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ふりーはーとメールマガジン ==================================2002/03/17
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[ふりーはーとのメッセージ]

●  「ピアス」

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 飲み屋やパチンコ屋での金銭の貸借,CDや本の貸し借りは返還されないのが通例である。
 貸す方は,進呈する気でいないと立腹することになる。
 いま,一冊の本の話をするが,これは最初(はな)から進呈を決めていたので,前述のこととは関わらないのだが。

 サッカーのワールド・カップを控え,日韓の交流が盛んになった。
 歴史的に不幸な関係(様々な見方があるにはあるが)の時代があったことを考えると隣国としては,良い方向に動いていると云って良かろう。
 我が国では,ハングル語をおぼえることが流行っている,大変結構なことだ。

 7年程前,韓国に友人を訪ねた際,二冊の本を持参した。
 一冊は,前にも書いたが,その友人に土産にした辺見庸著「もの食う人々」,いま一冊は,題名も中身も忘れたが,日韓の若い数名の書き手が書いた短編というか随筆というか,そういったもののアンソロジーで,見開きで左側に日本語,右側にハングルで表記してある少し変わった本であった。
 どちらも新古本屋で百円かそこらで購入したのだが,今にして思えば後者は貴重な本であったかもしれない。
 空港とホテルの往復で通訳とガイドをしてくれたチョンさんに帰りがけに進呈した。

 旅の途中,閑があればと持参したのだが,読めたのはその中の一編に過ぎなかった。
 韓国の若い女性の書き手によるもので確か「ピアス」と題してあった。
 残念ながら私は,わが子の年代の者が,髪を赤く染め,耳やら鼻やらへそやらに金属の輪っかをじゃらじゃらとぶら下げてゐるのを見ると,おもわず眉をしかめてしまう。
 かく云う私とて,学生時代には肩に掛かるほども髪を延ばし,オヤジ殿に「剃るぞ」と云われたこともある。

 さて件の「ピアス」のうろ覚えあらすじ。
 日本であれば,ほんのおしゃれ心から簡単に耳たぶに穴をあけてしまうのであろうが(中には自ら押しピンでエイヤっとあけてしまう荒っぽい話も聞く。),穴をあけるのを決心するまでの逡巡,心の葛藤が描かれ,意を決してあけたあとの,心の晴れやかさを述べている。
 韓国は儒教の影響が今なお根強いと聞く。
 曰く,食事は年長者が箸ををつけることによって始まる,徳利やビール瓶で酌をする際には必ず左手を肘あたりに添える,呑む時は正面から顔をずらせる,酒食の代金は目上(日本では死語になりつつある。)の者の奢りとする等々…(間違っていたらごめんなさい。)。
 変な話だが,日本の若い人の間では「体育会系のノリ」と云われているかも知れない。

 私の価値観の中には未だ,敬語や,謙譲の気持は美徳と心得ている節がある。
 「ピアス」を読んで「身体髪膚(しんたいはっぷ)これを毀傷せざるは,孝のはじめなり」という言葉を思い出した。

 「ピアス」は彼女にとって古い時代,しがらみへの決別であり,心の革命であったのだ。



広辞苑から引用:
○ピアス(pierced earrings の略。ピアスは孔をあける意) 耳たぶに小さな孔をあけ,それに通してつけるイヤリング。
○身体髪膚 身体と髪や皮膚、すなわち身体全部。義経記四「義経―を父母に受け」
○身体髪膚これを父母に受く[孝経開宗明義章「身体髪膚、受之父母不敢毀傷孝之始也」] 人間の体はすべて親から受けたものであるから,これを傷つけないように努めるのが孝行の第一である。
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後記:普段,Jリーグの中継は,ほとんど見ないが,国際大会はついつい見てしまう。自国を熱狂的に応援すると云うのは,あまり美しくない。
 幸いにして小生,大病,大怪我の経験はないが,治癒に努めることが「孝」。                 ワダ


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