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ふりーはーとメールマガジン ==================================2002/04/14
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[ふりーはーとのメッセージ]

● 小説「父の詫び状」 

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 子は,親を撰んで生まれることはできない。
 むべなるかな。
 子はいやがおうでも親に似てしまう。

 子の立場になり自らを省みて,実につまらんオヤジだと思う。
 なんでも頭ごなしである,子の人格を認めようとしない。
 「しまった」と思ったときは,いつも手遅れである。
 決して,子の前で自らの非を認めようとしない。
 詫びの一言が言えない,估券(こけん)に関わるとでも言いたげである。
 子は,親を踏み台にして乗り越えて行け等と勝手な理屈をこねてはみるが,内心,本気で思っていなかったりする。

 わたしが中学二年生のときだったか,父と庭で押し相撲をしたことがある。
 顔を真っ赤にして頑張っていた父の力がふっと抜けたように感じた。
 ずずーっと下がって行って「負けた」と云った。
 まだまだ,力で勝てるとは思っていなかったので案外であった。
 わざと負けてくれたのかも知れないが,今となっては確かめようもない。

 親は子に,DNA情報以外のモノも伝えることができるだろうか。
 なんとも心許ない。
 ぼそぼそと昔話をしてみたり,他人には云わぬ自分の訳の判らぬ価値観を有無を云わさず,押しつけたりするのが関の山である。
 世間では,父権云々が取り沙汰されるが遠くおよばぬところで,あがいてゐる。
 こうやって,反省はしてみるものの面と向かうとなんとも,相変わらず理不尽なオヤジを演じて了う。
 ウジウジ書いてしまうが,これで精一杯の息子への詫びの言葉のつもりだから,実に始末がわるい。
 とっくに追い抜いて行かれたとの実感もあり,喜ぶべきところが,自己嫌悪に陥ることとなったりする。

 かくして,相撲で負けてくれたわたしのオヤジの命日(金曜日だった。)も忘れて日が変わるまで街で呑んだくれてしまうと云うていたらくだ。
 今日は,墓参り。
 「父詫び状」も書かねばならぬ。

○長男二十二歳,筆者五十歳,父平成十一年没。
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後記:ネット用に使っているパソコンが不調で,フォントがうまく呼び出せずテキスト表示がでたらめになった。すぐに復旧できたので道具の不調のせいにしては悪いが,いつもより配信が遅れた。中身もご覧のとおりで実に申し訳ない。


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