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ふりーはーとメールマガジン ==================================2002/03/03
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[ふりーはーとのメッセージ]

● 鴬啼く

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 今年のウグイスの初鳴きは2月28日であった。

 我が家のコンピュータはしょっちゅう模様替え(中身が入れ替わったり)するが,できるだけファイル(特に自分で作ったもの)は保存を心がけているのであった。
 幸いにもハードディスクはどんどん大きくなって行くし,CD-Rなどの外部保存メディアも安くなる傾向があるので,探しまくれば,どこかに書き散らかしが残っているのであった。
 そんなごみファイルを検索してみると,新たなる発見があるのであった。
 (あ,声に出して読む場合は「プロジェクトX」のナレーション風に最後の「た」を少し弱く発音していただくよう希望するものであった。)

 そんな中,筆者はひとりネタに困って,何百,何千を超えるテキストファイルから「初鳴き」とその類似語を黙々と探し続けたのであった(実際はパソコンがやってくれた。)。

 生憎,毎年の記録は見いだせなかった。
 しかし「1995年2月26日ウグイス初鳴き」,「1999年3月6日鴬啼く」の行がヒットしたのであった。
 更に「95年7月20日蝉初鳴き」,「99年8月23日虫初鳴き。コオロギ」の記述も見つかった。
 思いもかけないことであった。
 筆者には,日記を書くと云う習慣は学生時代の一時期を除いてなかったが,手軽に扱えるパソコンを手に入れてから93年〜96年の間は,結構丹念な日記を書いていた。
 95年からは,ポケットに入るHP200LX(ヒューレットパッカード社)と云う機械を持ち歩き,ほぼ「時記」(一行入力すると文頭に日時が自動添付されるソフトを使っていた。)と呼べるほどのメモをとっていた。
 今も,この機械を常時持ち歩いてはいるが,メモ入力には使用していないのである。
 (この機械については,フリークと呼べる程のユーザが沢山ゐて「電脳パンツ」(多分,風呂に入る時と**のとき以外は肌身離さぬと云う謂)と呼ばれていた。)

 前にも書いたが,山を拓いた所に住まいしているから,すぐそばで,のべつ野鳥のさえずりなどを聞くこととなる。
 初夏ともなれば,ホトトギスとウグイスが,かわりばんこに啼くのであった。
 同時に啼くのは,ついぞ聞いたことがなかった。
 「托卵(たくらん)※」と云う鳥の習性がある。
 ホトトギスは,ウグイスの巣に卵を産み,ウグイスに子を育てさせるのであった。

 「カッコウはコンピュータに卵を産む(原題THE CUCKOO'S EGG)」Clifford Stoll(本業は天文学者)著は,ネットワーク(コンピュータ)上での不正侵入を「托卵」になぞらえた絶妙の題名という他はないのであった。

 ホトトギスに卵を産み付けられたウグイスの親は不憫ではあるが,自然の摂理のなせる業(わざ)である。
 フレッツ**だと,はしゃいでネットに繋ぎっぱなしにしているセキュリティーの甘いコンピュータは今もカッコウ(ホトトギス)に狙われてゐるのであった。

 啼きはじめたウグイスの声を聞くにつけ,侵入されたシステムの悲惨さを思うと警鐘を鳴らさずにはおられない筆者であった。


※広辞苑から引用:【托卵】或る鳥が他種の鳥の巣に産卵し,その鳥に抱卵・育雛(いくすう)させること。仮親の卵より早く孵化し,仮親の卵を巣外に排除する。わが国ではカッコウ科のカッコウ・ホトトギス・ジュウイチ・ツツドリの四種がこの習性を持ち,ウグイス・モズ・ホオジロ・オオルリなどの巣に産卵する。
○参考図書:「インターネットはからっぽの洞窟」(Silicon Snake Oil)クリフォード・ストール著 倉骨彰訳 草思社刊
        「週刊朝日2002.02.15号」掲載「あれも食いたいこれも食いたい(No.726)」東海林さだお著
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後記:以下マニアックですので読み飛ばしてください。「カッコウ」の「托卵」の具体ですが,UNIXシステムのatrunを定期的に実行することを利用してatrunに細工をする。su以外に手の届かない筈のatrunを如何にいじるか。リチャード・ストールマンのGNU-Emacs(エディター)の利用者間のファイル転送が自在に行い得る{バグ|哲学}を利用する。システムの保護領域にもファイルは転送できてしまうのであった。簡単にGNU-Emacsでカッコウは卵を産み付け,UNIXはしごくあたりまえのことと卵を孵(かえ)してしまうのだ。(「カッコウ」上巻p45〜p47)もちろんこの手が,今も使えると云うのではないが,おおらかな時代があったし,今もおおらかな管理者がいないと云う保証もない。
 GNUは,GNU is NOT UNIXのしゃれでコピーライトの代わりにコピーレフトと記載されている。これらは情報は万人の財産であるべきであるというリチャード・ストールマン等の哲学に根ざしており,インターネットが今のように商用化一般化する前は受け入れられてしかるべき考え方であった。LINUXもこの延長線上にある。(余談だが,昔の私のメール・シグネチャーは「JH4SBD is not BSD4.*」であった,文字検索には未だにMS-DOSに移植されたgrepを使っている。)
ちょっと違うが,この哲学によってインターネット自体が爆発的に広まったとも言える。こういうと可笑しいかも知れないが,だからインターネットは原則「ただ」なのだ。     ワダ

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