Smashing Pumpkins/GISH
1991年
91年発表のデビュー作品。オルタナティブ旋風の吹き荒れる中での作品だが、当時の状況を振り返れば結構、凝りに凝ったアルバムなんではないかと思う。それは、ノイズ主流の演奏がきちんとメロディアスに聞こえることからも分かるように、ちゃんと計算された上で崩した曲という感じがするからだろう。しかし、このノイズ主流というのは曲(くせ)者で、結構同じような感じのバンドが当時は存在していた。まあ、決定的に違うのは曲に個性があるかどうか、ということだと個人的には思うが。じゃあ、このアルバムに個性はあるのか、と言われれば「あるでしょう」と恐らく答えることになるだろう。
やはり、キーパーソンであるビリー・コーガンが「すべて」ということになる。ちなみに、本作では1曲だけがジェームス・イハ(実は両親は日本人)との共作で、あとは全曲1人で作っている。また、その声も哀愁があるため、ギター全開の演奏と不思議な相乗効果が出ていると勝手に納得している。この後に発表されるアルバムに比べれば、まだ粗削りという気もしなくはないが、原形というか基本的な曲のパターンとかはもう既に完成している感じだ。収録曲では(1)(4)がなかなか良い。あとは、ベースのダーシーが歌っている(10)も結構悲しげで印象に残る。さらに、アルバム・ジャケットもお金ありませんという感じが出ている。
Smashing Pumpkins/SIAMESE DREAM
1993年
実力も人気も一気に爆発した93年の2ndアルバム。これまでも実力派バンドとして米国などでは人気があったが、世界的に急速にその名を知らしめた記念碑的なアルバムだろう。1stと一番違うのは、音が根太くなったこと。また、1曲1曲の出来も飛躍的に良くなっている。ノイズをメロディーを両立するというのは、やはり難しい。ただ、このアルバムではVo.のビリー・コーガンの哀愁ある声が曲とマッチしていて、「これがスマパンの音だ、聴いてみろ!」とバックの演奏で迫って来るのがたまらなく良い。
93年というとちょうどNirvanaなどのグランジ/オルタナのバンドが選別・淘汰されはじめたころ。個人的にはその時期はオルタナといっても、メジャーなものしか聴いたことがなく、まあサブ・ポップから出ていたコンピレーション・アルバムなんかを買っていた。実はこれが本当に良いと思ったのは、もっと後になってからだったりする。グランジ/オルタナというのに飽きていたということもあるが。収録曲では(3)(6)とかはメロディアスで代表曲となっている。特に、チェロやバイオリンが入っている(6)は、この次のアルバムに続くものとして注目すべき曲だった(今から振り返れば)。ジャケットのメンバー写真を見ると、それぞれすっごく幼さが残っているが、アルバムは堂々としていて間違いなく貫祿あり。
Smashing Pumpkins/PISCES ISCARIOT
1994年
呟くような曲から始まる。94年に発表されたB−sides&アウトテイクを集めた企画アルバム。全14曲で、内訳は9曲がB−sides(シングルのB面)、3曲がアウトテイク(2ndの未発表曲)、1曲がジョン・ピール(だれだ!)とのセッション、残り1曲は発表済み。ちなみに、(6)は2ndアルバムの日本盤にボーナス・トラックとして収録されている。まあ、全体的に見ると(結構乱暴な見方だが)、アコースティックっぽい曲の割合が多い感じがするが、それもまた興味深い。
しかし、Virginと契約していることもあり、英国でのシングルはマニア仕様になっているのが、このアルバムの構成を見れば分かる。B−sidesといってもすべて英国でのシングル(ほとんど2ndから)に収録されている。さらに、1シングルで3バーションを基本としているなど、とにかくマニアの好奇心をくすぐるようなことをしている。もともとは米国・シカゴ出身で、マイナーレーベル(?)のCarolineに発掘されたが、グランジ総本山のサブ・ポップなどにも参加。1stからはVirginと契約して、世界デビュー。う−ん、そう考えるとグランジ/オルタナの流れって、このバンドにはあんまり関係ないような気もしてきたなぁ。まあ、その流行がなればどうなっていたかは知らないが。
Smashing Pumpkins/MELLON COLLIE AND
INFINITE SADNESS
1995年
95年発表、全28曲の2枚組アルバム。3rdアルバムにして、既に頂点を極めたような感じだ。91年のメジャー・デビュー以来、まさに右肩上がりで成長・成功してきたというプレッシャーがあるだろうにと思うが。やはりビリー・コーガン恐るべし。。。
大ヒットした2ndで「曲の貫祿」を身につけたなら、今作では「曲の美しさ」が光っている。1枚目(赤ディスク)のピアノ伴奏から入って、2曲目に続く感じがこのアルバム全体を支えている気がする。その美しさは、「椿姫」の中で孤独とともに死んでいくヒロインのマルグリットのような「壊れゆく美しさ」に似ている。しかし、それでこれまでのメロディアスなノイズや根太さが消えたわけではない。そこが、このアルバムの偉大なところである。
気に入っている曲は赤ディスクの(2)(4)(10)(12)、青ディスクではシングル・カットされた(5)、ハイテンションの(2)(6)辺り。そして、2枚目の青ディスクの最終曲は子守歌のような朗らかさで終わる。これだけボリュームがあり、かつ収録曲もすごく幅があるにもかかわらず、すべてを美しいと感じさせてしまうのは、偉大としか言いようがない。28曲中2曲はジュームス・イハが曲作りに参加しているが、残り26曲はビリー・コーガン。うぅ、凄すぎる。間違いなく買うべし。しかし、納得して聴くには時間が必要。
Smashing Pumpkins/ADORE
1998年5月20日 発売予定
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