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ふりーはーとメールマガジン ==================================2002/08/18
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[ふりーはーとのメッセージ]

● 密造酒(ブートレグ)

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 足繁く件のジャズの聴けるショット・バー(「*OP」)へ通ってしまい,何を今更だが,家にゐてもジャズを聴くようになってしまった。
 我が家のアンプやCDを「*OP」へ持ち込んだり,マスターからCDを借りたりするものだから,「*OP」の我が家化だか,我が家の「*OP」化が進んでゐる。
 酒もジンベースのものは我が家でも自分で作って呑む。
 メジャー・カップだのステア・スプンも揃えた。
 炭酸水,トニックウォータ,ライム(生)も買って来る。
 似たような音楽を流すと,空間自体が似た雰囲気を醸(かも)すようになる。
 家人が云う「我が家にマスターに来て貰えば,別に出かける必要はない」と。

 闇雲にCDまで,買い足す始末である。
 CD屋へ行っても見覚えのあるアナログLPのジャケットが小さく(CDサイズに)なって並んでいるばかりで「今浦島」状態である。
 どうも最近の事情が,よく判らんので「ジャズを聴くバカ,聴かぬバカ」中山康樹著と云う出たばかりの本を買った。中山氏は,かの「Swing Journal誌」編集部に十数年在籍していたと云う。

 以下受け売りです。
 結局,三十年前と変わったのはアナログがCDになっただけのようなのである。
 ミュージシャン自体になんの変わりもない(変化と云えば,ほとんどが故人になっている事くらいか)。
 だから,新譜と云っても新しい録音ではない。
 同じマスターテープからのリマスター(ミックスダウン),リサンプリングてとこが関の山。
 音を良くしてるんだか,悪くしてるんだか。
 レコード業界は,繰り返しくりかえしの再発売とボーナストラックの追加,やれ紙ジャケット入りだ,箱入り(ボックスセット)だ,などで少しずつ目先を変えることで茶を濁しなんとか食いつないでゐるんだそうな。

 なるほどそうなのか,小生もボーナストラックなるものを苦々しく思っていた。いわゆるオマケとして別テイク(録音)の同じ曲とか未発表曲が,従来のアルバムの構成を崩す恰好でアルバムに割り込ませてあるのだ。ミュージシャン,プロデューサ等が納得尽くで収録曲,曲順構成を決めてこさえたアルバムではなかったか。その完成品を無断で崩して未発表テイクと云う当時ボツにしたテープの中から拾い出して挿入すると云う暴挙が「売らんかな」の思惑だけで,誰の了承もなくまかり通って良いものか。原制作者への冒涜(ぼうとく)である。
 だから,小生そういう余分なモノ(ボーナストラック)が付いてくると切り取ってオリジナルの曲順に戻して,CDRに焼き直すという大変な手間をかけて聴いている。(ウソです)

 「ジ・ヨーロピアン・ツアーズ」と云うジョン・コルトレーンがヨーロッパで行ったライブを集めたボックスセットが出ていることは知っていたが,1961年から1963年位の期間というので小生,対象としていなかった。
 実は,このボックスセットにニューヨークはバードランドで録音したセッションが紛れ込んでいると云うから杜撰なもんだ(ヨーロッパ・ツアー・ライブへ突然ニューヨークでの録音が)。
 それでもレコード会社は知らんぷりなんだそうな。ごめんなさいの一言もなし。
 まぁそりゃそうでしょう,別に命に関わることじゃなし,目くじら立てるほどでもないと云えばそれまでだが,看板に偽り有りもいいところだ。(あ,この手の話が先の「ジャズを聴くバカ−」の大きいネタを構成しているので,余所で絶対云わないように,以下も同じ。)まぁボーナストラックと思えば腹も立たんが,問題は添付されてる紙切れ。

 そんな状況だから,ブートレグBootleg(海賊版)以外の市場は完全に死んでいるのだそうだ。
ブートレグというのは,あの市販のレコードやCDをダビングして売る「パイレート盤」ではなくて,ソース(音源)が違ういわゆる隠し録りってやつです。
 コンサートにこっそり持ち込んだテレコで録ったとか,ライブのコンソール(操作卓)に繋いで録ったとか,スタジオ録音の別テイクを内部の人間がコピーして持ちだしたとか,放送を録音したとか,放送に使ったテープを持ち出したとか,そういったソースでCDを150枚位プレスするんだそうな,これが売れればあと500枚とか追加プレスする,この手のCDが西新宿一帯の50軒ほどの店で捌かれているのだそうな。
 アーティストによっては,自分のブートレグが置いてないと店に文句を云いに来ると云う(ジャズ関係者ではなさそうです,ブートレグそのものがジャズには少ない)。
 今や,これらソースはネット上でも手に入るし,それにプレスせずともCDRに焼くと云う方法もあるから,何でもアリの御時世だそうで…。
 ブートレグ自体,非合法だが,これが,まったくの違法かというとそうとも言い切れない,第一,捕まらない,おおらかなんでしょうなぁ。

 いささか強引とは思うが,今や「ジャズ」と「落語」は,ほとんど同じ状況なんですな。
 今のファンは長年聴いて来て年喰っちまって,これが死んで行けばお終いなんです。
 いわゆる新しい聴き手,初心者の開拓はままならぬ,新たなる天才演者の出現への期待はもっとままならぬ。
 相撲で云うところの「シニタイ」って云うですか,放っておけば転んで了う。
 なんなんでしょうなあ,何々業界と云われるほうぼうで地盤沈下が起こっている,そうかと思えば津軽三味線が妙に元気だったりで,面白いもんです。

 ブートレグとは元々「密造酒」の謂(いい)なんだそうです。
 ほおっておいた甘酒,ブドウの果汁,ビール・キットへの砂糖量の変更。
 密かな愉しみである。
 「ジャズ禁止法」や「落語防止法」が出来れば,地下でしっかりと根付くんでしょうか。…

参考図書等:
「ジャズを聴くバカ,聴かぬバカ」超裏口入門編 中山康樹著 KKベストセラーズ 

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後記:最近は,CDをほとんどネットで購入していることは,前に書いた。LPで500円代とか600円代のがあるので試しに購入してみると,これがライブ盤で音こそ良かったり,まずかったりだが,演奏はなかなかイケてる。パーソネルの記載がなかったり,録音場所日時の記載がない。これがいわゆるブートレグものなのか(正規ルートで売られてゐるのでそうではないと思うが)。
処暑:二十四節気の一。暑さが止み,新涼が間近い日。太陽暦の八月二四日頃に当る(今年は二三日)。

【今週のBGM】
A Love Supreme「至上の愛」 John Coltrane Castle PIEと言う英国の会社から出ているライブ版で704円(税込み)でamazon.co.jpで購入しました。Impressionsも入っています。録音場所,録音期日,コルトレーン以外の演奏者の記載はありません。

【先週のごめんなさい】
 前号配信のものは本号の前段として書いたモノに加筆し,分離発送させてもらいました。

【今週のごめんなさい】
 中山康樹氏の著作が面白いので,数冊ネットで注文したがお盆に阻まれて未だ届かない。


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ブートレグ版ではなかろうが
左:A Love Supreme「至上の愛」 John Coltrane Castle PIE(英国)ライブ版で670円
右:Live at the Half Note John Coltrane LaserLight Digital(米国)ライブ版で744円
左は音質まずまず,右はアナログ版から起こしたのかスクラッチノイズが入るは,音飛びはするは…。
値段は誰がどうやって決めるんだろう。