや集魚器を入れて、仕掛けを弛ませたり魚にアピールさせたりする目的で使用する。オモリも専用のものがあり、水切り板が付いていて水中で姿勢を安定するように工夫されている。
また、カワハギはアワセてハリ掛かりさせる釣りなのでハリ先の鋭さが重要である。外道も含めて多くても5〜6匹魚が掛かったらハリを交換する必要がある。またキタマクラなどのフグ類にハリスを切られる事も多いので替えハリスの用意は十分にし、マメに交換するようにしたい。また、ハリス交換可能な仕掛けにすることも工夫のひとつである。
【まるかつの仕掛け】
基本は上から30cm、10cm、8cm、5cmの間隔の胴突き3本バリで接続具はカワハギ専用の三叉サルカンを使用している。針は小型は狙わないというコンセプトでハゲ6〜8号(聞き合わせ用)、城ケ島(チヌ系)の中、大(タルマセ用)を使っている。中オモリはタルマセ釣りの時だけ使用するが、集魚器は気まぐれにしか使わない。
【エサ】
アサリの剥き身が使われる事がほとんどだが、場所によってはエビやイカを使うこともある。
【釣り方】
まずエサの付け方が重要でアサリの水管の部分からハリを刺し、硬いベロの部分を通して黒い肝の部分に針先が来るように丁寧にこじんまりと付ける。雑にエサ付けするとカワハギやエサ取りの一撃で取られてしまい釣りにならない。アサリの黒い肝の部分がカワハギの大好物なのでまずここからついばんで来るため針先をここに来るようにする事が重要なのだ。
仕掛けを入れオモリが底に着いたら直ぐにタナを切る。これは根掛かりを防ぐと共に、魚の活性が高い時には仕掛けが落下している時からエサに群がり始めているからである。事実、底ダチと同時にアタリと言う事が結構あるので、モタモタしているとエサ無しの丸裸でアタリを待っていると言うことになりかねない。だから、1分間何も音沙汰がない時は巻き上げてエサのチェックをすると言った習慣をつけておくことも大切で、無傷であがってくるようであれば魚がいないか、魚にヤル気が無いということである。
基本的には道糸を張り微妙に現れる変化を察知する事が重要なのだが、カワハギも百戦錬磨で何の変化も無くエサだけを吸い取っていくと言う芸当を行うので始末に悪い。そこで仕掛けを動かさずに止めていると奴等の思うツボなので、仕掛けを動かし誘いながら止めた瞬間に出る変化を捉える必要が出てくる。
(聞き合わせ)
仕掛けを底から50cmの間でゆっくりと上下させ、途中で食う間を与えてアワセをすかさず入れる。特に外道の活性が高い時は底近くに仕掛けを留めない様に竿を操作し、高めのタナでアタリを出させる事がポイント。
(タタキ)
底から30cm位浮かせた状態で竿先を数秒間激しくシェイクさせて誘い、直後にぴたっと止めそこで出たアタリで掛けるテクニック。流石のカワハギも激しく動くエサをついばむ事ができないため、じらされて止まった瞬間に堪らず食いつくという戦法である。この方法はカワハギに効果的だが、外道軍団にも効果があるので外道ばかりハリ掛かりするような時は他の釣り方と併用する必要がある。
(タルマセ)
中オモリや集魚器を使って仕掛けを底近くに斜めに弛ませてカワハギの縦糸に対する警戒心をなくして食わせると言う作戦。非常に効果が出る場合があるのだが、弛ませる場合に道糸がフケるほど早く竿先を操作してしまうとせっかくの魚からのシグナルをキャッチする事ができないままエサだけ失敬されてしまうことになるので注意が必要だ。またある程度潮が効いていないと効果が出にくいのでこの点にも注意が必要だ。弛ませている動作中の変化にもしっかりとアワセを入れる事が大切だ。
カワハギはハリ掛かりすると横に縦に泳ぎ回るので、特に上に向かって泳ぐ時は一瞬軽くなりバレたと勘違いしてリールを巻く手を止めてしまう事がある。これを防ぐためにも巻き上げスピードの速いリールが必要なのだが、魚が強く引いているときに早巻きをしてしまうとハリス切れやハリを伸ばされたりするので気をつけなくてはならない。25cmを超える大型は思いもよらぬほどの引きを見せ、特に水面近くに来ると体を横にして横走りをするので慎重に取り込むようにしたい。
そして釣り上げた後、ハリスがザラザラになっていないか、ハリ先が甘くなっていないかチェックし、丁寧なエサ付けを心がけつつも、手返しを早くできるように修行を積んで行きたいものだ。奥の深い玄人好みの釣りである。