「旧ユーゴ便り」第87回配信付録
アンテ・ゴトヴィナ被告起訴状要旨


旧ユーゴ国際戦犯法廷検察局(C・デルポンテ主任検事)、2004年2月24日改訂、アンテ・ゴトヴィナ被告に対する起訴状(IT−01−45)
英文オリジナルは同法廷の公式サイト内↓
http://www.un.org/icty/indictment/english/got-ai040224e.htm

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旧ユーゴ国際戦犯法廷(在オランダ・ハーグ)
訴因1 迫害(殺人、私有財産略奪、私有財産破壊、その他非人道的行為)
訴因2 殺人
訴因3 私有財産略奪
訴因4 都市、居住地、集落等の不必要な破壊
訴因5+6 住民強制追放
訴因7 その他非人道的行為(暴力の行使等)

訴因1、5、6、7は人道上の罪に該当する
訴因2、3、4は戦時法及び戦時習慣の違反に該当する

* クロアチア共和国は95年8月4日から11月15日まで、独立を宣言したセルビア人住民居住地域(クライナ地方)と武力紛争の状態にあり、8月4日から7日の「嵐」作戦とそれ以降のクロアチア軍の活動はクライナ地方の奪還を目的としていた。
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ゴトヴィナ、ミロシェヴィッチほか旧ユーゴ戦犯容疑の被告を収容するハーグ・スヘフェニンゲン拘置所
* アンテ・ゴトヴィナ(以下、被告人)は「嵐」作戦とそれ以降、クロアチア軍司令官としてクライナ地方南部広域を担当する立場にあった。
* 被告人はこの起訴状にある犯罪を被告人個人として計画、扇動、直接関与、幇助、教唆したか、または行われ得ると予見していた。
* 「嵐」作戦とそれ以降、被告人はI・チェルマク、M・マルカチ、大統領F・トゥジュマンほかとともに集団犯罪計画に参加していた。この計画の主目的は、クライナ地方セルビア人住民の私有財産を破壊、略奪しセルビア人住民を恒久的に追放、帰還を妨げることであった。
* 訴因1、3、5、6は上記集団犯罪計画の主目的の一部とみなすことが出来、被告人はこれらの犯罪が為されていることを承知していた。
* 訴因2、7は上記集団犯罪計画が実行された際に、被告人が十分予想し得る結果であった。
* 「嵐」作戦とそれ以降、被告人の統率する軍事勢力は被告人の命令に従い訴因1、3、5、6の犯罪を犯した。また被告人が積極的に加担するか、または防止を怠ることで、軍事勢力以外の住民も同様の犯罪を犯すことを助長した。被告人は住民の間の秩序・治安維持の義務を怠った。
* 司令官としての被告人はその部下が犯した犯罪行為の責任を負う。被告人はこれを防止し罰する義務を怠った。
* これらにより被告人は個人としての罪を負う。

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