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ふりーはーとメールマガジン ================================== 2001/12/30
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[ふりーはーとのメッセージ]

● スティング(未来は予測できるか)

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 ポール・ニューマン,ロバート・レッドフォード,スコット・ジョプリンのラグタイムピアノであまりにも有名な映画「スティング」。
 封切りを学生時代に観たのだからそんなに古いことはない,と云ってもかれこれ26,7年前か。
 小生のもっとも好きな映画の一本である。
 店頭にDVDで出ていたのだが買いそびれた。
 したがって,ストーリーうろ覚えのままで申し訳ないが筆を進める。
 1936年,シカゴの下町が舞台。
 今で云う私設場外馬券売場(ノミ屋)がある。
 当時は,通信手段が電信(前に書いた電流の断続によるモールス符号により文字を送る)以外になかったと思し召せ。
 リアルタイムで,遙かの地で競馬が行われているのを電信で中継して来る。
 「−・−・ −−・−  −・・ ・  ・−−− ・・・・ ・・・・− ・・・ −・・・ −・・  −・−」(ちなみにこれは単に「CQ こちらは,JH4SBD どうぞ」の謂)
 てな調子で,競馬の中継を現場から電信通信士が送り,この符号を私設場外馬券売場で紙テープに記録受信し,さもそこで競馬が行われているが如く,電信通信士が符号をアナウンスのように言葉にして読み上げると云う生中継をやったんですな。
 博打と云うのは,こんなシステムを作りあげるほどの魅力がある。

 そこで一味は「いかさま」考える。
 通常のレースの電信生中継の紙テープの中に過去のレースを紛れ込ませるのだ。
 もし,明日か,あさっての新聞が入手できれば,大儲けができるのが道理である。

 物理現象は,そのファクターをモデル化できれば,将来予測が可能であるが,人間の意識のようなファクターが複雑に絡み合った現象の将来を正確に予測することは困難である(競馬とて同様。)。

 BBDと云う電子素子がある。
 バケツリレーと云うのをご存じだろうか。
 ポンプやホースが無ければ人海戦術でバケツからバケツへ水を移し替えて運ぶことになり,一人がバケツを持って走るよりは時間がかかるが,連続して送ることができる。
 信号を遅延させるために開発された,これ(バケツリレーを)を電気的に行う素子である。

 カラオケなどでは音声にエコーをかけることができる。
 エコーがかかった音はメインの音声と反響で遅延する音声(反響に要する時間を機械的又は電子的に作れば良いわけだ。)を混合した作り出すことが可能だ。
 物理的にバネをコイル状にして音で振動させ遅延信号を取り出す方法とか,テープに録音した音をすぐに再生して同様に遅延信号を取り出す方法等があったが,上記の電子的にトランジスタにバケツリレーをやらせる方法が装置も大がかりにならず便利であった(多分,今はコンピュータ処理技術を用いているかと思うが不勉強である。)。

 聡明な貴方は既にお気づきであろう。
 スティングの私設場外馬券売場の「いかさま」とこの信号遅延素子(BBD)を組み合わせることにより未来予測が可能であると云うことに。

 テープレコーダや無線送信装置は,信号(音声)が入った時だけ,その動作をすれば足りる機器である。
 そこで,信号の有無により,動作スイッチをオンオフさせる自動制御が可能となる。
 ところが装置の特質上,その立ち上がり(定常の動作になるまでに)に少しばかり時間を要する。
 テープレコーダではテープの速度が一定になるまで,無線機ではちゃんと電波が出るまで使いものにならず,いわゆる頭切れが起こるのである。
 そこで,リアルタイムの信号をトリガー(きっかけ)として用い,遅延信号を本来の音声(信号)として用いることで,この頭切れを解消することが可能となる。
 先にネタばらしをしてしまったが,人間が気まぐれでどういう動作(おしゃべり)をしようが,完全に予測し,確実な機械動作が可能である(もちろん実際は,予測ではなく,時差による「いかさま」なのだが)。

 この原理で,装置を試作し,ちゃんと動作することが確認できたので,小生は喜々として,二十年ほど以前になろうか,ある無線雑誌に読み物としても面白いように文章にしたため投稿した。
 すぐに,編集長から近号に掲載したいとの連絡を頂いたが,待てど生活(くら)せど載った様子はなかった。
 投稿後一年ほど,経ったころテープレコーダで有名なS*NY社から,頭切れのしない自動制御搭載のポータブルテレコが発売されたとの情報があったが,その後,この製品がどうなったのか知らない。
 十年ほど経って,小生の原稿は,不掲載とする旨の丁寧な詫び状と共に雑誌社から返還された。
 その原稿は,今も我が家のどこかに保管してある筈なので,本稿を書くにあたって参考にしたいと思ったが,当時は手書きであったため,不明となってしまっている。

 最近の携帯電話の普及が一因かもしれないがアマチュア無線は衰退の一途を辿っているそうだ。
 かの無線雑誌も本屋さんで見かけなくなったので,廃刊においこまれたのかも知れない。

 かくして,刹那(せつな)先の未来を「いかさま」によって完全予測した気になっていたが,なかなか将来を垣間見ることすら,ままならずと云ったところか。

広辞苑抜粋:せつな【刹那】〔仏〕 極めて短い時間。一説に,一弾指(指ではじく短い時間)の間に六五刹那あるという。一瞬間。
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後記:はやいもので明日はもう大晦日である。当駄文メールマガジンも,7月から半年間なんとか休まず続けてこられた。これも,ひとえに読者諸兄諸嬢の暖かいご支援,叱咤激励の賜物と年末にあたり感謝の意を表する。行く年を省み,来る年が平穏な年であること祈りながら,今年のキーボードの叩き納めとしたい。   ワダ


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